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ダブル・ファンタジー (文春文庫)(上)(下) 村山 由佳

 
2009年刊(文庫は2011年刊)の長編小説で、中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞の文学賞トリプル受賞という高評価な作品で期待をしつつ読み始めました。

結婚している35才の売れっ子女性脚本家が主人公で、旦那はそれまで勤めていた会社を辞め、妻が仕事に集中できるよう家事を一切を引き受け、また仕事のマネージャーとして妻をサポートしています。

しかしいきなり冒頭で、自宅に出張ホストを呼びつけての濡れ場が展開され、いったいどういうストーリーなのか、単なる女性向けのエロ小説か?とも思いつつ読み進めると、次には主人公と師匠と仰ぐ売れっ子演出家の男性との退屈でベタな不倫を匂わすメールのやりとりが延々繰り返されます。ここらで読むのを断念するかと何度思ったことか。

これはおそらく週刊文春への連載小説という性格があったのでしょうね。飽きられないように時々は激しい濡れ場を挟むのは一種読者サービスで、そうしないと毎週買ってくれません。

村山由佳氏と言えば2003年の直木賞受賞作「星々の舟」を読んだときは、内容はいちいちくどいところがあるものの、終盤はそれなりに面白かったからと気を取り直して読み進めていくことにしました。

しかし結局、どこまでいっても女性主人公の異常とも思える旺盛な性欲が、世の中の倫理や道徳など吹き飛ばし、勘違いしている旦那とは別れられないまま、男をとっかえひっかえしつつ、ただ官能の世界を重ねていき、その都度男のテクニックを事細かく評価していくという困ったちゃんです。

きっと現実社会で欲求不満な女性読者(週刊文集にどれほどの女性読者がいるのかは知りませんが)にとっては「その夢のようなモテモテの環境に一度は浸ってみたい」と気持ちのいい気分にさせてくれるのかもしれません。おぞましい限りです。

したがって枯れつつある中年男性が読んで面白いわけもなく、文学賞受賞作だからといって、必ずしも読む価値があるとは限らないという見本のようなものでしょう。


一刀斎夢録 (文春文庫) 上・下 (文春文庫) 浅田 次郎

単行本が2011年刊、文庫本は2013年刊の浅田次郎作品文庫新作で、新選組の中で一番腕が立つとも言われていた新選組三番隊長・斎藤一(さいとうはじめ)が主人公の小説です。

 
新選組が壊滅した後は会津で闘ったものの降伏とあいなり、その後改名して藤田五郎と名乗り警視庁勤めをしていた時、腕はべらぼうに立つが、散々人を斬ってきた斎藤一の本名が警視庁の中で出てくるのはさすがにまずかろうと、名前をひっくり返した一刀斎という隠語で語られるようになり、それがタイトルとなっています。

著者は新選組がたいへんお好きなようで、過去には「輪違屋糸里」「壬生義士伝」などの作品がありますが、いずれも新選組が好意的に書かれています。この作品を合わせて新選組三部作と言われているそうです。

映画になった「壬生義士伝 」では大正時代まで生き残った斎藤一を佐藤浩市が、大河ドラマ「八重の桜 」では会津藩とともに戦う斎藤一を降谷建志が、いずれもイケメンで格好良く演じていましたが、近年では新選組の中では土方歳三、沖田総司に次いで人気がありそうです。

その一刀斎の小説ですが、物語の出だしは皇居のそばをひとりで馬に乗って名残惜しく散策する乃木将軍です。乃木将軍といえば世界に日本という強国があることを知らしめた日露戦争で活躍した武人で有名ですが、明治天皇が崩御されたあと、天皇に殉じるため妻と一緒に自害を果たし、それはつまり明治という世が名実ともに終わったことを指しているわけです。

やがてもうひとりの主人公で、陸軍近衛師団の梶原中尉が、剣道仲間から教わり、老いた斎藤一が住む家を訪ね、1週間連続してその壮大なる剣士の語り部を聞くという流れです。

