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騙し絵の檻 (創元推理文庫) ジル・マゴーン

1987年に発表され、2000年に日本で翻訳版が出版された長編ミステリー小説です。原題は「THE STALKING HOUSE」で、解説によると「隠れ馬(獲物を捕るときに馬を姿を隠す盾として使う)、転じて口実や見せかけという意味」だそうです。

著者の作品は今回初めて読みますが、作品数(翻訳版)は少なく、すでに故人ですので、これが最初で最後になりそうです。

著者はミステリー作家で有名なアガサ・クリスティと同じく英国の女性作家で、この作品もクリスティの影響を大いに受けている感じがします。

ストーリーは、二人の殺人で有罪判決を受け、15年間刑務所で服役した後、仮釈放で戻ってきた男性主人公が、自分に罪を着せた真犯人を捜すというものです。

殺されたのは、主人公の幼馴染みの女性と、その女性が浮気していないかを夫の依頼で調べていた探偵の二人です。

女性が殺される直前には主人公が女性に誘われてベッドを共にしていたことや、情事の直後に女性が旦那に電話をして浮気を報告したことで、怒りにまかせて絞殺し、さらに女性を監視していて主人公を目撃したと思われる探偵を撲殺したと犯行動機や2件の殺人事件の現場にいたという完全に不利な証拠が揃っています。

その真犯人と目される容疑者は、元妻や同僚、上司、殺された女性の夫や父親、いとこなど多彩です。

都合の良いことに、主人公に元新聞社記者という若い女性が近づいてきて、献身的に真犯人捜しを手伝ってくれるのは物語に花を咲かせるのには必要不可欠だったのでしょう。

個人的には、結局、主人公が二重人格者で、自分が殺人を犯したことをまったく覚えていなかったというオチかな?と推理しましたが、そうではありませんでした。

やっぱりこうした様々に散りばめられた行動やふとした言動で真犯人を推理していくというのは難しいものです。なかなか読み応えがありました。

★★☆

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思い出袋 (岩波新書) 鶴見俊輔

著者は戦後の代表的な思想家、評論家、政治活動家として著名な方で、2015年に他界されています。

戦前に政治家の父親と、医師であり政治家の後藤新平の娘との間に生まれ、裕福な家庭に育ちますが、うつ病を発症するなど行動に問題があり学校を追い出され、親の斡旋で当時の先進国アメリカへ留学(予備校を経由しハーバード大学入学)します。

その留学中に日米開戦が起き、戦争捕虜として収容所に入れられますが、捕虜交換船で日本へ帰ってきます。

帰国後は、英語ができることから、海軍軍属として南方のジャカルタでラジオの英語放送を傍受し、日本語に翻訳する仕事をしていましたが、やがて病気になって本土に返されるという波瀾万丈の前半生を送っています。

そうした戦争時代の経験や、専門の哲学、戦後関わった政治運動など、様々な話しをとりとめなく書かれたエッセー集です。

何度も繰り返して同じ話がポコポコと出てきて鬱陶しい感じもしますので、もうちょっと編集がアドバイスをしてスッキリさせれば良いのにと思いますが、これほどの大物にズバリと意見できる編集者は、岩波書店ともいえどもそうはいないのでしょうね。

著者からすれば、高齢になり、どんどんと物忘れが多くなってきて、それなら忘れる前に書いておこうとする「単に備忘録」的な意味合いだったかも知れませんが、一読者からすれば、「それさっきも書いてた」というのが繰り返されます。

実は、私の実家のお向かいに住んでいて、子供の頃にはよく行き来して仲が良かった家のご主人が、著者と懇意だったというのをこの本で知って驚きでした。その家にはウチで飼っていた猫が産んだ黒猫が欲しいと言われて差し上げましたが、お向かいという近さから、毎日のように実家に戻ってきて、夕方になるとその家に連れて戻るってことをしていました。

それはともかく、懐かしい風景とともに、激動の中で生き抜いてきた人の話しを面白く、そして考えさせられる良い新書でした。

★★☆

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パンク侍、斬られて候 (角川文庫) 町田康

2004年に単行本、2006年に文庫化されたちょっと変な時代小説で、2018年には石井岳龍監督、綾野剛、北川景子、染谷将太、豊川悦司などの出演で映画が制作され公開されています。

