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あらゆる地域からガソリンスタンドが次々と姿を消しています。私が今住んでいる家に引っ越してきた20年前なら、主要県道がすぐ近くを通っているためか、自宅から半径1km以内に5~6軒はあったガソリンスタンドが今では2軒になってしまっています。

スタンドの跡地は、市街地ならばコンビニやドラックストア、中古車販売店、マンションなど様々に形態を変えてしまい、もうその名残すらありません。しかし少し地方へ行くと、廃業したスタンドがそのまま手つかず状態で残っているのをよく見かけます。

旅の途中、ガソリンの残量が厳しくなって、国道を走ればすぐに見つかるだろうと思っていたところ、廃墟となったつぶれたスタンド跡がいくつかあるものの、営業しているスタンドが全然見つからず、いつ燃料切れになるか冷や汗たらりで苦心したことがあります。

以前だったら残量警告灯が点いてから探せば問題なかったのですが、深夜や地方の知らない土地では早めに給油をしなければ安心してドライブができません。困ったものです。

ガソリンスタンド軒数推移(データ出典:石油情報センター)
GS01.JPG

ガソリンスタンドの経営側にとってみれば、マージン率が年々減少し、スタンドの維持コストを考えると、地価や人件費が高い都市部だけでなく、地方の老人ばかりの数十~数百世帯程度の集落では販売量も低調で、とても経営的には立ちゆきません。

また安いと知ればわざわざ隣町や遠方にあるスタンドへ買いにいく人が増えていて、大量仕入大量販売で廉価に仕入できない零細な給油所では資本力のある大手チェーン店にかないません。

さらにスタンド経営を圧迫することになったのが2011年から施行された消防法で、40年以上前に埋設した燃料用地下タンクの改修を2年以内に行わなければならず、その期限が来年(2013年)2月にやってきます。

費用の面でその改修ができずに廃業せざるを得ない老舗スタンドも増加しているのでしょう。

都道府県別にスタンド数の推移を見ると、1997年と2012年の15年間のあいだに、もっともガソリンスタンドが減少した率の高かったのが東京都でその率はなんと50%減。

つまり半分に減りました。2番目が47%減の大阪府、3番目が44%減の福岡県、4番目は42%減の京都府、5番目は42%減の愛知県と概ね大都市圏が占めています。

都道府県別ガソリンスタンド軒数推移(同上)
GS03.JPG

逆に減少率が少なかったのは沖縄県22%減、以下秋田県26%減、新潟県27%減、山梨県28%減、青森県28%減と大都市圏から離れた地方の地域が多いです。そして減少率の全国の平均は37%減でした。

同様にこの15年間でガソリンスタンドの店舗数がもっとも減少したのは減少率で大きかった東京都で-1,380店、2番目が愛知県で-1,256店、以下大阪府-1,075店、千葉県-941店、北海道-929店となります。全国合計では21,872店舗が閉鎖されています。

それではなぜ大都市圏に集中してガソリンスタンドの数が大きく減少したのでしょうか?

理由はいくつか考えられます。例えば都市部では利益の減少により、人件費代や地代のコストと引き合わなくなったこと、廃業後の跡地の有効利用がしやすいこと、高燃費車の増加で需要が減り、またエコ意識の高まりから特に都市部では公共交通へ移ったこと、大手フランチャイズ店との熾烈な価格競争で負けて疲弊したことなどが考えられますが、実はもっとも影響が大きかったのはセルフスタンドの登場です。

さかのぼること14年前の1998年の消防法改正では、規制が大きく緩和され、外国では当たり前だったセルフ給油式のガソリンスタンド設置が可能となり、現在では約2割ほどのスタンドがこのセルフ式を取り入れています。

ガソリンスタンド種別推移(出典:全国石油協会[資源エネルギー庁調べ])
GS02.JPG

このセルフ店は従来のフルサービス式のスタンドとは違い、人件費コストを大きく減らすことができ、スペースを有効に利用し給油する場所を拡大できるようになりました。

結果的に経費が抑えられ1店舗あたりの売上が上がることは、ガソリン価格の競争で周囲のライバル店より優位にたてます。

そして今までは家や会社から近いというだけで分散していたユーザーが、遠くても安いセルフスタンドへ集中したことで、その周囲のフルサービス型スタンドは経営が立ちゆかなくなったというわけです。

そしてセルフ式に変更すると同時に、コンビニやコーヒーショップを併設するスタンドが徐々に増えてきました。しかし今のところ需要が多い都市部の幹線道路沿いや街中に限られているようです。

