忍者ブログ
リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~ HomePage http://www.geocities.jp/restrer/
Calendar
<< 2017/04 >>
SMTWTFS
234 67
91011 1314
161718 2021
232425 272829
30
Recent Entry
Recent Comment
Category
1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

1051
家で古い映画を録画したものや、久しぶりに映画館へ行って見た映画の感想です。


麗しのサブリナ 原題:Sabrina 1954年米
監督:ビリー・ワイルダー 出演:オードリー・ヘプバーン、ハンフリー・ボガート、ウィリアム・ホールデン

ローマの休日」で一気にスターダムにのしあがったオードリー・ヘプバーン主演作で、我が儘で気分屋のお転婆娘に恋をしてしまう大金持ちの家の兄弟にハンフリー・ボガートとウィリアム・ホールデンという豪華人気俳優を寄せ集めしたみたいな映画です。

1954年当時と言えば、日本にマリリン・モンローが来日したり、街頭テレビでは力道山が大きな外国人をバッタバッタと倒していりした頃です。そしてこの映画でヘプバーンが履いていた低いパンプス風の靴が「サブリナ・シューズ」として大ヒットしました。

ヘプバーンが演じる娘は、金持ち一家に雇われている住み込みの運転手の娘で、その金持ち一家の兄弟から、立場や階級を超えて見初められるという、その後「プリティ・ウーマン」のような数多く製作される、若い女性のサクセスストーリーの元祖みたいな感じです。

展開が早く、集中して見ていないと、物語はすぐに何年も経っていたりしますが、ベテラン俳優陣を相手に若きヘプバーンが堂々とした役者ぶりを示すのは見ていて気持ちいいものです。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

白熱 原題:White Heat 1949年米
監督:ラオール・ウォルシュ 出演:ジェームズ・キャグニー、マーガレット・ウィンチェリー、ヴァージニア・メイヨ

アメリカのギャング映画と言えばマフィアの組織的なギャングを描くことが多いのですが、母親とマザコンの主人公のギャングというちょっと風変わりな設定が面白いです。

1949年という戦後まもなく作られた映画だけに、特に凝ったところはなく、直球勝負でギャング団の狂気の世界が冷徹に展開されていきます。

列車を襲撃して大金を奪い殺人も犯し、それが原因で当局からは重罪で追われることになりますが、母親のアイデアから犯行時には遠隔地で微罪を犯したということで自首をし、列車強盗の重罪から逃れるという知能ぶりもみせます。

しかし刑務所に収監中に妻の不貞や腹心の裏切りを知り、犯罪の師でもあった母親も亡くなり、やがては自暴自棄となっていくシーンがもの悲しく泣けてきます。

ちなみに同じ「白熱」と書いてデッドヒートと読ませる1977年公開の日本映画がありますが、まったく別物で、こちらは当時若者のあこがれだったスカイラインGTRとセリカGT(ターボチューン)の戦いを描いた田中光二氏の小説の映画化です。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

第七の封印 原題:Det sjunde inseglet 1957年スウェーデン
監督:イングマール・ベルイマン 出演:マックス・フォン・シドー、グンナール・ビョルンストランド

日本ではあまり見ることがない、珍しいスウェーデン映画で、私の生まれた1957年公開の映画という点に興味を覚えて見てみました。

いわゆる宗教映画なので、キリスト教を身近に知らない日本人だと、なかなか見ていても意味がわからなかったりして、退屈するところですが、主演の二人(騎士のアントニウス・ブロックとその従者ヨンス)がなかなか味わいのあるいい演技をしていて、惹き付けられます。

映画のテーマは、無益だった十字軍の遠征から国に戻ってきたスウェーデンの騎士が、コレラや魔女裁判などで荒廃する祖国をみて神の不在を感じるというものです。

同時に自らが死神に憑かれてしまい、命をかけて死神とチェスの試合をするというのはちょっと笑えてしまいます。

題名は新約聖書のヨハネの黙示録からのものです。

★☆☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

最前線物語 原題:THE BIG RED ONE  1980年米
監督:サミュエル・フラー 出演:リー・マービン、マーク・ハミル

最初第1次大戦のモノクロシーンが続き、そういう時代の映画なのかと思っていたら、その第1次大戦の中で生き残った軍曹が次の第2次世界大戦にも同じくアメリカ陸軍第一歩兵師団(The Big Red One)の軍曹として復帰。そこからカラー映画となります。

復帰した歴戦の勇士である軍曹は、若き分隊の兵士に生き残る術を教え込み、最初は北アフリカへの上陸、次にシチリア、そしてノルマンディー上陸、ポーランドと常に最前線の厳しい環境の中、部下とともに戦っていきます。

北アフリカでのフランス軍との奇妙な迎合や、シチリアではナチから解放された住民の歓迎、そして悲惨きわまりないノルマンディー。ポーランドではナチスの強制収容所を開放するシーンがあり、瀕死の子供との短い交流など泣かせる場面もあります。

こうしたヨーロッパ戦線で戦うアメリカ人歩兵というのは、やはり有名なテレビドラマ「コンバット」がベースにあり、なかなかそれを越えるようなものは作られないのですが、この映画も「コンバット」の影響が見え隠れする感じです。

