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祝!日記1300回!

1300
本能寺の変 四二七年目の真実 明智憲三郎

2009年に単行本が発刊され、4年後の2013年に「本能寺の変 431年目の真実」として文庫版が発刊されています。著者は、自ら明智光秀の子孫だと称している作家であり歴史研究家です。但し本書を書いた時期はまだ会社勤めをしていて二足のわらじだったようです。

来年2020年のNHK大河ドラマは、二枚目俳優、長谷川博己が演じる明智光秀を主人公とした「麒麟がくる」に決定していますので、今後(と言っても1年先ですが)明智光秀ブームが沸騰してくるのは間違いないところでしょう。

本書の中でもなかなか興味深い話しが多く、定説と言われている様々な事柄を、別の資料からこう考えられるというような推理を述べています。

中でも傑出なのは、明智光秀と徳川家康は事前に信長暗殺の合意ができていて、本能寺の変が起きたと連絡が来てすぐ、家康は堺から楽々と伊賀越えして岡崎に帰ったあと、その後、信甲州の織田領を攻め入ったのは事前の打ち合わせ通りだったとする話し。

ただ、予想外だったのは、明智、徳川連合軍の体勢が整う前に、秀吉が中国大返しでやってきて、明智が大敗したことで、その後の予定が大きく狂ってしまったと本書では推定しています。

つまり本能寺の変は、明智光秀ひとりの陰謀ではなく、傍若無人の織田信長を恐れていた家康や、細川、長宗我部などを巻き込んだクーデターだったという話しです。

ま、ちょっと無理筋な推理の部分はあるとしても、明智の血筋としては、明智光秀ひとりが無謀にも己の欲求で天下取りに走ったというようなお馬鹿ではなかったんだということを言いたいのでしょうか。

こういう証拠になるような資料が少ない時代、その資料に矛盾があると、歴史家は自分の推理に都合が良いほうだけを取り上げ、それ以外は無視するか、ねつ造だと一笑に付してしまう傾向があります。

したがって歴史の解釈は幾通りにも考えられ、また時の権力者によってもゆがめられたり、消されたりすることも数多くあります。

この本能寺の変の真実というのも、著者の推理の部分がほとんどを占め、どこまで信憑性があるかという点については、素人が読む限りわかりません。ただ定説だけをむやみに信用するのはダメねってことは大事なことだと思いました。

著者自身の推理が絶対で断言調で書かれているのがちょっと鼻につきますが、でも割といい線を付いているのではないかなとも思えますし、歴史好きなら読んで定説との食い違いを検証してみるのも面白いかも知れません。

★★☆

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欲しい (集英社文庫) 永井するみ

2006年単行本、2009年に文庫化された長編ミステリー小説です。著者の小説を読むのはこれが初めてですが、連作短編小説を雑誌連載中の2010年に49歳という若さで亡くなっています。

主人公は人材派遣会社を経営している40代の独身女性で、妻も子もいる男性と不倫関係にあり、なおかつ、寂しさを紛らわすため、若い男性を派遣してくれる派遣ホストもよく利用しているというちょっと話しをややこしくするようなできすぎた設定です。

ストーリーは、離婚して母子で暮らしている主人公の会社に登録し、派遣社員として働いていましたが、その職場に別れた旦那が金をせびりにきて、仕事を続けられなくなります。

その派遣社員は元旦那の暴力で離婚しましたが、消極的で強く言えないタイプで、そのようなことが起きるので仕事も続かず生活保護を受ける羽目になります。

片や、その女性の身の上話とそっくりな状況が、出会い系サイトの相談コーナーに書き込まれ、主人公の愛人がそれを読み、自分の娘にも同じようなことが起きたことで心配し、その女性にのめり込みストーカー行為をするようになります。

そしてその男性が、ストーカー被害者の女性に突き飛ばされ、歩道橋から転落し、亡くなるという事件が起きます。

このあと、また二転三転しますが、ミステリーなので、あとは書きません。

事件と言えば事件なのですが、女社長、愛人(出会い系サイト・ストーカー)、ホストと、DV、派遣、生活保護という関連性というか組み合わせってあまりピンとこないので、よく言えば意外性、悪く言えば、ありえねぇ!という感じもする小説でした。

