リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~
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今年の3月からNHK BSで毎週1話ずつ放送されていたプレミアムドラマ「グレースの履歴」(1話~8話、1話50分)を録画して一気に見ました。お金もかけた上質なドラマだったのでそのうち地上波でも放送されるような気がします。また有料ですがNHKオンデマンドならいつでも見ることはできます。※画像はすべてNHKより拝借しています
普段はこうした長いドラマは退屈で疲れるので、あまり見ないのですが、このドラマ、予告編でホンダの1960年代の名車S800(エスハチ)が登場していたので、ちょっと気になって録画しておきました。
原作は源孝志氏の2010年に出版された小説「グレース」(2018年文庫化の際に「グレースの履歴」と改題)です。
結論から先に言うと、人間ドラマあり、ホンダS600の感動的な話あり、主演の尾野真千子と滝藤賢一以外に回ごとに登場してくるスペシャルゲスト?が豪華、エンディングテーマ曲も洒落ていて面白いドラマでした。
簡単にストーリーを紹介しておくと、子どもがいない中年夫婦の妻が単独でフランス旅行中にバス事故で亡くなってしまうことから物語は始まります。
その妻は、ホンダS800(左ハンドル)を中古で購入し、とても大切に乗っていましたが、成田空港の駐車場に置きっぱなしになっていたS800が遺族の夫の元へ戻ってきます。
また、妻は夫に内緒で白血病の治療をしていて、もしもの時のために弁護士に依頼して遺言を残していましたが、その中に「グレースはできれば処分しないで夫に乗って欲しい」と書かれています。グレースというのは、妻が買ったS800につけた愛称です。その愛称グレースにまつわる話しは後ほど。
妻の遺言を守るため、主人公は運転免許を取得し、S800に初心者マークをつけて乗りますが、カーナビに残っていた目的地履歴のリストを見ると、フランスへ行っていたはずの日程と走行履歴の日時が重なっていることに気がつきます。
つまり、2週間の予定で渡仏していたはずが、そのうちの前の1週間はS800で国内旅行をしていたことになります。これはもしかして夫には内緒の浮気旅行なのか?という疑問が湧きます。
謎が深まり、フランスへ行っていたはずの日時にカーナビ履歴に残っている目的地へ主人公がS800に乗って旅をするというロードムービーです。
初回は起承転結の起で、妻が亡くなり、残された夫が妻の不可解な行動に気がつき、悩みながらも第2話から妻の行動をS800とともに辿る旅に入ります。
第2話では最初の目的地だった場所へ向かいますが、そこでは妻の結婚する前の元彼だった男性(伊藤英明)が夫婦でそば屋をやっていて、なぜここへ来たのか話し合うことになります。
第3話では夫の故郷である松本へ行き、その後諏訪で田舎道を快調に飛ばしていたらエンジンがオーバーヒートしてしまい、偶然通りかかったバイク乗りの女性(山崎紘菜)に救われ、近くにある腕の良い修理工場を教えられます。
その修理工場(実はバイクショップ)のオヤジ(宇崎竜童)が、かつてはホンダの社員でS800の開発にも関わり、その後は世界中をレースに帯同するメカニックとして活躍した伝説の有名人だということを知ります。
第4話では、S800が国内はもとより世界でも大人気で、映画女優からモナコの公妃となったグレース・ケリーも愛車にしていたという話を聞き、妻がこのクルマを「グレース」と名付けた理由を知ります。
そして若い頃モナコでS800の修理をレースのサポートで当時同国に滞在していたその店のオヤジが公妃の館に呼ばれ、S800を修理した思い出話をします。その時にイタズラ心でS800にちょっとした落書きをしておいた話しをしますが、実は今回の修理でその時の傷痕を見つけます。
第4話の終盤には伊吹山の道の駅から京都へ向かおうとしているヒッチハイカー(林遣都)を乗せ、第5話では子供の頃に両親が離婚し出て行きその後一度も会わなかった母親(丘みつ子)と弟(柄本佑)と再会します。
第6話では、ヒッチハイカーが目的地としていた京都へ行き、そこでヒッチハイカーの男性が一度も会ったことがなかった腹違いの兄(木村祐一)との兄弟の対面に協力することになります。
そして次の目的地の途中にふと因島へ立ち寄りますが、そこは妻にプロポーズをした場所で、妻の遺品に残っていた謎の写真の意味が判明します。
第7話はいよいよ目的地履歴の最後の場所松山で、目的地には高校と大学の同級生で結婚も考えていながらフラれてしまった女性(広末涼子)がやっているフラワーショップが示されていました。