ノルマンディー上陸シーンは、砲火の中、鉄条網を爆破するという限定的で、「プライベート・ライアン」のように大規模で臨場感満載のシーンは展開されませんが、こうしたヨーロッパ戦線を次々転戦していく流れの速い映画の場合は仕方がないのでしょう。

主演のリー・マービンはこうした歴戦の軍曹という役には最適で、北アフリカでは負傷して仲間から離れ野戦病院に収容されたあと、アラブの衣装を着て病院から脱走し、分隊を探し出すというコミカルな場面もあります。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

シン・ゴジラ 英題:GODZILLA Resurgence 2016年東宝
監督:庵野秀明 出演:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ

Twitterで評判だったというか、うまく大規模なステマにやられたか?って気もしましたが、それも承知の上で映画館へ観に行ってきました。

実はゴジラ映画を映画館で観るというのはこれが初めてです。なぜか子供の頃からゴジラにはあまり興味はなくて、せいぜいテレビで放送された映画を見るぐらいでした。

夏休み中と言うこともあり、小さなお子さんも多くいましたが、これは単に怪獣映画というものではないだけに、それを知らずに来た小さなお子様ににはちょっとつらいかも?でした。

とにかく話しの2/3が役人、官僚、政治家、アメリカ公使、防衛省、学者のやりとりで、それが日本の現実と言えばそうなのですが、ジェットコースター的なエンタメ映画を期待していると退屈きわまりないかもしれません。

しかし政治や自衛隊装備、危機管理などに造詣が深ければ、庵野秀明監督の細かなところまでディテールにこだわる設定ゆえに、それなりに楽しめる映画かも知れません。CG技術が進化したおかげでこのリアルさが表現できたとも言えます。

ゴジラは2度上陸して、その2度目は鎌倉付近から武蔵小杉あたりまでやってきた時、「多摩川を越えて東京には入れない!」と自衛隊が現実的な装備、10式戦車、99式自走155mmりゅう弾砲、96式多目的誘導弾システム、多連装ロケットシステム自走発射機M270 MLRSなどで反撃することになります。

おいおい東京守るため川崎はどうなってもいいって言うのか?

しかし普段よく見慣れた川崎や多摩川の風景が、ゴジラに壊されていくというシーンはなかなか興味深いものです。

★★☆


【関連リンク】
1042 男と女の不都合な真実、スリーデイズ、ダークナイト ライジング、鍵、北の零年、海街diary
990 るろうに剣心 京都大火編、るろうに剣心 伝説の最期編、アメリカン・スナイパー、新劇場版 頭文字D「Legend1 -覚醒-」、「Legend2 -闘走-」、ジョーカー・ゲーム 
983 我が青春のヒーロー、スティーブ・マックイーン
966 映画 無法松の一生
915 「風と共に去りぬ」を観てわかるアメリカ史
885 神様のカルテ2、選挙、トリック劇場版 ラストステージ、夜叉、ドクトル・ジバゴ

PR



1048
小説 上杉鷹山 (人物文庫)(上)(下) 童門 冬二

 
1983年に初出、その後文庫化された著者の代表作とも言える名著の誉れ高い作品です。

1961年にJ・F・ケネディが大統領になったとき、日本人記者がインタビューで「日本人で尊敬する人は?」と質問した時に「上杉鷹山」と答えたことは有名な話しで、その頃上杉鷹山を知る日本人はインタビューした記者を含め、ほとんどいませんでした。

なぜアメリカ大統領が上杉鷹山を知っていたかというと、1908年に内村鑑三が英語で書いた「Representative Men of Japan」(代表的日本人)を読んでいたということのようです。

「なせばなる、なさねばならぬ、なにごとも・・・」は私が小学生の頃に担任の先生から何度も聞かされた言葉ですが、その「為せば成る為さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり」と家臣に対して詠んだ言葉です。

米沢藩の上杉というから当然上杉謙信を祖とする上杉景勝の子孫と思いきや、鷹山は九州の武家の次男で養子として米沢にやってきた外様です。

そのせいで財政破綻をして重税に疲弊した民衆が逃げ出すような状態から、思い切った改革をしようとしても、最初は米沢藩を牛耳っていた藩の重役達に徹底的に邪魔をされて反抗されます。

しかし、あきらめずにわずかでも改革に賛同してくれる今まで冷や水を飲まされていた有能な藩士を味方に付け、藩を潤すためのアイデアをひとつひとつ実行していきます。

また自らも質素な生活に努め、城内の空き地にも桑を植えたり売るための鯉を飼ったりして、後に山本五十六の言葉として有名になる「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、 ほめてやらねば、人は動かじ」の元となる「してみせて、言ってきかせて、させてみる」を200年前に実行して使っています。

そうした若くして米沢藩主となり、数々の妨害をうけながらも古い慣習や悪習を廃して、見事に米沢藩を蘇らせた希代稀な真の政治家の伝記です。

★★★


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

秋霧の街 私立探偵 神山健介 (祥伝社文庫) 柴田哲孝

2012年に単行本、2014年に文庫化された「私立探偵・神山健介シリーズ」第4弾です。過去には「渇いた夏」(2008年)、「早春の化石」(2010年)、「冬蛾」(2011年)と夏、春、冬ときて最後?の秋です。

