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蛇行する川のほとり (集英社文庫) 恩田陸

同著作は2002年に初出、2007年に文庫化された小説です。恩田陸氏の小説は過去に14作品を読んでいますが、どの作品も取り上げるテーマが固定していなく、創造性が豊かで、読んでいてグイグイと引き込まれる内容にはいつも驚かされます。

恩田氏の小説は意外と映画化された作品は少なく「木曜組曲 (2002年)」「夜のピクニック (2006年)」だけなのですが、その理由のひとつとして同氏の小説では複雑な人間関係や心理描写が多いのと、気持ちよくハッピーエンドで終わるわけではなく、読者に考えをゆだねてしまう終わり方をすることも多く、エンタメとしての映像化が難しいのかも知れません。

また主人公が中高生だったりするので、そのような心理描写を表現できる演技力に優れた若い役者がなかなかいないということもあるかも知れません。その点大人のミステリーだった「木曜組曲」は、浅丘ルリ子、鈴木京香、原田美枝子などベテラン女優を揃えることで深みのある人間ドラマがうまく成立しています。

この「蛇行する川のほとり」は人気作品の「六番目の小夜子」や「夜のピクニック」と同様、主人公が高校生の小説です。最初はそうとは知らずに買ってきて、読み始めてから50半ばのジジイが読んで面白いのかな?と疑いながら読み進めていくと、高校生にしては知的で気が利き出来過ぎの人達ばかりで、ありえねぇと思いつつも結構面白く読ませていただきました。

あらすじは、蛇行する川のほとりに立つ古い家にまつわる話しです、以上。ミステリーなので内容を書くわけにはいかないので、、、しかし出来過ぎの高校生ばかりと思っていたら、小学生の頃にはもっと出来過ぎだったとはいやはや最後に驚かされてしまいます。


盗まれた貴婦人〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 ロバート・B・パーカー

私立探偵スペンサーシリーズ38作目の作品で、日本ではこの作品と遺作となる39作目の「春嵐」はパーカーの死後に発刊されました。

この小説にはいつもお馴染みの相棒ホークやその他友人のガンマンが登場してこない珍しい作品です。それだけに派手なアクションシーンはないかと思っていたら、いきなりプロの傭兵らに命を狙われることになり、二度も死にかけます。愛犬パールの直感や、偶然が重なり怪我もなく助かるところはかなりご都合主義のところがありますが、主人公ですから仕方がありませせん。

いつもならホークやヴィニーなど腕のいい相棒に背中を守られて読者も安心して読めるのですが、今回は州警察のヒーリィ、ボストン市警のマーティン・クワーク、フランク・ベルソンや検察にいるお友達の助けを借りながら、基本自己解決で頑張ります。それは私立探偵としてのプライドをめちゃくちゃにされたことによります。

美術館から盗まれた小鳥と貴婦人を描いた絵画を取り戻すため、美術館の顧問を務める大学教授から、犯人から要求があった金と絵画の受け渡し時の護衛を引き受けたスペンサーですが、なすすべもなく目の前で教授は爆殺されてしまいます。

殺された教授の周辺を調べていくと、教授自身のスキャンダルや保険金、大物弁護士、それに元アウシュビッツで殺されたユダヤ人とその末裔のグループなどが浮かび上がってきます。そうした藪を突いていると、殺し屋が現れ、スペンサーの捜査の方向が間違っていないことを確信していきます。

もうこの調査スタイルは水戸黄門の印籠のようで特に変わりはありませんが、なぜ相手側がリスクがあり、手のかかる殺害方法をとるのか?とか、たまたま関係者を尾行をした時に限り黒幕と思われる男が一緒にいるのか?とか、オランダ美術に詳しい人を探していたら偶然知り合った愛犬仲間が紹介してくれたりとか、あまりにもうまく出来過ぎているな?と思わなくもありません。こういう小説はスピード感が重要なので、あまり細かなことにこだわるよりもスイスイいくのがいいのでしょうね。


星月夜 伊集院静

30年に及ぶ作家生活で初めての推理小説というこの作品は2011年に発刊されています。つまり東日本大震災が執筆中に起きていて、小説の中にはわずかながらずっと昔に津波で亡くなった家族の話しが出てきますが、その津波のイメージを入れたように思われます。

出版社のサイトにこの本について筆者のインタビューが公開されています。

初の推理小説で人の哀しみを描く(文藝春秋サイト)

