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1月後半の読書 2012/2/4(土)

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あかね空 (文春文庫) 山本一力

山本一力氏は1948年生まれの今年64歳、15年前に江戸時代の庶民の生活を描いた「蒼龍」でデビューし、そして10年前にこの「あかね空」で直木賞を受賞されました。デビュー以来数十の作品を出しておられますが、私は時代物、特に江戸時代の小説はあまり興味がなかったので、今までに読んだことがありません。

作家へデビューしたきっかけというのが面白く、バブル時代に億単位の借金を背負ってしまい、それを一気に返済するため起死回生策として小説を書いたということです。道理でこの小説でも、主人公の長男が博打で多額の借金を背負ったり、店賃の支払い、豆腐一丁の値段などお金にまつわる小事がしばしば出てきます。私も貧乏人ゆえに、お金には細かい性格なのですが、小説においてこれほど細かくお金にこだわって書かれているのも珍しいでしょう。

内容は、京都で修行をしてきた貧乏な豆腐職人が、新天地を求め、江戸の下町にやってくるところから物語は始まります。貧乏長屋に居を構え、硬く歯ごたえのある江戸風の豆腐に対抗して、上品で柔らかい京豆腐を作りますが、これが当初はさっぱり売れません。

しかし長屋の仲間などにも支えられ、少しずつ販路が増えていき、商売は少しずつ順調になっていきます。そして結婚して跡継ぎになる2男1女をもうけます。

幸福と不幸は裏表で、妻や跡を継いだ息子達との間にギクシャクとした関係が残ったまま、主人公が亡くなってしまいます。後に残された妻と子供達は、、、あとは読んでのお楽しみと言うことです。いずれにしても江戸時代の市井が肌で伝わってくる小説です。

親子二代にわたる大河小説とも言えますが、上記のようにやたらお金に細かく、よく言えば丁寧、悪く言えば執拗に書かれている時代もあれば、いきなり数十年がすっ飛んでしまっているところもあり、ことの重大さと時間の流れが一定ではなく、ちょっと面食らうところがあります。


告別 (ハヤカワ・ミステリ文庫) ロバート・B・パーカー

ボストンの私立探偵スペンサーシリーズ11作目の作品で1992年に日本語訳が出ています。

今回の事件は、あるダンスチームの主宰者から怪しい新興宗教集団に自分の恋人がさらわれたと言う事件に首を突っ込むことになりますが、本当の事件はというと、スペンサーの恋人スーザンが精神科医の学位を取った後、ひとりになりたいと遠く西海岸へ行ってしまうことにあります。

そのためタフガイだったはずのスペンサーは精神的にヨレヨレになってしまい、しかもスーザンに男がいることまでわかり、振る舞いが暴力的になるのはまだいいとしても、生きていく気力までを失って、クライマックスでは拳銃を構える犯人に向かって手ぶらで向かっていき、そのため胸を2発撃たれ、意識不明の重体となってしまいます。

物語の内容というか事件そのものは、やや薄っぺらく、ご都合主義的に思いますが、タフガイのスペンサーが、イアン・フレミングの描く本当の007ジェームス・ボンドの姿--任務のためとは言え、人をひとりやむを得ず殺してしまい、そのせいで、酒浸りになり、ひとりで悩んで苦しむ--とダブって見えます。

■スペンサーシリーズ関連過去記事
スペンサーシリーズの読み方(初級者編)
さらばスペンサー!さらばロバート・B・パーカー
ハードボイルド的男臭さ満点小説


陽だまりの彼女 (新潮文庫) 越谷 オサム

一般的に言う「ファンタジーノベル」ってヤツなのでしょう。全体の9割は単なる学校のクラスからはみ出した者同士の、理想的な同級生恋愛とその後の結婚生活?って思ってしまいますが、最後の1割でそれがいっぺんにひっくり返えることになります。そこはま、お楽しみということで。

私的には、このような女子中・高校生、またはその頃の多感な頃の感情がまだ強く残っているロマンチック派な女性(書店の女性店員さんにそういう人が多そう)が読むと、それはそれはきっと楽しめるのでしょう。

が、中年を超えて、やがて老年にもさしかかろうかというリアリストな男が読むにはさすがにちょっと苦しいです。水だけでお腹が一杯になってしまったような感覚です。

いや、でもハーレクイーンのような、いかにもお嬢様やお姫様になりたかった女性向けに作られたものではなく、(若い)男性が読んでも十分に面白いと思える斬新なストーリーです。

ただ9割が現実的なホンワカした話しが山盛りで、残り1割だけに、ミステリーかつファンタジーというのは、、、と、まだ言うか。


廃墟に乞う (文春文庫) 佐々木譲

佐々木譲氏の小説では、北海道警刑事のシリーズが大ヒットしていますが、その流れをくむ刑事が主人公の連作短編集です。ただし登場人物は他の道警シリーズとかぶってはいません。そして過去の実績と実力と照らし合わせると遅きに感じる直木賞を受賞(2009年下期)したのがこの作品です。

