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紀ノ川 (新潮文庫) 有吉佐和子

1959年刊ですのでおよそ60年前に書かれた作品です。和歌山出身の著者がその故郷を舞台にして、激動の明治、大正、昭和とつながっていく、およそ60年にわたる「花」「文緒」「華子」3代の女系女子を主人公にした小説です。

1964年にNHKでテレビドラマ化され、1966年には中村登監督、司葉子、岩下志麻などの出演で映画も製作されました。いずれも見ていませんが、映画は機会があればそのうち見たいなと思っています。

第1部はまず明治時代から始まり、和歌山の九度山村に住む素封家で大地主の娘が主人公で、祖母が決めた縁談に従い、紀ノ川下流の新興の家へ嫁いでいきます。

その主人公が、昭和の時代になって亡くなるまでがこの小説ですので、女3代と書きましたが、実質はこの第一部の明治生まれの女性「花」が最後まで通して主人公といっていいでしょう。

第2部は、元号が大正に変わってから生まれた主人公の長女「文緒」の話しが多く、伝統や家制度などに反発し、昔ながらの女性らしさを求める母親には反抗的で、大学へはその母親から離れたい一心で東京へ出て行き、そのまま東京で恋愛結婚をします。

第3部は、その長女の長女(主人公からは孫)が昭和になってから生まれ、早産のため病弱ながらも、母親と違って、古き伝統などを大切にする考え方が主人公(祖母「花」)と似ている女性です。

文庫の解説にも書かれていましたが、この小説に登場してくる男性が、どいつもこいつも軟弱だったり呆け者だったりして、以前読んだ「女系家族」(山崎豊子著1963年刊)を思い出しました。

2015年9月後半の読書と感想、書評(女系家族)

物語の都度都度に、紀ノ川や和歌山城の美しい風景、方言、地元に様々な言い伝えなどが出てきて、著者の地元愛がよく伝わってきます。

★★★


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はじめまして京都 トノイケミキ・宮下亜紀

書籍というか史跡やお店紹介のガイドブックに近いもので、2010年に発刊されています。

著者の二人の女性は京都生まれ、京都育ちとのことで、お寺や神社、カフェに雑貨、京都土産に和菓子やスイーツなど、ちょっとレアなところが紹介されています。いかにも女性向きの趣味かも知れません。

なにかの特集でこの本が紹介されていたので、内容は知らないまま購入しましたが、もう少しうんちくや解説が多い本かと思っていました。写真が中心で読書と言うにはおこがましい部類です。

別に京都だけではないでしょうけど、それぞれの土地を深掘りしていけば、様々な発見があり、美味しいものにも出会えます。

テレビで安上がりな街歩き番組が隆盛を極めるのも、そうした新鮮な発見や出演者との出会いがほのぼのとして視聴者に喜ばれるからでしょう。

以前は、そうした街歩きとは言え、すべて事前に仕込みがされていて、中には番組スポンサーを忖度したお店や内容が含められていたりして、裏側が知れると興ざめもしましたが、最近の街歩きは、そうした反省からか割とぶっつけ本番になってきています。

でもその場合でも、生放送というケースはないので、後の編集作業でいくらでもうまく印象を変えてしまえます。都合が悪い部分、本音がポロッと出た部分はもちろん放映しませんし。

こうしたガイドブックも、以前は取材する店(大きく取り上げる店)から広告宣伝費をとって掲載するというバーター的なものがほとんどでしたが、ネット社会になってからそうしたあからさまな紹介本はすぐにバレてしまうので、この本のように広告などとは関係なしに、著者の感性だけで気に入った名所やお店、人物を紹介しているという体が増えてきています。

★☆☆


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訣別の海 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ) ロバート・B・パーカー

ジェッシイ・ストーンシリーズ第5作目の作品で、2006年に米国で発刊、日本語翻訳版は2007年に出版されています。原題は「Sea Change」、直訳すれば「海の変化」です。

ジェッシイ・ストーンシリーズは「暗夜を渉る」「忍び寄る牙※」「湖水に消える※」「影に潜む※」「訣別の海※」「秘められた貌※」「容赦なき牙」「夜も昼も」「暁に立つ」と全部で9作品があり、そのうち※マークの5作品を読んだことになります。

またこの小説を原作としたアメリカの映画「警察署長ジェッシイ・ストーン 訣別の海」が、2007年にトム・セレック主演で製作されています。

舞台はボストンの近くにある架空の地方都市パラダイスで、その関係もありボストンが舞台のスペンサーシリーズでお馴染みの登場人物達が時々出てきたりします。

この小説でも、ヒーリー警部、リタ・フィオーレ(弁護士)が登場し、名前こそでてきませんが、スペンサーと思われるボストンの私立探偵から聞いたという話しも出てきて思わずニヤリとします。

