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陰日向に咲く (幻冬舎文庫) 劇団ひとり

いくつかの中編の物語がそれぞれ少しずつつながっているという小説です。著者の劇団ひとり氏は34歳でお笑いタレントというのが現在の本職でしょう。

2006年にこの小説を発表し、その後知りませんでしたが2008年には映画化もされています。

内容は、どちらかと言えば落ちこぼれの主人公達がなにかをきっかけにしてやる気を出したり、成功する姿をおもしろ可笑しく描かれています。

「陰日向=社会の落ちこぼれ達」という図式から、でもなんとか咲くことができるというメッセージなのでしょう。

ゴーストライターを雇うような身分でもなければその必要性もないでしょうから、ちゃんと自身で考え苦慮して執筆をされたのでしょう。なかなか感性豊かな作者だと思えます。

現在NHKで林真理子氏の小説「下流の宴」を原作とした連続ドラマが放映されています。こちらは上流志向の強い家庭で育ったものの、親が要望する大学には行かずフリーター生活をおくっている長男と、沖縄出身でやはりフリーターをしている女性が出会い、やがて同棲を始めます。

その長男の母の強い上流意識が、長女の就職問題、夫のリストラなどが絡み、ガラガラと崩壊していくというストーリー(まだ途中なのでよくわかりませんが)ですが、なんとなく雰囲気がそれと似ているなと思います。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

ささやかな永遠のはじまり (角川文庫) 盛田隆二

結婚前の女性視点で書かれた大人の恋愛がテーマのストーリーで、失礼ながらもう立派な中年男性の盛田氏がこういう女性心理に深く立ち入った小説をスラスラと情緒たっぷりに描けるのはさすがプロ、上手いなぁというのが実感です。

主人公の職場は雑誌を発行している出版社で、その仕事の様子などが詳細に書かれますが、これは作家さんと出版社というのは通常関係が深かったり、以前勤めていたりするケースが多いので、勝手知ったるということもありしばしば登場します。

ちなみに著者の盛田氏は雑誌出版社のぴあに長年勤務されていたので、その点は設定が安易とも思えますが仕方がないでしょう。

その雑誌の「ぴあ」は、最後までしぶとく残っていた「ぴあ首都圏版」が、今年の7月発売号で休刊となってしまい、思い入れも深かったので残念に思っています。

昔、2本立ての名画座へ行く前に、駅のKIOSKでぴあを買い、それを映画館で見せると入場料が数百円割り引かれるので、実質ぴあの購入費は100円ぐらいで済むという仕組みはよくできたいたと感心しました。

さてストーリーですが、いきなり序盤で主人公の女性が誰もが羨むようなエリートサラリーマンと婚約し、そして結婚間近で突然破局、その後は社内不倫と続いていきます。

そして終盤は思いもよらない展開へと進んでいきます。こりゃ明らかに恋愛に夢を見ている若い女性のウケを狙っているなぁと思ったり。

小説に登場してくる男性も女性もそれは見事なまでにみんないい性格とキャラをしていて、そういう人達ばかりに囲まれていると、苦労のうちの半分以上はきっとなくなるのだろうなと思います。

その点は人間関係にいつも苦しんでいる現実の若い女性達におもねったところが見え隠れします。ま、これを読んで「私も主人公に負けずに頑張らなくっちゃ」と思う女性や、盛田作品をもっと読みたいと思う人が増えればそれはそれで結構なことではありますが。

著者別読書感想(盛田隆二)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

クラウド時代の正体 (ベスト新書) 白鳥 敬

時代を象徴するIT技術の「クラウド」をタイトルに使った数多い類似本の中の1冊です。本書にも書かれていますが「web2.0」が出てくればそればかり、「SNS」が出てくればそればかりと、時代のキーワードが出てきてはやがて消え去っていきますが、それと似たようなものなのでしょう。

本書に書かれていることで、とりたてて目新しいことや役立つことはないのですが、あらためてネット社会の一面を俯瞰しておくのならいいかもしれません。

特にネット上でのプライバシー情報の扱いや、安全なネット利用などは、まったくの素人向けにわかりやすく解説されていますが、多少詳しい人ならあえて読むまでもないことです。

というか、最近は実名主義のFacebookや実名の人も多いTwitterなどに人気があり、果たして厳密に個人情報を守る必要があるのか?という疑問すら感じるように思えます。

ただ素人がこの本を読むと「ネットの世界はなんと邪悪で問題が多いのか」と逆に怖くなり、有効に使わなくなってしまう可能性もあります。

実際には全然そんな事はないのですが、どうしても刺激的で過激な話しばかりが、さらにそれに尾ひれ背びれをつけて報道されたりするのが世の中の常ですから、なんでも話半分で読み解く必要があります。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

青の炎 (角川文庫) 貴志 祐介

優秀な高校生が家族や自分を守るため殺人の完全犯罪を目指すという1999年に書かれたミステリー小説です。

筆者の貴志氏は1959年生まれなので私より2年後の割と近い年代です。このおやじ年代が今の高校生を主役とした小説を書くというのは、結構大変だったのではないでしょうか。

若い人が中高年や高齢者を描くのは自分が経験したことがないだけにもっと難しいでしょうが、それにしても自分が経験してからすでに四半世紀前の高校生時代と現代の高校生の生活とはまったく行動様式が違っています。

