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587
毎日通勤に使っている駅は、私鉄の急行の停車駅ということもあり、朝晩は通勤客や通学客であふれかえります。その駅前でしばしば政治家が街頭演説をおこなっています。現役の国会議員の時もあれば、市会議員や県会議員、前回落選した”ただの人”まで、毎日ではないけれど日替わりでよく見掛けます。

選挙運動の一環として古くから「街頭演説は基本中の基本」とされてきましたし、たぶん現在もそうなのでしょう。最近一躍有名になったのが、野田総理が財務大臣に入閣するまでの24年間、出勤時間に駅前で演説する「朝立ち」を続けていたことがニュースで取り上げられました。またそこでの演説がYoutubeにアップされ、そこで語っていた内容と、総理大臣になってからおこなっていることがあまりに違いすぎていて野党に突っ込まれていました。

20110521_013.jpgしかし、なぜか今でもこの「辻説法」は「政治家の第一歩」とか「政治家の基本」のように言われていて、多くの政治家やその卵が、まるで念仏を唱えるがごとくそれを信じてやっています。

確かに、一般の人が政治家を見る機会は少ないし、人気と実力がないとテレビに映ることもありません。駅前での演説で多くの市民に少しでも顔を売り、それが選挙の際に馴染みのある人ということで票となって返ってくるというわずかな可能性は否定できません。

また政治家は昼間や夜は会議や人に会うので忙しくても、朝は比較的暇なので、地元にいるときにはこの朝立ちは時間の有効活用法とも考えられます。

でも時代も人もどんどん移り変わっていく中で、このような戦略をいつまでも盲信していて本当にいいのかなと他人事ながら気になります。

圧倒的不利と言われていたマイノリティの候補者が、Facebookを有効に利用してアメリカ大統領になる時代なのです。いや、別にネットの活用だけを言っているのではありません。例え聞きたくても、立ち止まって聞いていられない朝の駅前演説よりもっと他に方法がないものでしょうか。

例えば、ちゃんとテーマを決め、簡潔でインパクトのある演説の動画映像を撮影し、資料と共にPCで見られる動画にして自分のサイトに置くとか。もちろん同時にそこへ有権者を誘導する方法を考えなければなりません。

それならば暇なときに知りたい情報だけをうまく演出された動画で見ることができます。しかもテーマごとに何本でも作れば、見る側も必要なことだけ知れるので、お互いに時間が節約できて有効でしょう。ただしその場合、言ったこと(個人公約)と違ったことをすると、あとで証拠を突きつけられ非難されるでしょう。その程度の覚悟は必要です。

朝の街頭演説を駅まで歩きながら聴いてみると、一部分だけなのでそのせいかも知れませんが、その内容の空虚さ、抑揚のない平坦で棒読みのような話し方、なにか惰性で嫌々やっているぞという感じがしてきます。そりゃそうでしょう、誰も真剣に聞いてくれていないのに熱く語るのは無理です。

おそらくその演説を正面で向かい合って聞いている多くの人がいれば、そのような気の抜けたような話し方にはならないと思われますが、次々と忙しそうに目の前を通り過ぎ、目も合わせられない相手ばかりだと、どんなに演説名人でも投げやりで無気力感満載の演説になってしまい、逆効果とさえ思ってしまいます。

様々な規制が多い日本の政治・選挙活動ではおこなえることも限られていますが、それにしてもいつまでも駅前街頭演説が「政治家としての選挙活動の基本」と考えてやっているならば、それは時代錯誤も甚だしいのではないでしょうか。

それではどうすればいいか?

本来、政治家になろうと思えば、自分の考え方に応援してくれそうなターゲットが決まってきます。20代の学生や若者から80歳の高齢者の誰からも好かれようとする全方位型は、すでに有名人となっているタレント候補でなければ無理です。

普通なら「子育て支援に力を入れると決めたから、自分を応援してくれる一番のターゲットは20代から30代の女性」とか、「今まで社会福祉活動をやってきたから高齢者にはきっと共感してもらえる」とか、「40年間ずっと勤め人をやってきて、所得税の不公平を訴えるからサラリーマンが対象」とかターゲットを絞り込みます。そしてターゲットが決まれば次はそのターゲットにどうPRするかというマーケティング戦略です。

例えばそれらターゲット層が多く集まる場所を探さなくてはいけません。その場所で報告会や勉強会などと称してPRする機会を作ったり、時には客寄せパンダに有名人に来てもらったりします。