逆にスペンサーシリーズの中で、ジェッシイ・ストーンが登場するのは、シリーズ30作目の「真相」(2003年)です。

内容は、海で溺死したと思われる女性に、なにが起きたのかを問い詰めていくという、いつものパターンですが、当初から疑わしいと思われた二人の金持ちで遊び人のヨット乗りから、突然、方向転換する終盤に緊迫感があってなかなかよろしい。

ただいつものことながら、主人公の警察署長は、浮気して離婚した元妻とまた暮らし始めていて、その点でグズグズと思い悩み、精神科医にもかかっている姿はどうにも釈然としないです。

アル中だった過去と決別したのはローレンス・ブロックの「マット・スカダー」と似てはいますが、マットはここまで女性に対し、意志薄弱、軟弱ではないですね。

いわゆるスペンサーシリーズのようにハード・ボイルド一辺倒ではない主人公を描きたいのだと思いますが、犯人を追い詰める姿と、元妻とデートするシーンとであまりの落差に読者は戸惑ってしまいます。

★★☆


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ファミレス (角川文庫)(上)(下) 重松清

2013年刊、2016年に文庫版が発刊された長編小説で、元は2012年から日経新聞夕刊に連載されていた作品です。2017年には遊川和彦監督、阿部寛、天海祐希主演で映画「恋妻家宮本」というタイトルで公開されていました。

映画も見てないし、日経夕刊も読んでいないので、どういう内容かはまったく知らずに読み始めました。

主人公は40代後半の中学校の国語教師で、子供達が就職や進学で家から出て行き、突然夫婦二人だけの生活になり、長く連れ添った夫婦関係がギグシャクしてくる頃です。

二人目は、その主人公の同世代の友人で、大手出版社で雑誌の編集長をやっている男性の妻は介護を理由にして京都の実家へ帰ってしまって別居状態。

三人目のもう一人は、嫁と姑の関係がこじれて離婚し×1となった男性で、再婚するにあたり、実家のお弁当屋をそのまま継ぐと、再び妻に嫁姑の関係で気苦労をかけると判断し、キッチンカーを購入し、お弁当やおかずの移動販売を手掛けている男性が話しの中心となります。

そこへ主人公と編集長が趣味で通っている「男の料理スクール」の講師で×2の女性が関わってくることになります。

その講師には妊娠している娘がいて、相手は元・売れないロックバンドメンバーで、妊娠を知ってバンドを辞めたものの、講師親子からは絶縁されています。

その他、主人公が勤める中学校の生徒で母親が不倫していたときに事故に遭い入院してしまったり、主人公の妻が書いた離婚届が本の間からみつかったりと、とにかく夫婦の関係がこれでもかというぐらいに揺さぶられていきます。

こういう小説を読むと、「結婚ってなんなの?」とか「夫婦ってなに?」って考えさせられます。

タイトルの「ファミレス」も、「ファミリーレストラン」の略ではなく、家族ではなく、独身者が多く集まる「ファミリーレス」の縮小型ではないのか?と、父親は海外へ単身赴任し、母親は不倫という夫婦の子供に言わせています。

でも現実に、専業主婦がメインだった時代を過ごしてきた妻が、夫が定年を迎えた機会に「熟年離婚」を言い出して騒がれた時代から、今では子育てを卒業して「卒婚」と称し、共働き夫婦で、まだお互いが元気なうちに新しい生活を手に入れようと別れる時代へと変わってきているのかも知れません。

私は別に結婚にこだわる古い考え方でもなく、また大きなお世話ですが、そうした流行で今後ますます結婚したいと思う若い人が減っていくことがないように願うばかりです。

★☆☆


【関連リンク】
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ローレンス・ブロック傑作集〈3〉夜明けの光の中に (ハヤカワ・ミステリ文庫) ローレンス・ブロック

1993年に発刊された3作目となる短編小説集で、著者が創り出したキャラクターの探偵マット・スカダーや泥棒バーニイ、殺し屋ケラーなど20編が収録されています。

前の短編集2作品も同様ですが、出来の良い作品とそうでない作品の差が大きくて、ワクワクする短編もあれば、あくびが止まらない駄作も混じり、無理して20作も入れなくてもよかったのでは?と思ってしまいます。

しかし私はその良作のひとつ、1993年に読んだ「おかしなことを聞くね ローレンス・ブロック傑作集1 (ハヤカワ・ミステリ文庫)」(1983年)を読んで、マット・スカダーのファンとなりました。

元アル中探偵マット・スカダーに惚れる 2017/5/20(土)

短編それぞれのタイトルを書いておくと、

(1)夜明けの光の中に(2)夢のクリーヴランド(3)男がなさねばならぬこと(4)名前はソルジャー(5)魂の治療法(6)エイレングラフの選択(7)胡桃の木(8)泥棒はプレスリーを訪問する(9)交歓の報酬(10)死にたがった男(11)慈悲深い死の天使(12)タルサ体験(13)いつかテディ・ベアを(14)思い出のかけら(15)ヒリアードの儀式(16)エイレングラフの秘薬(17)フロント・ガラスの虫のように(18)自由への一撃(19)どんな気分?(20)バットマンを救え

