リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~
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学生時代や社会人になってからも独身時代のあいだは、休日や早めに仕事が終わったときに雑誌ぴあを握りしめて各地の名画座へ行き、2本立て映画を手当たり次第に観た時期もありましたが、ここ20年ぐらいは、自由時間が少なくなったのと、ビデオやDVDで自宅でも気楽に見れるようになったこともあり、映画館で観るのは年に2~3回行けばいいほうです。
もっと言えば小・中学生の頃は、毎週2~3本のテレビで放送される映画(ほとんどが洋画)をほぼすべて見ていましたので、自慢じゃないですが70年代以前の映画については相当数観ています。
さてこれから封切りされる予定の映画で、ぜひ映画館で観たいと思って楽しみにしているものが2つあります。
ひとつは「のぼうの城」。
和田竜氏の小説の映画化ですが、時は戦国時代、現在の埼玉県行田市にあった関東七名城のひとつ押城(おしじょう)で、小田原征伐とともに周辺の城も攻める豊臣側の石田三成と、城主名代成田長親との実際にあった攻防戦が描かれています。
タイトルの「のぼう」とは「でくのぼう」を略したあだ名で、若い頃には「うつけ」と呼ばれていた織田信長にもなにか共通するところがありそうです。
その時の豊臣側の城の攻め方が想像を絶する方法で、今でも現存する石田堤と呼ばれる総延長28キロに及ぶ土木工事をおこない、利根川の水をせき止め、水で城を攻め落とそうとします。後にいわゆる「忍の浮き城」と呼ばれる所以です。
それをしても結局は落城させられず、最後は北条氏支援のため小田原城へ行っていた当主成田氏長が小田原で先に豊臣側に降伏をしたため、自ら開城することになります。
この映画、すでにクランクアップされていて、本当なら昨年9月に上映される予定でしたが、昨年は3.11が起き、映画の水攻めと津波の被害がダブってしまうイメージがあるので、被害に遭われた方々の心情を考えて上映が延期され、今年11月の封切りとなりました。
主演は成田長親役に野村萬斎、有能な家老で軍師の正木丹波守利英役に佐藤浩市、部下の武将酒巻靭負役に成宮寛貴など。長親を密かに慕う勇猛果敢な甲斐姫に榮倉奈々、攻める豊臣秀吉に市村正親、石田三成に上地雄輔など、なかなか個性豊かな俳優陣で楽しみな映画です。
二つめは、この6月にクランクインした「永遠の0(ゼロ)」です。
原作はこの作品がデビュー作となる百田尚樹(ひゃくたなおき)氏の同名の小説で、発刊時はいまいちだったのが文庫化されると「これは凄い」とじわじわと口コミで拡がり、ロングセラーとなり結局100万部を突破する大ヒット作品となりました。
ちなみにTwitterで百田氏は「6年前『永遠の0』を書いた時、文藝春秋社に原稿を送ったが封も切らずに送り返された。新潮社の編集者に読んでいただいたが「出版は無理です」と言われた。新人賞を取らないで小説を出版するのはすごく難しいことなんやと思った。賞取ってデビューしてたら、もうちょっと売れる作家になっていたかも。」と書いていましたが、あきらめずに出版することができたことが、映画制作にまで結びつきました。
このように出版社のプロの目(目に触れる前?)で排除されてしまう作品も想像以上に数多く存在するのだろうことが容易に想像ができます。ただ現在はネットを使った公開や電子書籍という方法もあるので、従来の書籍のように大量に印刷して書店へ配本をするしか方法がなかった時と比べ、多くの無名の作家がデビューしやすい環境になってきたことは間違いないでしょう。だからと言って有名になるのは簡単でありませんが。
内容はすでに100万人以上の人が読んでいるので不要かも知れませんが、現代のフリーター男性が零戦パイロットで戦死した自分の祖父のことを知るために祖父の戦友を訪ね歩くところから始まります。
調べていくと「海軍一の臆病者」「帝国海軍の恥さらし」というやりきれない悪評がある一方、「凄腕のパイロット」「妻と子を深く愛していた男」という話しもあり、「必ず家族の元に帰る」と言いながら、なぜ敗戦濃厚な終戦間際になってから特攻に飛び立つことになったのかという謎を追いかけていきます。
文庫の帯には読書家で有名だった児玉清氏の「僕は号泣するのを懸命に歯を食いしばってこらえた。が、ダメだった」という言葉が添えられていました。
映画の主演は零戦パイロットの祖父役に岡田准一、孫で現代に生きる佐伯健太郎役の三浦春馬、帰りを待つ祖父の妻役で井上真央。監督は「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴です。
山崎監督は実物大の零戦も作り、空母赤城の甲板のセット、それにお得意のCGを駆使して空戦の臨場感や戦場の恐怖感を出すとのことです。東宝としては1984年公開の舛田利雄監督「零戦燃ゆ」以来となる大規模な戦争映画とのことです。
映画の公開は来年と言うことでまだ決まっていないそうですが、おそらく終戦の日近くの夏休み頃の公開で昔の東宝8.15シリーズのひとつとなりそうです。
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5月のDVD 2012/5/12(土)
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日輪の遺産 2011年角川映画 監督:佐々部清、出演:堺雅人、中村獅童