★★☆

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アキラとあきら (徳間文庫) 池井戸潤

2006年から2009年に雑誌に連載されながらその後単行本化はされず、2017年にテレビドラマ化されることとなり、その2017年にいきなり文庫化されて発刊されました。

2006年~2009年頃と言えば、ドラマや映画化もされ著者の代表作ともなっている三菱自動車のリコール隠し問題を描いた「空飛ぶタイヤ」(2006年)や、地下鉄談合事件をモデルにしてNHKで連続ドラマ化された「鉄の骨」(2009年)、テレビで大ヒットした「半沢直樹シリーズ」(2004年~2014年)などと重なる時期で、そうした中から、「下町ロケット」(2011年)が、直木賞に輝いています。

元々大学卒業後に三菱銀行へ入り、10年ほどサラリーマン生活を過ごしていた筆者だけに、金融、経済、財務等には明るく、そうした経済テーマの小説が真に迫っていて群を抜いています。

人気作家になったから言うのではないのですが、デビュー作「果つる底なき」が2011年に文庫本として登場した時、すぐに購入して読み、この作家は将来、城山三郎や高杉良以上の経済小説の作家になるかもと思いました。そしてその後も新しく文庫が出るたびに著者の小説は面白く読ませてもらっています。

この小説の主人公は、二人のアキラ。貧しい町工場に生まれ育った山崎瑛と、大手海運会社の御曹司の階堂彬です。

その二人が知恵を絞って戦うのかと思っていたら、まったく違い、二人とも東大を出て大手都銀へ入り、入社時研修でお互いの力を認め合い、その後、様々な危機を乗り越えていくという成長物語ってところです。

二人が協力し合うのは、最後の最後のわずかなところだけで、ずっと二人の両極端な人生が、それぞれに並行して描かれます。

720ページと、かなり長い小説ですが、途中ダレるようなこともなく、次々とテンポよく話が展開していき、とても面白く読めました。さすがとしか言えません。

将来起業したい、あるいは金融や企業買収などの仕事がしたいと漠然と思っている人は、そうしたビジネスの現場で起きている割とリアルな世界を垣間見られますので、若い人にお勧めです。

★★★

著者別読書感想(池井戸潤)

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ひとり暮らし (新潮文庫) 谷川俊太郎

詩集や童話、翻訳本など多くの著作を出してきた86歳の作家であり、歌謡曲や学校校歌の作詞、鉄腕アトムなどアニメのテーマ曲の作詞、映画の脚本なども手掛ける多才な著者のエッセイ集で、2001年に発刊、2010年に文庫化されています。

「私」「ことばめぐり」「ある日」の三部構成になっていて、1980年代から90年代に雑誌等に書かれたものが集められています。

著者は1931年生まれで戦前派に属する方で、父親は哲学者で元法政大学総長という恵まれたエリートの生まれ育ちから来ているのでしょうか、下世話な庶民的な感覚ではなく、なにか吹っ切れていて、いつも遠くを見ている人という感じが文章から感じます。

ただ意外なのは、そうした教育者の父親の元にいながら、高校卒業後は大学入学や就職活動はせず、詩作に没頭して、その後作詞活動やエッセイスト、評論活動などの道へ向かいます。やはり変わり者と言えますね。現在87歳の今もご健在ですので、こんなことを書くと叱られそうです。

エッセイは、なにかテーマがあるわけでもなく、著者が60歳前後の時期に、日々の暮らしの中で、気がついたことや、感じたことが思うまま?に書かれていて、今ちょうどこのエッセイが書かれた著者の年齢に達した私が読むと、多くの共感と納得感が得られます。

もし私が、20年以上前の40代に読んでいたら、中には反感を覚えたり、目を上滑りしていくだけに終わったかも知れません。

★★☆

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