最終回の第8話では、再会した元恋人から妻とのやりとりを聞かされ、、、そこで妻がこの国内旅行とその履歴をカーナビに残した本当の理由がわかってきます。
という、ロマンチックでミステリーな、そして旧車のファンにも嬉しく、さらにファンタジー要素も加わった面白いドラマでした。
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ドライビング Miss デイジー(原題:Driving Miss Daisy) 1989年 米(日本公開1990年)
監督:ブルース・ベレスフォード 出演者:モーガン・フリーマン、ジェシカ・タンディ
1990年のアカデミー賞では9部門でノミネートされ、そのうち作品賞、主演女優賞、脚色賞、メイクアップ賞の4部門で受賞した作品です。
高齢になってそれまで自信を持っていたクルマの運転が怪しくなってしまい、家族から運転を辞めるように言われる導入部は、今の高齢化が進む日本社会を象徴しているようです。
時代背景は1940年代で、主人公は長く勤め上げた教員生活を引退し、別居している息子は父親の工場を継いで社長の座についていて、優雅な老後生活を送っています。
ところが高齢で運転を誤り自損事故を起こしてしまい、息子から専任の運転手を雇ったから自分では運転しないようにと釘を刺されますが、最初のうちはプライドが邪魔をしてなかなか運転手と折り合えず乗ることを拒否します。
しかし徐々に打ち解けていって、その後はいつもどこへ行くのも運転手に頼るようになり、あるとき州を越えて南部の町へ遠出をするに至ります。
その長距離ドライブ中には、その地域で人種差別がまだ根深く残って、黒人の運転手は警察官に嫌がらせを受けたり、ガソリンスタンドで白人と同じトイレが使えなかったりする様子が描かれています。
1970年代に入り、認知症を患って介護施設に入院している老女を見舞った運転手は、お互いに昔を思い出して仲の良い友人として再会を喜びます。
心が温かくなるストーリーですが、なんしろ恵まれたお金持ちの老女と、使用人の黒人運転手の友情ですから、アメリカの映画では良くある「過去は反省しています」「人種差別主義者だけではなく黒人に対して心の温かな白人もいましたよ」を強くアピールしています。
ちょうど以前見た「ミシシッピー・バーニング」(1988年)や「最高の人生の見つけ方」(2007年)、「グリーン・ブック」(2008年)などと同じで、白人の白人のための自己肯定感あふれる作品というところはいつものパターンです。
★★★
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カリートの道(原題:Carlito's Way) 1993年 米(日本公開1994年)
監督:ブライアン・デ・パルマ 出演者:アル・パチーノ、ショーン・ペン
ニューヨーク州最高裁判所の元判事が書いた小説が原作で、タイトルにもなっている主人公カリートは、ニューヨークの麻薬密売ビジネスで有名人でしたが、捕らえられて30年の刑期を受けていました。
しかし収監後5年経ったときに親友の弁護士が様々な手を打って釈放されるという幸運に恵まれます。
出所したカリートは、麻薬や犯罪組織からは足を洗おうと決意し、親友のつてでクラブ経営を始めますが、昔の仲間や同業者達が、次々とやってきて穏やかな生活を許してはくれません。
結果的に親友の弁護士がマフィアに脅されて収監中のボスの脱獄を手助けする仕事に手を貸すこととなりますが、弁護士は脱獄を助けるどころか、そのマフィアのボスと息子を殺害してしまい、二人はマフィアから狙われることになります。
アル・パチーノの53歳頃の作品で、脂ののりきった頃の名演技に惚れ惚れします。映画の中でも刑務所に5年間いただけで世の中がガラリと変わってしまい、自分がすでに老いてしまったことを告げるシーンがあります。
映像も美しく、妖しく暴力的なニューヨークの夜の世界がよく描かれています。昨年見たニコラス・ケイジ主演の「救命士」(1999年)や、ずっと昔に見た「タクシー・ドライバー」(1976年)など、ニューヨークの夜が舞台の優れた映画が時々出てきます。
★★☆
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あかね空 2007年 製作会社 あかね空LLP/OLC・ライツ・エンタテインメント
監督:浜本正機 出演者:内野聖陽、中谷美紀、中村梅雀
原作は直木賞を受賞した山本一力著の小説で、私も2012年に読み、その年の最高作品に選んでいます。
◇2012年に読んだ本のベストを発表 2013/1/7(あかね空)
