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1603
漂砂のうたう (集英社文庫) 木内昇

著者は出版社勤務後、フリーで編集やライターをされた後、2004年には小説でメジャーデビューしました。

今回著者の小説を読むのは初めてですが、名前から男性とばかり思っていましたが、「昇」はノボリと読み、女性の作家さんでした。

2011年に、本著で直木賞を受賞されて一気に有名になりましたが、1年に1~2作の主として時代物小説を出されています。

なかなか味のあるタイトルですが、このタイトルだけでは中身は想像ができません。

主人公は、武士の家系に次男として生まれ、厳しく育てられたものの、徳川幕府が倒れ江戸時代が終わり御一新で主君に仕えるしか能がなかった武士が苦境に陥っている時代に、家を飛び出して今は根津の遊郭で客引きの仕事をしている男です。

根津の遊郭は、吉原ほどの規模はなく、格も落ちますが、そうした場所でまったく生きる意欲もなくした若い男が、武士の出を隠しながら、その日暮らしの生活を送っています。

小説では、その時代の遊郭のしきたりや遊女の話が満載で、「御事紙」とか「敵娼(あいかた)」「蹴転(けころ)」など、知らない言葉もよく出てきます。

昔だったら、わからない言葉が出てきても、話の流れをつかむのに影響なければ読み飛ばしていくのですが、最近は暇なので(笑)、そのたびにスマホで検索しながら読み進めました。

こうした古いしきたりや、言葉を普通に使いこなして小説に仕立てるというのも、しっかりした知識がないとなかなか難しいと思いますが、著者は私よりも10歳若い方で、当然ながら遊郭のことはまったく知らない世代なので、よくよく勉強されているのだと思います。

主人公以外の脇役、遊郭で生まれ育ったベテランで有能な先輩客引きや、妙に絡んでくる若い噺家が魅力的で、面白い内容に仕上がっています。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ツリーハウス (文春文庫) 角田光代

産経新聞に連載されたあと、2010年に単行本、2013年に文庫化された大河ドラマ的な3世代にわたる長編小説です。

いきなり主人公のひとり、33歳の無職プータローが、自宅で祖父の泰三が亡くなっているところを発見するところから始まり、つかみはバッチリというところでしょう。

ほとんどなにも語ってくれなかった祖父と祖母のことを急に知りたくなり、祖母に二人が若い頃に出会ったという満州・新京(現在の中華人民共和国吉林省長春市)へ旅行しようと提案します。

そこから、物語の時代は、現在と昭和時代とを行ったり来たりします。ちょっと混乱しがちです。

そこで、感想ではなく、今回は主な登場人物と、相関図を書いてみました。読む前に相関図だけでもあればずっと読みやすかったのですが、頭のいい人が揃っている編集部は無知な読者には優しくないのです。