なぜ「?」かというと、この作品のあとに、東日本大震災にまつわる事件を描いた「漂流者たち」(2013年)がすでに加わりましたので、四季の4部作を超えて続いているからです。

前3作はすでに読みましたが、いずれもなかなか面白く、このシリーズがもっと長く続くといいなぁと思っています。

今までは主人公が移り住んだ福島周辺が舞台だったのが、今回は新潟と少し離れます。

新潟を舞台としたハードボイルド小説では佐々木譲氏の「北帰行」が思い出されますが、ロシアの闇組織、中古車の海外輸出業者など、似通った場面があり、新潟ってそういう街なの?ってちょっとイメージが変わってしまいそうです。

それはともかく、今までにない派手な銃撃戦や暴力が展開されて、このシリーズはちょっとそういうはちゃめちゃなハードボイルドではなかったはずなのにという気がしないでもありません。

シリーズ続編の「漂流者たち」は主人公が住む福島で大きな被害がでた東日本大震災に関連した内容となっているそうで、それに期待したいところです。

★☆☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

結婚は人生の墓場か? (集英社文庫) 姫野カオルコ

2007年に「ああ正妻」というタイトルで単行本が発刊され、2010年に上記のように改題されて文庫版が出ました。文庫本のタイトルのほうがはるかにインパクトがでかいですね。ただ最初タイトルを見て「これってエッセイ?」って思いつつ買いましたが、ちゃんとした長編の小説でした。

すでに結婚している若い男性編集者と老作家が織りなす様々な夫婦を描いたコミカル小説です。

山の手のお嬢様育ちで、お金に苦労はしたくないという唯一の目的で、容姿などにはこだわらず、高学歴、大企業勤務の旦那を早々に捕まえて、専業主婦に収まり、子供を大学まで一貫の私立幼稚園に入れて満足する女性が登場しますが、こうした女性はデフォルメしてあるとはいえ、決して珍しくないような気がします。

私の周辺にもそういう夫婦はかなりいそうな感じで、団塊ジュニア世代に多い気がします。

ま、男性にしても、誰もがうらやむような美人を妻に迎えられて、その本当の目的が収入だけだったとしても、それで幸せを感じられるのならいいのかも知れません。

女性側も下手にハンサムな旦那を捕まえてもすぐに浮気されたり、仕事で失敗して収入が途絶えたりすることを避けるには、浮気しそうもない、平凡で真面目な旦那を若いうちに捕まえるに越したことはないでしょう。

結婚したいけどできないていう女性の多くは、若くて自分を高く売れる時代に「もっといい男はいないのか?」「もっと高収入でリッチな男は?」「家柄がよく財産を持っている男は?」なんて夢を見ている間にどんどん年を取ってしまい、結局は安売りせざるを得なかったり、バーゲンセールしても買い手が見つからなかったりするものです。

結婚が墓場がどうかは、本人の考え方ひとつでどうにでもなりますが、それ故に、他人が人の結婚生活を見て、あーだこーだというものではありません。

しかし今の世の中、専業主婦を願う女性には厳しい世の中と言わざるを得ません。ひとつ教訓があるとすれば、結婚相手の両親が健康で、しかもそれなりに財産や家持ちであることが、配偶者の人となりよりも重要な時代になってきているのかなってこの小説を読みながらちょっと感じたり。

★☆☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

史上最強の内閣 (小学館文庫) 室積光

著者は1955年生まれということで私とも近いだけに考え方も割りと似通っているかなと初めて読んでみます。この著者、元々は俳優としてご活躍で「3年B組金八先生シリーズ(1979~1998年)」や「マー姉ちゃん(1979年)」など多くのドラマや映画に出演されています。知らなかった、、、。

作家としてのデビューは2001年の小説「都立水商」で、その作品はその後にコミック化、ドラマ化されています。

本作品は2010年単行本、2013年に文庫化された小説です。続編の「史上最強の大臣」も2013年に発刊されています。

ストーリーは、日本の経済封鎖措置などにより、北朝鮮が核ミサイルを日本に向けて発射しそうな事態に陥りますが、日本の内閣総理大臣はこの非常時においてリリーフ登板してもらう「最強内閣」を京都から呼び寄せることを決意するところから始まります。

そんな無茶な~と思いますが、多くの日本人が心の中で思っている現在の政治や政治家への不信感、中国、韓国などの対日感情問題、北朝鮮との不平等な関係など、この最強内閣が本音のところをズバズバと突いていき、未来を切り開いていくところが痛快と言うしかありません。

ディズニーランド好きな北の将軍様の長男を日本で捕まえ、その後は自由に国内で遊ばせておき、奪還するために送り込まれた工作員を懐柔し肉体派アイドルとして芸能界デビューさせるとか、はちゃめちゃぶりが際だっていますが、北のあの調子に乗っかってまともに相手をすることのバカらしさがよく伝わってきます。