その中にあらすじっぽい話しが書かれていますので、ここでは省略して感想だけを書くことにします。

著者の作品は、今までに直木賞を受賞した「受け月」を始め、12作品を読んでいて割とお気に入りの作家さんです。特になにか特徴があるかと言うと、実はあまりなく、読んでいると宮本輝氏、五木寛之氏、白川道氏などの作品とあまり区別がつかず、複数の小説を並行して読んでいるとこれは誰の作品だったっけと時々わからなくなるときもあります。

しかし「海峡―海峡幼年篇」「春雷―海峡・少年篇」「岬へ 海峡・青春篇」の三部作は、在日韓国人二世だった自伝的作品ですが、もっとも内容が濃く感動させられる小説でした。やはり自分が歩いてきた道をベースにして描くのと、空想や創造力だけで描くのでは著者の思い入れが違ってきます。そういう自伝的作品を超える作品を創り出せるかが一流の作家の証となるのでしょう。

著者の作品の中では珍しい警察官や鑑識官を主人公としたこの作品は、冒頭のインタビューにもあるとおり、岩手から東京に出てきた若い女性と島根の老人が、なぜ殺されて一緒に東京湾に沈められたかを一歩一歩調べて行くというミステリー仕立ての小説です。

そのストーリーやプロットは最初に小樽で身元不明の死体が上がり、その謎を定年退職した刑事が必死に追いかける白川道氏の作品「最も遠い銀河 」ともよく似ていますが、「星月夜」のほうが話しの設定に無理がなく、より洗練されているように感じます。その「最も遠い銀河」は先日テレ朝の開局55周年記念ドラマとして放送されていましたね。なんとなくタイトルも両方共通しているところがあるのが不思議です。


ワシントンハイツの旋風 (講談社文庫) 山本一力

直木賞をとった作品「あかね空」は「昨年私が読んだ小説ベスト1」を獲得しましたが、その影響もあって著者の作品をもっと読んでみたいと探していました。元々は「あかね空」をはじめとする時代小説が多い著者ですが、その中にあって異色とも言えるこの作品を選んでみました。この小説は2003年に発刊された、昭和の高度成長期を生き抜いてきた自伝的小説です。

中学生だった主人公は母親と妹と3人で暮らしていましたが、生活が苦しく仕事がない高知を出て東京に出ようということになります。転校したくなかった主人公は、母妹が上京した後もひとりで高知に留まりますが、居候先での扱いに嫌気がさし、後を追いかけて東京へ向かいます。その際友人達とストリップ劇場へ行ったり、上京途中乗り継ぎの長い待ち時間の際に、食堂の女主人に色目を使われたりとなかなかの早熟です。その後も数多くの女性を泣かせていきます。

五木寛之氏の「青春の門」や、花村萬月氏の「百万遍 」などもそうですが、自伝小説を書くと、やたらにモテる男を書きたくなる傾向があるのでしょうかね。ま、淡々とした味気ない日々をつづっても売れる小説にはなりませんからそういうものなのでしょう。

上京してさっそく住み込みで新聞配達をおこないながら学校へ通うことになります。その頃、東京は東京オリンピック開催がもう目の前でその景気に沸いています。住み込みで働いているそばに、綺麗な芝生に囲まれたアメリカ軍が接収して建てた住宅や宿舎があり、それがタイトルになっている「ワシントンハイツ」です。もちろん正式名ではなく、そう呼ばれていたというだけです。そのワシントンハイツ一帯は東京オリンピック前に返還され、宿舎を改装して選手村として利用されていました。

そのワシントンハイツに毎日新聞配達をすることで、中に住むアメリカ人とも仲良くなり、会話も正しい発音でマスターしていきます。そのことが後の人生で大きく役立ちます。

実は私が新入社員で入社した際の研修が、その元ワシントンハイツがあった「国立オリンピック記念青少年総合センター」で行われ、二泊三日で宿泊したことがあります。30年前の当時はまだオリンピックの選手村当時の建物で、かなり老朽化した施設でしたが、部屋やベッドのサイズがすべて大きいのに驚いたことを覚えています。現在はすべて新しくなっていてその面影はありません。

高校を卒業するまでは新聞配達を続け、卒業してからメーカーに勤めますが、すぐに嫌になり、つき合っていた女性が気を利かせて応募してくれた近畿日本ツーリストへ転職します。時は1970年の大阪万博の少し前で、国内旅行が盛り上がりはじめうまくその潮流にのったわけですね。

近ツリでは万博の国内旅行で成果を上げ、役員に見込まれアメリカへの添乗員も命ぜられ順調に出世をしていきます。その間も同じ社内の複数の女性と関係を持ちともし事実に基づいていたとしたらなかなか楽しい人生を送られたようです。中高年以上の人が読むと懐かしい風景があちこちに出てくる楽しい小説に仕上がっています。

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