【主要な登場人物相関図】


【登場人物(ネタバレも含まれます)】

①藤代泰三 長野県出身次男。主人公のひとり。昭和15年満州開拓団に応募。引き上げ後ヤエと東京で中華料理店を始める

②田川ヤエ 静岡県出身。東京のバーで男に誘われ満州へ渡るが男は来ない。満州・新京のバー勤め中に保田、泰三と出会う

③保田 泰三の友人。満州映画協会の脚本家。召集されて戦死。応召前に一度だけヤエと関係し光一郎が産まれる

④光一郎 ヤエと保田の子。満州で出生、幼少時、満州からの引き揚げ船上で死亡

⑤洋二郎 泰三の長男。満州で出生後すぐに死亡

⑥慎之輔 泰三の次男。主人公のひとり。満州で出生後日本に帰国。漫画家を目指すが芽が出ず家業の中華料理屋を継ぐ

⑦文江 有名大学卒。新宿騒動の時、慎之輔と知り合い、在学中にデキちゃった婚

⑧太二郎 泰三の三男。大学を出て高校教師を勤めるも、トラブルに巻き込まれ懲戒解雇。その後実家で引きこもり

⑨今日子 泰三の長女。まともな家庭を作ると啖呵を切って結婚するも失敗。実家へ戻りその後ゴールデン街で小料理屋を開店

⑩基三郎 泰三の四男。高校生時代に学生運動に関わり自殺

⑪基樹 慎之輔の長男。大学を中退して海外放浪生活

⑫良嗣 慎之輔の次男。主人公のひとり。泰三の臨終を最初に発見。大学卒業後食品輸入業者勤務するも退職し3年無職。33歳

⑬早苗 慎之輔の長女。ラーメン店で働く陽一と結婚し、家業の手伝い

⑭陽一 ラーメン店で修行中。早苗と結婚し、ラーメン店を開こうと考えている

感想は、めちゃ、面白かったです。

時代背景が、満州開拓団、日中・日ソ戦、引き揚げ船、闇市、テレビ放送開始、高度成長、淀橋浄水場跡地の新宿高層ビル街、漫画ブーム、学生運動、新宿騒乱、浅間山荘事件、日航ハイジャック事件、新宿バス放火事件、ファミコン、オーム真理教ブーム、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、バブル景気、地上げ、コギャルと、主人公達の周囲でそれらの出来事が繰り広げられます。

個人的には、すぐ身近なところで「新宿バス放火事件」と「オーム真理教ブーム」と「地下鉄サリン事件」を経験しているので、その印象は強く残っています。

祖父と祖母の若い頃から、そのバラバラでどうしようもない開けっぴろげな一家が、どのようにして家族を築いてきたのかという苦難の三代にわたる歴史が面白く読めます。

引き揚げ船で小さな子供が亡くなったり、非常に優秀な四男が高校生で謎の自殺をしたりと暗いことも多いのですが、そうしたことも全体として湿っぽくはなく、それらを乗り越えていく生命力を感じます。

★★★

著者別読書感想(角田光代)

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嗤う伊右衛門 (中公文庫) 京極夏彦

1997年に単行本が発刊され、その後文庫化された長編怪談小説です。元になった怪談は「東海道四谷怪談」です。そう、お岩さんの物語でしたが、本書ではかなり内容は変えられています。

先日読んだ直木賞受賞作の「後巷説百物語」(2003年)に、主要なところで登場している魅力ある一種の詐欺師的な人物「小股潜りの又市」が出ています。

主人公は、浪人武士の伊右衛門で、無口で実直、食うために木工の内職などして質素に暮らしています。

一般的な四谷怪談では、婿養子の伊右衛門が浮気、重婚をすることで、妻のお岩さんが発狂して死に、幽霊となって伊右衛門の元に出てくるわけですが、本書での伊右衛門は同じく婿養子に入りますが愛妻家です。

また四谷怪談では愛人を正妻に迎えたいため邪魔になった妻のお岩に毒薬を飲ませて顔が崩れますが、本書では伊右衛門と結婚する前にすでに顔が崩れています。その理由は最後の方で出てきます。

その二人の間をもったのが又市ですが、主人公の上司である与力が策謀を巡らし、お岩と別れさせ、自分の妊娠している愛人を伊右衛門の後添えとして押しつけられます。

この悪役の与力が、金も知恵も権力もあり、なかなか最近まれに見る非道さで、ある意味魅力ある悪漢です。

とにかく家には何人もの妾を置きつつ、町でいい女がいれば誘拐をしてでも思いを遂げたり、仕事の役もお金の力で先輩を追い越し成り上がっていく徹底ぶりです。

伊右衛門とお岩の関係はどうなるのか?悪漢与力との対決は?無口で感情を表に出さない古式然とした侍の伊右衛門が果たして嗤うのか?など、物語はクライマックスへ進んでいきます。

元ネタが恐ろしい恨みつらみの怪談ですが、こちらは理屈抜きな面妖なことは起きず、まったく違う展開になります。これもスッキリして面白いかも。

後巷説百物語では中心的に大活躍した小股潜りの又市ですが、本書では伊右衛門の聞き役の立場を超えず、脇役に過ぎなかったのはちょっと意外でした。

この江戸時代の怪談を元にして新解釈を加えて小説化したシリーズは、「復讐奇談安積沼」を元にした「覘き小平次」、「番町皿屋敷」を元にした「数えずの井戸」と続いています。

★★☆

著者別読書感想(京極夏彦)

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ジェームズ・ボンドは来ない (角川文庫) 松岡圭祐

2014年に単行本、2015年に文庫化された、瀬戸内海に浮かぶ直島で実際に起きた出来事を一部仮名にして創作されたノンフィクション小説です。

直島というと、ベネッセが「直島文化村構想」で芸術の拠点として様々な施設を作り投資していることで有名ですが、それと並行して2002年に「007シリーズ 赤い刺青の男」という小説が出版されたことで、その小説のクライマックスの舞台となる直島で「007映画のロケがおこなわれる!かも?」というドタバタがありました。

