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三千枚の金貨(光文社文庫)(上)(下) 宮本輝
 
2010年に単行本が発刊、2013年に文庫化された長編小説です。著者の作品はライトで、また国内外問わず様々なところを旅する紀行もの的な要素が含まれる小説も多く、旅をした気分になれるので割と気に入っていてよく読みます。

 

数えてみると全部で30冊あり、上・下巻を合わせて1編、その他ダブって買ったものを除外すると23冊(編)を読んだことになります。もちろん実際にはその何倍かの小説が出ていますので、熱烈なファンからするとその程度でファンと言うのはおこがましいと非難されそうで名乗っていません。

この小説ではいきなりなんの脈絡もなく主人公がシルクロードの砂漠の旅から返ってきたその足で、馴染みのバーへ寄ったところから始まります。その旅の情景は後々詳しく語られています。おそらく創造だけで書けそうもない細かなデテールを含んでいますので、実際に取材旅行へ行って著者自身が体験されたことも含んでいるのでしょう。

個人旅行では見たり聞いたりしたことを身近な人に喋ることはあっても、なかなか人に読ませる文章にはしないものですが、作家さんが行く旅は取材旅行であるなしに関わらず、その時の情景や感動をうまく文章に表現しなければならず、そうしたものも一種の慣れか特技をお持ちなのでしょう。

ストーリーはその旅をした砂漠の旅の話し・・・ではなく、主人公が5年前に病気で入院したときに、同じく入院中で余命少ない謎の初老男性から聞かされた「和歌山にある見事な桜の木の下に1億円相当のメイプルリーフ金貨3000枚を埋めた」という話しを思い出し、半ば冗談で仕事仲間に話したところ、探し出そうということになります。

と、同時に「亡くなる前にその男性と主人公が長く話し込んでいた」という情報を得て、目つきの鋭いお供を連れた男が面会にやって来ます。つまり信じてはいなかった埋められた金貨を他にも探しているグループがあるとわかります。

こうした宝探し物語というのは一種男のロマンで、昔から宝を積んだ沈没船や徳川埋蔵金、山下財宝など、海外にもエジプトの古代埋蔵金やキリストの遺骸や聖杯など数限りなく噂や偽の古文書などが存在しています。インディジョーンズの各シリーズや人気アニメONE PEACE、人気映画パイレーツオフカリビアンなどの海賊も財宝探しが主たる目的の話しです。

そして知り合いから手に入れた謎の男の探偵会社の調査報告書を元に、金貨が埋められた場所を探すことになります。その調査報告書はとても探偵が書いたとは思えない内容で、例えば「釣り忍」の詳細などうんちく話しがたっぷり書かれているとかはご愛敬ですが、その男の正体と壮絶な過去が徐々に顕わになってくるところが最大の山場になります。


「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書) 酒井穣

フリービット株式会社 非常勤取締役(人材戦略研究所・所長)、特定非営利活動法人NPOカタリバ 理事、株式会社 BOLBOP 代表取締役など多くの肩書きを持つ著者ですが、経歴は一貫してなく、よく言えば時代の波に乗りながら柔軟性があり、悪く言えば場当たり的に利を求めて動いてきたという印象が強い方です。でもそれだけに先見性と頭脳は飛び抜けていい方なのでしょう。

人材育成法は正解やルールがあるわけではないので、古くから言われてきて今もってしても明確な手法が確立できていません。それは業種やその時の景気、経営方針や立場や性格など無限の関連するパターンが存在するからに他なりません。

しかし人材コンサルタントと自称するからにはなんらかの実績や経歴を並べておかなければなりませんので、得てしてそういう職種の人の経歴は、権威志向のやたらと長いだけの落ち着きがないつまらないものとなります。

新書にありがちなこうした釣りのタイトルもありきたりで、ずいぶん前に買っておいたものの、読もうかどうか迷っていたのですが、最初の数ページを読んでみると「分かり切った当たり前のことがとても慎重に書かれて」いて、つまらないテレビのバラエティを見るぐらいなら、といった感じで、そのまま全部読み切りました。

要は、高度成長期に見られた「OJT研修=ほったらかし」から、「優秀な社員が会社に残ってもらうための研修」をしなければならないということで、その手法や効果が論理的にかつ自己満足いっぱいで書かれているところを除き悪くはありません。

しかし本人はこの道一本というオーソリティではないので、どうしても他人が調べたデータや述べた言葉ばかりを羅列した構成になってしまい、せっかく優秀そうなこの著者の本音はなかなか知ることができません。

それとできればもっと世代別の特性やライフ(恋愛・結婚・子供・住宅ローン・親の介護・定年・老後など)を考慮した企業研修なんかも取り入れると、また違った観点で面白かったのになと感じた次第です。