浅田次郎原作の「日輪の遺産 」の映画版です。小説では壮大な仕掛けがたいへん面白かったのですが、2時間の映画になるとかなりの部分を端折らざるを得ないので、ちょっと不完全燃焼かなと。しかも低予算で作ったとみえて主演級の俳優はともかく、そのほかの出演者のレベルが低く、舞台セットもお粗末な限りです。
その中でも主演の堺雅人や助演の中村獅童、八千草薫はたいへんいい味を出しています。堺雅人は「南極料理人」や「武士の家計簿」のようなコミカルな役から、この映画での陸軍少佐のようなシリアスなものまで表情豊かにうまく役を作れるのがいい感じです。ちょっと陸軍将校というには小粒で頼りない感じはしましたが。
ストーリーは太平洋戦争でマッカーサーが日本軍にフィリピンを追われたあとに残した金塊900億円(現在の貨幣価値で2千兆円)を敗戦が濃厚な日本に運び込み、進駐軍から隠してしまおうと政府が画策します。その任を命ぜられたのが堺雅人演じる真柴少佐と主計官(中尉)、その護衛役として中国戦線で負傷した曹長の三人。
計画では戦時動員されている女学生20人に山の中の洞窟の中に運び込ませ、終わったら口を封じるためにその女学生と教師に毒を飲ませて殺すことになっていたが、それはできないと上官に交渉しにいくと、ちょうどポツダム宣言受諾の反乱軍との混乱に遭ってしまいます。
やがてマッカーサーは厚木に降り立ち、フィリピンから奪われた金塊を取り戻すべき調査を始め、そしてようやく洞窟に隠してあることが判明してその洞窟に入っていきます。そこで見たものは、、、
浅田流の涙を誘う悲しいストーリーですが、先に小説を読んでいたので、映画では涙は浮かんできませんでした。
お勧め度★☆☆
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT 2006年米 監督:ジャスティン・リン 出演:ルーカス・ブラック、千葉真一
ワイルドスピードのシリーズはややこしくて、いくつか先に出ていますが、このX3は3本目という意味ではなさそうです。サブタイトルに「TOKYO DRIFT」とあるように日本がメインの舞台となっている作品です。
この映画、ストーリーや場面設定はかなり無茶苦茶ですが、クルマファンにはたまらない一品でしょう。中でも主人公が乗るランエボ(IX)よりも、敵役や仲間が乗るフェアレディZやRX-7、シルビア(S15)などの改造車がとても決まっていてかっちょいいです。ただアメリカ人好みなのか、やたらとボディペインティングが施されていてそれだけはいただけません。
たっぷりと入っているボーナストラックを見るとわかりますが、市街地での暴走シーンは本当に都内で撮影したのかと思っていたら、街並みをしっかりロサンジェルスに作ってそこで撮影し、一部を合成したとか。いやーよくできています。
この映画はアメリカ制作映画で、主要な登場人物も多くは外国人(アメリカ、中国・韓国の俳優)で、そのあたりはせっかく日本で多くを撮影しながら日本人俳優が選ばれなかったというのはちょっと残念ですね。そういえば実写版の「頭文字<イニシャル>D THE MOVIE」もそうでしたが、なにかワケでもあるのかな。
お勧め度★★☆
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ヤバい経済学 2011年米 監督:アレックス・ギブニー、モーガン・スパーロック等
シカゴ大学教授の経済学者スティーヴン・レヴィットとジャーナリストのスティーヴン・J・ダブナー共著による「ヤバい経済学」が原作です。
「不動産業者が他人の家と自分の家を売る時にはなにが違う」「ルーザー(負け犬)とウィナー(勝ち馬)と名づけられた双子が送った人生とは?」「大相撲の八百長はデータで証明できた?」「勉強嫌いの高校生に成績が上がれば毎月50ドルのご褒美を与えるキケンな実験!」など収録されています。
不動産業者は他人の家を売るときには売却希望値より少し安いオファーがあれば「これはいい提案だから決めた方がいい」と顧客に言うが、自分の不動産であれば希望値になるまでじっくり待つことが多く、他人の家と自分の家では明らかに自分の家の方が高く売っていうることが統計上もハッキリしています。
これはその不動産業者が受け取るインセンティブの違いから来るもので、つまり他人の不動産を売ってもその10数パーセントが手数料で入ってくるに過ぎず、少しの割引ならそのインセンティブも極めてわずかなので、早く売ってしまいたいという意識が働き、自分の不動産なら例えわずかな値引きでもその影響が大きいからすぐには売らないということ。言われてみると当たり前なんですね。
私がよく電気量販店で経験し目にすることとして、各社とも同じような性能の製品(例えばテレビや冷蔵庫)を買う場合、店員さんのお勧めを聞くと、店員さんは実際の売れ筋や性能の優劣ではなく、どの製品がその店にとって一番利益が出るかを考えて客に勧めます。それとは知らずに買ってしまう人が多いので、店員さんはそれが普通だと思って指名買いをする客にまで店や自分の成績に一番都合がいい製品に翻そうと必死に説得してきます。これも結局はインセンティブというものが働いているのでしょう。
ま、普通に面白いけれど、いまさらねぇという思いもします。お暇ならどうぞってところかな。その点ではマイケル・ムーア監督作品のほうがもっと毒が効いていて楽しめますが、棚の配列が変わってしまってどこへいったか発見できなかったのですよ。
