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対岸の彼女 (文春文庫) 角田光代

2004年に発刊(文庫は2007年)された直木賞受賞作品です。小説のスタイルとしては二人の主人公がいて、そのうちのひとりは高校生だった頃と現在、もうひとりの主人公は現在だけで、それぞれの視点で過去と現在が交互にいったりきたりします。

女子高生の葵は中学校時代からどうも同級生同士の人間関係に不安があり、横浜の中学校ではいじめに遭い、高校へ進学するときには両親に頼み、母親の実家がある群馬県の高校へ入学することにします。そこで魚子(ななこ)といういたってマイペースな同級生と知り合い、親友になっていきます。

その葵は東京の大学卒業後に旅行会社を起業しますが、新規事業として家庭向けの清掃サービスを立ち上げるため従業員を募集します。その従業員に応募してきたのが来たのがもうひとりの主人公小夜子です。

小夜子は結婚してまだ小さな子供を抱えていますが、同じような子供を抱える母親同士のつき合いなど人間関係が苦手で、それが子供にも影響していくことを日々恐れています。

夫や姑の反対を押し切って、清掃の仕事を覚え、開拓していきますが、やがて葵との関係に亀裂が入り始めます。

女性の感性で書かれているので、なかなか男、特に古い男には理解しがたい感覚のところが多々ありますが、そういうものなのかぁとあらためて結婚した女性の悩みを知ることにも。

主人公二人ともいつうつ病になってもおかしくなさそうな、よく言えば繊細、悪く言えば神経質っぽいところで、読み進めていくのが重くつらかったりしますが、最後の展開で救われた思いをしました。

著者別読書感想(角田光代)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

発火点 (講談社文庫) 真保裕一

真保氏の作品は過去に数多くを読んでいますが、テーマとする幅が広く、また想定される読者層にも偏ったものではなく、しかも長編が多いので読み応えを感じます。この「発火点」も560ページを超える長編です。

デビュー作の「連鎖」は公務員を、「ボーダーライン」ではロサンゼルスの日系人探偵、映画にもなった「ホワイトアウト」はダムの運転員を、「奇跡の人」は脳死から復活した記憶喪失の男、「奪取」は偽札作り、「朽ちた樹々の枝の下で」は森林作業員を、「黄金の島」ではベトナム難民と日本のヤクザを、「アマルフィ」では外交官をと、バラエティにとんでいて、どの作品をどこから読んでも飽きません。私にとっては「読みたい本がないときの真保頼み」となっています。

「発火点」は2002年に初出(文庫は2005年)の小説です。主人公は21歳の若者で過去に父親を父親の幼なじみに殺されるという過去を持っています。

その父親を失った経緯や理由が、本文中ではずっとチラみせだけで、なかなか本題に入ってこないので、ちょっとイラっときてしまいます。

ストーリーは家を出てアルバイトを転々としすさんだ生活をおくる現在と、父親が殺された12歳の頃の話しが行ったり来たりするのは上記角田光代氏の「対岸の彼女」と同じような構成です。

著者自身、高校を卒業後、志望していた企業に落ち、その後多くの仕事を転々とした経験があり、21歳の鬱積した青春をおくっている主人公には、著者のその頃の思いや考え方が反映されているのかなと勝手に判断しています。と書いたあとで文庫の「あとがき」を読んだらそのようなことが書かれていました。

著者別読書感想(真保裕一)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

泥棒は詩を口ずさむ (ハヤカワ・ミステリ文庫) ローレンス・ブロック

初出は1979年というからかなり前に書かれた作品(文庫は1994年刊ですが現在は廃刊?)です。著者ローレンス・ブロックはチャンドラー、パーカー亡き後、私が認める数少ない読ませるハードボイルダーですが、この作品は欠かさず読むアル中探偵「マット・スカダー・シリーズ」や切手収集が趣味の殺し屋「ケラーシリーズ」ではなく、コメディタッチで軽めの「泥棒バーニイ・シリーズ」の3番目の作品です。

古書店「バーネガット書店」を営む天才的泥棒のバーニーは、来店客から稀覯本を高価で手に入れたいが、それがいまどこにあるかということを聞かされます。

つまり彼が泥棒だということを知っていて、高額を支払うから盗んできてほしいと頼まれるわけです。

高性能なセキュリティをかいくぐり、無事大富豪の家に忍び込み、他の宝石や現金には一切手をつけず、その稀覯本を手に入れますが、その後、いざ引き渡しをするところで見事に騙され、稀覯本は奪われてしまいます。

おまけに薬で眠らされている間に拳銃を握らされ、銃殺された死体と一緒に置き去りにされているところに警察官が押しかけてくるという絶体絶命のピンチに陥ります。

ま、ちょっと設定には無理がありすぎるのと、コメディと絡めながら妙に推理小説っぽく書かれているのがちょっとどうかと思いますが、元々推理小説家というジャンルではないので仕方がないかなと。

なぜ「マット・スカダーシリーズ」が大ヒットして、こちらのシリーズがイマイチなのかがわかる作品でもあります。このシリーズを読むのはこれで2冊目ですが、もういいかな。

ちなみにマット・スカダーシリーズでは「八百万の死にざま」「死者との誓い」、殺し屋ケラーシリーズでは短編連作の「殺し屋」と長編「殺しのリスト」がお勧めです。

著者別読書感想(ローレンス・ブロック)


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