20120311_013.jpgまた「30~40代の女性」なら、普段からネットを活用していますから、自分のブログやTwitterなどを活用し、困っている人の話しや、テーマに即した意見を聞いてあげる仕組みを作るなどして、その世代にアピールしていくべきでしょう。ネットの問題点は、年代や性別はある程度絞れても、エリアが広範囲すぎて自分の選挙地域に限定できないということでしょう。でもそれは仕方がないことです。

そしておそらくターゲットとして一番難しいのが20代の男女でしょう。この年代は人口も少なく、選挙へ行く率も低いので、政治家にとってはあまり選挙運動の対象にされません。そしてなにか不用意な発言とかへまをすると、それが引き金となりブログが炎上したり、悪評がまき散らされる危険すらあります。

したがってこの層には現在どの政治家もまずアプローチをしていませんので、これから新たに政治に飛び込もうとするなら、逆張りで狙ってみるのも面白いかも知れません。ただ悲しいかなこの層の票だけで当選できるほど甘くはないのが少子化の現実でしょう。

政治家の中でも河野太郎氏(自民)はブログやmixi、Twitter、有料メルマガなどを利用して、スマートに自己主張や活動報告をおこなっています。ブログを読むと、どこでなにのテーマでいつ演説会をするのかわかりますし、Twitterではブログに新しい記事が書かれた際の告知や、演説会、国会質問の内容などが書き込まれています。

当然このサイトでは河野氏の一方的な発表の場であり、なんと言っても人気取りのPRの場ですからその内容について100%信用していいものではありません。しかしなにも表に出さない政治家よりはずっとわかりやすく、身近に感じられます。

衆議院議員 河野太郎公式サイト

同氏の有料メルマガは購入していませんが、基本的に、ブログに書く内容を先にPUSH型(わざわざブログを見に行かなくても、送られてくるメールでその文章が読める)で読めるそうです。有料と言っても月数百円で、1~2回のコーヒー代です。なので、メルマガで情報を買うと言うより、有料メルマガの購入者は個人的に政治活動を応援するから寄付するよという感覚なのでしょう。

河野太郎氏は誰も知っている古くから続く名門政治家の御曹司で、有名だからそういう派手な手法ができるのでは?と思われがちですが、私も彼のブログを読んで初めて知ったのですが、他の2世3世議員に見られるようなひ弱で世間知らずな感じはありません。家柄のいいエリート臭がするのは致し方がありません。

自民党の中でも自己主張が強く、思ったことは頑として曲げず、時には自民党や同僚の議員を公然と批判し、党内で処分を何度も受けている反逆児で、お坊ちゃまの多い自民党の議員らしくなく(大金持ちの名門家生まれで外国への留学経験もあり、有名大企業に就職していた河野太郎氏も間違いなくお坊ちゃまではあることは間違いありませんが)、好感が持てます。この河野氏以上にネットをうまく活用している現役の政治家は他にはいないでしょう。

ま、私は自民党員でもなければ、河野氏の選挙区に住んでもいないし、特に個人的に応援をしているわけではないので、あまり誉めすぎるのもなんですが、おそらく近い将来、手負いになった自民党を背負って立つ人になる人でしょう。

それにしてもいつの日かネット投票が可能になれば、高齢者の投票率が高いという年代によって偏りのあるものが、一気に若年層の投票割合が増え(とは言え母数が少ないのでもともと不利ですが)、それによって政治家の顔ぶれがガラッと変わってしまうこともあり得ます。

そうはしたくない現役政治家が、自らの首を絞めることになる選挙改革をするとはとても思えないので、これを実現するには、いずれそうなるであろう「先進国ではネット投票が当たり前」「選挙コストの大幅削減」という外圧やグローバルスタンダードに頼るしかないのかもしれません。

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583
まずは人口推移実績と予測グラフを見ていただきましょう。

jinkou.jpg
2010年までの実績値は「国勢調査」「人口推計」、2011年以降の推計値は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(H18年12月)」の中位推計

このグラフの未来予測は「国立社会保障・人口問題研究所」のものですが、今年発表された最新のデータでは「2060年の日本の人口は8674万人と2010年比32%、4132万人減少すると試算。65歳以上が5人に2人を占めるほか、生涯未婚の比率が5人に1人に高まり、少子高齢化が加速する。」とのことでした。

