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折れた竜骨 (創元推理文庫)(上)(下) 米澤穂信

2010年単行本、2013年に文庫化されたミステリー小説で、それまで著者が得意としてきた青春ミステリーから大きく舵をきって12世紀頃、中世ヨーロッパファンタジーロマンあふれる推理小説となっています。

12世紀というと日本では平安時代末期から鎌倉時代というあたりになります。

まだ大砲や鉄砲はなく、戦争は刀と槍で戦うという時代です。それ故にヨーロッパでも日本でも華やかな甲冑文化が花開いた時期でもありそうです。

小説の舞台は大英帝国のそばで、北海上にある架空の島、ソロン島で、民族間の闘いのため、妖術というか魔術が幅を利かせています。そう言えば日本でも平安時代には陰陽師など魔術?使いが大きな顔をしていた時代がありました。

この頃のヨーロッパは、ローマ帝国、フランス王国、イングランド王国、デンマーク王国、ポーランド王国、ハンガリー王国などが群雄割拠していて、日本で言うなら差し詰め、時代は異なりますが国盗り合戦が繰り広げられた戦国時代の様相が思い浮かびます。

また当時ヨーロッパでは南からジワジワと勢力を拡大してくるイスラム系諸国と、カトリック系キリスト教の遠征軍(十字軍)が各地で激しい闘いをおこなっていた頃です。

そうした中で、ソロン島を支配していた領主が何者かに暗殺され、妖術を使って暗殺を謀る騎士を追ってやってきた騎士とその従卒の弟子が犯人を捜すというのが荒っぽい全体のストーリーです。

中世ヨーロッパを舞台にした犯人捜しの推理ミステリーということになりますが、犯人当て、なかなかこれが難しい。誰もが疑わしく、誰もが根拠に乏しく、一気に激しい戦闘が繰り広げられるラストまで息をつくことができません。

ま、「一番疑わしくない者が犯人」というセオリーは生きていますが、すっかり騙されました。

著者の本では、以前「ボトルネック 」を読みましたが、これにはガッカリさせられ、今回もあまり期待はしていませんでしたが、面目躍如、本当に同じ作者か?と天と地の違いを感じました。

★★★

著者別読書感想(米澤穂信)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

心ひき裂かれて (角川文庫) リチャード・ニーリィ

1974年に刊行され、その後和訳版が1980年に単行本、1998年に文庫版が発刊された小説です。

著者は1969年にデビューし、その後ミステリー小説を中心に多くの作品を出しているアメリカの作家です。著者名を見ず、本のタイトルから想像すると女性作家だろうと思っていましたが、男性作家でした。

ストーリーは主人公の夫と暮らす妻が神経症を患っていて、入退院を繰り返しています。

その精神障害の原因が最後の最後でわかるということで、読者はわからないまま進んでいきます。これはちょっと狡い感じ。

主人公は妻の介護が必要なことと、小説家を目指すということで、記者として勤めていた新聞社を辞めますが、酒に溺れ、街で偶然出会った少女にちょっかいを出したり、若い頃に情熱的に愛し合った元カノのことを常に思い浮かべたりしています。

そうした誠実な夫とは言えない中で、話しは主人公の主観というか一人称で進んでいきますので、「それはないだろう?」とか、ちょっとイラっとする感じです。

そしてこの作品のテーマとなっているのはアメリカ社会でのレイプ犯罪と精神疾患治療の二つです。

主人公が外出先でレイプされそうになった少女を救ったその時に、自宅に置いてきた妻が誰かにレイプされていたとか、レイプ事件が次々に起きます。

この本が書かれたのが1970年代ということで、まだDNA検査が行われていない時代ですので犯人が中々特定できず、また携帯電話という犯罪捜査には不可欠となった装置も普及していないので警察の捜査方法も今と大きく違います。

そう考えると、DNA検査、携帯電話通話履歴、防犯カメラ、自動ナンバー読み取り装置など、近代の犯罪ではこれらの分析により完全犯罪というのはかなり難しくなってきています。

そうした70年代のアメリカで大きな社会問題となっていた「レイプ犯罪」と「精神疾患」をテーマとして、ミステリー小説として仕上げた小説という理解をして読むことが必要です。