そのロケの誘致運動が主体の話しですが、タイトルからもわかるように、もちろん現在までロケがおこなわれたことはありませんし、その007を主人公とする原作者イアン・フレミング以外の小説が映画化されたという話しもありません。

でも当時はどこで間違ったか、直島町と観光組合が始めた誘致活動が、やがては香川県にまで拡がり、署名活動やボンドガールコンテスト、『007「赤い刺青の男」記念館』の設営、香川県の副知事が訪米し、007シリーズの版権を管理する映画プロダクションへ訪問するなど滑稽なぐらい盛り上がっていきます。

しかし冷静に考えると、007の小説と映画の関係はなく、ジェームス/ボンドを主人公にした小説を出す権利は与えても、それは映画化しないという条件が付いています。

また版権など複雑な権利関係からして、この直島をはじめ日本各地が舞台となる007小説が映画になることは不可能ということに気がつきます。

すったもんだで、やがてその熱病も冷めていきますが、最後には思いもかけない嬉しいプレゼントが届きます。それは読んでから(あるいは直島の『007「赤い刺青の男」記念館』へ行って見て)のお楽しみです。

本文中にも当時の新聞記事やイベントの様子などの写真が挿入され、ドキュメントのようですが、主人公の女子高生など、体裁は青春小説という感じで、中途半端にどっちつかずになってしまったのが残念です。

★☆☆

著者別読書感想(松岡圭祐)

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自動車保険金は出ないのがフツー (幻冬舎新書) 加茂隆康

著者は交通事故専門の弁護士をおこなっている方で、それだけに過去の実例を豊富に経験されています。

ちょっと自慢たらしかったり、盛ってるなぁーっていう箇所が鼻につきますが、それでもここで語られている損害保険会社との激しい攻防については参考になります。

タイトルから想像できるように、交通事故で被害者になった場合、どこまでが補償されるか(要は医療費など含めいくらもらえるか)は、通常加害者または被害者が加入している損害保険会社(共済含む)と被害者が直接話して決まります。

当然ですが、損保側は「できるだけ支払いたくない」というのが、利益を追求する企業の本質ですから、たいていの場合、被害者側にとっては納得がいかない結果に落ち着きます。

被害者と思っていても、通常クルマ同士の事故の場合は過失割合というのがあり、その過失割合を被害者側に想定よりも大きくすることで補償額が減らされ、さらに神経系やむち打ち症のような長期間長引く怪我などの場合には、どこまで補償するのかでよく揉めるそうです。

通常知らない怪我をした場合の入通院の慰謝料についても、自賠責基準と、任意保険基準、弁護士会基準と3通りがあり、その金額差はかなり大きく、なにも言わない(知らない)と一番低い自賠責基準でしれっと通知が来るそうです。

つまり任意保険をできるだけ使わずに自賠責だけで収めようと損保会社(共済も)は収めようとあれこれ手を使って被害者を攻めてきます。自賠責の範囲で収まれば損保の持ち出しはありませんからね。

善良な人なら、「社会的にも尊敬を集めている有数の大手企業の損保会社(共済も)が、そんな加入者に対して冷酷なことなどするワケがない」と思っていますが、過去に何度も「不払い」で新聞沙汰になっている通り、損保は「水に落ちた犬は打て」を地でいきます。

もちろん水に落ちたのは交通事故の被害者で、それを騙しすかし、被害者が素人とみると、大企業の総力をあげて保険金を出し渋ってくるという話しが満載でとても役に立ちます。

もっとも、こういう目に遭わないで生涯が終えられるのが一番ですが、事故に遭ってから読んでいては遅いでしょう。

そう言えば、自動車保険ではありませんが、昨年、自宅の窓ガラスを交換したときに、共済(火災保険)と交渉したことを思い出しました。

窓ガラスの熱割れで火災保険は使えるか?

半端な共済が、いかに頼りにならないか、加入者に冷たいかがよくわかった事案でした。

★★☆

【関連リンク】
 12月後半 錨を上げよ(1)出航篇(2)座礁篇(3)漂流篇(4)抜錨篇
 12月前半 しゃばけ、深海のアトム(上)(下) 、ノモンハンの夏、玻璃の天
 11月後半 海の見える理髪店、ダナエ、それまでの明日、死の接吻



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