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3月後半の読書 2012/4/1(日)

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永遠の仔 (幻冬舎文庫) (1)再会 (2)秘密 (3)告白 (4)抱擁 (5)言葉 天童荒太

1960年生まれの天童荒太氏の作品は、先に2008年の直木賞受賞作「悼む人」を読んでいます。この「永遠の仔」は1999年の作品で、日本推理作家協会賞とこのミステリーがすごい!国内1位を受賞していますが、それよりも2000年に中谷美紀主演でテレビドラマ化され、それを知っている方が多いのではないでしょうか。

小説のスタイルとしては主人公3人の少年少女時代と、17年後の現在とが行き来していきます。その3人の子供はいずれも親から虐待を受けていて、そのせいで精神的に障害があります。四国の病院で一時期ともに暮らしていたその少年と少女には、それぞれの秘密を共有する仲間となりますが、ある事件をきっかけにしてその後は連絡を絶ちます。

そして17年後、大人になった3人は川崎市の総合病院看護師、個人事務所を構える弁護士、神奈川県警の刑事としてそれぞれ会うこともなく働いていましたが、看護師の弟を自分の弁護士事務所で採用したことから、その関係が再びつながっていくことになります。

親からの虐待を受けて苦しむ子供や、障害を持つ少年少女が主人公の小説の場合、読み進めるにつれなんとも重苦しい雰囲気になるものが多く、この小説もその例外ではありません。単行本で上下巻、文庫本だと5巻に渡る長い小説ですが、読み進めていくのがつらくなるほど息苦しさを感じてきます。

そして四方八方に張り巡らされた多くの謎の糸が、じれったいほどなかなか明らかにならず、まぜ?どうして?とその長さを感じなくなるほど読むことに集中したくなります。そのあたりはいかに読者に飽きさせないテクニックを感じます。テレビで言えば、次回を見ないとその謎がわからないもどかしさを各回の最後に出すようなものでしょう。

このようなスタイルで、子供が犯す過去の犯罪に、読者が肩入れしてしまいそうな小説としては、松本清張の「砂の器」を思い出します。あれも暗くて重い小説でした。

それと雫井脩介氏の「犯人に告ぐ」がそうでしたが、小説の舞台となるのが、地元の川崎市ということもあり、なんとなく身近に感じました。


eの悲劇 (講談社文庫)  幸田真音

幸田真音氏の経済小説は割と好きで「マネー・ハッキング」1996年、「傷―邦銀崩壊」1998年、「日本国債」2000年、「凛冽の宙」2002年、「代行返上」2004年、「タックス・シェルター」2006年、などを読んできました。

で、この「eの悲劇」2001年ですが、毎度情けないことに文庫になってまもなく2004年5月に購入していて既読でした。道理でどこかで聞いたことのある話しだなと頭の片隅で思いながらも、最後まで既読とは知らずに読みふけりました。記憶障害なのか、あぁ情けない。幸田氏も本のタイトルより著者名だけつい買ってしまう作家さんなのでこういうことがしばしば起きます。

内容は、短編連作の小説で、元腕利きの金融トレーダーだった中年男が、ある部下のミスをかばって辞職に追いやられてしまい、現在は金融界から足を洗って警備会社で警備の職に就いています。その現場で起きる様々な出来事や事件に絡んで、過去の人脈や知識が生かされて、活躍をすると言ったものです。

連作の最後の短編では、昔勤務していたことのある銀行の金庫の中に取り残されてしまい、それを開けるためのパスワードを外に伝えるため、モールス信号を使うところなどは、金融とはまったく関係のないことですが、なかなか凝った味のある設定です。モールス信号なんてもう誰も知らないとだろうと思っていたら、意外なところで使われていたり勉強している人がいるものです。


真紅の歓び (ハヤカワ・ミステリ文庫)  ロバート・B・パーカー

1989年初出の作品で、日本語の文庫化がされたのは1995年、探偵スペンサーシリーズでは15作目になる作品です。

パーカーの作品では珍しく、通常は「私」が語る一人称が多い中で、この小説では犯人と思わしき人物が淡々と独り言のように語っているところがあります。その犯人とスペンサーの推理が最初は遠いところにあるものの、徐々に近づいていき、最後には交わっていくところがなんともスリルがあって楽しめます(実際は犯人自らから近づいていったのですが)。

