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誰か―Somebody (文春文庫) 宮部みゆき

ミステリーの女王?宮部作品は久しぶりに読みます。仕事で頭が混乱しているときでも安心して読めるので、時々読みたくなります。調べてみると3年ほど前に「レベル7」(1991年作品)を読んで以来ということになります。

この作品は2003年の作品(文庫は2007年)で、大企業オーナーの娘と結婚し、周囲から逆玉と言われつつ義父の会社で地味に社内報の編集の仕事をしている主人公杉村三郎もので、その続編として「名もなき毒」(2006年)があります。

物語は義父の専属運転手だった男性が自転車でひき逃げをされて亡くなってしまいます。残された二人の娘のうち何事にも慎重な姉は、小さな子供の頃に自分が父親のせいで誘拐事件に巻き込まれたという記憶があり、そのことと今回のひき逃げがなにか関係があるのではないかと心配しています。

しかしあっさりした性格で奔放な妹は、父親をひき逃げした犯人を捕まえるべく、事件を風化させないようまた警察にハッパをかける意味でも父親の生涯を記した本を出版したいと父親の雇い主だったオーナーに頼み込み、その仕事が娘婿の主人公にまわってくるという流れです。

この主人公に共感し好意が持てるのは、前述のように「絶大なる権力を持つオーナーにうまく取り入った娘婿」で、「義父の意向を受けて社内の不穏分子を探るスパイ」と思われ、「お金持ちの妻の言いなり」と、周囲からはひがみや誤解を受け、そんなわけですから親しい同僚もなく、飲み会にも誘われず孤独感を感じていながらも、妻子を愛して自分の仕事と家庭だけで、十分満足を得ているというところです。

本人としては「偶然映画館の中で知らない男から絡まれていたところそれを救った女性が、有名な事業家の娘だった」というだけのことで、結婚するときもそういう周囲からの好奇の目で見られることを覚悟し、それを受け入れて淡々としています。

その主人公の元々の仕事が子供向けの絵本を発行している小さな出版社で編集の仕事をしていましたが、オーナーに言わせると「商売はできないが、本を作る能力は確か」ということで、結婚に踏み切る際に義父からつけられた条件「会社を移る」ことを飲みました。

この小説の発端となる自転車事故は、現在でこそマナーの悪さと歩行者との人身事故が大きな社会問題となっていますが、本が発刊された2003年にその問題を取り上げたのは、時代を適格に読んで先取りしているようで内容や設定には古さをまったく感じさせません。

私も昨年(2012年)に日記で取り上げていました。
自転車のマナー違反が特にひどい

ただ先月読んだ白石一文著「砂の上のあなた」もそうでしたが、「亡くなった父親の過去を調べる」というのが、ミステリー小説では定番の設定になっているようで、もうそれ自体にはさほど興味も意外性も感じなくなってしまいましたが、そこは御大宮部氏だけあって、ひねりも効かせて最後の最後までなかなか面白く読ませてくれます。


発達障害に気づかない大人たち (祥伝社新書 190) 星野仁彦

著者の星野氏は一般的に注意欠陥・多動性障害(ADHD)、アスペルガー障害(AS)、学習障害などを総称して言われることが多いいわゆる発達障害の医師で、研究者としての第一人者です。また同時に著者自身が多動性障害であることも本書に書かれています。

本書は2010年に発刊された新書ですが、本書の続編「発達障害に気づかない大人たち(職場編)」(2011年)など多くの著書もあります。

私を含めて多くの人は「発達障害」と聞くと、授業中に落ち着きがなく教室の中を勝手に歩き回ったり、人見知りで不登校になる子供の病気のようなとらえ方をするのではないでしょうか?

本書ではそのような発達障害は大人になってからも発症することがあり、ストレスなど他の症状と混じり合って、その原因を究明できにくくしているということが書かれています。

例えば増えてきたうつ病やアルコール中毒などを起こす人の中には、かなり多くの割合で発達障害を素因を持っている人が多かったり、仕事で失敗の多い人、忘れ物や遅刻の多い人、自動車事故が多い人などを診断すると発達障害に起因することが見つかるとのことです。

ただ大人になると子供の頃とは違い、なかなかそれが表面には出てこず、単に「性格的なもの」とか「努力不足」とかで片付けられてしまい、ちゃんとした診断と治療がおこなわれないまま、他の病気やもっと大きな事故を引き起こす要因となってしまっているようです。

大人はこの発達障害の「障害」という言葉に特に抵抗があり、なかなか本人もそれを認めないというのが、大人になってから罹った人の特徴です。

そこで著者は「発達障害」ではなく「発達アンバランス症候群」と呼んでいます。つまり対人能力や記憶力、計画的な行動、冷静さ、注意力、忍耐力など様々な人の能力のうち、どれかについてうまくできないのは、決して性格的なものではなく、脳の発達に一部遅れている症状で珍しいことではないということです。

特に遺伝の影響もあり、両親にそういう傾向があるとそれが子供にも出やすく、家庭内暴力で育った子供が、自分が親になったときに同じような暴力を繰り返すのも、発達障害の遺伝を引きずっているとも著者は結論づけています。

また仕事も学習もおこなわず、自宅で引きこもりをしていることが多いニートの中には、この大人の発達障害を抱えている人が多いとのことで、ある種の興味分野、例えばネットやプログラミング、ゲーム、絵画、作詩、音楽などにはまりこんでしまっているケースがあるそうです。

例えば音楽や絵画など芸術の分野に才能が秀で、それで将来身を立てられるのならまったく問題はないのですが、素行が暴力的だったり、なにかに依存する(過食やアルコール、麻薬、SEX、宗教など)ようになると、犯罪や自傷を起こすことにもつながるので、まずは専門家の診断を受けて、適切な治療を受けることが重要と著者は述べています。いまでは心理療法や投薬で治ることが多いそうです。