それゆえかどうかはわかりませんが、主役の高校生の心理描写には変に大人びた老成した考え方がしばしば登場します。

これは意図的なものか、どうかはわかりませんが、もし本当に今の高校生(と言っても書かれたのは今から12年も前ですが)がこのような発想や知識を持っているならそれはまた恐ろしいというべきものです。

ま、湊かなえの「告白」でも主人公は大人の女教師でしたが、実際に殺人事件を犯すのは中学生でした。このような少年犯罪を描く小説が注目されるのはやはり小説の中だけではなく、現実社会にもそのような流れがすでにあるのでしょう。

日本中を震撼させた酒鬼薔薇事件(神戸連続児童殺傷事件)が起きたのは1997年で今から14年前のことですが、それ以来少年犯罪がテーマになる小説はより過激化していくことになったのでしょう。

スピード感あふれるストーリー展開で、サクッと読めますが、とにかく殺人が絡むミステリーですので、読んでいて気持ちがよくなるものではありません。

著者別読書感想(貴志祐介)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫) 半藤 一利

映画で大ヒットした「日本のいちばん長い日(1967年公開)」の原作者は当初諸般の事情から大物ジャーナリスト大宅壮一編となっていましたが、実際はこの半藤一利氏の作品ということで、その後多少修正をおこない大宅氏の遺族の了解を得た後、あらためて自身の名前で出したのが本書です。

「The Longest Day」というと、アメリカでは一般的に多大な犠牲者を出しながらも欧州戦線での転換点になったノルマンディー上陸作戦決行の日のことを指しますが、日本ではやはり歴史上完膚無きまでに叩きのめされた唯一の負け戦、その最後の日を指すのでしょう。

1945年8月、世界を相手に孤軍奮闘していた日本も敗戦濃厚となり、広島、長崎に原爆を落とされ、いよいよ本土上陸が目前と迫ってきた日本に、唯一残された道はポツダム宣言を受け入れることで、すなわち無条件降伏しかありませんでした。

しかし、陸軍を中心とした一部の青年将校達は、一億総玉砕を叫び、また陸軍は決して負けたわけではないのでもっと闘わせてくれと、天皇や政府が降伏を決めた後も、それを撤回させるために様々な行動を起こします。

このあたりは小説より映画では善と悪をくっきりと描く必要があり、降伏阻止を目指す将校は天皇の命にも背く逆賊という扱いですが、子供の頃からずっと日本が世界で一番優れていて、過去に一度も敗北したことがない神国という思想教育をガッチリとたたき込まれている軍人ですので、その純粋な気持ちから必死に抵抗していることも本書からはにじみ出ています。

様々な幸運もあり天皇の終戦の詔を8月14日の夜に無事に録音することができ、それを翌8月15日の昼12時からのNHK放送で流すことができるかという緊迫した攻防の場面がドキュメンタリーとして描かれます。

しかし詔はなぜ負けたのか勝ったのか、それとも戦争継続なのかハッキリしないダラダラとしたものとなったのでしょうか。

これは本書にも経緯が詳しく書かれていますが、役人と政治家と軍人がそれぞれの立場を主張するあまりすったもんだがあります。

わかりやすく要約すると「戦争に負けた。ポツダム宣言を受け入れる。無条件降伏をする。」なのですが、特に軍人は負けたことを書くことは納得しません。

本書ではその詔書を作るために各関係者が何時間もやりとりをして苦心して造りあげていく過程があり、要は天皇、大本営、陸軍、海軍、その他政治家の様々な思いや考え方を練り込んだ結果の代物です。

この放送を聞いて当時はラジオの感度やスピーカーの性能もよくなかったため「結局なにを言われたのかわからない」という国民が多かったと聞きます。

中には放送の後「今後も戦争に奮闘せよとおっしゃった」と勘違いして檄を飛ばした軍人もいたということです。

ただ実際には天皇の詔が放送された後、NHKアナウンサーがくり返し詔を読み上げ、さらに簡単に要約した内容を放送したということです。それは初耳でした。

映画は子供のときにテレビで見ましたが、とにかくこの映画は「暗い映画」「登場人物が多すぎてよくわからない」という記憶が残っています。

「暗い」は、映画の舞台が空襲があり、灯火管制のため真っ暗になっている首都の夜に事件は起き、さらに映画が白黒だったこともあり、そのような印象を持ったのでしょう。

また誰もが負けた悔しさと悲しみ、そして張り詰めていた緊張が解けた疲労感でぐったりしているところが、より暗い印象をこの映画に与えたのかもしれません。

そして2時間半のこの映画にはざっと100名以上の登場人物があり、主役の三船敏郎、準主役の山村聰、鈴木首相役の笠智衆、昭和天皇役の松本幸四郎(8代目)ぐらいはともかく、その他大勢が次々登場してくるので、あらかじめ予備知識がないと混乱します。

一応は、降伏推進派(善人)vs徹底抗戦派(悪人)という構図にはなっていますが、同じ日本人で、同じような軍服や国民服を着ていて、さらには降伏か継続かの間を揺れ動いている軍人も多く、その善悪の区分がハッキリとはわかりにくいのです。

できればもう一度整理して、1967年当時ではまだ生存者が多く遠慮して描けなかった部分も見直して、再度映画化をしてもらいたいなと願うばかりです。

著者別読書感想(半藤一利)



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