(1)と(11)と(20)がスカダー、(8)がバーニー、(4)がケリーの短編作品です。

また、前の短編集(傑作集)でお馴染みとなった、手段を選ばず必ず無罪を勝ち取る弁護士エイレングラフはこの短編集でも(6)と(16)に登場します。(6)では、女中が見ている前で、資産持ちの夫を自分の拳銃で撃ち殺した妻を無罪にしてしまう敏腕ぶりには大笑いできます。

(11)の「慈悲深い死の天使」(The Merciful Angel of Death)は、著者の長編作品の中に「慈悲深い死」(Out on the Cutting Edge 1989年)というのがあって、それとの関連を想像していましたが、原題を見れば明らかで、まったく関係のない作品です。なぜ長編の「Out on the Cutting Edge」が「慈悲深い死」という超訳タイトルになったのかは不明です。

それぞれの短編小説を読んで思わずニタリとできるのは、やはりスカダーにしろ、バーニーにしろ、ケラーにしろ、エイレングラフにしろ、主人公の特徴をある程度知っておく必要があるでしょう。

お手軽な短編から入って、気に入った主人公の長編を買って読むというのもアリですが、マット・スカダーシリーズは、主人公にそれなりの歴史があるので、やはり初期の作品「八百万の死にざま」(1982年)あたりを先にたしなんでおいてから読むとグッと楽しさが増します。

★★☆


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山猫の夏 (講談社文庫)(上)(下) 船戸与一

 
著者は多くの小説を書き、2000年には「虹の谷の五月」(2000年刊)で、直木賞を受賞されていますが、惜しくも2015年に71歳で亡くなられた作家さんです。

調べてみるとまだご健在だった2005年に「金門島流離譚」(2004年刊、文庫は2007年刊)という小説を読んでいます。次は今さら感がありますが直木賞受賞作品を読んでみたいです。

この著書は、1984年に単行本、1987年に文庫化され、吉川英治文学新人賞などを受賞した著者の初期の作品で「虹の谷の五月」や「砂のクロニクル」とともに、著者の代表作と言われている作品です。

主人公は日本人ですが、舞台はブラジルです。叔父を頼ってブラジルへ渡った日本人が、亡くなった叔父の妻がやっているバーを手伝っているところに、山猫と名乗る日本人が現れます。

そこはブラジルでもサンパウロのような大都会ではなく、長くいがみ合う二つの名門家が対立している地方の小さな町で、両家をゆるがす大騒動が起きたために、ならず者の助っ人を呼び寄せ、戦闘態勢に入ろうとしています。

山猫はその二つの名門家同士で徹底的につぶし合わせ、さらに武器の横流しなどで儲けていた警察や軍部も関わらせて、漁夫の利を得ようとするわけですが、なにか黒澤明監督、三船敏郎主演の映画「用心棒」をちょっと彷彿させますね。

なぜその山猫という日本人がブラジルに移住したのかなど、日本とブラジルの関係、ブラジルに移住した日本人達の苦難の歴史などもわかる興味深い小説です。

★★☆


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人間の分際 (幻冬舎新書) 曾野綾子

2015年刊の新書で、過去に著者が書いてきた短文をカテゴリー別に寄せ集めしたようなものです。

通常「分際」の使い方としては「学生の分際で~」と言うように、あまり肯定的、良心的なことばではなく、否定的に使われることが多そうです。

言葉の意味は、 (1)身分の程。身の程。ぶん。 「子供の-で生意気なことを言う」(2)それぞれの人や物に応じた程度。また,物事の程度や状況。 (Weblio辞書)ということで、タイトルの「人間の分際」とは、「それぞれ人は自分の身の程を知るべし」と言ったところでしょうか。

自分の身の程以上に無理をして、背伸びをしてつまずいたり、病んでしまったり、家族や他人に迷惑をかけたりすることって割とありそうです。

さすがに亀の甲より年の功ということで、御年86歳ますます意気軒昂な著者の過去の発言の集大成とも言える、暴走しがちな若い人(著者からすれば60歳でも若い人になる)に対する戒め本ってところでしょうか。

★☆☆


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 1月後半の読書 ビター・ブラッド、ちょっと今から仕事やめてくる、リバース、23区格差
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ビター・ブラッド (幻冬舎文庫) 雫井脩介

映画にもなって大ヒットした「犯人に告ぐ」などの著者で、2007年単行本、2010年に文庫化された警察長編小説です。2014年には佐藤健の主演で「ビター・ブラッド 最悪で最強の、親子刑事(デカ)。」というタイトルでテレビドラマ化されています。