★★☆

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

刑事のまなざし (講談社文庫) 薬丸岳

2005年の実質的な著者のデビュー作「天使のナイフ」を読みましたが、いきなり江戸川乱歩賞を受賞するだけあって、なかなかのよい出来の作品でした。

2014年4月前半の読書と感想、書評「天使のナイフ」

この作品は「刑事・夏目信人シリーズ」の1作目で2011年に単行本、2012年に文庫化されています。2013年には椎名桔平主演でテレビドラマ化されています。

主人公は少年鑑別所で犯罪を犯した少年達に更正の手助けする法務技官として勤務した後に、30歳を過ぎてから警察官へと転職した変わり種です。

なぜ罪を犯した少年のカウンセリングをおこない、更正に手を貸す法務技官から、人を疑う仕事の警察官(刑事)へ転身したかは、物語の中で次第に明らかになり、最後にはその目的を果たすことになりますが、ハッピーエンドではない重苦しい結末となっています。

作品は「オムライス」「黒い履歴」「ハートレス」「傷痕」「プライド」「休日」「刑事のまなざし」の7作連作短編で構成されていて、そのひとつひとつの事件に主人公が関わり、事件を解決していきます。

心理学を勉強してきた過去から、事件の解決の仕方がなかなか鮮やかで、単発で終わらずにシリーズ化されることになった理由がわかるよい作品です。

シリーズは、「その鏡は嘘をつく」(2013年、文庫2016年)、「刑事の約束」(2014年)へと続いていきます。

★★☆

著者別読書感想(薬丸岳)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ピンクとグレー (角川文庫) 加藤シゲアキ

著者はジャニーズ事務所所属の男性アイドルグループ・NEWSのメンバーで、歌手、タレントとして活動するかたわら、年1作品の小説を発表しています。

この作品は2012年発刊の作家デビュー作品で、今年(2016年)1月に映画化されています。

その後2013年に「閃光スクランブル」、2014年にはBurn.‐バーン‐」、2015年に「傘をもたない蟻たちは」と順調に出版されているようです。今年2016年はというと、、、まだ出ていないようですね(2016/11/30現在)

お笑い芸人が小説を書くというのは過去にいくつも例がありますが、ジャニーズ所属のアイドルタレントで本格的な小説を発表したというのはこの著者が初めてだそうです。

読む前は、どうせタレント業の合間にゴーストライターの手を借りて、女性ファンに向けた「しょうもない」小説か?と思っていましたが、いえいえどうして、読み応えのあるしっかりした内容の小説で驚きました。

上に書いた「しょうもない」は、小説の序盤で、主人公が小学生の時、大阪から横浜へ引っ越してきて、マンションに着いたとき「しょうもな、東京は」とつぶやいたことが、その後親友となるごっちと最初の出会いの場だったことを引っかけています。

主人公はそのマンションで同い年のごっちなどと出会い、その後中学、高校、大学と同じ道を歩んでいきます。また学校が渋谷の近くにあったため、渋谷の街の風景がそこここに描かれ、いわゆる青春ストーリー風の小説となっています。

やがてその友人は順調に俳優としてメジャーデビューを果たしますが、同じ芸能事務所に所属しながらも大きく後れを取ってしまった主人公のジレンマや、友人が手を回しバーターで仕事をくれてもそれに反感を覚えて断ります。

そしてその友人が自殺を図ったことで、自分にその代わりが巡ってくる気持ちの悪さがうまく描かれています。

タイトルはハッキリしないぼやけた二色を象徴的に、主人公と友人の二人に例えているものと思われます。

あとがきで「タレントが書いた作品だから出版してもらえたというのはわかっている」と謙虚な姿勢も好感が持てますし、この小説からはアイドルにしておくにはもったいない、なかなか優れた感性の持ち主ということがわかります。

アイドルの看板がなくとも、作家として本腰を入れれば十分にやっていけそうで、これからもアイドルと作家の二足どころか、三足、四足といくらでも才能を発揮して活躍しそうな予感を感じさせる作品です。

★★☆

【関連リンク】
 11月前半の読書 新世界より(上)(中)(下)、ロートレック荘事件、リストラ日和
 10月後半の読書 チャイナ インベイジョン、判決破棄 リンカーン弁護士(上)(下)、シューマンの指、きいろいゾウ
 10月前半の読書 だいこん 山本一力、魍魎の匣 京極夏彦、犯罪 フェルディナント・フォン・シーラッハ



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