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緋色の研究 (新潮文庫) アーサー・コナン・ドイル

1887年に発表されたシャーロック・ホームズシリーズの最初の作品です。ワトソン博士が英国軍に軍医として入隊してから派遣されたアフガニスタンで負傷し、英国に戻ってくるまでの回想と、その後のホームズとの出会い、そしてアメリカ人が空き家で何者かに殺されるという事件がロンドン市内で起き、その謎を解き見事に犯人を捕まえるホームズの活躍をワトソン博士が記録として書いたという設定でこれがその後長く続くホームズシリーズの原型となりました。

これが書かれたときには、その後世界的な大ヒットをおさめ、長くシリーズ化され、何度も映画化され、世界でもっとも有名な探偵小説になるとは著者自身も想像もしていなかったでしょうが、今読んでも素晴らしい内容だと感心します。この作品が発表された1887年といえば日本は明治20年、伊藤博文が初代内閣総理大臣に任命された(1885年)すぐあと、大日本帝国憲法公布(1889年)の2年前のことです。

ストーリーは、第一部としてワトソン博士の自身の紹介というか軍隊時代の回想の後、知人を通じてロンドンで部屋を探していたところ、ちょっと変わり者だがと断りをいれた上で同じようにルームシェアの相手を探していたホームズを紹介されますが、意気投合して一緒の家に住むことになります。その時も初めて会ったばかりなのに、軍医として南方へ行っていたことを当てられ驚きます。

ある日刑事からの使者がホームズを訪ねてきて、殺人事件の協力を要請されます。ホームズと一緒に殺人現場へ出向き、現場を鑑定し刑事にアドバイスをおくり、さらにホームズ自身が犯人に罠を仕掛けて、協力者を尾行するところまでいきますが、まんまと逃げられてしまいます。

手掛かりが消えて、どうするのかと思っていたら、別の推理を元に、犯人を自宅へ呼びつけることに成功し、鮮やかに捕まえます。しかしそれができた理由が、ワトソン博士や刑事達、もちろん読者にも、どうしてそれができたのか謎だらけです。

そこで第二部として、なぜホームズに犯人がわかったのか、この事件の裏に隠されていたものがなにかが説明されていきます。

その第二部はロンドンからいきなりアメリカのユタ州はソルトレイクで起きた過去の悲惨な出来事の回想となります。この小説の中では、当時の新興宗教だったモルモン教のことを悪の権化のごとくめちゃくちゃに悪者仕立てとしています。たぶんアメリカでは、当時でもそのままの内容で発表することはできなかったでしょう。

当時のモルモン教は一夫多妻を基本としていて、そのため妻となる若い女性が不足するので、あれやこれやと犯罪行為含めて若い女性を集めていたとか、上層部は世襲制で、露骨な特権が与えられていたとか、まるで日本で過去に問題となった新興宗教か独裁国家のように描かれています。
このドラマチックかつ壮大なスケールの探偵小説を、著者は英国内の数多くの出版社に持ち込んだものの、どこにも断られ、結局アメリカの出版社でようやくこぎつけました。それを知ると、今や大ベストセラーとなってこの12月には映画化もされる「永遠の0」が、いくつもの出版社に持ち込んだものの、どこにも相手にされず、結果的に零細な出版社でようやく書籍にはなったもののあまり売れず、それが文庫化されてから口コミで拡がって大ブレークしたという百田尚樹氏のツイートを思い出しました。

出版社には時の権力者に対してはコメツキバッタのように頭を下げ、札束を思い描いたり数える能力はあっても、将来有望な新人を発掘し、育てようとする意識や、新しいことにチャレンジする能力は今も昔も、そして西洋東洋問わずないということでしょうかね。


眠れぬ真珠 (新潮文庫) 石田衣良

いや~、まったくものすごいメロドラマでした。メロドラマってのが当たっているかは置いて、45歳の独身女性(不倫相手あり)と27歳の将来有望な映画監督の卵とのとろけるような恋愛ドラマです。文庫の解説に小池真理子氏が絶賛しながら書いているところなんかみてもやっぱりメロドラマですよ、これは。

出だしはこんな感じです。「北の空に開いた天窓を見あげた。星はない。夜空より一段暗い雲の影もない。濃紺のガラスを薄く切りだして、ななめにはめこんだ平面の空だった。仕事と少々のラブアフェア以外なにもない自分のような退屈な空だ。」

登場人物は、主人公の中年女性は自立している版画作家で、身よりはなく親が残してくれた逗子の家で1人住まい。主人公の不倫相手は銀座で雇われ画廊店主をやっています。この不倫相手の男が一見ちゃらんぽらんで嫌なヤツかと思いきや、なかなかいい味を出しています。