5年前の推計(上記グラフ)より今回の推計のほうがさらに人口減少は悪化(人口減)しているようです。

話半分以下にしても、ある週刊誌では『人口減少社会「消える会社」』と銘打って、識者や企業人が50年後の日本の社会を推測していました。

 ・日本のGDBは2025年に16%、2050年には42%減少。
 ・都心部でも廃線が始まり、小田急線は成城学園前止まり
 ・デパート、新聞社、テレビ局は存亡の危機
 ・多くの銀行、生保は消え、病院・大学も次々と閉鎖
 ・多くの人は住宅ローンが組めない
 ・宅配便は自宅まで届かない
 ・プロ野球もJリーグもなくなる


でもね、人口が減るとは言っても50年後にまだ8600万人もいるのですよ。

現在のドイツ8200万人、フランス6500万人、英国6200万人、イタリア6000万人などの先進国と比べるとまだまだずっと多く、老人ばかりというハンデはあるものの、老人だから生産や消費になにも貢献しないというわけではありません。

真面目な人が多い日本には「身体が動くうちは働きたい」と思う人は多く、そしていよいよ身体の自由が効かなくなってきたときの保障さえしてくれれば、高齢者だってレジャーや生活に普通にお金を使うはずです。

大規模な老人ホームの中には病院はもちろん、コンビニやゲームセンターはもちろん、旅行会社のカウンターや結婚式会場が普通に併設されるようになるかも知れません。

プロ野球やJリーグなどのスポーツを見て楽しむ人は年齢には関係がなく、また選手もすでに40代の現役選手が年々増えてきているように、いずれは50代現役選手とかが出てくることで裾野が拡がり、消滅することなんか考えられません。今年の大リーグではスタートはマイナー契約ですが49歳のモイヤー投手がまだ現役続行です。

自分でも楽しむスポーツで言えば、若い人が中心のスポーツから、高齢者でも楽しめるものが増えていくことが予想されます。例えばパターゴルフやビリヤード、太極拳なんてものがもっと盛んになっても不思議ではありません。

私はもちろん50年後には生きていませんが、実はこの人口8600万人の日本の社会にものすごくあこがれています。もっと言えば、江戸幕末の頃の人口3千万人ぐらいの日本に惹かれます。

なにがって?そりゃ、いくつもあります。

・不動産、特に住宅が安くなる
人口が減りさらに世帯数も減れば住宅用不動産はさっぱり売れなくなります。都内でも大きな1戸建てが、今の貨幣価値で数百万円(いまの1/10以下)で買えるようになるかもしれません。これだと高度成長・終身雇用時代の遺産でもある35年ローンのようなバカなことをしなくても済みますよね。

・激烈極める満員電車に乗らなくて済む
私は20代前半から平日は毎日満員電車に乗って通勤をしています。朝も夜も新聞はおろか文庫本ですら読めない混雑ですが、人が減ればそのような非人間的な生活ともおさらばできます。できれば勤務先へはバイクか自転車で通いたいものです。

・ゴールデンウィークやお盆の帰省ラッシュや渋滞がなくなる(かも)
20120301_1.jpg
自然渋滞は平常の交通量からわずか数パーセント通行するクルマが増えるだけで発生すると言われています。人口が3割減ると道路の渋滞も相当減るでしょう。現在の交通渋滞による経済損失は年間でおよそ10兆円と言われています。そのロスがなくなれば企業も個人もとてもハッピーなことです。

・病院や役所での待ち時間がなくなる
大病院では5分間の診察のため2時間待ちというのは現在では普通の光景です。また役所で各種の手続をおこなうのにも長く待たされます。役所の場合、仕事の効率の問題もありますが、その頃には人手不足解消のため、今よりずっと機械化や電子化されていて、ほとんどの手続は自宅でおこなえ、待ち時間はなくなるでしょう。病院も特別な時以外は在宅したまま診察がおこなえるでしょう。

・地産地消が進む
今は都会にいれば世界中の食べ物が旬であるかどうかに関わらずいつでも買うことができますが、燃料費が高騰し、さらに物流に人手をかけられなくなると、基本的には地元産の農作物(地元工場で計画的に生産された農作物)を消費するようになるでしょう。なにも東京や大阪へ遠隔地から高い輸送コストをかけて、野菜や魚、冷凍肉を運んでくる必要はありません。地元の旬なものをありがたくいただくというのが本来の生活です。

