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2020年から続く新型コロナウイルスによる経済的なダメージは、大きな利益を出している多くの大手企業ではなく、日々の仕事で資金繰りをやりくりしている零細企業や、仕事が安定しないパートや非正規社員、そして健康に不安がある高齢者を直撃しています。

さらにロシアのウクライナ侵攻による燃料価格や、多くの食料品、生活用品などが高騰する影響はこれから出てくるでしょう。

つまり給料は増えないのに商品やサービスの価格が上昇するとモノが売れなくなります。モノが売れないと雇用状態は悪化し、従業員、特にパートやアルバイトなど非正規社員は減らされ、生産性が高いとは言えない高齢者は仕事を失うことになります。

雇用環境や健康状態の悪化等で失業した時の最後のセーフティーネットとしてあるのが生活保護制度で、経済不況と失業者数、生活保護受給者数とはリンクしている場合が多いです。

そして最近の生活保護申請者の特徴としてよく言われている「高齢者の受給申請が多くなっている」は、単に高齢者数が増加しているからと言うだけでは済みそうにありません。

例えば、昭和時代なら親子関係、親戚関係など血縁者が高齢者を世話していたのが、少子化と核家族が当たり前になってからはそうした血縁者に高齢者の生活を見てもらうケースが減ってきました。

昔なら親の面倒を当たり前にみていた子供の方も、バブル崩壊以降30年間給料が上がらず、逆に非正規社員で生活が不安定だったりして、「頼ってもらっては困る」ということにもなります。

そのような中で、憲法で保障された最後の砦となる生活保護ですが、以前は申請してもなかなか受理してもらえず、水道代や電気代が払えず、それによって餓死したり熱中症で孤独死するという悲惨なことが繰り返されました。

最近は受給資格に以前ほど厳しくはなっていないのと、水道など命に直結するインフラは最後の最後まで停めないなど、犠牲者を出した反省が生かされています。

その生活保護受給について、各種データの概要を記しておきます。

データ出典は厚生労働省の被保護者調査です。

まず、生活保護を受給している人数(被保護実人員)と被保護世帯数の1990年から2021年までの推移です。1世帯に親と子供の3人がいれば、世帯数は1ですが、受給者数は3人です。



1990年頃の100万人台から徐々に増加し、2011年からはずっと2倍以上の200万人台で推移しています。

最近は高齢者の独居が増えているためか、受給者数はやや減少していますが、世帯数は横ばいで、受給者数と世帯数の割合が1990年は1.63人/世帯だったのが2021年には1.24人/世帯と受給者数と世帯数が近づいています。

 ◇   ◇   ◇

次に、生活保護の申請件数推移、受理された保護開始世帯数、申請受理比率、保護廃止世帯数は下記の表の通りです。これはその年度中に新たに生活保護を申請された件数、その中で受理した件数、その割合、生活保護の受給が終わった世帯です。

コロナが表面化した2020年には申請数が増えていますが、逆に受理比率は下がっています。上記に「最近は受給資格がそれほど厳しくない」と書きましたが、受理比率を見る限りはまた最近は厳しくなっているのかも知れません。

(世帯数)  申請件数  保護開始世帯数 申請受理比率 保護廃止世帯数
2016年度 19,603 17,686 90.2% 17,138
2017年度 18,868 17,004 90.1% 17,114
2018年度 18,698 16,713 89.4% 16,880
2019年度 18,587 16,564 89.1% 16,753
2020年度 19,009 16,906 88.9% 16,399

新たな申請数と受給が終わった(保護廃止)世帯数とがほぼ同数に近いのは偶然なのでしょうか?

なにか「新たな受給者を増やすときは廃止も増やす」と言った作為的なバランス調整がおこなわれているような感じがこの表からは感じられます。トータルがゼロとなるゼロサム理論は経済理論だけにして欲しいものです。

 ◇   ◇   ◇

生活保護が受理された開始の理由は下記の通りです。



目立つのは、「傷病による理由(黄緑)」は年々下がり続けているのと、2020年に限って見ると、「働きによる収入減少・喪失(緑)」「貯金の減少・喪失(青)」が増えています。後者についてはコロナ禍の影響と思われます。

 ◇   ◇   ◇

生活保護世帯の内訳(どういう構成の世帯か)をコロナ前の2016年とコロナ禍に入った2020年を比較してみます。



やはり2020年は高齢世帯が増えていることがわかります。高齢者世帯の増加と上記の開始理由の「働きによる・・」「貯金の・・」がそれに関係しているのでしょう。

ザクッと見てきましたが、まとめると生活保護受給者は30年前から倍増していて、その受給者の過半数が貯金が尽き、働きたくとも働けない独居の高齢者世帯が増えています。

そして160万世帯の生活保護世帯のうち、毎年1万7千世帯(1.1%)が入れ替わっているが、逆に言えば生活保護受給者の99%は制度が変わらない限り今後もおそらくずっと受給し続けることになるだろうとも言えます。

そう考えると、生活保護制度は、セーフティーネットというよりは、年金が少ない人や医療費が嵩む人、病気等で働けない人など一部の人に適用するベーシックインカムに近いものとも考えられます。

今後、この生活保護制度が改正されることも考えられますが、年金制度とともにどうあれば正解なのかは難しい今後の政治的な課題です。

【関連リンク】
1224 生活保護を受ける壁のこと
970 生活保護世帯の増加は高齢者増加だけが原因なのか?
510 生活保護受給者200万人時代



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