ま、よくある刑事ドラマものと言えばその通りで、設定は、子供時代に両親が離婚し、父親は出て行き、母親は失踪してしまい、父方の祖父母に育てられ、その後警視庁に入庁し刑事になった新人が主人公で、離婚して家を出ていった父親が同じ警視庁勤めというややこしい関係です。

そう言えば映画「犯人に告ぐ」も、豊川悦司扮する風変わりな刑事が主役のドラマでしたね。「犯人に告ぐ」は劇場型犯罪で、誘拐犯と刑事の息詰まるシリアスなドラマでしたが、こちらは刑事のあだ名が捜査一課長管理官には「タコ坊主」とか、吐く息が臭いので「スカンク」とか、コミカルな部分もあります。

タイトルは、主人公の祖夫、離婚して別居した父親と3世代続けて警官となった血筋と、その父親は子供だった時に子育てをせずに離婚して出て行ったことで、険悪なムードが漂っていることから、直訳すれば「苦い血筋」となったのでしょう。

ま、すぐにテレビドラマ化されるぐらいにエンタメ性を重視した作品で、ちょっと現実味が乏しく感じるのは仕方ありません。

離婚後に行方不明となったままの主人公の母親については結局未解決のままなので、またそのうち続編が書かれるのかもしれませんね。

犯人に告ぐ」(2004年)が11年ぶりに続編の「犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼」(2015年)が出ていますので、やはり11年ぶりの今年あたりに「ビター・ブラッド2」が出てきそうな予感がします。外れたらゴメン。

★★☆


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ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫) 北川恵海

メディアワークス社主催の第21回電撃小説大賞で「メディアワークス文庫賞」を受賞した作品で2015年に発刊されました。また2017年には成島出監督、福士蒼汰、工藤阿須加などの出演で映画も製作されています。

こうした出版社主催の懸賞金付き小説募集は、先般読んだ百田尚樹氏の「夢を売る男」のように、応募者に対してうまく言いくるめ、自主出版で稼ごうとするものか?ってうがった見方をしてしまいますが、そうでなくても、この作品は、万に一つの大当たり!っていうヒット作となって、出版社も半信半疑ってことではないでしょうか。しかし読んでみると確かによくできた作品だと思います。

ライトノベルで、普通の人なら2時間もあれば軽く読めてしまうでしょう。それぐらいが1回に集中できる時間なので、ちょっと気分転換に丁度いいって感じで、内容も合わせて若い人の心をつかんだのかも知れません。

ストーリーは、ブラック企業に勤める主人公が心身とも疲れ果て、駅のホームでフラフラと今にも線路に飛び込みそうだったところ、小学校の同級生だったという男性に腕をつかまれ、そのまま居酒屋へ連れて行かれて親友となっていきます。

その後、親友のアドバイスなどもあり、仕事が順調に進み始めたところ、大きな失敗をしてしまい、再び追い詰められて自殺を考えるようになっていきます。

と、同時に、その同級生だったという友人のことを調べると、3年前に自殺して亡くなっていることがわかり、いったい友人は誰なのか?なぜ自分の前に現れたのか調べ始めます。

決して幽霊とか異次元の話しとかではなく、読んでいると、よく気が付く人なら先にわかってきますが、最後のエンディングでは、ありきたりとは言え、グッとくる場面が残されていますので、お楽しみに。

★★☆


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リバース (講談社文庫) 湊かなえ

2015年に単行本、2017年に文庫本が出ています。「リバース」というタイトルの小説は意外と多く、五十嵐貴久氏相場英雄氏石田衣良氏(既読)北國浩二氏も出していてちょっと混乱します。

また似たタイトルでたいへん印象深かった「北村薫氏の「リセット」」を以前読んだことがあるので、シリーズ続編か?と最初タイトルを見たとき思いました。

なんと言っても映画にもなったあの「告白」の著者の作品だけに、このまま終わるわけはないなぁって思いつつ、終盤を迎え、あぁ、なるほどーと最後の最後で深い謎が解けてしまうという展開です。でも本当にそれが原因だっかどうかはわからず、ちょっと設定に無理があるような気も。

ストーリーは、コーヒーを豆から自分で煎れて飲むのが唯一の趣味という、地味な若い独身男性が主人公で、馴染みにしているコーヒー専門店で若い女性と知り合います。

付き合いだしてまもなく、女性の職場に「(主人公の男性は)殺人者だ」という手紙が届き、主人公にとっては唯一身に覚えがある、3年前に一緒に旅行中だった友人が、クルマの事故で亡くなった話しを女性にします。

同様にその時一緒に旅行へ行っていた大学の元ゼミ仲間のところへも、嫌がらせが入り、誰がそのようなことをしているのか、主人公の男性が調べていくという流れです。

死亡事故が起きたのは偶然か必然か、また原因を作ったのは誰かなど、3年前に起きた事故のあらましが徐々に明らかになってきますが、悪意のない行動や親切が裏目に出ることを上質なミステリーに仕上げています。