お勧め度★☆☆
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男 2011年「太平洋の奇跡」製作委員会 監督:平山秀幸 出演:竹野内豊、井上真央
太平洋戦争のDVDが2本続きますが、この作品の原作は元海兵隊員のドン・ジョーンズが書いた『タッポーチョ 太平洋の奇跡 「敵ながら天晴」玉砕の島サイパンで本当にあった感動の物語』。なんとベタなタイトルだろう。
要は実在した大場栄という陸軍大尉が、玉砕や自決が普通だったサイパン島で、うまく米軍の攻撃をかわしながら、民間人は早めに降伏させ、兵隊も終戦までゲリラ活動を続け、最後まで戦い抜いた実話を元にして描かれています。
原作も読みましたが、原作ではもう少し大場栄氏が英雄のように描かれていましたが、映画ではそういうエピソードを入れる時間がなかったのか、どちらかといえば迷い、部下達に言われて考え直すというような場面があり、優柔不断という印象を持ってしまいました。
玉砕にしても当初は当然と思っていて一緒に突撃するも生き残ってしまい、その後米軍の攻撃が終わった後、隠れていたところ同じように生き残った兵隊達に見つかり、ともに民間人が隠れている安全な場所へ向かいます。また自決しようとする部下の前では固まってしまい、なにも声をかけられなかったりと、当時の陸軍将校としてどうなのよと思わせる場面がありました。
お勧め度★☆☆
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
マネーボール 2011年米 監督:ベネット・ミラー 出演者:ブラッド・ピット
実在のオークランドアスレチックスのゼネラルマネージャービリー・ビーンがメジャーリーグの経営に新たに持ち込んだセイバーメトリクスという新たな統計学を使い手法で、ヤンキースなどお金持ち球団に対抗できることを証明した実話を元に作られています。ちなみに現在でもビリー・ビーンはアスレチックスのGMとして活躍しています。
この手法が導入されるまでのスカウトやトレードというのは、一般的に打者なら打率・打点・本塁打数・盗塁数・守備エラー数、投手ならば球速、勝率、勝利数、防御率、失点、自責点と、打者と投手に共通して性格、スター性、年俸などを元に決められることが普通です
新たな手法というのは簡単に言えば打者ならば出塁率と年俸、投手なら奪三振率と被ホームラン率と年俸だけに重点を置くことによって、正当に評価されていないイコール年棒の安い優良な選手を獲得し効率よく強いチームを作っていくというものです。
打者で言えばヒットを打つのと選球眼がよく四球を選んで塁に出るのは価値として等しいという判断になりますし、投手は味方のチームの攻撃力や守備力により勝率も失点数も変わってくるからです。確かに得点力の弱かったり、エラーが多いチームの投手っていうのはつらいですよね。
この映画を観て、メジャーリーグというのはスポーツと言うよりまったくビジネスなんだなということが実感できます。GMが電話一本でライバルチームとトレードを成立させ、選手には紙一枚を渡して明日からライバルのチームへ移ってくれと通告します。
人情や和を以て貴しとなすを意識する日本人の感情からするとなかなか理解できない面もありますが、日本人選手がメジャーへ行くことが増えていくことで、このようなスポーツビジネスが日本でも当たり前になる日がくるのかも知れません。
メジャーリーグ好きであれば見て損はない楽しめるいい映画です。
お勧め度★★☆
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
神様のカルテ 2011年東宝 監督:深川栄洋 出演:櫻井翔、宮崎あおい
先般小説を読んで、こりゃ見なくちゃと借りてきた新作DVDです。内容はほぼ小説通りですが、当然時間の関係で省略されている部分もあり、やはり小説のほうが細部に行き届いているなぁと思った次第です。
主演の医師にアイドルの中でも慶応卒のインテリ櫻井翔を用い、なにか雲をつかむようなボヤーとした近年の若者には珍しいタイプのいい雰囲気を醸し出しています。ただ普段から使い慣れていないことがすぐわかる夏目漱石の文体風の会話がぎこちないところがあるのは演劇などを経験したプロの俳優ではないからご愛敬か。
またぼそぼそと小声で喋るシーンが多く、これが私の年齢ではほとんど聞き取れない。これは聴力の老化が原因だと思うけど、会話が聞き取れない映画ほどつまらないものはなく、この超高齢化社会において、制作側ももうちょっと配慮してもらいたいものだ。
なので会話の場面だけボリュームを思い切り高くするのだけど、場面が変わっていきなり爆音のような効果音が鳴り響いたりして鬱陶しくてかなわない。
小説では松本城が何度か登場したけれど、本編の中には登場せず、ちょっと残念。その代わり写真のような北アルプスなど美しい自然が堪能できます。
小説ではこの原作の続編が出ているので、映画もまた次回作に期待。
お勧め度★★☆
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
岳 -ガク- 2011年「岳 -ガク-」製作委員会 監督:片山修 出演:小栗旬、長澤まさみ