その不倫相手には主人公以外にももうひとり若い愛人がいて、それが小説にはいまや不可欠の要素となってきた感のある精神異常者。それにもう1人、主人公が年齢差を越えて恋をしてしまうのが、映画制作でトラブルがあり、今は逗子のカフェでウエーターとして働いている、いつも困ったような顔をしている若い男性。大まかにこの4人で物語は進行していきます(その他に脇役は何人もいますが)。

初出は2006年(文庫は2008年)で、以前にテレビドラマ化された作品「美丘」とほぼ同時期に書かれた作品です。

解説で小池真理子氏も書いていますが「男性作家は女性心理を、女性作家は男性心理を見事に書くことを要求される」を実践し、45歳で肉体の衰えを気にしながら、また更年期障害にも悩まされつつ、中年男性と若い男性の間で揺れ動く女性心理を見事に描ききっています。世の女性なら一度はこういう恋もしてみたいだろうなと、中年オヤジの私が勝手に想像するのは反論など恐れず自由でしょう。

仕事や恋愛で日々の生活に疲れ切った独り身の女性にとって、この小説は一時とはいえ鬱憤を晴らす清涼剤として役に立つのではないかなと想像しています。50過ぎの平凡な毎日を淡々と過ごしているオッサンが読むにはちょっと刺激が強くてキツかったです。


王国記 ブエナ・ビスタ 花村萬月

花村氏の小説は過去に「笑う山崎」や「セラフィムの夜」「ゲルマニウムの夜」などを読みましたが、中でも自伝的小説の百万遍シリーズ「百万遍 青の時代」「百万遍 古都恋情」「百万遍―流転旋転」は自身の生々しい体験が詰まっているようで、きわどい描写もあちこちにありますがエンタメ小説として傑作と言える作品です。

著者の花村萬月氏は1955年生まれと言うことで私とほぼ同年代ですが、複雑な家庭で育ち、小学校から全寮制の福祉施設におくられ、高校は3日で退学という変わった過去の持ち主です。その著者も今や作家として大成功を収め、京都の花園大学で客員教授を務めるなど名士と言ってもいいでしょう。

この「王国記 ブエナ・ビスタ」は1999年に単行本が発刊されています。1998年に出版された芥川賞受賞作品「ゲルマニウムの夜」の続編にあたるもので、著者の子供の頃に入園していた福祉施設が舞台となっています。「ブエナ・ビスタ」と「刈生の春」の2編が収録されています。

「ゲルマニウムの夜」では福祉施設から逃げだし、人を殺してしまうことになり、その後、警察の手が届かないカトリック系の救護院へと舞い戻ってきてからも、神への冒涜をし続ける生活が綴られています。内容的には「ゲルマニウムの夜」ほど刺激的でも活動的でもありません。どちらかと言えば、少し落ち着いて、福祉施設の中で精神社会に対する反発を身体の内に貯め込んでいた一時期だったのかもしれません。


心に龍をちりばめて (新潮文庫) 白石一文

2010年に「ほかならぬ人へ」で父親の白石一郎氏と同様、直木賞作家となった著者の2007年の作品です。

この著者の作品も女性を主人公とした作品が割と多いのですが、先に読んだ石田衣良著の「眠れぬ真珠」と同様に、中年に足を踏み入れた独身の美しい女性が主人公です。

2006~2007年頃というより、そうした設定は、ハーレクイーンズシリーズのように、現代においては女性の読者層にウケがいい永遠のあこがれのテーマなのでしょうかね。 

主人公がまだ2歳の時に目の前で未婚の母親が自殺してしまい、児童養護施設からある福岡の一家に引き取られ養子として育てられます。その後ひとりで東京に出て、フリーのフードライターとして自立しています。

主人公が里帰りをした時に、幼なじみで、子供の頃に親を亡くし似た境遇だった男性とバッタリ出会います。その幼なじみは、背中に龍の入れ墨を持つ元ヤクザで、現在はヤクザ家業から足を洗い、田舎町で焼き鳥チェーン店を経営しています。

主人公の女性には新聞社に勤務する資産家の家系でエリート男性の恋人が東京にいます。

しかしその男性が政治家を目指すことになり、自分が今まで築き上げてきた仕事を捨てることに抵抗があるのと、過去に一度裏切られた経験から「一度裏切った人は二度裏切る」という思いがあり、また男性の両親とは肌が合わないことで悩みます。

恋愛小説とも言える小説ですが、自殺、養子、愛人、麻薬、暴力、ヤクザ、婚約破棄など、ストーリーは結構重く暗い内容です。しかし最後のワンシーンで少しは気が楽になった思いがしました。これだから白石一文氏の小説はやめられないんですよね。


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