そうした交通事故が大きな謎になっていますが、私から言わせると、例え、他の誰かから求められたとしても、ハンドルを握って運転していた者が、自損事故を起こせば100%その運転手の責任、以上!で終わってしまいますが、それだけではミステリー小説にならないのでしょうね。

★★☆


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23区格差 (中公新書ラクレ 542) 池田利道

2015年に発刊された新書で、著者は一般社団法人東京23区研究所所長という肩書きの方です。この本を知ったのはいまは終了しましたがBSテレビ番組の「久米書店」に著者が出演されていて、その時の話しが妙に印象深かったことを覚えています。

さらにこの続編とも言える「23区大逆転」が2017年に発刊されていて、これだけで食っている?って訳ではないでしょうけど、東京23区の専門家であり、また地方再生コンサルなど人口減少社会においては貴重なお仕事なのかも知れません。

さて内容ですが、あまり知られていない23区の特徴や住人のことが書かれていて、私自身は23区内には住んでいませんが、なかなか興味深いです。

例えば、港区に住む人の所得は平均で904万円に対し、足立区に住む人の平均所得は323万円とおよそ3倍もの差があるとか、人口密度が一番高い豊島区(2010年)、中野区(1990年~2005年)は、ぶっちぎりで全国一人口密度が高い市区町村だとか。さらに豊島区は性差(男性/女性)が最も高く、男余りの区だとか。

大卒者の割合は千代田区が53.4%と最高で、足立区は19.9%と最低とか、交通事故発生密度が高いのは渋谷区で93.8件/km2、低いのは大田区の33.5件/km2、刑法犯発生密度で高いのはご想像通り新宿区の495.7件/km2、低いのは大田区の130.0件/km2。

大地震被害想定で建物の全壊率が最も高いのは荒川区の18.7%、低いのは練馬区の1.3%
、同死者発生密度の高いのは墨田区の48.4%、低いのは板橋区の2.5%。

2000~2010年で0歳から6歳までの幼児は全国平均で10.6%減っているが、東京23区では6.9%増加している。

ひとり暮らし世帯の比率が低いのは葛飾区で、高齢者のひとり暮らし比率が低いのは江戸川区、つまり下町のほうが家族で住んでいる割合が高い。もっとも他区には多くの大学があって、その学生がひとりで住んでいるという事情もある。

20年以上定住している人の割合が高いのは1位北区、2位台東区、3位葛飾区、低いのは中央区、港区、世田谷区となっています。これは一度住みつくと、気に入って永住しやすい環境にあると好意的にとらえるか、逆に住民の新陳代謝がなく、高齢化が進み、寂れてしまうと悲観的にとるか微妙なところ。

そういった様々な統計データを元に、日本の縮図が学べ、これから23区内に不動産を買おうと思っている人や、23区を走る沿線の状況が今後どのように変わっていくかなどを知ることができ、役に立ちます。


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楽園のカンヴァス (新潮文庫) 原田マハ

2012年に単行本、2014年に文庫化された長編ミステリー小説です。著者自身が美術品のキュレーターで、数多くの著書には美術品のネタやうんちくが散りばめられていますが、昨年読んだ「本日は、お日柄もよく」は、そうした美術品とは関係がなく、コミカルな内容で、スピーチライターというお仕事小説でした。

2017年6月前半の読書と感想、書評(本日は、お日柄もよく)

この作品は画家としては不遇な人生を歩んでいた老アンリ・ルソー(1844年~1910年)と、新進気鋭のパブロ・ピカソ(1881年~1973年)が、パリの街で偶然交錯し、お互いに影響し合ったとされる話しと、その後に遺された作品がモチーフとして使われています。

ストーリーは大原美術館で監視員として勤めている女性が主人公で、ある日、ニューヨーク近代博物館(MoMA)からルソーの代表的な作品「夢」を貸し出すのなら、その主人公の女性(フランスから帰国するまではルソーの研究者)を交渉の相手にして欲しいと要求が出されます。

そして話しは主人公がパリで美術作品の研究者として働いていた時代へ飛び、謎が多い著名な世界的コレクターから、手に入れたルソーの作品の真贋鑑定をして欲しいと頼まれ、MoMAのアシスタントキュレーターとともに、ルソーのことが書かれた古い日記を読み解きながら、鑑定を進めていくことになります。

その結果についてはここでは明かせませんが、日記に出てくる人物と、謎のコレクターの関係など、最後はあっと言わせる展開がお見事です。

倉敷にある大原美術館へは40年ほど前の学生時代に一度行きましたが、その時は有名なエル・グレコばかりに意識がいっていて、他の作品はチラ見ぐらいしかしてなく、この小説にも登場するアンリ・ルソーの作品や、モネ、ゴーギャンと言った世界的に貴重な名画を、今度ゆっくりと鑑賞するために行きたくなりました。