原作は石塚真一氏の山岳救助を題材とした漫画作品です。5月のゴールデンウィーク中に多くの遭難者を出した日本アルプスですが、その山をこよなく愛し、民間ボランティアとして遭難者の救助にあたる主人公が活躍するドラマです。
なんと言っていいのか、最初はアイドルを必要以上に持ち上げた若い二人のラブラブ映画かなと思っていましたが、そうではなくそこそこに迫力のあるいい映画でした。
ただ現地ロケのシーンは見ていてもすがすがしくいいとしても、いかにも「スタジオで撮影しました」という場面が多くあり、しかも後半のクライマックスシーンではそれがほとんどで、緊迫感もなくちょっと残念。
本格的な山登りを経験したことがない私でも、一度登山をやってみたかったなぁと思える映画ですが、残念ながら右足を傷めてそれはかないません。
小栗旬、長澤まさみに興味のない人でも、この映画も見て損はないかな。
お勧め度★★☆
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
キャピタリズム~マネーは踊る 2009年米 監督:マイケル・ムーア
華氏911など皮肉たっぷり効かせたドキュメンタリー映画を制作する同監督の作品です。
この映画ではアメリカ国内で資本主義経済がいかに疲弊し破綻しているかをリーマンブラザーズの破産を始め、国から税金がつぎ込まれる巨大な金融資本と、わずかな借金で先祖代々継いできた土地を奪われ追い出されていく個人の姿などいくつもの事例を追いかけていきます。
アメリカの憲法にも「資本主義」という言葉はどこにもなく、逆に国民が等しく公平に暮らせるようにとまるで社会主義的な文言を紹介しますが、これで同監督は共産主義者というアメリカ人にとっては屈辱的なレッテルを貼られるのでしょう。でも一向に気にするふうではありませんでした。
この映画を見ていると、常にアメリカの後を追いかけてきた日本にとって他人事ではなく、およそ10~20年遅れて同じことが起きても不思議ではありません。デトロイトの広大な自動車工場の跡地に雑草が生えている姿が、そのまま日本の製造工場に置き換わることになるのでしょう。
単に変人映画監督が作った金儲けのための映画だと切り捨ててしまうのは簡単ですが、どうすれば国や権力に騙されないようにするかなど、自己防衛策として知っておくこともいいかも知れません。
お勧め度★★☆
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ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 2010年英・米
監督:デイビッド・イェーツ 出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン
ハリポタシリーズの最終章の前編ですが、シリーズすべてをちゃんと見たわけではないので、内容がわかるかどうか心配でしたが、案の定登場人物の過去の経緯がわからず苦戦しました。
ま、楽しめればいいやということで、割り切って見ましたが、魔法の数々にもさすがに新鮮さはなく、ちっちゃくて可愛かったダニエル・ラドクリフもすっかり大人顔になり、ファンタジーというよりは冒険活劇に近くなりました。そりゃ第1作の賢者の石が公開されてから10年ですからね。
また30~40年ほどしたらリメイク版が作られたりするのでしょうけど、子供の頃にワクワクして観た中年達がこぞって子供を連れて映画館へ(40年後にまだ映画館があるのかはわかりませんが)いく様子がなんとなく想像できます。
そんなわけでひとつのストーリーが完結するわけではなく、途中でプッツリと終わってしまうので、消化不良のままです。Part2を観に映画館へ行けばいいのでしょうけど、その気にはなれず、また半年後にDVDを借りようと思ってます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
十三人の刺客 2010年東宝他
監督:三池崇史 出演:役所広司、山田孝之、沢村一樹、伊勢谷友介、伊原剛志、稲垣吾郎、松方弘樹、市村正親
昨年の日本の映画賞はノミネートされながらも「悪人」や「告白」に負けて受賞することはなく、大作ではあるものの、いまいち盛り上がらなかった映画でした。
タイトルから想像できるように、七人の侍インスパイヤ的な内容で、徹底して悪事を尽くすひ弱っぽい稲垣吾郎扮するお大名を懲らしめるため、役所広司以下、山田孝之、伊勢谷友介、沢村一樹、高岡蒼甫、伊原剛志、松方弘樹などが立ち上がり、最後には一人を除き討ち死にしてしまうという物語です。
後半延々と続く殺陣のシーンは迫力があってまぁいいのですが、敵も味方もあまりに数が多くて、なにがなんだかだんだんとわからなくなってきてしまい、予定通り最後のお大名ととの一騎打ちまでのあいだまでに観ている方も休まるときがなく疲れ果ててしまいました。
やっぱり13人よりは7人ぐらいのほうがちょうどいいのではないかと思った次第です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
SPACE BATTLESHIP ヤマト 2010年東宝
監督:山崎貴 出演:木村拓哉、黒木メイサ、柳葉敏郎、堤真一、西田敏行、山崎努
私の中高生の頃に絶賛公開中だったSFアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の実写映画版です。監督は「ALWAYS 三丁目の夕日」などで売り出し中の山崎貴、主演は古代進役の木村拓也、ヒロイン森雪は当初予定されていた沢尻エリカが活動謹慎になったため、急遽代役となった黒木メイサ、その他に沖田艦長に山崎努など豪華キャストです。