結果的に怒った北朝鮮は核ミサイルを日本に向けてぶっ放すわけですが、、、その後の処理はどうぞお読みになってください。

★★☆


【関連リンク】
 7月後半の読書 サクリファイス、ティファニーで朝食を、残念な人のお金の習慣、ロスト・ケア
 7月前半の読書 ビッグデータがビジネスを変える、鍵のかかった部屋、二十五の瞳 、クジラの彼
 6月後半の読書 天の方舟(上)(下)、無痛、下山の思想、沈黙のひと
 6月前半の読書 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活、深泥丘奇談、他人を攻撃せずにはいられない人、日の名残り
 5月後半の読書 楽園の蝶、英雄の書(上)(下)、男性漂流、ザ・ロード
 5月前半の読書 オリーヴ・キタリッジの生活、年金の教室―負担を分配する時代へ、0.5ミリ、恋文の技術
 4月後半の読書 放浪記、しない生活 煩悩を静める108のお稽古、名もなき毒、青春の彷徨
 4月前半の読書 三十光年の星たち(上・下)、だから日本はズレている、珈琲屋の人々、新・日本の七不思議
 3月後半の読書 快挙、晴天の迷いクジラ、悪の教典、なぜ人を殺してはいけないのか―新しい倫理学のために
 3月前半の読書 存在の耐えられない軽さ、風のささやき 介護する人への13の話、定年病!、K・Nの悲劇
 2月後半の読書 退職金貧乏 定年後の「お金」の話、埋み火、残虐記、違法弁護
 2月前半の読書 人類資金 1・2・3・4・5・6巻、下流老人 一億総老後崩壊の衝撃
 1月後半の読書 海賊と呼ばれた男、ツナグ、逃げろ光彦―内田康夫と5人の女たち、日本名城伝
 1月前半の読書 月と蟹、不実な美女か貞淑な醜女か、左京区恋月橋渡ル、交換殺人には向かない夜
 リス天管理人が選ぶ2015年に読んだベスト書籍




リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)





1045
サクリファイス (新潮文庫) 近藤 史恵

2007年に単行本、2010年に文庫版が発刊された長編小説で、その後シリーズ化され「エデン」(2010年)、「サヴァイヴ」(2011)、「キアズマ 」(2013年)の続編が出ています。

このタイトルは犠牲とか生け贄という意味で、自転車のロードレースの世界とミステリーをうまくマッチさせたいい作品となっています。

日本ではあまり馴染みのない自転車ロードレースですが、欧州ではプロゴルフ並みに人気のあるスポーツで、トップ選手はそれこそ日本のトッププロゴルファー石川遼や松山英樹じゃないけどそれぐらいの知名度もあり、稼ぐ賞金も年間1億円を超える人も少なくありません。

ロードレースはマラソンなど個人競技とは異なりチームとしてその中のエースを勝たせるために様々な作戦を立てておこなわれるチームスポーツです。

詳しくは本作品の中でもわかりやすく書かれているので、まったくの素人でも問題なくこのスポーツを理解することができます。

書き出しのプロローグと、エンディングで、謎と興味をひかせ続編を期待させる内容になっています。機会があれば読みたいですが、こういうような謎を残して「次に続く」的な終わり方はあまり感心できません。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ティファニーで朝食を (新潮文庫) トルーマン カポーティ

1958年に発刊された中編の作品ですが、日本では1961年に映画化され大ヒットしたオードリー・ヘプバーンが主演した同名の映画のイメージが強いでしょう。

原作の小説と映画のストーリーは同一ではないそうですが、小説では語り部の主人公で売れない作家志望の男性が、同じアパートに住む自由奔放で美しい女優というか実質的には高級娼婦になるのでしょうか、その女優が日々浮き名を流す様々な恋の遍歴を描いています。

このタイトルに出てくるティファニーとはニューヨークにある高級宝石店(レストランはなし)で、そうした「宝石店で朝食を食べるような上流階級身分になりたい」という意味がこめられています。

小説を読んでいると、登場する女性(ホリデー・ゴライトリー)は知的で清楚なイメージがあるヘプバーンよりも、当初映画で主演を望まれていた派手で肉感的なマリリン・モンロー的な要素が強く感じられます。

この文庫は1968年に一度翻訳版が出ていますが、2008年に村上春樹が翻訳した新しいバージョンです。そのふたつの違いはわかりませんが、40年を隔て、アメリカも日本の社会も言葉も大きく変わっていますので、そのあたりをうまく調整しているのでしょう。

また以前著者のノンフィクション作品で、一家惨殺事件を書いた作品「冷血」を読みましたが、これも大変素晴らしいものでした。

2014年1月前半の読書と感想、書評(冷血)

著者の代表作としてはこの2つの作品が次世代にも長く残されるものと思われます。

この文庫には、表題作の他、「花盛りの家」「ダイアモンドのギター」「クリスマスの思い出」の短編も収録されています。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

残念な人のお金の習慣 (青春新書プレイブックス) 山崎将志

このタイトル名を打つと、賢いATOKが「修飾語の連続」と警告を出してきます。最近は編集さんや校正さんも、そうした細かなことを気にするより、よりインパクトのあるタイトルをつけたがるのでしょうね。

著者自身のお金の失敗、特に投資信託や株、FXなど様々な投資をやってみて、そのメリットデメリットを知り、かなり痛い目に遭った話しは、一部自分の失敗ともダブるところがあり、たいへん参考になります。

本来ならまもなく年金生活に入ろうかという私より、これから社会にでて、人生におけるお金の重要性が増してくるであろう20歳過ぎから、そろそろ結婚してマイホームでもと思っているぐらい(30歳前後?)までの人が読むのがふさわしいかも知れません。