★★★


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星宿海への道 (幻冬舎文庫) 宮本輝

2003年に単行本、2005年に文庫化された長編小説です。

自分自身の生い立ちや経験をモチーフにしたデビュー作「泥の河」や、父親をモデルにした長編小説「流転の海」シリーズなどとも共通した家族構成や周囲の人達、そして昭和30年代の大阪下町の風景があちこちに出てきます。

文庫解説に「著者の小説は叙情的」ということが書かれていましたが、まさにその通り、同世代を生きてきた人達にとっては、切なさを超えた深い感動を与えるものが少なくありません。

この小説では、新疆ウイグル自治区にある広大な砂漠で自ら失踪し、行方不明となった兄にいったい何が起きたのかを調べようとする弟と、その行方不明になった男性の子供を身ごもっている未婚女性の二人が主人公です。

タイトルの星宿海とは中国の黄河を遡った源流地域にある無数の湖が太陽を反射し、無数の星が輝いているかのように見えることからついた名称で、それに夢中となっていた兄とその関係について、クライマックスで明らかとなっていきます。

時代が兄弟がまだ幼かった昭和30年代頃の話しと、50歳を迎えた現代の話しとが交互に現れ、また人物も昔と現在が入り交じってちょっと混乱をきたしそうですが、著者独特のちょっとしたうんちくを方々に散りばめながら、テンポ良く最後のクライマックスへと向かっていきます。

★★☆


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エンドロール (ハヤカワ文庫JA) 鏑木蓮

この作品は2011年に「しらない町」として単行本が出ましたが、その後2014年に「エンドロール」と改題して文庫化されました。

私の場合、「しらない町」というタイトルだとたぶん手に取っていませんので、著者の思惑はともかくとして、改題の効果はてきめんと思われます。著者の小説を読むのは「白砂」に続いてこれが2作目です。

地方の高校を出て、映画監督になりたいと都会に出てきたものの、その考えは甘く、社会の壁は厚く、現在はアルバイトを掛け持ちしながら、根拠なくいつかは夢を叶えたいと漠然と思っている今風の若者が主人公です。

そのアルバイトのひとつ、大規模団地の管理人として働いているとき、一人住まいで身寄りのない高齢男性と連絡がとれないと通報があり、鍵を開けて部屋に入ると病死で亡くなっているのを発見します。

ここまでは、小説やドラマでも割とよくありそうな流れですが、この身寄りがない男性の遺品整理を管理会社の指示でおこなっていたら、古いキネマ旬報や8mmフィルム、映写機などが見つかり、映画の仕事をしたいと思っている主人公はそれらを無断で自宅へ持ち帰ります。

元映写技師だったという故人が遺した何気ない田舎の風景と、リヤカーをひく女性を写した8mmフィルムに興味を持ち、残された名簿にあった人達を訪ね歩きますが、男性と戦友だったという複数の人物から、故人の持ち物はすべて処分するよう強く言われ、違和感を覚えます。

亡くなった男性に関して、様々な謎が出てきますが、やがて、そのフィルムに映っていた女性とも会うことができます。

しかし、亡くなった高齢者と生き残った戦友の間には、触れたくはない戦争中の苦い記憶があり、そのことを戦友は、表面化することを心配していたことがわかります。

人の死についての重いテーマですが、主人公の現代の若者の無邪気な行動とがうまくマッチしていて、ミステリアスな作品としてたいへん面白く読むことができました。

★★☆


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僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか 絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想 (幻冬舎新書) 荻上チキ

よくわからないけど評論家という肩書きで、若き論客?としてテレビやネットの世界ではお馴染みの著者の作品をひとつぐらいは読んでおこうと2012年刊の作品を手に取りました。

特に難しいことも変なことも書いてはなく、至極まっとうな解説で、こうしたことを今の20代、30代に理解して欲しいのよ~ってことが伝わってきます。

逆に50代、60代からすると、以前読んだ「20歳からの社会科(明治大学世代間政策研究所編)」と比べるとずっとおとなしいですが、なかなか耳の痛い話しも出てきます。

NHKでも「不寛容社会」をテーマにした番組がゴールデンに放送されるぐらいに、いまは思想や価値観の違う他人への攻撃、イジメ、嫌がらせなどが盛んで、それも匿名のネットで自由に発言できると勘違いしている人も多く存在します。

もちろんネットの匿名性なんて存在はしてなく、国家権力を使うまでもなくたいていは民間人でも個人を特定することが可能となってきています。大きな少年犯罪などが起きると、少年法に守られて実名報道はされませんが、ネット上では数時間後には個人名が特定されていることは珍しくはありません。

また匿名でなく実名でも堂々と差別やヘイトスピーチをおこない、また確固たる証拠もなく他人を叩くだけ叩いておいて炎上させ、火が付くとサッと撤収してしまうというずる賢い人も多く見かけます。

