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暗く聖なる夜(講談社文庫)(上)(下) マイクル・コナリー

著者の代表作「ハリー・ボッシュシリーズ」の9作目(友情出演?しているテリー・マッケイレブが主役の「わが心臓の痛み」を含めれば10作目)の2003年(日本翻訳版は2005年)の作品です。

ハリーの正式名はヒエロムニス・ボッシュで、ロス市警の同僚などちゃんと発音できないことから、通称ハリーですべて通しています。

もちろん「ヒエロムニス・ボッシュ」は15世紀ルネサンス期の画家と同姓同名で、母親が名付けた命名の由来も過去の小説の中に書かれています。

このボッシュシリーズは、1992年に読んだシリーズ最初の作品「ナイトホークス」を筆頭に、ほとんど読んでいますが、この「暗く聖なる夜」と「シティ・オブ・ボーンズ」(2002年)だけがなぜか漏れていて、今回見つけたので買ってきました。

この作品では、50歳を過ぎた主人公ボッシュが、刑事としての適正と限界を感じ、ロス市警を辞職し、私立探偵の免許を取得しています。

マイクル・コナリーもローレンス・ブロックが描くマット・スカダー同様、著者と主人公の年齢をほぼシンクロさせ、どんどん年を取っていくスタイルです。それだけに主人公の考え方や行動が、それなりの年齢に応じ、また相応しくなっていて好感が持てます。

主人公がずっと年を取らないロバート・B・パーカーの「スペンサーシリーズ」はそれはそれでもいいのですが、実は読む側も年を取っているので、読んでいると段々きつくなってきます。

読者自身、カツオと同年代だと思っていたら、いつの間にか波平さんと同年代になっていたことに気がついてショックを受けるって感じでしょうか。もちろんカツオ君はいつまでも若いままです。

今回のストーリーは、探偵の仕事ではなく、刑事時代に未解決だった謎が多い殺人事件について、中途半端なまま取り上げられてしまった経緯があり、自分に納得させるつもりで、その事件解決に再び取り組み始めます。

別れた妻(元FBIで、現在はカジノでプロのギャンブラー)との関係、過去の事件にまつわる対テロ組織、警官として動けないジレンマ、元同僚たちとの関係など、様々な阻害要因をふりきって、事件の核心をあぶり出し、迷宮入りしたと思われた二つの大きな事件の真相に迫っていきます。

結果は思わぬ方向へと進み、読んでいて意外性があり面白かったのですが、FBI捜査官に恨みを買って当然ケアしなければならない予防措置をろくに取らず、その結果自宅で急襲されたりと、やり手の主人公にしてはアマチュア的でちょっとちぐはぐな感じも受けます。

著者別読書感想(マイクル・コナリー)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

ロード&ゴー (双葉文庫) 日明 恩

2009年に単行本、2012年に文庫化された小説です。Fire's Outシリーズの「鎮火報 Fire’s Out」や、武本・潮崎シリーズの「それでも、警官は微笑う」など著者の作品はすべて気に入っていています。

お仕事内容がよく反映されている小説と言うことで、林業従事者を描いた「神去なあなあ日常 」や、出版社の辞書編集室で働く人を主人公にした「舟を編む 」などの三浦しをん氏とも作風が少し似通っているかなと思いますが、著者の場合は、もっぱら警察官や消防士といった公務員系が多いのが特徴です。

また同じ公務員を主人公にすることが多い真保裕一氏は、ミステリーやハードバイオレンス、国際陰謀などへと展開していくのに対し、著者の作品は、あくまでファミリードラマ的でコミカルです。

この作品は東京消防庁で働く消防隊員を描いた「鎮火報」と同様、消防署勤務の救急隊員を主人公にした作品で、その「鎮火報」で活躍した主人公大山雄大とも知り合いで、10代の頃は暴走族をやっていた元不良という設定です。

タイトルの「ロード&ゴー(Load and Go)」とは、正式な救急概念で、「頭頚部~体幹の生命に危険のある損傷など、重症外傷現場においては生命に関わる損傷の観察・処置のみを行い、他の観察・処置はすべて省略し、できるだけ速やかに(5分以内)現場を出発すること」こととされています。

この小説では渋谷の路上に吐血して倒れている患者を帰署途中の救急車が発見し、無線で「ロード&ゴー」をセンターに伝えます。

救急車や救急隊のことは消防車や警察のパトロールカーほど一般的には知られていませんが、この小説ではその活動内容が詳細に描かれています。本文の中にも書かれていましたが、同じ消防署にありながら、過去の経緯から「消防署」とは言っても「救急署」とは言わない、消防署の中ではどちらかと言えば日陰者に近いのが救急隊員です。

