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正社員の解雇には2千万円かかる!それホント? 2012/5/16(水)

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経営者向けのダイヤモンドonlineに「正社員の解雇には2千万円かかる!」という記事が出ていました。弁護士の向井蘭氏が書いたシリーズのひとつで、要約すると「社員を解雇し、その後、訴訟沙汰になって負けると数千万出費することがありますよ」というものです。

その2千万円の内訳とは、

 1)賃金仮払いの仮処分(例では14カ月分420万円)
 2)本裁判で敗訴した場合の賃金支払い(19カ月分570万円)
 3)控訴して敗訴した場合の仮処分分と賃金支払い(6カ月分360万円)
 4)最終的な割増退職金など和解金(150~650万円)

と言うことです。

不思議なのは、賃金仮払いが認められて仮処分で支払われる金額(上記の1や3)と、本裁判で雇用主側が負けて支払うことになる未払い賃金(上記2と3)は、その期間が重なっているのに相殺されず、雇用主側は裁判の期間中、給料をダブルで労働者側に支払わなければならないケースがあると言うこと。知りませんでした。

この点は、不思議に思っていましたが、やはり各所から反論や指摘があり、著者が実例を元に後で追記されていました。それによると著者が関わった1審の判例にそのような事例があり、ただしそれが最高裁で争われたわけではないので、確定的な話しではないそうですが、そういう解釈をされるリスクもあるよと言うことらしいです。なので通常は仮払いと未払い給与をダブルで支払われることはまずないそうです。

話は変わって、私の知っている人で、勤務先の役員から暴言をかけられ、退職を強要された人が、会社を訴え、未払い分の賃金を含め、和解金1千万円近くを勝ち取ったケースがありました。この人は役員のその暴言を隠し持っていたレコーダーで録音していた(計画的ですね)ことが、裁判を決定的に有利にしたそうです。

これらのことから、理不尽な退職を強要されたときは、早く決着をつけてすぐに次の就職先をと考えるのもいいですが、あきらめず解雇は無効であると訴え、抵抗することで多少なりとも生活費を得ることができるかも知れません。

但し、表には出てきませんが、上記の知人の例では個人で加入できる労働組合に相談をして裁判に持っていったため、裁判費用や組合活動費として和解金の半分以上を組合へ納めたと聞きました。そうなると、金銭的な面だけ考えると、おとなしく会社の指示に従い、温情で割り増し退職金などを得たり、転職サポートサービスの提供を受けたりし、次の仕事探しに早く取りかかったほうが結果的にはよかったかも知れません。

もちろん組合に依頼をしなくても、個人で弁護士を雇い、裁判をする方法もありますが、供託金や弁護士費用は相当かかり、最悪裁判に負けてそれに使った費用すら回収できないというリスクもあります。そういうことが個人が企業相手に裁判をする時に一番迷う点でしょう。

上記の知人はまだ若く転職にもそれほど困ることはなく、裁判に打って出たのは「会社と暴言を吐いた役員に思いっきり反省させてやる」との一念がありましたから、お金がすべてではなかったのですが、中高年者の場合だと再就職が厳しいのがわかっているだけに、難しい選択となるでしょう。

いずれにしても民事の裁判というのは「儲かるのは弁護士だけ」と言われるように、勝っても負けてもそれに使う費用や時間、労力、それに精神的な重圧など、むやみにやると双方ともに傷つき、疲労が溜まるだけのケースが多いようです。相手側に明かな違法行為があった場合や訴訟マニアは別として、できれば一生涯そういうことに関わらず、できるだけ話し合いでの決着を望みたいものです。

一般的に解雇規制と言われている法律
 旧条項 労働基準法第18条の2
 現条項 労働契約法第16条
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」

整理解雇する場合は、次の4要件を充たす必要があるとされています。 
整理解雇の4要件 
 (1)人員削減の必要性
 (2)整理解雇をすることの必要性
 (3)解雇対象の人選の妥当性
 (4)解雇手続きの妥当性

  解説
(1)整理解雇をおこなうには、相当の経営上の必要性が認められなければならない。一般的に、企業の維持存続が危うい程度に差し迫った必要性が認められる場合は、もちろん、そうでない場合でも、企業が客観的にみて経営危機下にある場合、人員整理の必要性は認められる傾向にある。
(2)期間の定めのない雇用契約においては、解雇は最後の選択手段であることを要求される。役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向等によって、整理解雇を回避するための相当の経営努力がおこなわれてから着手することがやむを得ないと判断される。
(3)人選基準が合理的であり、あわせて、具体的人選も合理的かつ公平でなければならない。
(4)説明・協議、納得を得るための手順を踏んでいない整理解雇は、他の要件を満たす場合であっても無効とされるケースがある。




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