・医療レベルが上がり、老人にとって住みやすい環境に
高齢者が多くなると、需要と供給の関係で医療レベルやシステムが確実に向上し、また街の設計は移動距離を減らすためコンパクトに集約され、高齢者に便利な環境が整えられます。一方では郊外に出ると人が少なくなった分、広い公園や趣味の農園などが充実するようになります。

・IT&高齢者ビジネス先進国に躍り出る
世界に先駆けてITを高度に利用した医療、教育、研究、政治、社会インフラ、メディア、コミュニティ、エンタティメントなどが発達し、それらを今後次々と高齢化を迎える国々に輸出をすることができる。

逆に不便になることもあるでしょう。

・スーパーやコンビニではすべてセルフレジが当たり前

・公共工事が減り主要道路以外の道はボコボコでも改修工事がおこなわれない

・ゴミの収集は月2回で有料制

・宅配便は最寄り営業所かコンビニ留まりで、自宅配達は別料金

・救急車は民間委託となり有料

・介護や医療、サービス業、建設業などに勤務する人は日本語が怪しい外国人労働者が多数を占める

・警察官が削減され、多くの交番も廃止され地域によっては治安が悪化

・乗客数が減り、また運転手が減らされ、公共交通の電車やバスの本数が減少

・消費税は北欧並みの25%程度

でも、そこれらのデメリットを補っても余りあるほどメリットは大きいなと想像しています。

元々この生活できるエリアが狭い日本列島に1億人は多すぎたと考え直してもいいでしょう。

人口8千万余と言えば太平洋戦争の前後の人口です。

その前後、国民が増えすぎたと言って、国が率先して海外移民を進めた歴史があります。当時は産業や経済が現在とはかなり違うといっても、8千万人で多いと思っていたわけです。

20120301_2.jpg

人口が減り、GNPが下がることを容認したことをいうと「江戸時代の暮らしに戻るのか?」と極端なことをいう人がいますが、世界中で人口爆発、食糧危機が叫ばれる中、GNPを上げるために人口を増やそうという考えも本末転倒ではないでしょうか。

8倍の人口のお隣中国にGNPで抜かれるのは当たり前のことで、それを悔しがるのもまた馬鹿げています。

そろそろGNP至上主義から脱し、身の丈にあった経済と社会システム、世界中の高齢者から羨ましがられる整った環境とシステムを作り上げれば、もうそれだけで、世界の中の日本の地位は築けるのではないでしょうか。


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578
現在公式に外国から日本へ来ている研修実習生はどのぐらいいると思いますか?

  (1)5万人 (2)10万人 (3)20万人

・・・答えは後ほど本文中で

昨年の東日本大震災に続く津波で、仙台の水産工場が被害を受けましたが、その際に中国から来ていた実習生達をいち早く山の上へ避難誘導し、自分はまた工場へ戻ったために津波にのまれ亡くなった日本人工場責任者の美談が、繰り返し日中両国で報道されていました。

あの時出てきた水産工場での仕事(おそらくだが鮮魚をさばいて加工用機械に入れる。あるいは出荷前の製品をチェックするなど)が果たして技能実習と言えるのかはここではさておきます。

また地方の農村部では働く人の高齢化が進み、重労働で体力が必要な収穫や出荷準備は、外国からの若い実習生がいなければとても続けていけないという話しもよく聞きます。

都会では、80年代後半のバブルの頃から、飲食関連を中心にアジア系外国人労働者をよく見かけるようになりましたが、こちらはどうも実習生というわけではなく、多くは留学生(のアルバイト)や、正式な労働ビザのようです。

今ではなくてはならない外国人労働力ですが、基本的に国家の方針として移民の受入は原則認めず、長期滞在ができる正式な労働ビザを取得することは非常に厳しい日本です。しかしバブル以降、3Kと呼ばれる仕事に就きたがらない若者が増え、そうも言っていられなくなり、簡便に単純労働力として外国人を受け入れられるようにしたのが「外国人研修制度」と言われています。

この制度、本来は「開発途上国への国際貢献と国際協力を目的として、日本の技術・技能・知識の修得を支援する制度」(wikipedia)と表向きはなっていますが、実際のところは、日本の若い人がやりたがらない単純労働を、代わりにやってもらうための制度と言ったほうがわかりやすいかも知れません。似ていますが職種や期限に定めがなく、ブラジルなどからの日系人を優先的に受け入れる「日系研修員受入事業」とはまた別の制度です。