ま、そういうのは今に始まったわけでもなく、バブルの頃に金融機関や不動産会社から多額の報酬をもらって、知識のない国民に対して「今不動産を買わないのはバカ」と、株や不動産などの購入を煽っておいて、バブルが弾けると、おとなしく静かに何も知らない風にしていた経済評論家や学者も同じような輩と言えます。

現代はネットのおかげで、そうした著名な専門家でなくても、誰でもがなんにでも参戦できるということで、不寛容の幅が大きく拡がっているということでしょう。

著者は、若者に、自らの頭で考えて自律的に行動しようという、もっともで普通な提言をしているに過ぎず、それさえも誰かに背中を押されないとできなくなっている硬直した社会を憂いているのだろうと思います。

ただ著者自身も2016年に妻と子供がいるに関わらず、別の女性と同居していることがバレて、子育て論などで言行不一致を糾弾されるなど一悶着があり、有名人になるというのは大変なことだということが身にしみたのではないかなと思われます。

★★☆


【関連リンク】
 12月後半の読書 福翁自伝、インフェルノ(上)(中)(下)、定年後
 12月前半の読書 鯛ノ記、ハードラック、下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ/祖母の恋文、マンション格差
 11月後半の読書 死都日本、天国旅行、湖水に消える、体を壊す10大食品添加物
 11月前半の読書 ブラックボックス、老後に本当はいくら必要か、夢を売る男、ふくわらい
 10月前半の読書 秘められた貌、ウルトラ・ダラー、創造力なき日本、海の見える街
 9月後半の読書 象の墓場、ナイト&シャドウ、美しい家、お別れの音、偽悪のすすめ
 9月前半の読書 危険なささやき、会社の品格、男の勘ちがい、安土城の幽霊



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1191
昨年2017年1月~12月に読んだ書籍の数は、ちょっと気合いを入れて読んだこともあり、104作品、117冊(1作品で上下巻ある場合は2冊とカウント)となりました。

2016年は、合計91作品109冊でしたので、前年比で13作品、8冊の増加です。8冊の増加って気合いを入れた割には、、、って気もしますが、仕事をしている限り、私の場合、斜め読みとかできないので、頑張ってもこれぐらいが1年間で読む限界かも知れません。

ちなみに2015年は94作品、107冊、2014年は101作品113冊、2013年が86作品98冊でしたので、ここ5年間の中では作品数、冊数とも、もっとも多い1年となりました。

ジャンル別では、国内小説が最も多く62作品(60%)70冊、海外小説が16作品(15%)21冊、その他新書、エッセイ、ノンフィクション、ビジネスの合計が26作品(25%)26冊です。

バランス的には一番気楽で読みやすい国内小説に固まらないよう、意識して新書やノンフィクションなどを読んできたことが反映されています。一昨年2016年は国内小説だけで71%を占めていましたのでその割合が減ったのは意識してのことです。

全117冊を1年間で割ると3.12日となり、およそ3日間で1冊を読むペースです。1ヶ月あたりにするとギリ10冊には届かず9.75冊です。速読派ではなく、じっくり読む派としては頑張ったほうです。

なお毎年繰り返し書いていますが、私が主として読むのは新刊本ではなく、数年~十数年前に発刊された文庫や新書が中心です。

以下、著者名は敬称略で書いています。☆マークは読後すぐにつけた数で3が最高

■新書、エッセイ、ノンフィクション、ビジネス部門(全26作品)

新書等の26作品から大賞候補作は、

ぼくらの民主主義なんだぜ 高橋源一郎 ☆2
獄窓記 山本譲司 ☆2
戦艦大和 吉田満 ☆3
福翁自伝 福沢諭吉 ☆3
定年後- 50歳からの生き方、終わり方 楠木新 ☆2
本と私 鶴見俊輔編 ☆3
里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く 藻谷浩介 NHK広島取材班 ☆3
日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか 久坂部羊 ☆3

この中からベストの1冊を選ぶのは悩ましく、大いに迷いましたが、、、
大賞は「里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21) 藻谷浩介 NHK広島取材班」に決定です!
感想は、
1155 8月後半の読書と感想、書評

戦艦大和 吉田満」や「ぼくらの民主主義なんだぜ 高橋源一郎」「福翁自伝 福沢諭吉」「日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか 久坂部羊」などは、本好き(特に年配の人)なら、読んでも決して損はしない、たいへんに優れた作品だということを付け加えておきます。

  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆

■海外小説部門(全16作品)

海外小説16作品の中から大賞の候補は、

ブラックボックス(上)(下) マイクル・コナリー ☆2
危険なささやき J.P.マンシェット ☆2
一九八四年 ジョージ・オーウェル ☆2
二流小説家 ディヴィッド・ゴードン ☆3
インフェルノ(上)(中)(下) ダン・ブラウン ☆2
巨人たちの星 ジェイムズ・P・ホーガン ☆3
ガニメデの優しい巨人 ジェイムズ・P・ホーガン ☆2
湖水に消える ロバート・B・パーカー ☆2
過去からの弔鐘 ローレンス・ブロック ☆3