お金は稼ぐことと、使うことが表裏一体となりますが、稼ぐのは巧くても使うのが下手という人、逆に稼げないけど、使い方が絶妙という人など、私も多くのケースを見てきましたが、確かに指摘されるとイタタ・・って感じること多数です。

自分で使うお金を投資と消費と浪費に分けてみるという発想もなかなかユニークで、しかもそれを経済ジャーナリストやライフプランナーがしたり顔でよく言う「バランスよく」なんてことはなく、投資を100%にするという考え方も目から鱗。

おそらくは20代にそうしたことを知っても「なに言ってんだか」で終わってしまいそうですが、50代60代になると、うんうんと頷かざるを得ない状態になっています。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ロスト・ケア (光文社文庫) 葉真中顕

2013年に単行本、2015年に文庫化された著者のデビュー2作目の長編社会派ミステリー小説です。

社会派と書いたのは、最近現実の社会においても時々発生する介護現場での虐待や安楽死、そして介護殺人がテーマになっているからです。

この7月にNHKスペシャルで放送された「“介護殺人”当事者たちの告白」はまさにこうした今の介護現場を取材したものですが、その殺人は介護に疲れた家族だけでなく、その周囲にいる人が気の毒に感じておこなう可能性をこの小説は指摘しています。

NHKスペシャル「“介護殺人”当事者たちの告白」

ストーリーは、勝ち組の高齢者の裕福な有料老人ホーム生活と、一方在宅介護で汲々している家庭の対比があり、その在宅介護で家族が苦しんでいるのを見て、その寝たきりや認知症を発症して家族に迷惑をかけ続ける高齢者を狙って殺人が密かにおこなわれていくというものです。

きれい事を言えばまた社会倫理からすれば殺人を正当化することはできないものの、認知症高齢者を在宅で介護することで、介護する家族が疲弊していくことを社会は見捨てていることを明らかにしていきます。

そして「自分が望んでいたことを人にしてあげる」という論理で、長くつらい介護生活を自然を装って終わらせるという現代の必殺仕事人のような犯人に共感する人もでてきそうです。

★★★


【関連リンク】
 7月前半の読書 ビッグデータがビジネスを変える、鍵のかかった部屋、二十五の瞳 、クジラの彼
 6月後半の読書 天の方舟(上)(下)、無痛、下山の思想、沈黙のひと
 6月前半の読書 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活、深泥丘奇談、他人を攻撃せずにはいられない人、日の名残り
 5月後半の読書 楽園の蝶、英雄の書(上)(下)、男性漂流、ザ・ロード
 5月前半の読書 オリーヴ・キタリッジの生活、年金の教室―負担を分配する時代へ、0.5ミリ、恋文の技術
 4月後半の読書 放浪記、しない生活 煩悩を静める108のお稽古、名もなき毒、青春の彷徨
 4月前半の読書 三十光年の星たち(上・下)、だから日本はズレている、珈琲屋の人々、新・日本の七不思議
 3月後半の読書 快挙、晴天の迷いクジラ、悪の教典、なぜ人を殺してはいけないのか―新しい倫理学のために
 3月前半の読書 存在の耐えられない軽さ、風のささやき 介護する人への13の話、定年病!、K・Nの悲劇
 2月後半の読書 退職金貧乏 定年後の「お金」の話、埋み火、残虐記、違法弁護
 2月前半の読書 人類資金 1・2・3・4・5・6巻、下流老人 一億総老後崩壊の衝撃
 1月後半の読書 海賊と呼ばれた男、ツナグ、逃げろ光彦―内田康夫と5人の女たち、日本名城伝
 1月前半の読書 月と蟹、不実な美女か貞淑な醜女か、左京区恋月橋渡ル、交換殺人には向かない夜
 リス天管理人が選ぶ2015年に読んだベスト書籍




リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)




1042
時々録り溜めしておいた映画を一気に見たくなります。映画1本を見るには最低2時間はそれに集中できる時間が必要で、この情報過多でスピード時代に、それはたいへん贅沢な時間の使い方と言えます。

録画しておく映画は特にジャンルや制作国にこだわりはなく、片っ端からという感じです。感想の★の数は読書と同じで3つ(お勧め)、2つ(暇なら)、1つ(いまいち)です。

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

男と女の不都合な真実(原題::The Ugly Truth) 2009年 米
監督:ロバート・ルケティック 出演者:キャサリン・ハイグル、ジェラルド・バトラー

いかにもアメリカのコミカルな恋愛映画で、先が読めてしまい、しかもそれが裏切られることなく淡々と進んでいきますので、こんなものかなと。
こうした脳天気な恋愛映画はあまり積極的に見ないのだけど、内容をまったく知らず、ドキュメンタリー映画「不都合な真実」のような知的好奇心を満たしてくれる映画かなと勝手に見誤って鑑賞しました。原題を直訳すれば「醜い真実」ということで邦題にわりと近いかも知れません。
内容はテレビでは放送禁止用語となるような卑猥なわいせつ用語の連発(映画はテレビよりも基準が甘い)で、そうした映画館でしか見られない下ネタ満載バラエティ的な作品が好きな人には面白いのかも。
日本でも結婚しない(できない)若者が増えているということですが、彼の国でもそれは同様らしく、婚活や出会い系サイトも活発で、紆余曲折ドタバタしながらもいい男といい女が結びついちゃうという、なんちゃって恋愛ドラマです。