その救急隊の日常勤務や、よくトラブルになる不合理なことを言うモンスター患者や、付添人との関係、搬送先病院が見つからずに、重篤な事態を引き起こしてしまう社会問題などを、あり得なさそうな派手な事件を使ってドラマに仕立てています。

そのうち、鎮火報とセットで、テレビドラマか映画化でもされそうな気がします。もちろん東京消防庁の全面協力という図式になるのでしょうが、それをきっかけに、救急車をタクシー代わりに使ったり、自分で行けるに関わらず、病院で何時間も待たされるのを避けるため救急車を呼んだり、1人住まいの家でドアに鍵をかけたまま救急車を呼び、部屋に入るため鍵を壊すとあとで抗議されたりとか、理不尽なことが減るといいのですけどね。

著者別読書感想(日明恩)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

寝ても覚めても (河出文庫) 柴崎 友香

今年2014年に「春の庭」で第151回芥川龍之介賞受賞された著者のデビューは2000年ですから、新人とは言えない既に多くの作品と実績ともった作家さんです。

過去には「その街の今は」(2006年/文庫版2009年刊)を読みましたが、大阪の情景がうまく表現されていました。この小説は2010年に単行本、2014年に文庫版が出ています。

主人公は大阪に住む若い女性朝子が淡々とした一人称で生活を語っていくのですが、やがて好きな人が現れてつき合い出すものの、中国へ旅立ってしまいそのまま別れてしまいます。

劇団をやっている友人の手伝いで東京へ出て、そのまま東京で暮らすことになりますが、そこで別れた元彼とそっくりな男性に巡り会います。

と言った、平凡で、抑揚のない、普通の人の青春時代の10年間ぐらいが綴られている小説ですが、これが著者の作風らしく、日常のなにげない日々を著者の感性のおもむくまま映し出しているのが特徴です。

考えてみれば、この小説では誰も死なないし、殺されない、そういう意味ではたいへん貴重で珍しい小説とも言えます。

つまりこの小説では、若くして白血病に罹り、恋人を残して亡くなったり、愛する人が少年に殺されてしまったり、ヤクザや殺し屋が次々と人を殺しまくったり、政治家が自分の過去の秘密を握る人物を忙殺したりと、やたらと人が死にまくるその他多くの安易な小説とは一線が引かれているという点ではとてもいいですね。

私には、あまりにも淡々としすぎていて、小説としてのダイナミズムや知性に欠け、ちょっと物足りなさも感じられますが、これはこれで今の世の中はふわっとしたライトノベルが人気を集める時代ですから、それにもマッチしているのかも知れません。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

やさしい人 (PHP文庫) 加藤諦三

著者は昭和13年生まれの社会学者で、ラジオのニッポン放送の「テレフォン人生相談」のパーソナリティとして30年を超えるキャリアの持ち主です。

また社会学の著書も多数ありますが、私が読むのは今回初めてです。この本は2005年に発刊され、その後文庫化されています。

本著は他の著作と同様に小説ではなく、社会学のひとつのテーマとも言える「やさしい心の持ち方」を書いたもので、自己啓発本としても役立ちそうです。

どういう考え方をするのが「やさしい人」であるのか、その「やさしい人」は周囲からはどう見えるのかなど、わかりやすい言葉で書かれています。なにか著名な宗教家の話しを聞いているような感覚にもなります。

私が心にとめておかねばと思ったのは「過去を捨てれば、今が楽しくなる」で、過去に執着しない、自我を確立させる、内面を充実させて「相手を許せる」ようになる。「今苦しいのはいつまでも過去にこだわるから」というところです。

ただ、なんと言うか、この世知辛い世の中において、ここに書かれている「やさしい人」を現実的に実践するのは至難の業だろうとか、それで厳しいビジネスを成功に導けるのかとか、決して「やさしい人」ばかりではない部下や上司、知人友人、家族とうまくやっていけるのか、など、理想を求めすぎても、、、と思わなくもありません。

なんてことを考える私は、決して本書にあるような「やさしい人」にはなれないんだろうなと、逆にこれを読むと失望してしまいます。

私の場合は、もう長年生きてきて、手遅れでもあり、今後はそれほど社会の中でうまく生きていく必要もないので、どうでもいいですが、本当ならばぜひ理解してもらいたい若い人がこれを読んで、「オレ様もこれからはやさしい人になろう!」とはちょっと思えないだろうなというのが実感です。

生意気な感想ですが、なにかやり方、伝え方が根本的に違っているような気がします。

個人的にはいっそ、反社会的、悲観的な発言も多い戦う哲学者中島義道氏と著者の対談なんかが実現すると、その互いの主張や人生観が激しくぶつかり合って、若い人にも興味を持ってもらえるだろうなぁと、ちょっと意地悪な気持ちになったりしました。ダメですかね。


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