それは規制によりスタンドと併設する店舗は同じ時間帯で営業しなければならず、交通量が多く需要の高い24時間営業の店などに限られているということでしょう。

例えば24時間営業のセルフスタンドに10時から20時までのカーショップやスーパーを併設するようなことが現状ではできません(双方が同じ時間帯だけで営業するなら併設することは可能)。

以前ブログで「ガソリンスタンドは今後地方都市の集落において、コンビニや郵便局などを併設したラストワンマイルの拠点になるかもしれない」と書きました。

しかし現状ではスタンド併設式店舗は主に都市部に限られて、人口の減少が続く地方においてはまだこれからといったところでしょう。

そうした地方集落でガソリンスタンドとコンビニなどのコラボが普及するには、以下の条件が必要です。

1)市区町村の自治体からの支援(併設コンビニ内に役場の出張所開設や指定購買先として優遇)
2)ネット通販が普及し、配送拠点が必要となる(郵便や通販物資の拠点化)
3)宅配会社と日本郵便の取り扱い併設が可能となる(1店舗で複数社の取り扱いと共同配達)
4)JAの協力(金融機関としての協力)
5)地方自治の推進と規制緩和(公有地の利用、医療・介護・薬事などの分野で地域限定の施策)

地方で過疎化が進む集落がすでに限界集落(人口の50%以上が65歳以上の集落)へ向かいつつあります。

2006年の国土交通省の調査では住人の半数以上が65歳以上と回答した市町村が7,878集落あり、さらに高齢化が進むと予想される2030年代には、地方の過疎地に限らず、都市部の中でも増えていく傾向にあります。

限界集落の後にくるのは、なにか手を打たない限り、うち捨てられた消滅集落の道しかありませんので、そのような集落にまでスタンドやコンビニが必要かという議論は当然あります。

そしてそこへ行く手前の準限界集落(55歳以上人口が50%を占める)は、限界集落の何倍もの規模があると想定されますので、そのようなところは今後ネット通販の拡大の可能性が大いにあり、こうしたビジネスモデルを創り上げていくことは十分可能でしょう。

【関連リンク】
小売ビジネスはどこへいくのか 2012/10/27
ガソリンスタンドの経営が厳しいと言うことはわかるが 2012/6/20
原油価格とガソリン代 2010/11/1

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消滅集落の維持は無理でしょう。
日本全体の人口が減っていく事が確実な状況で、消滅集落の維持は無理でしょう。
ネット通販の可能性があると書かれていますが、今後、金のない老人が増えていく中で採算が取れるか怪しいものです。
あと、今の50代、60代でもパソコン音痴、スマホ音痴は結構います。
そういう人たちは、ネットで注文する事ができないでしょう。
インターネットにアクセスできない人たちは、そこでアウトです。

さらに、食料品、生活用品はネット通販化できたとしても、介護、医療はネット化できません。
結局、何らかの人手(若い人)が必要です。
そして、その若い人はもう、減少の一途です。

もっと問題なのは、ネット通販を可能にするためのインフラが限界にきていることです。
笹子トンネルに限らず、限界にきているインフラは全国に多数あります。
そして、それらのインフラを維持する経済力は、もう日本にはありません。

最終的には、消滅集落の人々を都会へ集団移住させるしかないでしょう。
ただ、それも簡単にはいかないでしょう。
2012-12-16 Sun 23:32
KKMM
RE:消滅集落の維持は無理でしょう。
KKMMさんこんばんは!コメントありがとうございます。

私も限界集落の救済はもう無理だと思っています。
しかし準限界集落(55歳以上が過半数)はまだ可能性が残っているような気がします。

パソコンリテラシーについては、いまや小学校でもタブレットPCを使って教えている時代ですから、一部のリテラシーの低い高齢者向けにも拡げれば簡単なことです。別に難しい計算式をマクロで組めというわけではありません。今後は選挙などもネット解禁されるでしょうから生活していく上で必要だとなれば覚えるでしょう。

インフラはすでに光回線が日本中に張り巡らされています。儲かっているNTTグループやauやソフトバンクに貢献させて、さらに各家庭へは無線で接続できるようにすれば橋やトンネルを造るのと違ってお金はかかりません。電気も通じていない途上国の住人が携帯電話を持っていたりしますが、あれと同じです。

医療、介護はその通りですね。でも薬をもらいに半日がかりで遠くにある大きな病院へ通わなくても、ネット診療の活用と薬のコンビニ受取りなど規制が緩和されると寝たきり以外の人は好きな集落で暮らすことができそうです。

地方の高齢者を本人が望まないのに都会なんかに移住させれば、すぐにストレスがたまり、寝たきりや痴呆を発症してしまいそうです。そうはしたくないものです。
2012-12-17 Mon 21:40
area@リストラ天国
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紆余曲折の人生を歩む、しがないオヤヂです。
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