壬生浪士組の成り立ち、芹沢鴨の暗殺(暗殺には立ち合わず、芹沢と仲のよかった永倉を見張っておく役目、坂本竜馬の暗殺(自分がひとりで得意の居合いで斬り、自分が去った後、つけてきた京都見廻組がとどめを刺したと語る)、伊東甲子太郎ら御陵衛士暗殺の油小路事件、負け戦だった鳥羽・伏見の戦い、勝安房守(勝海舟)にはめられた感のある甲州勝沼の戦い、死に場所を求めて最後の砦となる会津へ下る話しなど戊辰戦争のこと、降伏し謹慎後に警視庁に勤めるようになり、その警察官として参加した西南戦争など新選組というか幕末から明治にかけての話しがこれでもかというほど(著者の想像や推測も含め)登場してきます。

特にクライマックスの西南戦争では、鳥羽伏見の戦いでは薩摩藩に裏切られ、敗走する結果となった新選組など幕府側の志士達の生き残りが、今度は逆に官軍となり西郷隆盛率いる旧薩摩藩士と戦うという構図に不思議な縁を感じます。

これはもしかすると武士世界が終わり、全国にはびこっていた不平士族達を抑え込み、明治政府を安定させるために大久保利通と西郷隆盛の策略にはめられたか?との疑念をもちます。そう考えると、明治政府に楯突き、多くの官軍兵士を殺したはずの西郷どんが、戦争終結後まもなく首都東京の上野公園に銅像が建てられ英雄視されるのも不思議ではなかろうと。

そして最後に待ち受けていたのは、不思議な縁を持つ二人の鬼と呼ばれる師弟が激突することになります。

いや~面白い、楽しい、こうした江戸前の頑固一徹オヤジの語りをさせると浅田次郎氏の右に出る者はいません。

余談ですが、読み続けていて、斎藤一の語りの聞き役だった梶原という近衛師団の陸軍中尉が陸軍内で一二をを争う剣道の達人という設定になっているので、その梶原中尉が新選組の中で斎藤一がただひとり実戦的な居合いを教えた元浮浪児だった弟子市村鉄之介の子供だったとか、ゆかりがあったというオチが最後につくのかなと思っていましたが、残念ながらそれはありませんでした。


小太郎の左腕 (小学館文庫) 和田 竜

映画化もされた「のぼうの城」で文学界にデビューを果たした著者の3作目にあたる小説です。この作品は2009年に初出(文庫化は2011年)で、前2作品と同様に戦国時代が舞台のエンタテーメント小説です。

ちなみに映画「のぼうの城」は戦国時代に埼玉県行田市に実在した忍城の攻防を描いた作品で、この難攻不落の城を石田三成が周囲の川をせき止める大土塁を築き上げて水攻めをすると設定でしたが、その公開予定がちょうど東日本大震災の津波災害直後だったということもあり、諸般の事情をくみ1年遅らせて公開されたといういわくつきの映画です。

この小説のストーリーは、祖父と山で暮らしている小太郎という子供が、雑賀衆の血筋に目覚め、メキメキと射撃の腕を上げていき、その子供を不利だった隣国との戦争でうまく利用した武将との関係をドラマチックに描いた小説です。

雑賀衆とは、16世紀頃、和歌山で発達した鉄砲など武器製造や、それを扱う専門家を養成していた武装組織で、戦国時代には織田信長や豊臣秀吉とも闘いました。

タイトルにもなっている小太郎という子供がその雑賀衆の末裔で、その天性で身についた射撃の腕にいちはやく気がついた武将が、鳥を撃つのにも心で詫びているその優しい心をもった子供に対し、躊躇なく人を撃つことができるように、少年の唯一の心の拠り所であり、身内である祖父を殺め、その責任をすべて敵方になすりつけ、復讐のためと味方につけます。

しかしその純粋な子供を騙して殺人マシンに変えてしまった後ろめたい気持ちが、やがては武将を追い詰めることになり、想定はしていたものの驚愕のクライマックスへと突入していきます。

内容は映画化にも向いていそうなエンタテーメントですが、上記の「のぼうの城」と比べると、派手さや迫力に乏しく、しかも史実に沿った内容でもないので、時代劇や歴史ファンの心をつかむのはちょっと難易度が高そうです。


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