私個人的には、佐々木氏の小説は文庫化されたものはほとんど読んでいますが、その中でもどちらかと言えば現代の警察もの以外の「エトロフ発緊急電」(1989年)や「昭南島に蘭ありや」(1995年)に代表される太平洋戦争ものや「天下城」(2004年)「くろふね」(2003年)など歴史もの小説が好きです。

さてこの小説の主人公は北海道警察本部捜査一課の刑事ですが、終章で明らかにされるある事件がきっかけで心的外傷後ストレス障害(PTSD)に罹り、現在は治療のため休職中の身。したがって4週間に一度心療内科を受診するだけで暇を持てあましています。

そこで知り合いから頼まれ、行き詰まっている事件の調査や真相を単独で行うことになります。もちろん休職中ですから調査の権限も警察手帳もない状態です。アメリカの小説に出てくるようなタフな元警官の私立探偵を日本版で作ろうとしたら、このような手法にするのがベターでしょう。

そして捜査を始めると地元の警察から「余計なことをするな」と煙たがられ、時には事件に関係する地元のヤクザに絡まれそうにもなります。激しいアクションもなければ、華麗に活躍する場面はありませんが、警察では追い切れない、または公にできない事件の裏側を、地道に詰めていき、明らかにしていくというスタイルは新鮮です。

そして事件の大筋が見えた段階で、地元警察のプライドを傷つけないよう、そして刑事の手柄となるよう巧みに捜査の範囲やベクトルを修正し誘導していきます。

アメリカの私立探偵小説の主人公ならば、警官に楯突いてでも強引な捜査をおこない、ドヤ顔で結果だけを警官に伝え、恩を売っておくために手柄を渡すというパターンが多いのですが、この小説の主人公は休職中とは言え同じ警官同士ということもあり、地元警官への気の使い方は半端ではなく、これを読むと逆に警察官のプライドの高さと縄張り意識の強さだけが際だちます。


血と骨 梁石日(ヤン・ソギル)

梁石日氏の作品は「闇の子供たち」に続きたぶん2冊目の購入です。この「血と骨」も「闇の子供たち」も映画になっているので、すでにそちらを観たと言う人もいるでしょう。また実質的な小説家としてのデビュー作「タクシー狂躁曲」も「月はどっちに出ている」というタイトルで映画化され、大ヒットしています。

梁石日氏は1936年生まれですから今年で76歳です。1936年と言えば日本では二・二六事件が起き、政治にも軍事色がより一層強まる頃で、ヨーロッパはドイツを中心とする第二次世界大戦(1939年~)の響きが近づきつつある、暗雲立ちこめる混乱の時代でした。

 
この小説は、そのような時代に多くの同胞達とともに朝鮮から出稼ぎ労働として日本に移住してきたある
型破りな大男の半生で、その大男のモデルとなったのは、他でもなく著者梁石日氏の実父です。

大阪には在日韓国・朝鮮人が数多く住んでいますが、戦前、戦中は安い工場労働者として根深い差別と貧困で苦しみ、戦後は他の日本人同様、すべて失った焼け野原からの出発です。そのような時代を背景としたひとりの在日朝鮮人とそのまわりにいた家族や同胞、愛人などの狂おしいほどの生と性が描かれています。

この小説では父親の半生がメインにその父親の言葉で語られますが、話の途中には、飛田新地の娼婦だったり、強引に結婚することになった妻だったり、同胞の幼なじみであったり、最後には長男(つまり著者がモデル)の視点で語られたりと、場面、場面で主体となる主人公がコロコロと変わっていくのが特徴です。

時代も時代ですから、その貧しさと狂気、日本が物資不足の中で世界と戦争を始めようとする異様な集団的な興奮状態の世相と、それに加えて酒と博打と暴力の世界にどっぷりつかり、理不尽までに自分勝手な父親の暴れっぷりに、読み進むのが途中で苦痛になってくるほどの重くてつらい内容が続きます。どうにか最後までキチンと読めましたが、精神的に不安定なときにこれを読むのはあまりお勧めしません。

主人公は蒲鉾の加工職人ということで、初めてその仕事のことを知りましたが、ほぼすべてが自動化されている現在とは違い、高級食材として手作業で作られていた雰囲気がよく伝わってきます。そう言えば私のまだ小さかった頃(昭和30年代)の蒲鉾は、カネテツなど大手食品メーカー以外のものは、板からはみ出していたり、山の形が少し歪んでいたりして、もっとずっと手作り感が残っていたように思います。



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