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武田信玄(1) 風の巻 (文春文庫) 新田次郎
武田信玄(2) 林の巻 (文春文庫) 新田次郎
武田信玄(3) 火の巻 (文春文庫) 新田次郎
武田信玄(4) 山の巻 (文春文庫) 新田次郎

1969~1973年に月刊誌の「歴史読本」に連載された長編大河小説で、1969年から1973年にかけて単行本、その後文庫化されています。この作品は、中井貫一主演の1988年放送NHK大河ドラマ「武田信玄」の原作になっています。見ていませんが。

文庫版で、風の巻546ページ、林の巻463ページ、火の巻426ページ、山の巻543ページの計1,978ページと結構なボリュームがあります。

四つの巻だてには意味はなく、信玄の若い頃から、亡くなってから3年経った後の葬儀までのほぼ一生の話しを4分割しているだけです。

最後のあとがきに、「毎月30枚ずつ、百回まで書き続けた」とありましたが、原稿用紙?で合計3000枚ということになります。

また100ヶ月というと8年と少しです。上記雑誌に掲載されていたのは4年間ですので、2ヶ月分60枚ずつ毎月掲載、最初に掲載される4年前から書きためてスタートということなのかな?よくわかりません。

武田信玄を書いた資料と言えば、江戸時代に編纂された甲陽軍鑑が有名ですが、それを参考にしながらも,他の諸々の資料も合わせて独自の世界観を展開しています。

例えば甲陽軍鑑では武田信玄の軍師(参謀)として登場し、それが一般的には定着している山本勘助は、この小説では武田家と今川家の二重諜報員、つまり忍びの親玉的な役割で、織田信長が今川義元を破った桶狭間の戦いでは、駿河を狙う武田陣営に協力するため、今川義元の動きを織田側に流すなど活躍します。

武田信玄というと、甲府駅前にあるこの銅像のイメージが強いです。恰幅が良く、太めで強そうなイメージです。

小説の中では、行動的で広大な甲府から信州、北関東、そして駿河や三河へとよく移動し、そのことごとくで戦略を練り、敵を打ち破っていきますが、若いときに労咳(肺結核)に罹り、その後52歳で亡くなるまでこの病に悩まされ続けます。

また最近の研究では死因は癌ではないかとも言われています。

癌はもちろん、当時労咳も治療法がない不治の病で、小説では、病が出てくると食欲が落ち、いつも青白い病的な顔色していたと書かれていますので、ちょっと上の銅像のイメージとは違ってきます。

甲州のあちこちに「信玄の隠れ湯」というのがありますが、それらは信玄の労咳を癒やし(当時の治療法は安静にしているしかなかった)、激しいストレスなどを解消するために作られたりしたものかも知れません。

それはともかく、20歳のときに父親の暴政に苦しむ家臣達の勧めで父親を引退させて駿河に追い出し、諏訪地方から始まり、信州中心部(松本、長野)へ侵略を進めていきます。謙信との戦いで有名な川中島は今の長野市南部の犀川と千曲川に挟まれた場所です。

そうした戦いの合間には、京都から来た公家の娘の正室とは別に、次々と側室を持ち、艶福家全開モードに入っていきます。大衆小説らしく、そうした側室との閨の話しも盛んに出てきます。

最初の側室から労咳を移され、その後、跡継ぎの勝頼を産む、最愛の側室には信玄から労咳を移し亡くします。そうした想像でしょうけどプライベートな架空の話しがてんこ盛りです。

また、財政政策のため、金山開発に積極的で、敵対した兵士やその家族を捕虜にして、男は過酷な金山の労働者、女はその労働者の遊び女や賄い婦などにされるという話しが10数回出てきます。よほどその話しが気に入っていたのでしょう。

四巻のそれぞれ巻末には、物語が展開する地図や城や砦の位置が書かれていて、イメージしやすくなっています。せっかくだから城や砦の想像図も書いておけばもっとイメージしやすくて良かったかも。それはムック版にお任せかな。

信玄は戦国時代最強と言われる武将ですが、その半生は隣国の信州を統一するため、越後の上杉謙信との5度の戦いや、強力な隣国で関東を支配していた北条氏や、現在の静岡県、駿河を支配していた今川氏などとの深謀遠慮、そして新興勢力の織田信長や徳川家康との対立など、周囲の強国に囲まれて常に脅威があった甲府という地域出身だったことが最大の不運でした。

終わってみれば将軍に要請されても、一度も上洛することができなかった地方の一大名ということです。ライバルの上杉謙信は何度か上洛し、天皇や将軍に拝謁しています。

つまり、時代はそれまでの農業と鉱山開発より、もっとお金になる交易や商売、優秀な武器や技術を得るため外国と交流するためには広大な海(港)へつながる安全な領土が必要でしたが、信玄が早くに治めた甲府や信州、北関東にはそれがありません。

あるいは、最初に信州へ攻め入るのではなく、早々に遠江や三河、尾張を攻めていれば、もっと早く西上しての上洛と全国統一への道が開けていたかも知れません。

そこで、遅ればせながら、織田信長に敗れて弱体化していた今川家が支配する駿河を攻めますが、その地域は同じく駿河を手に入れたい相模の北条家と三河の徳川・織田連合に挟まれていて、決して安全な領土とはなりません。

駿河をどうにか手に入れ、次に上洛する途上で障害になる三河の徳川家康を攻めた時には、信玄はすでに高齢で労咳の病も進み、結局、徳川家康を三方ヶ原の戦いで徹底的にやっつけたものの、その後、東海道を上って上洛することがかなわず、亡くなってしまいます。

信玄の代名詞でもある軍旗に描かれた「風林火山」は、孫子の兵法の中の「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」から来ていますが、もしその中に、「真っ先に得るべきは海の道」と入っていれば、違った歴史になっていたかもです。

著者別読書感想(新田次郎)

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