小説を読んでいたので問題なく理解できましたが、登場人物が多く2時間程度の映画で描くにはしっかり集中して見ないと、誰が誰でどうしてそうなったというのがこんがらがって意味不明になってしまいそうです。そのせいかわかりませんが、映画としてはあまり評価が高くなく、興行収入もよくなかったようです。
時代は江戸時代の話しですが、侍などは出てこず、商人たちの物語です。
京都から江戸に出てきた豆腐職人が長屋に豆腐店を開きますが、近くには20年前に息子が神隠しにあって跡継ぎがいない豆腐屋があります。その豆腐屋の女将がその京都から来た豆腐職人の姿を20年前に行方不明になった息子が成長した姿とダブってしまいます。
時は過ぎ、豆腐職人は事故で早世し、その息子達が後を継いで豆腐店を続けますが、その店をヤクザと組んで乗っ取ろうとするライバルの豆腐店が現れます。
そこで出てくるヤクザの親分が、豆腐店の長男が背負った博打の借金を取り立てるため、豆腐店の前に立った時、子供の頃の複雑な記憶がふとよみがえってきます。以下自粛
主演の内野聖陽が二役を演じ、良い味を出しています。
最後はハッピーエンドで終わりますので安心して見ていられます。
★★★
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ジェシー・ジェームズの暗殺(原題 The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford) 2007年 米(日本公開2008年)
監督 アンドリュー・ドミニク
出演者 ブラッド・ピット、ケイシー・アフレック、サム・シェパード
日本ではほとんど知られていませんが(私はまったく知りませんでした)ジェシー・ジェームズという人物はアメリカでは相当有名なアウトローだそうです。日本で言うところの鼠小僧次郎吉ってところです。
南北戦争(1861~1865年)後、25件以上の強盗と17件の殺人を犯し、賞金がかかった重罪人ですが、富豪から金品を奪って民衆に配っていたことで、大衆からは英雄と称えられていました。
そのアウトローの活躍を中心に描いたものではなく、子供の頃からジェシー・ジェームズに憧れてやっと仲間にしてもらった臆病で小心者の若者視点で描かれています。
その若者ですが、自宅でくつろいでいて油断をしていたジェシー・ジェームズが背中を向けたときに射殺して賞金を得るわけですが、「アメリカでもっとも卑怯な男」として名を残すことになります。
なぜ憧れていたジェシー・ジェームズを射殺したのか?というのがテーマですが、その心の変遷はよくわかりませんでした。
強いて言うなら、小心者の若者が、偉大な人物を仕留めることで自分がその偉大な人物に並ぶことができるかもという安易な発想から数少ないチャンスをものにしたということでしょうか。
★★☆
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漁港の肉子ちゃん 2021年 制作 STUDIO 4℃ 製作 吉本興業
監督 渡辺歩 企画・プロデュース 明石家さんま
声の出演 大竹しのぶ、Cocomi、花江夏樹など
西加奈子著の2011年出版の同名小説が原作で、明石家さんまがテレビ番組『さんまのまんま』に著者がゲスト出演したことがきっかけとなり、吉本興業を巻き込んで同作のアニメ映画化が決まった作品です。
東北の漁港に暮らしている母子を中心に、日々の生活を描いていて、学校でのイジメ、顔面神経症の同級生、母親が抱えている親子の秘密など、暗くなりそうなテーマがありますが、男運には恵まれませんが天真爛漫な母親の陽気さと、母親とは姿形がまったく似ていない冷静で細身の母親思いの娘の二人が、明るく常に前向きなために陰湿なムードは微塵もありません。
特になんてことはない田舎の漁村での生活風景ですが、そこにいる人達は人情味があり、時間も都会よりもゆっくり流れている感じが、美しい風景とともによく描かれていると思います。
★★☆
【関連リンク】
2023年1~2月 ガントレット(1977年)、折れた矢(1950年)、メンフィス・ベル(1990年)、どら平太(2000年)、ブロークンシティ(2013年)
2022年11~12月 るろうに剣心 最終章 The Final、 The Beginning(2021年)、マイ・インターン(2015年)、蜂蜜と遠雷(2019年)、ブリット(1968年)、シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年)
2022年9~10月 バニラ・スカイ(2001年)、千利休 本覺坊遺文(1989年)、パリは燃えているか(1966年)、御法度(1999年)、墨攻(2007年)