ま、アニメの時は30分番組で合計26回、正味20分としても約9時間に及ぶ元々は長いストーリーですから、それを2時間弱の限られた時間で表現するのは、かなり厳しいだろうと思っていましたが、その通りで大幅にストーリーが変えられていました。元々の原作者であった松本零士氏が「ヤマトはもう私の手から離れた」と言っていた意味がよくわかります。ちなみにこの映画の原作は西崎義展となっています。
CGの出来は、細かな点では実写版とはおこがましいとも思いましたが、意外とまずまずよくできていたように思いました。そこには山崎監督のこだわりがあったのでしょう。
実写版でもアニメ映画版と同様、続編が次々と作られるのでしょうか?興行的に成功したとも聞かないのでそれはたぶんないでしょうね。ま、どちらでもいいのですが。
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ソーシャル・ネットワーク 2010年米 監督:デヴィッド・フィンチャー 出演:ジェシー・アイゼンバーグ
日本ではイマイチ盛り上がりに欠けていますが、世界の中ではもっとも使われているというSNS、Facebookを創設したマーク・ザッカーバーグの創業を描いたフィクション映画です。決してザッカーバーグやFacebook社が金に飽かして作らせた宣伝用映画ではなく、ある程度は事実を元にして、本人や会社には了承は得ずに勝手に作られたものです。
Facebookの立ち上げに協力したと言われているNapster(ナップスター)の創設者ショーン・パーカーなども出てきて(本人ではなく役者)、基本登場人物は実名で出てきますので、アメリカのIT業界に詳しいとなかなか面白く見られるのではないでしょうか。
しかし、果たしてこれがエンタティメント映画として耐えられる内容かと言うと、いわゆるどこにでもありそうなベンチャー起業の成功物語であり、興味深いことはあまりなかったなと言うのが印象です。場面も訴訟?シーンと、その原因となった行為や行動のくり返しで、淡々と進んでいくだけです。
教訓として得られるのは、成功するビジネスというのは決して、理論や経験値ではなく、ふとひらめいた遊び心のあるアイデアや、人のアイデアのパクリ、ちょっとした先輩からのアドバイスなどによるもので、学歴やMBA資格などを持っていたところで、そういう起業家にはなれないということでしょう。
アメリカでは勧善懲悪、アメリカが一番(あるいはアメリカ最低)という映画が多い中、このようなドキュメンタリーチックな映画をふと見ると、あれ?っていう違和感を感じます。それがこの映画の狙いなのかもしれません。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
大帝の剣 2007年東映ほか 監督:堤幸彦 出演:阿部寛、長谷川京子、黒木メイサ
夢枕獏の長編小説の映画化で、ゲームやコミックとしても出ていますので、このタイトルは幅広い層に知られているものと思われます。と書きましたが、私はこういう映画があるとはまったく知りませんでした。
夢枕獏氏の小説は過去に「神々の山嶺」「上弦の月を喰べる獅子」「陰陽師」を読みましたが、いずれも面白く、さて次は何を読もうかと調べていてこの「大帝の剣」が映画化されていることを知りさっそく借りてきました。
内容は、大昔に地球に落ちてきた特殊な物質が三種の神器となり、それを求めて善と悪2つの地球外生命が徳川時代の日本にやってきます。
おそらく小説ではその由来や経緯なども書かれているのでしょうが、映画では相当部分端折ってあり、アレクサンダー大王が持っていたとされる剣がなぜか織田信長へ異国人とともに献上品として渡り、さらにその異国人の息子万源九郎へと渡っていったかなどはよくわかりません。
ま、細かいことは抜きにして、阿部寛がその異国人の息子として大太刀を背負い、奪いに来た地球外生命や、密かにそれらを探してきた徳川幕府勢と闘い、そしてなぜか北陸にまで来ていた天草四郎(黒木メイサ)にも助けられ、三種の神器を揃えて悪をやっつけるというハチャメチャな映画でした。
見所は、黒木メイサのキリッとした天草四郎役の若侍姿と、悪と手を組み剣を奪おうとする姫夜叉の杉本彩の艶っぽさぐらいでしょうか。杉本彩も今は43歳、この映画当時は39歳でしたが色気や存在感はまったく衰えていません。
ただ原作の小説ではエロチックな場面が多いそうですが、映画ではR指定を恐れてかどうか知りませんが、そのようなシーンはまったくありません。姫夜叉と万源九郎が露天風呂の中で闘うシーンも、色っぽさはまったくなく、原作を読んでからこの映画を観て、それらを期待すると、ガックリするのは間違いありません。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
武士の家計簿 2010年松竹ほか 監督:森田芳光 出演:堺雅人、仲間由紀恵、中村雅俊
磯田道史著の「武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新」を元にした映画で、加賀藩に勤める祖先から続く「そろばん侍」の生活を、残された入払帳などの記録を元にして再現した映画です。
したがって時代劇でありながら派手なチャンバラもなければ、忍者もお姫様も悪の代官様も越後屋も登場しません。
