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愛なんて嘘 白石一文
定年後 年金プラス、ひとの役に立つ働き方 杉山由美子
儚い羊たちの祝宴 米澤穂信
真鍮の評決 リンカーン弁護士(上)(下) マイクル・コナリー


愛なんて嘘(新潮文庫) 白石一文

2014年に単行本、2017年に文庫化された短編集で、「夜を想う人」「二人のプール」「河底の人」「わたしのリッチ」「傷痕」「星と泥棒」の6編からなります。

著者の作品は好きで、これが19冊目になります。初期の作品、「一瞬の光」「不自由な心」「僕のなかの壊れていない部分」などが新鮮に感じて次々読んできましたが、2009年に直木賞を受賞後はあまり読まなくなってしまいました。

いずれも若い女性を主人公にした物語で、こうした小説は主として女性作家さんが得意とするところですが、中年男性が書く若い女性の心理描写は、私の既成概念が邪魔するのか、やや不自然で、理解不能な行動もあり、そうした意外性が狙いなのかもと思いつつ、私には違和感がつのりました。

タイトル通り、いずれも現状の恋愛や結婚生活を望まなく、平和な家庭を平気に捨てて昔の彼氏だったり、直感でこの人と思える相手のところへ行ってしまうような情熱的で行動的な女性を主人公にしています。

ま、古い女性観を男性自らが打ち破るという側面は小説としては悪くはないでしょうけど、現実的にはありそうもないことが多く、シンデレラシンドロームじゃないけど、現状に不満だらけの夢見る乙女に向けた小説?という気がしてなりません。

あまりにもリアルな事情を知ってきた中年男性が読むと、どうにも複雑な感情を持ってしまいそうです。

★☆☆

著者別読書感想(白石一文)

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定年後 年金プラス、ひとの役に立つ働き方 (朝日新書) 杉山由美子

著者はすでに来年には古希になられる1951年生まれのフリーランスライターの方で、若いときには雑誌の編集とかをおこなっていたとのことです。

この新書は、2014年に発刊されたもので、基本は定年後に生き生きと働いている方に取材をし、その生き方や、定年後に働く考え方などをまとめたものです。

ただこの新書に出てくる定年を迎えた人は、「猛烈働き蜂」「仕事が生きがい」「現役時代の仕事の延長」「難関な資格を楽々ゲット」などちょっと特殊な方々の例ばかりで、私のような凡庸な人にはさっぱり参考にはなりません。もっともそうした特殊な人の話しでないとインタビュー記事は書けないでしょうからね。

この本を読むと、「このままなにもしないで定年を迎えるのは悪なのか?」と自己嫌悪に陥りそうですが、もちろんそんなことはなく、勢古浩爾著の「定年後のリアル」にあるように、「なにもしない定年後」を送っている人が大部分ではないかなと自分に言い聞かせています。

なにか定年後や老後も「生き生きとして働く」というのが世の中の常識と言う人が多くなりましたが、私は逆に、昔から日本には「隠居」という風習があるように、決して表には立たず、目立たず、仕事は若い者にまかせて、ひっそりと静かに生きるというのが一番良いと思っています。

この新書に登場する高齢者の多くは企業に長年勤め、年金もたっぷりある方々です。日々の生活のために働かざるを得ないと言う人は出てきません。

どうして、そういう高齢者が、大きな顔をして、若い人の仕事を奪ってまで、年金に加えて、生き生きと働かなければならないのでしょうか。そこのところが、わからないので、この新書に書かれている「生き生きと働く」ことを肯定ができません。

★☆☆

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儚い羊たちの祝宴(新潮文庫) 米澤穂信

2008年に単行本、2011年に文庫化された短編集です。短編のタイトルはそれぞれ「身内に不幸がありまして」「北の館の罪人」「山荘秘聞」「玉野五十鈴の誉れ」「儚い羊たちの晩餐」で、いずれも名門家の令嬢ばかりが通う女子大学の読書クラブ「バベルの会」が共通して関わってきます。と言っても連作スタイルではありません。

一応、ミステリー小説ですが、一部はホラー小説とも言えるようなブラックユーモア(と言ってもまず笑えませんが)的要素も含まれます。

その中で面白いと思ったのは「山荘秘聞」で、誰も客が来ない別荘の管理を任されていた女性が、近くの山で事故に遭った瀕死の登山家を助け、別荘で看病しますが、その動けない登山家を別荘で軟禁し、遭難した登山家を救助するためにやってくる捜索隊を別荘の客として迎えることに管理人として満足を得ます。

なんだかスティーヴン・キング著の小説で映画も大ヒットした「ミザリー」を思い出しましたが、この作品が一番上記に書いた「バベルの会」とはほとんど関係がなく、無理矢理その話しに向かわせなかったことが好感を持ったのかも知れません。著者の狙いとは違うかも知れませんが。

著者の作品は過去にまだ4作品しか読んでいませんが、いずれも長編作品でしたので、短編の実力もよくわかりました。でもやっぱり「折れた竜骨」のような、壮大な長編が読んでいて楽しいです。

★★☆
著者別読書感想(米澤穂信)

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真鍮の評決 リンカーン弁護士(上)(下) (講談社文庫) マイクル・コナリー

原題は「The Brass Verdict」で2008年発刊され、日本では翻訳版が2012年に刊行されています。サブタイトルにあるとおり、「リンカーン弁護士」シリーズの第二作目で、著者が28年前から書いてきた「ハリーボッシュ」シリーズの主人公、ボッシュ刑事がこの作品に登場してきます。

お約束通りの法廷ドラマですが、第1作目の事件で主人公の弁護士は拳銃で撃たれ、その治療のために投与された薬物で中毒になり、この作品でようやく復帰を果たす設定となっています。

弁護士が主人公というと、対する検事が悪役と相場が決まっていますが、昔の裁判で相対した検事が、今は同じ弁護士仲間としてやっていたところ、その弁護士が銃撃を受けて亡くなり、その仕事を引き継ぐことになります。

その亡くなった弁護士の捜査をしているのが著者のライフワークとなっているボッシュ刑事で、主人公の弁護士とは仕事柄、水と油の関係ながら、なにかお互いに引きつけるところがあります。そのなぜかは、最後に判明することになり、事件の解決とは直接関係はないもののここでは秘密です。

私がボッシュ刑事と出会ったのは、今から28年前の1992年のことで、書店でフラッと買った「ナイトホークス」からです。

その時は、ベトナム戦争で方々に掘られた地下道の穴に潜り込んでベトコンゲリラを抹殺する仕事をやっていて、帰国後に警察官になってもそのトラウマが抜けず、また生きるために風俗で働いていた母親が何者かに殺されるという過去を持った影のある刑事でした。

それが、今や、定年後も引き続きロス市警に残って殺人課の刑事を務めている老練の静かな刑事です。

ということで、コナリーファンにとっては、著者が創りだした二人の登場人物の魅力をたっぷり味わえる一粒で二度美味しい小説です。

★★★

著者別読書感想(マイクル・コナリー)

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