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5月に入りましたが、ここ数年の自殺の統計データを見ると、1年のうちで5月は自殺が多い月となっています。これは気候的なものが人の精神状態に及ぼす影響かなと思われますが、5月病という言葉もあり、ハッキリした原因は不明です。

4月に入学や入社する人が多く、その場合親元から離れて初めて1人住まいだったりしたり、今までとガラリと環境が変わりますが、それから1ヶ月が過ぎ、耐えてきた神経がまいってしまうというケースも多そうです。

なので、企業や団体の中で人事部に勤務をされている人は、そうした環境が変わった人、元気のない人、孤立しがちな人のケアをキチンとする必要がありますので、注意をしてください。

2013年、2014年のデータを元に、自殺の各種データ(注釈のないものは警察庁「自殺統計」)を集めてみました。

ご存じの通り、1998年から2011年までの13年間自殺者が3万人を超えていましたが、2012年以降は3万人を切り減少傾向にあります。

グラフ 緑:自殺者数推移 青:自殺者男性 赤:自殺者女性

  出典:警察庁「自殺統計」より内閣府作成

2013年は男性18,787人(69%)、女性8,496人(31%)、合計27,283人(前年比2.1%減)、2014年は男性17,386人(68%)、女性8,041人(32%)、合計25,427人(前年比6.8%減)となっています。減少傾向にあることが少しでも救われます。

マスメディアでは「若者の自殺」ばかりに注目しますが、自殺者で多いのは圧倒的に中年以上です。

5歳以上から10年刻みの年代層で見ると、2012年の厚労省「人口動態統計」のデータですが、もっとも自殺者が多い年代は55~64歳(3,491人)、次が45~54歳(3,347人)、その次は35~44歳(3,064人)、65~74歳(2,641人)の順です。若者の15~24歳は1,294人と中高年と比較すると半分以下です。

中高年者は若い人と比べて人数が多いじゃないかということもありますが、各年代層の人口で割った自殺率(人口10万人あたりの自殺者数)で見ても50~59歳がトップで29.0、次が70~79歳と80歳以上の27.2、その次が60~69歳の25.7となります。

若年層の自殺が目立つのは、各年代層で死亡原因を見てみると、若者の死因では自殺がトップに躍り出るからです。


  出典:厚生労働省「人口動態統計」

10~14歳の死因1位は悪性新生物(癌や腫瘍)で、2位が不慮の事故、3位が自殺です。
15~19歳、20~24歳、25~29歳の若年層の死亡原因1位はなんと自殺で、2位が不慮の事故、3位は悪性新生物となっています。
30~34歳、35~39歳の1位も自殺で、2位は悪性新生物となっています。
40歳以上からは死因のトップには悪性新生物が上がり、自殺は下位に落ちています。

つまり15~39歳の死因のトップが自殺ということです。これは確かに衝撃的です。

15~34歳の死因のトップをG7の国別で見ると、日本以外のアメリカ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダはすべて事故、2位はアメリカは殺人、イタリアは悪性新生物、その他は自殺となっています。

先進7カ国の中では日本は事故で亡くなる件数は他の国と比較して一番少ないのですが、自殺で亡くなる件数は飛び抜けて多く(自殺率ではドイツ、フランス、イタリア、英国の倍以上)なっています。

世界の主要国の中で、年齢を問わず、人口で割った自殺率(人口10万人あたりの自殺、2009年世界保健機関データ)で見ると、1位リトアニア(34.1)、2位韓国(31.0)、3位ベラルーシ(28.4)、4位ロシア(26.5)、5位ハンガリー(24.6)、6位日本(24.4)となっています。

自殺の理由・原因ですが、健康問題(13,680人)、不詳(7,027人)、経済・生活問題(4,636人)、家庭問題(3,930人)、勤務問題(2,323人)となっています。若い人に多そうな男女問題(912人)、いじめなど学校問題(375人)は自殺者全体からすれば少数です。

この話題を書こうとした元々の理由は、最近報道でよく目にする「介護疲れによる心中や自殺」が増えているのではないかなと仮説を立ててみましたが、統計上は「家庭問題」に含まれる介護関連による自殺件数が伸びているという判断はできませんでした。

老老介護で疲れ果て、自殺するケースは「家庭問題」もあれば、鬱や腰痛、認知症などを発症して「健康問題」として自殺するケース、また医療費や介護費がかさみ、「経済・生活問題」としてカウントされるケースなど、分散してしまっている可能性もあります。