堺雅人はデビューから長くいい映画に恵まれていませんでしたが、2009年頃から主役級の「ジェネラル・ルージュの凱旋」、「南極料理人」では主役、2010年に「ゴールデンスランバー」の主役など、人気と演技力が認められてか、急速にいい仕事が回ってきているようです。この映画でも本当にいい味を出しています。
今回も地味な役で人情の機微に触れるような場面が多いながら、人柄の良さと真面目さが十分に伝わってきます。
代々そろばん侍の家系を継ぎ、彼もまたそれを息子に伝え、その反発しながらも親の意志を継いでいく息子が、明治維新で大きく世の中が動く中、得意の会計知識で新政府の中で抜擢されていくという感動的なシーンがとてもいい感じです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
グリーンホーネット 2011年米 監督:ミシェル・ゴンドリー 出演:セス・ローゲン、ジェイ・チョウ
元々「グリーンホーネット」は、1960年代以降、バットマンやスーパーマンと並ぶ主人公が変身して活躍するスーパーヒーローもので、テレビドラマとして放送されていました。
日本ではその内容よりも、主人公の相棒役の運転手カトーが、当時まだ無名だったブルース・リーがお得意のカンフーを使い演じていたことで評判となり、これが彼の出世作と言われています。
そのリメイク最新版の映画ですが、カトー役は台湾のマルチタレント、ジェイ・チョウが演じています。そう言えば実写版の「頭文字[イニシャル]D THE MOVIE」(2005年)で主人公をやっていたのはジェイ・チョウでした。日本では俳優と言うよりミュージシャン、作曲家としてのほうが有名かもしれません。
ストーリーは、グリーンホーネットの誕生秘話的なところから、街を仕切るマフィアのボスとの対決や、父親を蜂を使って殺した選挙に勝つためならなんでもやる悪徳検事との対決です。
バットマンと比べるとファンクラブまでありそうな「ジョーカー」や「ペンギン」など象徴的なヒール役がいないので、ちょっとそのあたりを期待するファンにとっては弱いなと感じます。
もし世界中でヒットすればシリーズ化されるのでしょうが、どうもそれはなさそうに思えます。
ブルース・リーのあの絵になるカンフーに対して、ジェイ・チョウは格闘技は素人同然で、特撮やCGでごまかしているものの、その迫力がまったく伝わってきません。
とか書くと彼には熱狂的ファンが多そうでクレームがやってきそうですが。ま、本人も単にブルース・リーのカトーを真似るのではなく、新しいカトーを演じるということで、割り切った出演だったのでしょう。
ちなみに映画の時代設定は現代になっていますが、テレビドラマ当時の1960年代は、まだアメリカでは人種差別的なことが多く、アメリカに住んでいるアジア人は能力も地位も低く、せいぜい庭師か、白人のお抱え運転手をしているというのが一般的でした。ブルース・リー演じるカトーも主人の命令には絶対服従の下僕という感じでした。
しかしさすがに現代のこの映画ではそういうわけにもいかず、一応は役柄は同じように社長の運転手ですが、運転以外にも画期的な武器を次々と開発する優秀なエンジニアでもあり、主人公が社長を務める新聞社の中ではスーツを着て、主人公と対等な関係のパートナーとなっているところに時代を感じさせられます。
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東京原発 2004年「東京原発」フィルムパートナーズ他 監督:山川元 出演:役所広司
福島第一原発事故の7年前に上映された映画ですが、その時にはおそらく様々な上映妨害もあったのでしょう、マスコミで話題になることもなく、またメジャーな制作会社が関わったわけでもなかったために、PRにかけられる予算も少なく、ひっそりと上映され、そして闇に葬られていった映画です。
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しかしいま、毎日テレビや新聞で語られる「○ミリシーベルト」「ヨウ素」「プルトニウム」「核燃料棒」「ウラン埋蔵量」「臨界」「核再処理工場」「高速増殖炉」「被害想定」「チェルノブイリ」「耐震強度」「再生可能エネルギー」などが、この映画で非常にわかりやすく解説されています。
専門家に言わせると、事実誤認や数値に間違っている部分もあるそうですが、そういう微細なことでいちいち文句を告げるようなものではなく、あくまでエンターテインメント映画として楽しみ、そして評価をすべきでしょう。
ストーリーは、人気絶頂にある東京都知事(役所広司)が、ある日突然原発の東京誘致を決め、都の関係役人を集めて会議を開きます。集められたのは副知事、産業労働局長、政策報道室長、都市計画局長、財務局長、環境局長で、途中から副知事に呼ばれた東京大学教授も参集します。
この集められた都の役人達がみんなユニークで、当然原発の知識は皆無、テレビでは「原発は絶対安全」「大地震対策もバッチリ」などを鵜呑みにしていますが、東大教授の話を聞くうちにだんだんと青くなっていきます。
しかし都民から絶大な支持を背景にした都知事は、原発を東京へ誘致することで国から莫大な補助金が出るので、東京都の赤字はいっぺんに解決し、さらに原子炉冷却水を今までは海に捨てているのを、東京中の都市冷暖房に有効活用するという計画まで披露します。