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当然、このような机上の穴だらけの制度には、様々な問題が起きていて、特にひどいのは、研修生とは名ばかりで、単に安い労働力の確保とみている強欲な経営者が悪用している例や、中には出稼ぎして大金が手に入るからと誘い、渡航費や保証金を出させ、借金まみれにしてパスポートを取り上げ、借金返済まで厳しい強制労働をさせていた悪質業者まであったそうです。

現在は何度か法改正をおこない、入国期間は最長3年間、入国時に日本語や生活習慣などの研修、最低賃金等の労働法令が適用、不正行為を行った企業の受け入れ禁止期間の延長などを決めていますが、まだ穴だらけという印象はぬぐいきれません。

しかし本当にすべての穴を防いでしまうと、格安の労働力が減ってしまい、高齢者ばかりの地方の農業や水産業が崩壊してしまい、円高や内需激減に苦しむ零細工場が、軒並み倒産してしまうのではと言われています。確かに失業率が高いからと言っても、少子化でますます減っている若者が、地方へ行って最低賃金ギリギリの安い賃金で、過酷な環境で農業や水産業の単純作業に就くとは考えられません。

この制度で入国している外国人数ですが、2005年には約8.3万人、2010年時点では約10万人です(最初の質問の正解は10万人でした)。意外と少ないような気もしますが、雇用環境の悪化で技術や能力のいる仕事が満足にない中で、今のところこの制度を現状よりももっと積極的に使って外国人を呼ぼうという動きはなさそうです。

しかし上記のような農業、水産業をはじめ、建築、土木、製造、各種サービスや介護といった仕事は今後ますます人手不足に陥ることが予想されます。多くの若者がそれに就かない限りは、海外から来てもらうしか方策はなく、逆に途上国からは日本で仕事をすることで、効率よくお金が稼げ、うまくすれば技術も身につくということで、本来はもっと積極的に進めていくべきことかもしれません。

そうすれば少子化ゆえの経済衰退にも多少なりとも歯止めがかかり、3年とは言わず最長20年ぐらいは居住権を認め、結婚してからも日本で生活してもらうことで、税金や生活費や教育費も支払ってもらい、特にシュリンクしていく地方経済の活性化につながるのではないかと期待しています。

現在のところ、研修生の国別内訳は、中国が全体の78%(2010年)と大半を占め、その他の国としてはベトナム(8%)、インドネシア(5%)、タイ(1.8%)などからも受け入れています。

中国はもはや日本で働くよりも自国で働くほうがメリットが大きいとも言えますので、今後は減少していくでしょう。その代わりに、インドネシア、ベトナム、フィリピン、モンゴルあたりからより多くの研修生を受け入れ、過去に迷惑をかけたお詫びというわけではないけれど、もっと両国のメリットにつながるよう、優遇していってもいいのではないでしょうか。

ただ、外国の一部からは、この制度自体が人身売買と映ることもあり、アメリカ国務省が昨年まとめた「世界の人身売買の実態」にもこの制度の記載があるそうです。そうではなく、両国にとって望ましい形での有期移民制度として発展させていく法整備と体制作りが必要でしょう。そうでないと、まったくみっともない話しです。

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575
昨年2011年の自殺者数は、2~3年前から大きく騒がれ、多額の対策予算をとって、様々な手をうってきましたが、その結果は前年より1,100人ほど減った(3~4%のマイナス)ものの、14年連続して3万人を超え30,513人となりました(警察庁統計)。

1年365日で割ると、1日平均で83.6人が自殺で亡くなっています。

しかもこの統計に表れる自殺者数は、遺書が残されていたり、ハッキリと判明しているケースだけで、事故死や病死と区別がつかないような時は、残された遺族のことを考えると自殺とは判断されないでしょうから、実態としてはもっと多いはずです。

例えば処方されていた睡眠薬を多目に飲んで死亡した場合、遺書があれば自殺になりますが、本当は自殺目的でも遺書を書かずに発作的に飲んでしまった場合だと、間違えて飲んでしまったと誤飲事故の扱いになることもあるでしょう。

「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」や「生きて虜囚を辱めを受けず」など、昔から日本人の気質として自殺者が多いのは有名ですが、国別にどの国の人が自殺する割合が高いをみる自殺率は「国民10万人あたりの自殺者数」で比べます。そのできるだけ新しいデータでの国際比較が下記の表になります。

2012010015.jpg
(各最新データ、日本は2010年)

