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和菓子のアン (光文社文庫) 坂木 司

著者の作品はデビュー作「青空の卵」(2002年)や「ワーキング・ホリデー」(2007年)を読みました。いずれも面白かったので、この作品にも大きな期待を込めて読みました。

この作品は2010年単行本、2012年に文庫化された連作短編小説で、「和菓子のアン」「一年に一度のデート」「萩と牡丹」「甘露家」「辻占の行方」の5編が収められています。

すぐにでもテレビドラマ化できそうな内容で、太めでパッとしない高卒したばかりの若い女の子がデパ地下の和菓子屋さんでアルバイトを始め、そこで店長や同僚からいろいろな和菓子のうんちくや成り立ちを教えられ、また様々な客との接客を通じて成長していく姿を描いています。

タイトルは2014年のNHK連続ドラマの「花子とアン」からではなく、和菓子といえばアンコで、そこから同僚に付けられたニックネームということです。

真保裕一、新野剛志、荻原浩、柴崎友香、三浦しをん、有川浩の各氏などがよく描くいわゆる「お仕事小説」のひとつとも言えますが、ごく身近なところにある和菓子店という点に興味が惹かれます。

例えば「洋菓子はあんなに華やかなのに和菓子はなぜ地味なのか」、「同じものでも季節や場所によって名前が変わる」、「新暦と旧暦双方に必要な季節菓子」、「温度や湿度管理が必要な和菓子」など役に立つネタも豊富です。

最後の解説にくどく書かれている通り「これまで洋菓子派だった人も必ずや、地味だけど滋味掬すべき味わいがある和菓子の魅力に開眼すること確実。美味しくってためになる、本書は多幸感に満ちた物語」だと思います。

あー水無月と桜もち(道明寺タイプの)食いてー!


リフレはヤバい (ディスカヴァー携書) 小幡績

2013年1月刊ですので2年前の新書と言うことになります。負け惜しみで言うと、こうした本は発刊から少し経ってから読む方が、その内容に信憑性があるのかどうかがリアルにわかったりするのでいいかも知れません。

著者は東大を首席で卒業し大蔵省、その後アメリカへ留学という超のつくエリートさんで、負け惜しみで言うとハッキリ言って大嫌いなタイプです。

好き嫌いはともかく、発刊当時にはこの本は騒がれました。

たいして偏差値が高くないお金持ちの坊ちゃま専用の私立大学卒で、アメリカへの大学留学も1年で中退して帰ってきた安倍総理が選挙で大勝ちし旗を振る人気沸騰中のアベノミクス政策の根幹を揺さぶる内容が、東大→大蔵省→ハーバード大の超のつくエリートさんが書いたものですから。

今回アベノミクスが目指しているリフレ政策というのは(1)インフレターゲットを作り(2)マネーの大量供給をおこない(3)「インフレ上昇期待」を働きかけ(4)日銀法改正をおこなうというものですが、著者は「日本の経済に必要なのは構造改革である」「財政政策・金融政策で解決するものではない」というのが主張で、リフレ政策について様々な問題点と批判が書かれています。

特に最近は円安が進んだことで、トヨタやホンダ、パナソニックなど大手製造業(海外輸出がメインでドルで商売している事業)が大儲けをしていて景気がいい話しがよく出てきますが、まさにその問題点についても書かれていて、また株価上昇では経済がよくならない理由についても書かれています。

例えばインフレになっても賃金が上がらないというのは、上記のような大企業以外の9割以上の人が勤める中小零細企業の内情は厳しく、まさに昨年2014年は物価上昇を考慮した実質賃金では前年比2.5%減というリーマンショック後の2009年に匹敵する酷い状態です。政府や政治家が言う賃金上昇も大企業や公務員に限定されていて、その他の多くはますます貧乏になっていっています。

逆に円高でこそ国富が増大し、ドル思考で戦略を考えるべきと、もっともな話しが続きます。

まだ鈍い私の頭の中ではちゃんと整理できていませんが、いちいちもっともな話しで、経済や外国為替等に明るくなくても、説得力あるわかりやすい内容で、2年前に大きなショックを与えたことがわかります。しかし今ではこの本の主張がすっかり忘れられてしまった感があるのは残念というか、日本人の楽観的忘却思考がまた発揮されているのかなと思ってみたり。


屍者の帝国 伊藤計劃×円城塔

2007年に「虐殺器官」でデビューし、その後「ハーモニー」発表直後の2009年に34歳で亡くなった伊藤計劃が、次作として書き残したプロローグを元に、よきライバルでもあり作家デビュー同期生の円城塔が本編を書き起こした作品で2014年7月(文庫版は11月)に発刊されました。

ちょっとややこしそうな設定ですが、読み始めるともう止まりません。多少は世界の名作シリーズの知識がないとその面白さが一部失われてしまうのかもしれませんが、気にしないで読むことも可能です。ただしグロが苦手な人は読むのがつらいかも知れません。

ネタバレも甚だしいですが、おおまかなあらすじを書いておきます。あらすじを知っているからと言っても、この本の楽しみが少しでも奪われるなんてことは絶対にないのでご安心ください。