「放射能の汚染リスクのある原子炉冷却水を使うなんて」という意見には「今まで何億トンの冷却水を安全だと言って海に流しておいてそれはないだろう?」、「首都大震災が起きたらどうするんだ?」には「もし大地震が来れば国の原子力安全委員会が自信を持って言う通り、原発の敷地内が一番安全なはず」という反論です。
その原発の立地場所はと言うと「新宿中央公園かまたは日比谷公園。なんと言っても都有地なので、原発の建設地を買収する手間やコストはゼロで、今すぐでも可能」とのこと。「それに日比谷公園ならすぐそばにある原発は絶対に安全と言う霞ヶ関(官庁街)も文句は言わないはずで、お堀の池も冷却水として使えて都合がいい」と無茶苦茶なことを言い出します。
一見原発には広大な土地が必要と思われがちですが、今回の福島第一を見てもわかる通り、重要なのは原発建て屋と制御棟ぐらいで、あとはただの広場や林なので、広さは問題ありません。
一方、フランスで再処理されたプルトニウムが、反対運動で直接福井の港に持ち込めないからと、秘密裏に東京お台場から福井までトラックで運ばれようとしています。そのトラックが少年にカージャックされてしまい、爆弾を抱えて都庁へ向かいます。と、同時に知事が急に原発誘致を言い出した理由と本来の目的が次第に明らかになってきて、いよいよクライマックスへと突き進んでいきます。
現実の東京都が推進している都の施設貸し出し等、映画制作協力をうまく利用していて、都庁や都内各所でロケが行われ、おそらくは制作費は低予算ながらもなかなか臨場感ある本格的な映画です。
思うに、公開当時、この映画はコミカルでもありますが、芯に流れる反原発と政府や電力会社の欺瞞、小役人の身勝手さを描いていますので、様々な役所、企業、圧力団体から妨害され、また電力会社から多額のスポンサー代を受けているマスメディアからも総スカンを食っていたのではないかと思われます。出演した俳優達も、今後映画やテレビから干されてしまうリスクもあったでしょう。
しかしいま見た感想は、たいへんよくできたエンタメ映画で、しかも非常にタイムリーなので、ぜひ多くの方が、子供達と一緒に一度見ることを強くお勧めします。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アデル/ファラオと復活の秘薬 2010年フランス映画 監督:リュック・ベッソン 出演:ルイーズ・ブルゴワン
1900年初頭のフランスで元ジャーナリストで売れっ子女性作家が主人公で、脳死状態になった妹を救うため、エジプトへ渡り今から3200年前にいたファラオ=ラムゼイ2世の侍医と思われるミイラを奪い、それを蘇らせようとします。このあたり、なぜ昔の医者なのか理由が映画ではイマイチよくわからないのですが、原作ではちゃんと理屈があるのかもしれません。
ま、いろいろとドタバタがあり、無事フランスに持ち帰ったミイラを蘇らせることができたものの、侍医ではなく、原子物理学者だということがわかります。3200年前のエジプト人がなぜフランス語を流ちょうに喋っているのかもよくわかりません。それはさておき、偶然にルーブル博物館に展示中のミイラにその皇帝とそれに付き添う侍医があることに気づき探しに行きます。
ま、言ってみればフランス製の「女インディジョーンズ」ってところですが、映画の最後では、主人公はやがて沈む運命のタイタニック号に乗船するところで終わりますので、シリーズの次回作に乞うご期待ってことなのでしょう。ま、観ないけどね。
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シッコ SiCKO 2007年米 監督:マイケル・ムーア
アメリカの医療制度問題を皮肉ったドキュメンタリー映画で「ボウリング・フォー・コロンバイン」や「華氏911」などを制作した社会派監督マイケル・ムーアの作品です。シリアスな内容ですが、コミカルに作られていますので、楽しく映画を見ることができます。
アメリカの医療保険制度の矛盾や、無保険者の悲惨な状況、911事件で救助活動をおこなったために肺に障害が出たもののアメリカの病院ではまともに扱ってもらえない人達が数多く登場します。
政府は赤字財政で医療費負担を削減し、企業は利益の追求が最大目的なので、どうにかして保険の請求を拒否しようとします。したがってアメリカで医療を受けたい人は、高額な医療費を支払えるお金持ち以外は切り捨てられていくアメリカの実態を明らかにしていきます。そしてカナダやヨーロッパへ飛び、医療システムをアメリカと比較していきます。
決定的なのはキューバにある米軍基地では911の犯人などアルカイダの犯罪者を収容していて、そこの囚人達はアメリカ人の税金で完璧な医療が施されているということを知り、マイケル・ムーアは取材した多くの善良なる?アメリカ人を連れ、そのキューバへ乗り込んでいきます。せめて囚人と同等の医療をこの人達にも与えろと訴えますが基地には近づけません。
普通のアメリカ人や日本人が持つキューバのイメージは、共産主義で、国は貧しく、汚く、抑圧され、経済的に遅れているというものですが、実は今ではそれとはほど遠く、優れた医療設備や制度があり、しかも貧富にかかわらず誰でもが、ほとんど費用のかからない最高の治療費が受けられる仕組みになっていることが紹介されます。