自殺率の国別比較では、韓国、ロシアは日本より上位ですが、米国やドイツの2倍以上、英国の3倍以上と、先進国からするとやはり異常に高いと言わざるを得ません。日本、韓国、東欧諸国については「自殺の多さは文化」「民族の特性」とも言えそうですが、決して誇れる文化でも特性でもなさそうです。

自殺と宗教がなにか関係しているのかと思って調べてみました。自殺率の多いそれぞれの国でもっとも多い信仰宗教、あるいは無宗教は下記の通りです。
リトアニア ローマ・カトリック教会(79%)  
韓国 無宗教(約半数) プロテスタント(約30%)
ロシア ロシア正教会(大半)  
ベラルーシ 東方正教会(80%)  
ガイアナ ヒンドゥー教(28%) プロテスタント(16.9%)
カザフスタン イスラム教(47%) 正教会(44%)
ハンガリー カトリック(67.5%)  

と、バラバラで、ほとんど宗教と自殺はどうも関係なさそうです。

以降のデータはすべて日本のものですが、自殺する人の職業はと言うと、圧倒的に多いのが無職者で18,673人(59%)、次が被雇用者(勤め人)8,568人(27%)、その次はずっと少なくなり自営業者・家族従事者で2,738人(9%)です。この上位3つで全体の95%を占めています。いじめ問題や友人関係、恋愛など悩みが多そうな学生(小・中・高校、大学生)の自殺者は意外と少なく928人(全体の3%)です。

年代別では50歳~59歳の50代が最も多く、次が60代、その次が40代で、いわゆる中高年者がほとんどです。ただ女性に限ってみると、50代の次は30代となっていて、その点が男性と違います。

ちなみに私は、その自殺がもっとも多い「魔の年代」の真っ只中にいます。そうなんです、この年代になると「毎日つらいだろ、そろそろ楽になったらどうだ?」と耳元でささやきが聞こえるようになるのです。嘘です。

井上陽水の古い歌じゃないですが、「若者の自殺が増えてきてたいへんだ」と言われますが、実は19歳までの自殺者は全体からすると誤差の範囲とも言えるわずか1.7%です。中高年者の自殺と未来のある若者の自殺では損失価値が違うと言われそうですが、それは差別でもあり、また実は取り立てて大騒ぎするような数ではないことは確かです。

自殺の原因別は、
2012010011.jpg

健康問題 48%
経済・生活問題 22%
家庭問題 13%
勤務問題 8%
男女問題 3%
学校問題 1%

となっています。(いずれも2010年データ)

この自殺の原因を見る限り、もし自殺者を大幅に減らす対策をおこなうならば、学校のいじめ問題対策やリストラ問題対策でもなく、今すぐにおこなうべきは「精神と肉体の両面での医療、介護、福祉(ケア)」と、それらに関係して「経済的負担の軽減」と「社会復帰するためのサポート」に尽きます。

と書くと、先月読んだ山本譲司氏著「障害累犯者」に登場してくる「知的あるいは聴力障害者」に対するサポートと非常に似ています。しかしそうした障がい者と自殺の関連は調べていません(調べようがない)ので、関係があるのかないのかは不明です。

無職者の自殺が多いというのも、リストラなどによる解雇が直接原因というより、健康を害し(あるいは障害があって)仕事を辞めざるを得なくなり無職、あるいは倒産やリストラなどにより退職した後、数カ月の雇用保険受給期間を過ぎても再就職がうまくいかず、いよいよ生活に困窮し追い詰められてというパターンだと考えられます。

リストラ解雇問題は自殺者を生み出す間接的な要因としては考えられますが、自殺者対策はリストラを問題視する以前に、働く意欲のある人にとって、再就職や新規開業などが容易にでき、万が一うまくいかなくても、心のケアと生活費のサポートが受けられるセーフティネットの拡充が必要と言うことでしょう。しかしこれでは国にお金がいくらあっても足りそうにありませんね。

さて、次に「失業者数と自殺者数には相関関係がある」としたり顔で語る人やメディアが多いので、過去からの推移を失業率と自殺者数、それに失業率と反相関関係にあると言われている名目GDPと3つ並べて見ることにします。※名目GDP(物価を考慮しない国内の経済活動の総額)

2012010012.jpg

理論上は失業率が下がり(失業者が減り)、より多くの人が経済活動に関わることになれば、自動的に名目GDPは上がる(増える)はずです。しかしグラフではあまりその傾向は見て取れません。