時は19世紀終盤、英国の若き医師ジョン・ワトソン(アーサー・コナン・ドイル著の「シャーロック・ホームズ」の相棒)は政府の秘密機関(表向きはユニバーサル貿易で責任者はMというからイアン・フレミング著の「007ジェームズボンド」の世界です)に呼び出されます。

ヴィクター・フランケンシュタインにより実用化された死者を電気で蘇らせる技術、つまり死体をフランケンシュタイン化(メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン 」)することに成功し、世界はその「生きる屍者」を増産することで、単純労働や兵隊など使役として使うようになっています。

当時は大英帝国と帝政ロシアで世界の覇権を争っていた時代で、その代理戦争としてアフガニスタンで戦争(1878年~1881年)が起きています。

その英国が統治しているインドの隣国アフガニスタンで、生者と変わりない動きをする新種の屍者がいるらしいと言うことで、ブラム・ストーカー著の「吸血鬼ドラキュラ」で吸血鬼ハンターとして登場するヴァン・ヘルシング教授から教えも受けたワトソンが密命を帯びて派遣されます。

インドではリットン伯爵(実在したインドの総督)の庇護をうけ、元アメリカ大統領で、退任後は民間軍事企業ピンカートン社にいるユリシーズ・グラント(これも実在)や、レット・バトラー(マーガレット・ミッチェル著の「風と共に去りぬ」)やミス・ハダリー(ヴィリエ・ド・リラダン著の「未来のイヴ」)らと接触、屍者製造の基礎研究資料が流出したロシア帝国の技術者などとともに、新型屍者の製造がおこなわれているアフガニスタンの奥地へ向かいます。

そこで新種の屍者の帝国を作っていたアレクセイ・カラマーゾフ(ドストエフスキー著の「カラマーゾフの兄弟」の三男)が、シベリア流刑から救い出した兄のドミートリイ・カラマーゾフを屍者として生き返らせて一緒に住んでいます。そしてワトソンを待っていたと言い、知っているすべての話しをして、その後屍者化する霊素導入を自分におこない自殺します。

天才科学者ヴィクター・フランケンシュタインが生み出した最初の屍者「The One」と呼ばれる最初に作られたフランケンシュタインと屍者を作るにあたって重要なことが書かれている「ヴィクターの手記」が日本に渡ったという情報を得て、鎖国を解いて間もない明治時代の日本へワトソンらが向かいます。

グラントなどは富国強兵に力を入れている日本で、「The One」をおびき寄せるため、明治天皇とグラントとの会見(1879年に実際におこなわれている)の場を作るが失敗。その責任を英国になすりつけようとレット・バトラー、ハダリーのコンビがワトソンを罠にかけます。

罠を見破り切り抜けたワトソンはレット・バトラーが所属しているピンカートン社の船に同乗し、アメリカプロヴィデンスへ渡り、いよいよ「The One」と対決します。The Oneは自らを「種の起源」で有名なチャールズ・ダーウィン名乗ります。密かに後を付けてきていたルナ協会の手で「The One」捕獲に成功、英国に戻るため、ジュール・ヴェルヌの小説「海底二万里」に登場するノーチラス号が登場。

ふぅ疲れた。そしていよいよクライマックスへ突入していきます。あとは読んでね。

しかし円城塔氏もとんでもない壮大な小説をよく引き継いで書いたものだと感心します。故人もきっと多少は戸惑いつつも喜んでいることでしょう。


三匹のおっさん (文春文庫) 有川浩

2009年に単行本、2012年に文春文庫と2015年に新潮文庫で発刊されています。すでに第2弾の「三匹のおっさん ふたたび」も発刊され、昨年2014年には北大路欣也や泉谷しげる出演でテレビドラマ化もされていました。連作短編形式で書かれているので、テレビの連続ドラマには最適っぽい感じです。

要はこれ、団塊世代の多くが還暦を迎えた今から6年ほど前に、その団塊世代のリタイア後にスポットを充てた団塊世代ウケする還暦ヒーロー物ですね。

と思っていたら、団塊ヒーローの孫や子供の恋愛などもうまく折り込み、青春熱中ど真ん中ドラマもうまく混ざっているので、若い人が読んでも十分に楽しめそうな内容です。

そうでないとどうしても重松清氏の団塊ヒーロー小説っぽく「昔はよかった」「今でも俺たちは元気だぞ」的なやや暗めの話しで終わってしまいますからね。

内容はサラリーマンを60歳定年で引退したり、飲食店の経営を息子に譲り渡したりして暇ができた昔の悪ガキ仲間3人が、夜回りをしたり、困った人を助けたりすると言うストーリーで、それに妻や孫、娘などが関わってくるという勧善懲悪物語です。

特にこれといった特徴はありませんが、暇つぶしにはちょうどいいライトな連作短編形式の小説です。若い人にとかく邪魔者扱いされる中高年者の気持ちや感覚を少しでも知ってもらえるといいですね。


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