下町ロケット (小学館文庫) 池井戸潤

もう10年も前に出た半沢直樹シリーズ「オレたちバブル入行組」(2004年)、「オレたち花のバブル組」(2008年)がテレビドラマになって大ブレークした作家さんですが、もちろんそれ以前に作家としての実力も十分備わっていて「空飛ぶタイヤ」(2006年)、NHKでドラマ化された「鉄の骨」(2010年吉川英治文学新人賞受賞)など順風満帆で、この「下町ロケット」(2010年、文庫は2013年)では2011年直木賞を受賞しています。

私もデビュー作「果つる底なき」(1998年)以降、著者のほとんどの作品を読んでいます。2000年頃まではビジネス小説といえば城山三郎氏、源氏鶏太氏、梶山季之氏、清水一行氏、高杉良氏、山田智彦氏などが主流で、それを好んで読んできましたが、こうした新しい現代のビジネス小説の書き手が増えてきて喜ばしい限りです。

但しビジネス小説というのは割とパターンが決まっていて、ナイスミドルの主人公が巨大企業の悪や権力を振りかざす傲慢な上層部、接待、裏金、官製談合、融資停止、敵対的買収、理不尽なクレーム、利権政治家や官僚達の介入などに押しつぶされそうになりながらも、果敢に戦って一矢を報いるというもので、個人的には飽きてきたかなという感じもあります。

しかし想定している読者層は、主人公に自分を重ね合わせて現実のモヤモヤを少しでも吹き飛ばしたいと思っている30代~40代の中堅ビジネスマンということでしょうから、そうした水戸黄門的ワンパターンで正解なのでしょう。漫画の島耕作シリーズもこの流れでうまくいった例ですね。

昨年亡くなった山崎豊子氏も「華麗なる一族」や「沈まぬ太陽」でビジネスの現場を描くことが多かったのですが、企業に限らず幅広い社会全般をとらえ、著者の思いや願い、社会意義などが語られ、単なる勝った負けたのビジネス小説ではなく社会派小説と言われた所以ではないかと思います。

著者も「空飛ぶタイヤ」では、実際に起きた三菱自動車の欠陥車が引き起こした死亡事故をモチーフに、巨大自動車メーカーとその系列銀行の傲慢さと内部腐敗をえぐり出しましたが、これはまだデビュー間もない時期でもあり、そこまで書いて大丈夫か?と並半端な決断ではできなかったのではないでしょうか。実際に出版後に映像化されるまでには様々な妨害工作などもあったのではないかと思われます。


ふたたびの恋 (文春文庫) 野沢尚

人気脚本家としても脚光を浴びていた著者ですが、2004年に自殺して亡くなりました。その亡くなる1年前の2003年に単行本が発刊され、2006年に文庫化された3編+αの中編小説集です。

昨年読んだ著者の1996年の作品「恋愛時代」はお互いに好意をもったままだけど、別れてしまった男女の切ない恋愛がテーマでしたが、脚本家らしく映像がすぐ目に浮かびそうなわかりやすいストーリー展開がなかなか面白く読めました。それだけに44歳という作家としてはまだ若手の部類で自ら世を去ったのは残念でなりません。

この小説の1編の主人公としても出てきますが、テレビドラマの脚本家として、売れだすと次々と仕事が舞い込んでくる反面、一度視聴率が取れなくなると一気に仕事を失ったり、あるいは自分の作家、脚本家としてのプライドやこだわりと、作品監督やプロデューサー、果ては出演者との意見の食い違いなど、心の葛藤や多くのストレスがあったのではないかと思われます。

一つめの作品はテレビドラマ脚本家が主人公で、弟子だった女性と関係を持つようになり、その女性が若手脚本家として成功して独り立ちするようになった頃、自分は視聴率が取れなくなり自然と別れ、ひとりすさんだ生活をしていたところ、偶然同じリゾートホテルに泊まることになる「ふたたび恋」、二つめは高校生の息子の同級生に淡い「恋」をしてしまう中年女性が主人公の「恋のきずな」、そして三つめは最愛のひとり息子を交通事故で亡くし、その後妻とも別れ、アル中になり仕事にも身が入らなくなった料理人が立ち直るきっかけとなるのは?という「さようならを言う恋」。

中でも最後の「さようならを言う恋」は現実的には起こりそうもないことですが、別れた妻や雇ってくれたお弁当屋の経営者と言った主人公をとりまく人達がすごく「いい人」ばかりで、人生捨てたモンじゃないとほっこりさせてくれます。男から見た女の理想像でしょうかね。

収録されている+αの「陽は沈み、陽は昇る」は、未完に終わった中編小説の詳細なプロットです。プロットとはいえ読むと十分に内容や場面がわかり、ぜひ完成版を読んでみたかったなと思わせるものでした。許されるのなら同じ脚本家で小説を書いている高野和明氏に「共著」としてそれを完成してもらいたいものです。そういうのはチャンドラー、マイケル・クライトン、伊藤計劃などの未完の原稿を、別の作家が完成させたという例はいくつもあります。


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