では失業率と自殺者はというと、失業率はバブル崩壊後の1990年頃から徐々に上昇していきますが、自殺者数は1998年に一気に上がった以外、その前後はほぼ横ばいであとは目立った動きはありません。一見すると関係がありそうに思えますが、その二つに「ハッキリとした相関関係はない」と言えるでしょう。

1999年は失業率が4.1から4.7%と0.6ポイントも急増し、名目GDPが1%下がりましたが、自殺者は横ばい(0.5%の微増)です。2003年は失業率が前年から0.1ポイント下がったにも関わらず名目GDPも下がってしまいました。そして自殺者数は前年から7ポイントも一気に急増することになります。

しかしいったい自殺者が急増した1998年にはなにがあったのでしょうか?もしかすると自殺者のカウント方式が多少変わったのかもしれませんが、警察庁調べと総務省調べを比べてみると、総数は違うものの同じ傾向が見られますのでそれも違うでしょう。

GDPが上がると自殺者は減少し、逆に下がると自殺者は増加するという傾向は、先ほどの失業率よりはなんとなくですが反相関関係にありそうです。それでも2001年や2008年のように双方とも下がっているという年もあり、もっと詳しく分析するには、経済活動や失業以外の他の要因、例えば人口構成比の変動、当時の世相、金融施策、人気タレントなど影響力を持つ人物の自殺、集団自殺の流行などについても考慮する必要がありそうです。

■関連過去日記
2010年2月 338 自殺者数が年間3万名を超えている意味
2009年7月 246 自殺考その3
2007年7月 052 自殺考その2



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574
高齢化社会という言葉はすでに耳タコになっていますが、その高齢者は裕福なのか?と問うと、60歳以上の高齢化世帯は平均貯蓄額が2000万円を超えている(平成22年調査)ということを過去に何度か書きましたが、実際には何億円と貯蓄を持っている人もいれば、貯蓄はゼロと言う人も当然いますので、答えは人によるというのが実際のところでしょう。

一般的に格差社会と言えば「若者の正規社員と非正規社員の所得格差」のように思われがちですが、高齢者の年金支給額や、貯蓄や不動産など保有資産からなる高齢者の貯蓄・資産格差も実はものすごく大きいのです。

下記のグラフは平成22年(2010年)の総務省家計調査のデータを加工して作ってみたものです。まず貯蓄額別世帯主年齢割合を40代、50代、60代、70代以上で比べてみました。

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これでわかるのは、60代になると急に貯蓄額が膨れあがります。これは60代以上の多くの人が、退職金をもらったことによるものと推測できます。しかし実際にはこの数千万円の退職金は、今や一部の大企業か公務員に限定されつつあります。現在50代以下の人達が定年に達した時、果たして数千万円の退職金を受け取れるのかは微妙なところです。

次にデータは同じものですが、年代別貯蓄額でその割合を比べてみます。

Pic0004ss.jpg

これを見ると60代以上の40%以上が2000万円以上の貯蓄があり「60代以上の平均貯蓄額は2000万円を超えている」というのがよくわかります。ちなみに40代で2000万円以上の貯蓄があるのは16%、50代では27%です。定年前の50代でも4世帯のうち1世帯は2000万円以上の貯蓄があるんですね。これはちょっと驚きです。

最後に、その貯蓄額を定年前の50代と、概ね退職金を得たと思える60代で円グラフにして比べてみました。

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これでわかるのは、50代と60代とを比較して、1000万円以上の貯蓄を持つ世帯が、37%から50%に増えていることです。つまりこの増えた13%の人達は1000万円以上の退職金をもらえた人ではないかと推定できます。

もちろん退職金をすべて住宅ローンの残金返済に充てたので貯蓄額は増えなかったとか、一度ではなく退職年金として毎月少しずつ支払われるとか言う人もいるでしょう。そういう世帯を含めても、1千万円以上のまとまった退職金が支払われるのが全体のせいぜい20数%かと思うと、意外と少ない気がします。

さらに現在50代の人は、好む好まざるに関わらず、終身雇用制度の破壊者でもあり、転職ブームの火付け役で、30~40代に一度以上転職をしている人が結構多くいます。その場合、転職先で役員にでもなっていない限り、退職金を数千万円受け取ることができるということはないでしょう。

さてタイトルの「老後のためにはいくら必要か?」ということですが、ある試算では夫のリタイア後、60歳の夫婦二人が平均余命(男性21.7年、女性27.1年)まで生きる前提で、質素な暮らしをするにしても約3000万円の貯蓄が公的年金はとは別に必要ということです。