アメリカではまともに扱われなかった病人の多くが、キューバの病院へ行き、そこで格安の治療を受け、涙を流してキューバ人医師に感謝をします。映画ですから当然デフォルメされている部分も多くあるのでしょうけれど、そしてすべてが真実かどうかはさておき、これを見てショックを受けない中流以下のアメリカ人はいないでしょう。
マイケル・ムーア監督の映画を観るのは実はこれが最初なのですが、過去の映画とともに、2009年に公開された資本主義経済をやはり皮肉った次作「キャピタリズム~マネーは踊る~」のレンタルDVD化が楽しみです。
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9<ナイン>~9番目の奇妙な人形~ 2009年米 監督:シェーン・アッカー
9(ナイン)昨年日本で公開されたアメリカのアニメ映画で、ロボットが反乱を起こし人間が滅亡した後というターミネーターもそうでしたが、割とよくある設定で、その中にあって、人間の良心を込められた風変わりなロボットたちが、破壊を繰り返すロボットに立ち向かっていくというストーリーです。
元々は短編映画で、それが2005年のアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされたことにより、有名な監督&プロデューサーのティム・バートンの目にとまり、それが長編化されたものです。
大人でも楽しめるよくできた映画で、展開も次から次へと早く、長編アニメによくある時間をもてあましたり、無意味なシーンが多いと言うこともなく、最後まで飽きることはありませんでした。
アニメは日本が一番という強い想いを持つ人も多いでしょうが、もはやそう言った差は感じられず、逆にテクニック的にはお金をいっぱいかけられるアメリカ映画のほうが質的には高いように思います。日本でも漫画家やアニメクリエイターがもっと稼げるような体制にしていかなければ、やがては旧作の掘り起こしばかりで行き詰まっていくのかも知れません。
早く世界に通用する次世代の手塚治虫や宮崎駿が出てこないと、そして彼らが日本ではなく、中国やアメリカ、インドを舞台にして活躍しなければ、急激な少子化に向かう日本においては、アニメ業界も構造不況業界になっていくでしょう。
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必死剣鳥刺し 2010年東映 監督:平山秀幸 出演:豊川悦司
昨年上映されたチャンバラ映画ですが、タイトルにあるように、最後の必殺技がすべての映画なのですが、それはホンの一瞬のことなので、それを見るための前段部分100分はなんだったのか?という印象があります。
豊悦は今年は大河ドラマで信長役でしたので、ここのところ時代劇続きのようですが、信長役の時はともかく、この映画での侍の月代姿はイマイチな印象です。「20世紀少年」のオッチョ役や「犯人に告ぐ」のはみ出し刑事役のほうがずっと似合ってます。かつらを付けることで頭と顔全体が大きくなってしまい、元々顔が大きい上に、さらにアンバランスになるせいかもしれません。
しかし敵役となる岸部一徳という俳優は、登場すると、当初どんなに善人風であっても、あの半開きまぶたの目つきからして、きっと最後には極悪非道な悪人役なんだろうなぁと思ってしまいますが、その期待は決して裏切られません。
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告白 2010年東宝 監督:中島哲也 出演:松たか子
湊かなえ氏原作の小説「告白」の映画化です。昨年の日本の各映画賞では「悪人」と最優秀賞を分けていましたので期待の一本です。小説の感想は「2月前半の読書」に少しだけ書きましたが、映画も原作に忠実に作られていて、まずまずいい出来でした。
私はすでに原作を読んでいたので、映画の展開や登場人物の役割など問題なく理解できましたが、原作を読んでいない子供は、この映画を見てよくわからないところがあったと言ってました。
確かに似たような生徒が何人も出てきて、場面に動きが少なく、メールや手紙での「告白」が次々展開されていくだけのストーリーですから、書籍と違い繰り返し読み直すことができない映画の場合、重要なシーンをちょっと見逃すと、その先がわからなくなったりすることがあります。特にこういうミステリー映画の場合、細かな部分があとで重要な意味を持っていたりしますので、何かをしながらではなく、じっくりと集中して見る必要があります。
確かに似たような生徒が何人も出てきて、場面に動きが少なく、メールや手紙での「告白」が次々展開されていくだけのストーリーですから、書籍と違い繰り返し読み直すことができない映画の場合、重要なシーンをちょっと見逃すと、その先がわからなくなったりすることがあります。特にこういうミステリー映画の場合、細かな部分があとで重要な意味を持っていたりしますので、何かをしながらではなく、じっくりと集中して見る必要があります。
ひとつ不満を言えば、松たか子は真剣な顔をしていても、どこか裏も表も明るくカラカラと活発に笑っているような顔つきで、この映画の復讐に燃える知的で冷酷な主人公にはふさわしくないように思え、もっと裏表の違った表情を微妙に表現ができる、演技力豊かな女優さんが、いなかったのかなと思ってしまいます。その点だけが残念ですが、考えてみると今の世の中、プロの専門女優さんなんて人は、ほとんどいないのでしょうね。
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