今年は、2016年に読んだ「犯罪 フェルディナント・フォン・シーラッハ」や「ザ・ロード コーマック・マッカーシー」、2014年に読んだ「卵をめぐる祖父の戦争 デイヴィッド ベニオフ」のような、突出した優れた作品に巡り会えなかったのが残念です。

巨人たちの星」と「ガニメデの優しい巨人」は、2016年外国小説部門でベストをとった「星を継ぐもの」のシリーズ続編で、たいへんよくできたSF小説です。ただ第1作目のインパクトが強烈すぎて、それと比べるとやや見劣りするため今回は受賞を逸しました。

昨年はマイクル・コナリーやロバート・B・パーカー、ローレンス・ブロック、ダン・ブラウンなど個人的に好きなベストセラー小説常連作家の作品を多く選んで読んだことを少し反省しています。もっと幅広く読まないといけませんね。

大賞は久しぶりに味わったマット・スカダーシリーズの「過去からの弔鐘 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) ローレンス・ブロック」に決定です。
感想は、
1112 3月後半の読書と感想、書評

  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆

■国内小説部門(全62作品)

もっとも競争が激しい62作品の国内小説の候補作は、

ガダラの豚(1)(2)(3) 中島 らも ☆2
死都日本 石黒 耀 ☆3
脊梁山脈 乙川優三郎 ☆2
怒り(上)(下) 吉田修一 ☆3
一路(上)(下) 浅田次郎 ☆3
八月の六日間 北村 薫 ☆3
漂流者たち 柴田哲孝 ☆3
夢をかなえるゾウ 水野敬也 ☆2
夜の国のクーパー 伊坂 幸太郎 ☆2
落日燃ゆ 城山三郎 ☆3
旅のラゴス 筒井康隆 ☆2
ふくわらい 西加奈子 ☆3
蜩ノ記 葉室麟 ☆3

激戦でしたが、この中から、エイヤと目をつぶって選んだ大賞は、、、

漂流者たち 私立探偵・神山健介 (祥伝社文庫) 柴田哲孝
となりました。
感想は、
1155 8月後半の読書と感想、書評

名作の誉れ高く古典にも入りそうな「落日燃ゆ」や、現代の純文学と言ってもよい「脊梁山脈」、話題性いっぱいの「夢をかなえるゾウ」、個人的には一番読んでいて楽しかった「八月の六日間」、新聞の「明るい悩み相談室」で楽しい回答を書いてる人という認識しかなかったことを大いに反省した「ガダラの豚」、破局噴火が大地震よりも恐ろしいことを実感させる「死都日本」など、大いに迷いました。

個人的に私立探偵小説というのが好きで、中でも仕事が非日常でありながら、派手なドンパチや暴力シーンもなく、地味な調査を愛犬とともに黙々とおこない、事件の真相に迫っていくというこの作品のような日本独特のスタイルが気に入ってます。

この「漂流者たち 私立探偵・神山健介 柴田哲孝」は、四季をモチーフとしたシリーズ4作品のあと、東日本大震災が起き、急遽その未曾有の大災害と人捜しをうまくミックスして創られたシリーズ番外編?です。

主人公が住んでいる白河(福島県)も激震に襲われますが、いわき市で行方不明となった男を捜すため、津波被害の大きかった地域へ震災直後に向かいます。

震災直後は、崖崩れであちこちの道が通行できず、川の橋が落ちて道路が寸断し、またガソリン不足で動かないクルマが放置されるという現実に起きた災害現場が描写されています。

私は震災直後ではなく災害から2年経ったあとに、津波被害に見舞われた各地をクルマで回り実際に起きた跡を見てきましたが、その時の様子が思い浮かんできます。

震災直後の生々しい緊迫した被害状況がこの小説では語られていて、自分が見た衝撃的な被災地がフラッシュバックで揺り戻された感じがすることによる受賞で、その点は素直に個人的理由、我田引水的であることを認めます。

そして、大賞の次点には「夜の国のクーパー (創元推理文庫) 伊坂 幸太郎」と「旅のラゴス (新潮文庫) 筒井康隆」の2作品を選びました。

感想は、
夜の国のクーパー 伊坂 幸太郎
1108 3月前半の読書と感想、書評

旅のラゴス 筒井康隆
1121 4月後半の読書と感想、書評

どちらの作品も、イメージが割と似ていて時々混乱しますが、若い頃に思い描いた冒険譚を惹起させてくれる生命力にあふれた作品です。

受賞された作品と著者にこころより敬意を表します。おめでとうございます。えぇ、申し訳ないですが、それだけです。


【関連リンク】
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