内容は、黒人の中年女性が惨殺される事件がボストンで相次ぎ、ボストン市警のクワークに頼まれてスペンサーも犯人捜しを始めます。そして別のよく似た事件が起き、その犯人が捕まりますが、クワークもスペンサーも犯人は別にいることを確信します。しかし連続殺人事件を早く決着したい人達の妨害を受けながら、引き続き真犯人捜しを続けることになります。

タイトルは、犯人が警察やスペンサーに対する挑戦状を突きつけ、さらに女性を殺した現場に真っ赤な薔薇を残していくという、快楽殺人に通じるところからきているのでしょう。

このシリーズの中には、殺し屋に狙われ命からがらということも多い中、この作品ではそのような場面はなく、そして最後はあっけない幕切れとなり、悪役がサイコっぽい異常者だとしてもどうも小粒すぎて、相棒ホークが活躍するシーンもなく、やや全体に物足りなさを感じます。

この作品では派手なアクションではなく、恋人スーザンとの知的でエロチックな会話や、スーザンの精神科医としての専門性を生かした犯人の行動分析などに重点を置いた楽しみ方をするのが正しいのかも知れません。


プラチナタウン (祥伝社文庫)  楡周平

正直言ってこのような中高年者が会社から追われ、見返してやろうと捨て身で奮闘する小説やドラマがとても好きです。まず似た境遇で理解しやすく感情移入がしやすいのと、最初このようなつらい目に遭うと、最後は概ねハッピーエンドで終わると想像ができるからです。

私と同い年の楡周平氏はデビュー作「Cの福音」(1996年)以来、私は内容について無条件で購入する作家さんの1人です。文庫化された本はほぼすべて読んでいますが、今回も例外なくワクワクドキドキの面白さでした。

元々犯罪絡みや暗黒街の世界をリアルに描く作家さんでしたが、2000年前後からは企業小説やコミカルなものまで幅を拡げた作品を発表されています。今回の作品は民間企業と地方の役場という事業に関しては対照的な取り組みや考え方を前面に出し、苦難に立ち向かう主人公を応援しながら元気が出てくる内容となっています。

ストーリーは、宮城の農村出身ながら一流商社へ入り、順調に部長まで昇進してきた50歳超の主人公が、ある些細なつまずきにより、上司からおそらく復帰の見込みがない左遷を言い渡されます。時を同じくして、出身地の町役場に勤めている中学校の同級生から「次期町長選挙に出てくれないか」と依頼されます。

その町というのが、地方によくありそうな公共事業で箱ものばかりを作り、その維持費用や地方交付税の削減により大きな財政赤字を抱え、数年後には夕張市のように財政再建団体に入ってしまう寸前のひどい状況です。結果、誰も町長選挙に出る人はなく、この町出身の主人公に白羽の矢が立ったわけです。

当然、そんな町に戻る気はなかったものの、酔った勢いでOKしてしまい、それが地元新聞にも掲載されるまでになって、後に引けなくなってしまいます。

他に立候補もなく、当選を果たした主人公を待ち受けているのは、町の大きな借金だけでなく、やる気のない公務員と利権にめざとい町議会議員です。そういった環境の中で、真っ当な営利ビジネスの最前線で闘ってきた主人公がこの地方都市をプラチナタウンにするまでの苦難のドラマです。

日本社会は待ったなしに高齢者の生き甲斐や健康、介護、医療などの問題を解決していかなければなりません。現在都市部に多くある民間の高齢者施設、いわゆる老人ホームはビジネスホテルのような狭く貧相な部屋か、億の単位が必要な高級な場所かの二通りに限られています。さらに賃金が安いせいで常に介護士不足が続き、十分な介護が受けられません。この小説ではそれら問題を解決するひとつの方法を示しているものです。




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