★☆☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

スリーデイズ(原題:The Next Three Days) 2008年 米
監督:ポール・ハギス 出演者:ラッセル・クロウ、エリザベス・バンクス

幸せを絵に描いたような家族が、ある日妻に殺人容疑がかけられて逮捕されてしまいます。しかも状況証拠は揃っていて、殺された女性と口論をした直後に殺されてと不利な状況です。
裁判でも殺人罪で有罪が決まり、収監されますが、夫である主人公は妻の無実を信じます。
これ以上無実を訴えても無理だと判断した主人公は、大胆な脱獄計画を作り始めます。ところが現在収監されている刑務所から3日後には別の刑務所へ移送されることがわかり、急遽前倒しで実行に移すことになります。
脱獄映画では「ショーシャンクの空に」が秀逸ですが、なにもかもがうまく想定通りに運び、無事脱出に成功というストーリーはアメリカではいまや鉄板ですね。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ダークナイト ライジング(原題:The Dark Knight Rises) 2012年 米
監督:クリストファー・ノーラン 出演者:クリスチャン・ベール、アン・ハサウェイ、モーガン・フリーマン

映画バットマンシリーズは全部は見ていませんが、割りと好きなほうです。シリーズものですが、内容的に別に順番通りにみないと意味不明ってことではないので安心です。
バットマンシリーズではヒーローよりも圧倒的に存在感が高い悪役ヒーローがいつも話題にあがります。
本作品の悪役も桁外れの才能と力をもち、バットマンを追い詰めていきますが、そこに意外な落とし穴があります。いや驚きました。ミステリーの基本は一番怪しくないのが犯人だ!というのをすっかり忘れさせてしまうほど、メインの悪役の存在感が際だっていました。キャットウーマンも華を添えています。
様々なハイテク兵器も登場しますが、基本は腕っ節で殴り合いをするっていうシーンが一般的なアメリカ人好みらしく、そうしたシーンが多いのも特徴です。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

 1959年 大映
監督:市川崑 原作:谷崎潤一郎 出演者:京マチ子、仲代達矢、中村鴈治郎、叶順子

上映当時は成人映画指定となっていましたが、現代の感覚からすればそのセクシー度は全然たいしたことない感じです(テレビ用に修正がされてはいるのでしょうけど)。1960年のカンヌ国際映画祭のコンペティションに出品され、審査員賞を受賞したという作品でもあります。
原作は言わずと知れた谷崎潤一郎の小説ですが、映画版はその内容とは多少違っています。それにしても、当時の人気女優京マチ子が色っぽい人妻役で当時35歳の円熟した際どいシーンが散りばめられ、なかなかのものです。
しかし、夫公認?で古風な人妻の浮気、しかも自分の娘の彼氏との不倫というストーリーは、この時代には十分に衝撃的だったでしょう。どういう人が映画館へ駆けつけたのでしょうか。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

北の零年 2004年 東映
監督:行定勲 出演者:吉永小百合、渡辺謙、豊川悦司、柳葉敏郎

明治初期の近代日本が幕開けした激動と混乱の時代に実際に起きた「庚午事変」により、徳島藩淡路島(当時淡路島は徳島の範囲だったのですね)から未開地の北海道へ移住を命じられた稲田家の人々をモデルとした映画です。
主演の吉永小百合と渡辺謙が夫婦役で、先に乗り込んでいた夫(渡辺謙)の元へ、子供を連れた妻(吉永小百合)を含む第2陣の移住隊が四国から北海道は静内へやってきます。
しかしその後すぐに明治政府から廃藩置県が発令され、先行して北海道に入っていた徳島藩の開拓民達の居場所がなくなり、帰るにも帰れず、事実上、藩からは見捨てられてしまうという理不尽な扱いを受けます。
そこで美しい妻と賢い夫の夫婦愛情物語かと思いきや、まったくそうではなく、夫は寒冷地でも耐えられる農作物の指導を仰ぐために札幌へ向かいますが、そのまま行方不明となり、妻をはじめ、開拓地に残された人達は厳しい冬の北海道で食うに食えない過酷な状況に追い詰められていきます。
以前読んだ吉村昭著のノンフィクション小説「羆嵐 」はやはり北海道へ移住してきた開拓民と巨大な羆との闘いで先住のアイヌ民に救われるという内容でしたが、この作品でもアイヌ民が大きな役割を担います。トヨエツは侍の恰好よりもアイヌ民族衣装を着ている方がずっと似合っていると思ったのは私だけではないでしょう。
それにしても撮影当時60歳の吉永小百合は役柄でも見た目でも30代にしか見えないという映画のマジックには驚かされます。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

海街diary 2015年 「海街diary」製作委員会
監督: 是枝裕和 原作者: 吉田秋生 出演者:綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず

昨年(2015年)カンヌ国際映画祭に鳴り物入りで出品され、主演者総出で色気と笑顔を振りまいてきましたが、肝心の映画の評価はイマイチだったようです。
しかし映画のストーリー自体は決して悪いものではなく、ちょっと出演者が妙に張り切り過ぎていて、その演技が空回りしている面がありますが、風光明媚な自然や、家族の絆、姉妹愛など、日本人の感性からすればなかなか心に染みるいいものです。
それに脇役として樹木希林、大竹しのぶ、五十嵐淳子の名優陣が、演技の下手な主演の4姉妹を救ってくれています。
ストーリーは、次々と結婚離婚を繰り返してきた父親の葬式に出た最初の妻の子である3姉妹が、すでに亡くなっている二番目の妻との間にできた義理の妹と出会い、3姉妹が住む鎌倉の家にやってきます。
ま、家族とはなにか、娘それぞれの気持ちと感情がほとばしるってのが狙いだったのでしょうけど、ちょっと学芸会的ノリでその点は残念だったかも。カンヌのプロの審査員もこれではちょっと賞は出せないでしょうね。

★★☆


【関連リンク】
990 お正月休みにみた映画
983 我が青春のヒーロー、スティーブ・マックイーン
966 映画 無法松の一生
915 「風と共に去りぬ」を観てわかるアメリカ史
885 年末年始にみた映画(DVD)
880 高倉健さんを偲び映画の思い出など
877 映画「浮草」(1959年)
811 ゴールデンウィークにお勧めの古い映画10本




リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)




1041
ビッグデータがビジネスを変える (アスキー新書) 稲田修一

2012年と少し前の新書です。著者は現在東京大学森川研究室の中で、東京大学先端科学技術研究センター特任教授として「ICT実証フィールドコンソーシアム」を運営されています。

今更ながらという思いもありつつ、ビッグデータについてあらためて理解を深めておこうという目的と、ある日突然出てきたキーワードゆえに、人によってビッグデータの解釈が違っているのではないかなとちょっと気になって、専門家の本を読むことにしました。

一般的によく知られているビッグデータと言えば、コンビニのPOSシステムに溜められた消費者購買動向や、GPSカーナビで集められたクルマの渋滞情報、ネット通販で「この製品を検討している人はこの製品にも興味があります」と余計なお世話とも言えるレコメンテーションなどが思い浮かびます。

また大きなイベントや、大震災の時に、人やクルマがどう動いたかなど、ビジネスだけではなく公共社会にも活用することが増えてきています。

ただこのデータ利用、ビッグデータの活用が日本は世界の先進国やアジアの新興国と比べてえらく後れているそうで、様々な法的な規制などもあるのでしょうけど、このままではビジネス分野で負けてしまうことを憂いています。

本書が書かれた時期(2012年)では将棋がコンピュータに負けたことが書かれていますが、囲碁に関しては広い視野で独特の感性が必要なのでコンピュータはまだまだ人間には遠く及ばない的なことが書かれています。

しかし現実はというと、今年(2016年)すでに囲碁の世界チャンピオンをGoogleが開発した囲碁のAIソフト「AlphaGo」が破っています。この辺りの最先端技術の進歩の速度は加速度的というか脅威にさえ感じます。

いずれにしても、ビッグデータと言うと、Google、Apple、Amazon、Facebookの4強ばかりが注目されていて、なかなか日本のIT企業や、ベンチャーでは歯が立たない感じです。


★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

鍵のかかった部屋 (角川文庫) 貴志祐介

2011年に単行本、2012年に文庫版が発刊された『防犯探偵・榎本シリーズ』の第3作で、「佇む男」、「鍵のかかった部屋」、「歪んだ箱」、「密室劇場」の4編が収録されています。

またこのシリーズ作品は2012年に大野智主演でテレビドラマ化 もされていて、いわゆるエンタテインメント的な犯罪ミステリー小説というジャンルになるでしょうか。

密室殺人の謎を解く主人公は防犯コンサルタントが本業で、弁護士から相談されたり、警察から依頼を受けたりして、それぞれの謎解きをおこないます。

「佇む男」は1代で築き上げた葬祭会社の社長が、遺言を残し密室で自殺した事件、「鍵のかかった部屋」も引きこもりがちな連れ子の息子が密室にした自分の部屋で練炭自殺をした事件、「歪んだ箱」は手抜き工事で大きく傾いてしまった新居の中で事故死した建築会社社長の事件、、「密室劇場」は芝居本番中の楽屋で何者かに役者が殺されていた事件と、それぞれに密室状態の謎解きがテーマとなっています。

それぞれに特殊な才能、つまり葬祭で遺体の防腐処理をおこなう技術、学校の理科の教員で科学や化学に詳しかったり、また野球部の監督でピッチングマシンを自由に扱えたりと、なかなか手の込んだ密室完全犯罪?が披露されていきます。

短編が中心なのでちょっと物足りない感じがするのと、現実には?ってところもありますが、そこは小説ですから、気にしないってことで。

★☆☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

二十五の瞳 (文春文庫) 樋口毅宏

2012年に単行本、2014年に文庫版が発刊されています。Amazonのカスタマーレビューでは「絶版にして欲しい」など、なかなか手厳しい意見も見られますが、この賛否両極端な感想が出てくるのもこの著者ならではでしょう。