ユニークなのは、発達障害の症状例にドラえもんにでてくるキャラクターを用いて説明しています。多動性障害(ADHD)には「イライラしてすぐにキレやすく暴力をふるう」ジャインアン型や、「いつもボーとしていて注意散漫で忘れ物が多い」のびた型など様々な形態があるとの説明。確かにあの二人は発達障害の象徴的な存在のようです。


ひまわり事件 (文春文庫) 荻原浩

文庫化されると必ずといっていいほど読むのが習慣となっている荻原浩氏のこの作品は、2009年に単行本、2012年に文庫化されました。過去に4度直木賞の候補になりながら、まだ受賞はされていませんが、そう遠くないうちに受賞されることは間違いないでしょう。本来なら2004年の「明日の記憶」で直木賞を取っていても不思議ではありません。ちなみに同作品は山本周五郎賞を受賞しています。

私の感想では、荻原氏と経歴も作風も似ていて歳は3つ若い奥田英朗氏は、その2004年に「空中ブランコ」で直木賞に輝いています。時々読んでいるとこれは奥田氏の作品だったか荻原氏のだっけと間違えることがありますが、直木賞に限っては荻原氏にツキがありません。

ひまわり事件の舞台は、ひまわり幼稚園とその幼稚園の隣りに建っていた老人ホームひまわり苑で、幼児と先生、老人がそれぞれが主人公と言える珍しいパターンです。

私も以前なにかで「老人ホームと幼稚園・保育園・小学校を同じ敷地内に作ることで、老人達は子供達から若々しい生のエネルギーをもらい元気になり、子供達はお年寄りや障害者などを大事にすることを覚え最適だ」ということが書かれていましたが、この小説では、幼稚園と老人ホームとのあいだにあった塀を取り除くことで起きる、双方の気持ちがそれとはまったく逆で笑ってしまいます。

しかし残念なことに、この手の小説では、大人(著者)が、勝手に都合よく描く子供(幼児)が、あまりにも現実的ではなく、腑に落ちないことが多くてヘキヘキします。

荻原氏は「ママの狙撃銃」や「押入れのちよ」などで可愛い子供を主人公に仕立てた小説がいくつかありますが、私的にはそれらはあまり秀作とは思えず、いかにも大衆ウケしそうな物語を無理くり作っているようにしか思えません。私が読んだ荻原作品でお勧めは「明日の記憶」や「神様からひと言」「僕たちの戦争」です。できれば今後は大人のシリアス路線でいってもらいたいものです。

小説やドラマに登場する子供って、ステレオタイプでほとんどがダメな大人よりも部屋の片付けや料理までできてしっかりしていたり、物事をよく知っていて大人顔負けというのが多く、一種ダメな大人からするとそれが理想的な子供の姿なのかもしれませんが、そういうのは現実的にはあり得ないし、可愛げもありません。

この小説でも大人を驚かせるスーパーな幼児が登場しますが、読んでいてその点が不快でもありしらけるところです。幼児は幼児らしく、自分勝手でわがままで、すぐにピーピーと泣き、人見知りをして、知らない人とはろくすっぽ喋れないというのが当たり前なので、それでは現実的過ぎて小説やドラマとして成り立たないというのであれば、使わないのに限ります。

ただ幼児は親の鏡だというのは、この小説に登場する親とそっくりな子供ほどではないにしても、経験上共感を覚えます。


錏娥哢奼(アガルタ) 花村萬月

2007年に単行本、2010年に文庫化された時代小説です。花村萬月氏の小説は男臭いハードボイルド的なものが多いように思っていましたが、こういうものもあったのですね。過去には「眠り猫」「笑う山崎」「皆月」「百万遍 青の時代」「百万遍 古都恋情」「イグナシオ」「セラフィムの夜」など12冊ばかり読んでいます。

忍者といえば伊賀と甲賀が有名ですが、伊賀が徳川家康に重用された表の忍者とすると、その裏には伊賀のすぐそばに八劔(やつるぎ)という山があり、そこに住む忍者集団が八劔と呼ばれています。不死の蛆神(ウジガミ)を中心として、日本を統一した徳川勢力に対抗する姿をエロチックにそしてコミカルに描いた小説です。

錏娥哢た(アガルタ)とは、八剱で数十年に一度生まれるかどうかの特別な存在で、蛆神の後継者とも言われ、外観は誰もが直視できないほど華麗で素晴らしく、子供の頃から男を籠絡する閨の技を伝授されています。

その錏娥哢たが、島原では天草四郎時貞と組み、江戸幕府に弾圧されるキリシタンの農民達に加勢し、島原で一揆を仕掛けたり、江戸に上っては江戸城に住むやはり不死となった徳川家康の命を狙ってみたり、3代将軍徳川家光と親密になったりと、とにかくもう奇想天外甚だしく。

歴史小説と思って読むと大きく裏切られますが、ところどころに散りばめられる逸話、例えば赤穂浪士で有名な江戸城内「松の廊下」の廊下はたまに時代劇で間違って出てくるような板張りの廊下ではなく、畳敷きの廊下だったとかはありますが、とにかく登場人物がみな現代言葉を話したり、著者が関西在住だからなのかは知りませんが、それはもう、吉本興業のノリでわやくちゃです。

それはそうと、2011年に単行本が発刊されている「百万遍―流転旋転 」は、まもなく文庫本が出てくるかなと思って待っているところですが、まだ出てきません。早くこちらも読みたいものです。


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