財政が逼迫している架空の地方の藩に、ヘンテコな新興宗教「腹ふり党」が拡がって来るのではないかと言うことで、その対策アドバイザーとして売り込む浪人と、城主に次ぐNo.2の座を争う二人の家老などが巻き起こすドタバタコメディといったところです。

映画化されたぐらいだから、それなりに内容や作者の強い意志があるのだろうと勝手に思って買って読みましたが、、、あまりお薦めできるようなものではなかったです。

ただ、こういう軽さというかいい加減さが、若い人にはウケるものなのかもなぁーと、私などオッサンがちょっと斜めから眺めてみるのにはよいのかも知れません。

★☆☆

著者別読書感想(町田康)

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黄砂の籠城(上)(下) (講談社文庫) 松岡圭祐

2017年に文庫書き下ろし作品として発刊された歴史時代小説です。こんな大作が文庫書き下ろし作品とは担当編集者の目は腐っているとしか思えません。

著者の小説は、「催眠」「千里眼」「八月十五日に吹く風」「マジシャン」「ミッキーマウスの憂鬱」とこれで6作品目です。

作品自体は全部で100近くあるようですので、6作品ぽっちではファンとはとても言えませんが、この作品とともに「八月十五日に吹く風」の歴史小説は気に入ってます。

「八月十五日に吹く風」は、「リス天管理人が2018年に読んだベスト書籍」で国内小説の大賞次点に挙げています。

その他の歴史時代小説でまだ未読の「ヒトラーの試写室」「シャーロック・ホームズ対伊藤博文」なども読みたいと思ってます。

さてこの小説の舞台は、1900年の清朝末期の北京、欧米+日本の列強国の公使館が集まる東交民巷です。

そこへ日本で言えば幕末の「攘夷」と同じように、排外主義を唱える義和団という民間の組織が急速に力をつけ、北京在住の外国人や、キリスト教に帰依した中国人に対し攻撃を加えるようになっていきます。歴史の授業で必ず習う義和団事件です。

そう、学校で教わった、清国に駐留する8カ国の兵隊が一列に並んで写真に写っていたアレですね。



当初は、西太后率いる清国は、国際条約上、公使など外国人を守る姿勢でしたが、義和団の影響が大きくなってくるにつれそれを止められず、いきなり列強8カ国に宣戦布告を発します。

清国正規軍も義和団と協調し始めたことで、狭い公館が集まる地域(東交民巷)に民間人を含む外国人が追い込まれ、そこでいつ来るかわからない救援軍を待ちながら2ヶ月以上籠城することになります。

8カ国連合軍の軍隊は、清国を刺激したくないことから北京近くには主力部隊は駐留をさせてなく、北京の公館が襲われたということで慌てて救出に向かいますが、その時には義和団が全国に拡がり、兵員や物資輸送の鉄道網が爆破されたり、攻撃を受けて救出に時間がかかってしまいます。

そうした中で、多くの犠牲者を出しながらも、会津藩出身の日本人駐在武官や、語学が得意な伍長が大活躍をしてギリギリまで籠城を持ちこたえていくというスリリングなストーリーで、登場人物など、ある程度は実名で実話に沿った内容で構成されています。

アメリカの映画「北京の55日」が、欧米寄り(有能なアメリカ人が大活躍)で話が進むのと同様、この小説では日本人が主役で大活躍するというのはやむを得ません。単純ですが、日本人として誇らしい気持ちにさせてくれます。

しかしこの事件の結果、日本人が知的で勇猛果敢、植民地にはとてもできない強国であることを欧米列強に広く知らしめたことは事実で、そのすぐあとには日英同盟締結など、欧米が日本と手を組みたがるようになってきます。

義和団事件をテーマにした小説では、以前浅田次郎著の「珍妃の井戸」を読みました。そちらは清国からみた義和団事件でしたが、こちらは日本から見た義和団で、当時の地図なども書いてあってわかりやすかったです。

★★★

著者別読書感想(松岡圭祐)

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