タイトルからわかるように、壺井栄が戦後まもなく発表した名作「二十四の瞳 」をパロっている連作短編集です。

大きく4つの物語からなり、それぞれ、平成、昭和、大正、明治へと時代がさかのぼっていきます。

物語の舞台は小豆島ですが、二十四の瞳に感化された真面目な純文学派が間違ってこの本を読むと、ひどい目に遭いますのでご注意ください。

私自身まだ小豆島へは行ったことがありませんが、風光明媚で都会の猥雑さとはほど遠く、海と山の自然は素晴らしいけれど退屈さをたっぷりと味わえそうなところなのでしょう。物語を読んでいると、数々のロマンや伝説に満ちたこの島には一度は行ってみたくなります。

民宿雪国 」でもそうでしたが、著者の小説にはたくさんの「有名人」が登場してきます。この小説にも小豆島に流れ着き、荒れ寺に住まう俳人尾崎放哉や、天皇と呼ばれた若き天才映画監督と、人気絶頂の映画女優との秘めた恋の話しなど、あれこれ無謀な想像をたくましくしながら読むのは、なかなか破天荒な小説としての趣があって私は嫌いじゃありません。

天皇と呼ばれる監督が「七人の侍 」の最後の名言「今度もまた負け戦だったな 。勝ったのはわし達ではない、あの百姓達だ」を思いつくきっかけとして「買ったのは秘薬草だ」のようなダジャレには苦笑するしかありません。

★★☆


  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

クジラの彼 (角川文庫) 有川浩

自衛隊三部作「塩の街」(2004年)、「空の中」(2004年)、「海の底」(2005年)を書いてきた著者の、2007年発刊の制服ラブコメ短編集ということで、本書には「クジラの彼」「ロールアウト」「国防レンアイ」「有能な彼女」「脱柵エレジー」「ファイターパイロットの君」6編が収録されています。制服というのはもちろん自衛隊の制服のことです。

私は三部作の中では、「海の底」しか読んでいませんが、ま、それでも特に問題はありません。

「クジラの彼」と」「有能な彼女」は、潜水艦乗りを描いた「海の底」の番外編、続編って感じです。「潜水艦ってクジラのよう」と言ってみたり、潜水艦は「沈むではなく潜る」という表現などその業界用語に詳しくなれます。

「ファイターパイロットの君」は私も読んだ長編小説「空の中」の後日談的な番外編で、「空の中」で親しくなった女性の戦闘機パイロットと航空機製造メーカー男子が結婚して娘ができて、その幼い娘が育児に励むパパに最初のキスはいつ?って聞かれることで、結婚に至る経緯が明らかになっていく話しでほのぼの系が好きな人には両方お勧めです。

「ロールアウト」「国防レンアイ「脱柵エレジー」もいずれも自衛隊員の恋愛事情や基地内の自衛隊の常識は世間の非常識的な裏事情などが面白おかしく書かれています。

共通するのは、ほのぼのとした甘ったるい恋愛小説で、それが汗臭く規律が最重要な自衛隊の生活とはミスマッチなのですが、そうした中でこそ得られる愛情や恋愛をうまく組み合わせていきます。そしてそれは著者がもっとも得意とするお仕事小説と言えるかも知れません。

★☆☆


【関連リンク】
 6月後半の読書 天の方舟(上)(下)、無痛、下山の思想、沈黙のひと
 6月前半の読書 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活、深泥丘奇談、他人を攻撃せずにはいられない人、日の名残り
 5月後半の読書 楽園の蝶、英雄の書(上)(下)、男性漂流、ザ・ロード
 5月前半の読書 オリーヴ・キタリッジの生活、年金の教室―負担を分配する時代へ、0.5ミリ、恋文の技術
 4月後半の読書 放浪記、しない生活 煩悩を静める108のお稽古、名もなき毒、青春の彷徨
 4月前半の読書 三十光年の星たち(上・下)、だから日本はズレている、珈琲屋の人々、新・日本の七不思議
 3月後半の読書 快挙、晴天の迷いクジラ、悪の教典、なぜ人を殺してはいけないのか―新しい倫理学のために
 3月前半の読書 存在の耐えられない軽さ、風のささやき 介護する人への13の話、定年病!、K・Nの悲劇
 2月後半の読書 退職金貧乏 定年後の「お金」の話、埋み火、残虐記、違法弁護
 2月前半の読書 人類資金 1・2・3・4・5・6巻、下流老人 一億総老後崩壊の衝撃
 1月後半の読書 海賊と呼ばれた男、ツナグ、逃げろ光彦―内田康夫と5人の女たち、日本名城伝
 1月前半の読書 月と蟹、不実な美女か貞淑な醜女か、左京区恋月橋渡ル、交換殺人には向かない夜
 リス天管理人が選ぶ2015年に読んだベスト書籍




リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
カウンター
カレンダー
 
03  2017/04  05
S M T W T F S
2 3 4 6 7
9 10 11 13 14
16 17 18 20 21
23 24 25 27 28 29
30
最新コメント
[04/08 area@管理人]
[04/08 すいか男]
[11/22 Anonymous]
[11/03 restrer@管理人]
[11/03 すいか]
最新TB
ブログ内検索
プロフィール
HN:
area@リストラ天国
HP:
性別:
男性
職業:
今のところ会社員
趣味:
ドライブ・日帰り温泉
自己紹介:
過去に上場企業の役員とリストラ解雇で就職浪人の経験がある、紆余曲折の人生を歩む、しがないオヤヂです。
お勧めPR
Template & Icon by kura07 / Photo by Abundant Shine
Powered by [PR]
/ 忍者ブログ