自殺者の月別統計で、多い月の順は2014年は3月(2,313人)、5月(2,262人)、9月(2,257人)の順で3月がもっとも多く、次いで5月となりました。


  出典:警察庁「自殺統計」より内閣府作成

2013年は5月(2,542人)、3月(2,496人)、4月(2,383人)の順で、2012年は3月(2,588人)、5月(2,525人)、4月(2,437人)となっていて、1年の中では3~5月あたりがもっとも多いようです。

曜日別では月曜日が一番多く、次いで火曜日となっています。逆に少ないのは土・日曜日、祝日、年末年始です。月曜日に自殺が多いというのは、「ブルーマンデー(憂鬱な月曜日)」という言葉があるぐらいですからなんとなくわかります。日本では「サザエさん症候群」なんて言われましたね。

都道府県別で自殺率(人口10万人あたりの比率)を見ると、2014年のデータでは、多いのが山梨県(30.3)、岩手県(28.9)、秋田県(26.4)、新潟県(26.1)、宮崎県(24.8)、富山県(24.7)、福島県(24.5)の順番です。全般的に東北が高いですが、地域によって特徴的な傾向があるわけでもなさそうです。自殺する人の年齢が全般的に高いことから、高齢化が速く進む東北や地方で高くなるのは当然のことと言えます。

自殺した人の職業は、無職(60%)、被雇用者・勤め人(28%)、自営業者(7%)、学生(3%)、不詳(2%)です。この無職の中にはリタイアした高齢者や病気療養中の人も含まれています。

被雇用者・勤め人(28%)の内訳を詳しく見ると、自殺率が高いのは労務作業者4.59%、技能工4.05%、サービス業従事者3.32%、専門技術職3.21%、事務員2.4%となっていて、逆に保安従事者0.84%、通信運輸従事者1.40%、販売従事者2.05%の自殺率は低いようです。

最後に介護と自殺に関係した話題を書いておきます。

いま心配しているのは、前述したように、「介護疲れによる自殺や殺人」などが今後高まってくるのではないかということです。

ちょっとアレではあるけど、真面目な話し参考になります。
VIPPER速報 『俺「あの、そちらの老人ホームに空きありませんか?」

「あの、そちらの老人ホームに空きありませんか?」
「はい。そうですか・・・130人待ち・・・」
老人ホーム相談員「今はどこも満室ですわ」
「空きが出るのは、いつ頃になりますか?」
老人ホーム相談員「実質的に入所不可能ですわ。単身の生活保護者や、路上生活者が優先的に入所になりますんで」
「そうですか。失礼します」
ガチャ
(中略)
福祉課職員「それで、生活保護を受けたいと?」
「はい。施設も空いてなくて、仕事ができない状態なんです」
福祉課職員「はあ。別に、どこもそんなもんでしょ。頼れる人に預けたらいいじゃないですか」
「え、でも、俺、一人っ子で、兄弟がいないし、親切づきあいもほとんどなくて・・・」
福祉課職員「友達とかいるでしょ?それに、付きっきりじゃないと死ぬわけじゃあるまいし。在宅サービスは受けてるんでしょ?」
「え、はい」
福祉課職員「ほら!じゃあ働けるじゃないですか。そんなことでいちいち生活保護なんて無理ですよ。辛いのは貴方だけじゃないんです」
「・・・」

こうしたことが今後30年ほどは珍しいことではなく、普通に社会の常識として起きていくわけです(現在進行形)。

公共の介護施設はどこも満員ですから家族(子供)がいる場合は自宅介護をするしかありません。しかしそれは働き盛りの身分を捨て仕事を退職し、収入が途絶え、社会とも縁が切れるということです。

また夫婦間での介護の場合は言わずと知れた老老介護で、体力が衰えていく中、何年も先が見えない苦痛の日々が続いていくわけです。

それでいて、介護に疲れてうとうとしようものなら、そのちょっと目を離した隙に認知症の配偶者が徘徊し、電車に轢かれて死んでしまうと、鉄道会社から情け容赦なく損害賠償金を請求され、「ご無体な!」と裁判を起こしても「責任は目を離した介護者にある」と訴えを棄却されるというのが現実です。

社会がそういう仕組みになっていれば、介護疲れによる自殺や殺人事件がもっと一般化していくのは間違いないでしょう。


【関連リンク】
914 殺人事件の国際比較
850 少年犯罪は増加、凶悪化しているのか?
738 日本人の年齢別死因は
693 引きこもりが長期化する前にすべきこと
575 自殺者数と失業者数の相関関係
338 自殺者数が年間3万名を超えている意味






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