今になって思うと60歳で3000万円の預貯金なんてあり得ないとも思えてきますが、これには通常の毎日の生活費の他、住宅ローンの残り費用700万円、趣味余暇費用500万円(27年分)、子供への援助(結婚や住宅購入)費用400万円、自動車関連費用400万円、住宅リフォーム費用500万円、医療介護費用300万円などが含まれます。

もし、引退後に住宅ローンが終わっていると700万円、自動車を持っていなければその代わりの交通費用(タクシー代とか)を差し引いたとしても約300万円が不要となり、これで引退後に必要な貯蓄は2000万円です。

細かく見ると、夫婦二人世帯の平均的な1カ月の生活費は25万円が必要とされています。仮に厚生年金で夫婦に毎月20万円が支給されるとすると、不足の毎月5万円を貯金から取り崩すことになります。5万円×12カ月×25年=1500万円となります。それ以外に一時的に発生する、自宅の修繕、リフォーム費用、家具や家電の買い替え費用、医療費、子供や孫への贈答や資金援助などを足すと2000万円は最低必要ということになります。

もし生前にお墓を建てたり、葬式費用を準備しておこうと考えると、さらに500~1000万円(お墓の立地による)が別に必要です。そう考えると私は鳥葬か水葬で結構と遺言残したくなります(日本では死体遺棄罪または死体損壊罪になります)。

持ち家でなく借家の場合は、住宅ローンの残債やリフォーム費用、固定資産税は不要ですが、平均でならすとそれらを上回る家賃負担が死ぬまで毎月のしかかります。その対策としては、子育てが終わればできるだけ子供を早く家から追い出して、速やかに年金生活に入っても余裕のある安い借家に移り、その浮いた分を貯蓄に回しておくという工夫が必要そうです。

ただ安いからと古いアパートに引っ越すと、入居後数年で建て替えのため追い出される可能性があります。そうなるとまた慣れない新しい土地へ引っ越して生活することになり、さらには高齢者だけの入居を嫌がるオーナーがいたりと苦労しますから、終の棲家探しは慎重におこなわなければなりません。

地域医療や日々の生活のことを考えると、安住の地は財政破綻のリスクが少ない市町村に限りますが、地方都市の安い家賃の住宅へ引っ越すのもありかも知れません。ただその場合、都市部と比べると医療、介護、買い物、娯楽などに不便な思いをするかもしれません。

一時期はリタイア後は物価の安いアジアの発展途上国へ移住すれば、年金でリッチな生活が送れるというブームがあり、今また円高の恩恵でそれが注目されていますが、高齢者にとって語学はもちろんのこと、治安や医療、季候、住環境、食生活、近所付き合い、娯楽などの面で、若い頃のような行動力や環境順応性が落ちてきますので実際は厳しそうです。

それにしても引退後の無収入生活への準備には思わぬ大金がかかるものです。高齢に近づくと人はみな一生懸命に貯蓄に励むのもわかります。私は贅沢しなければ年金だけで最期まで大丈夫だろうと甘くみていました。その頼みの年金も近い将来下がる懸念もあります。例え給付額が下がらなくても、物価が大きく上がったり、消費税や医療費が上がれば実質的に年金が下がるのと同じことになります。

高齢者の貯蓄額格差に戻ると、60歳代世帯で、貯蓄額が1000万円未満だと、上記の見立て通り、老後の行く末はかなり厳しいことになり、その割合は全体の37%の世帯です。一方試算でまずまずの生活ができる3000万円以上の貯蓄を持っている人は26%です。

こうしてみると、従来のように親から子供へ住宅購入資金や結婚資金などを援助したり、悠々自適に夫婦で海外旅行へ出掛けられそうな人達は、全体の20~30%だけで、残りの7~8割の高齢者世帯は、ひたすら余計なお金を使わないように、また病気に罹って医療費が増えないようにし、節約節約の耐乏生活に縛られてしまいそうです。

住宅ローンが終わった不動産を持っている人は、最悪それを売ってお金に換えることができます。しかしこれから人口が減少していく中で、郊外の住宅地では買った値段以上で売れることはなく、逆に建物は相当に老朽していますので買い手も付かず、よくて半分となり、結局は二束三文で叩き売るよりは、リフォームしながら不便でも住み続けた方がマシということになりそうです。借り家と比べ持ち家の投資効果はどうだったのか?と考えるところです。

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