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ガントレット(The Gauntlet) 1977年 米
監督:クリント・イーストウッド
出演者:クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック
主人公はアリゾナ州フェニックス市警察のぐーたら刑事で、市警幹部からラスベガスに拘置されている裁判の証人を連れてくるように命令されます。
しかしマフィアとつながっている市警幹部は、その証人を移送中に殺すためにぐーたら刑事を送り込み、マフィアにその動向を知らせていました。
何度か襲撃を受けたことで、この移送計画が漏れていることに気がつき、それでも難を逃れてアリゾナまでたどり着きます。
警察からも凶悪犯として手配され攻撃されることを見越し、バスを乗っ取り、鉄板で補強してそれで裁判所へ向かいますが、道路の左右から一斉に銃弾を浴びることになります。この左右からボコボコにされるクライマックスのリンチシーンがタイトルの「ガントレット」を指しているようです。
こうした一人の刑事が証人を連れてそれを阻止する敵と対峙する映画はよくありますが、1977年当時ならまだ珍しかったかも知れません。それにしても現実が同化はともかく、アメリカの警察官って漫画みたいにバンバン撃ちまくって怖い!って感じです。
またC・イーストウッドの出世作ダーティハリーシリーズ(1971年~1988年)はサンフランシスコ市警刑事ですが、やたら拳銃を撃ちまくるなど、似たような設定もあった気がしますので、それからヒントを得ているものと思われます。
★★☆
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折れた矢(Broken Arrow) 1950年(日本公開1951年) 米
監督:デルマー・デイヴィス
出演者:ジェームズ・スチュアート、ジェフ・チャンドラー
1850年頃のアリゾナが舞台の西部劇で、移民の白人と先住民のインディアン(劇中にこの名称が使われている)との対立と殺し合いが続く中、人道的な主人公の白人がインディアンのリーダーと親しくなり、対立するアメリカ軍を動かして平和的に居住地と平和をもたらすという「白人素晴らしい!」的な文部省が推奨しそうな教育的?映画です。
主人公が金を探しにひとりで旅していた時、インディアンの子供が怪我をしているところを助けます。その子供の助けがあり、インディアンの集落へ客として迎えられ、そこでリーダーと話しをすることで親しくなっていきます。
まずは郵便の配達人を襲撃せず安全に通して欲しいと頼むところから始まり、そのあと軍とインディアン部族との戦いを3ヶ月間だけ様子を見るために休戦をすることに双方が同意させます。
しかしインディアン側にはその休戦協定に納得せず離脱して白人を襲う者が出てきます。また白人側にも同様にインディアンを襲撃する者達も出てきます。
そうした中、主人公とリーダーが奔走し、休戦期間中の諍いを無事収めていくという昔の善きアメリカ人を描いています。
この時代に作られた映画にしては、ロケ中心で中身が濃くてうまく作られた映画だと思います。
★★☆
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メンフィス・ベル(Memphis Belle) 1990年(日本公開1991年) 米
監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ
出演者:マシュー・モディーン、エリック・ストルツ
第二次大戦中に、英国の基地からドイツへ向けて爆撃をする航空部隊に実際に存在したメンフィス・ベルと愛称がつけられた爆撃機とその搭乗員達の物語です。
爆撃機はB-17で、このメンフィス・ベルはドイツへの攻撃を25回おこなって無事に戻ってきた唯一の爆撃機と言われています。そして搭乗員達は、この25回を最後にして英雄として故郷に錦を飾ることになります。
戦意高揚のためか、このメンフィス・ベルを扱ったドキュメント映画がまだ戦争中の1944年に作られています。
物語は、24回まで無事に戻ってきて、25回目のブレーメンにある軍需工場への攻撃が中心で、一緒に攻撃に出た友軍機が次々とメッサーシュミットや対空砲火で撃墜されていく中で、軍需工場を探し出して爆弾を投下し作戦は成功します。
しかし帰投中メンフィス・ベルのエンジンが4機のうち2機がやられて壊れ、無線士が重傷を負い、さらに片方の車輪が出ないというトラブルに巻き込まれながら、無事に基地まで戻ってくるというアメリカ人にとってはハッピーエンドな映画です。
出演した俳優陣に有名人はいなくて他の映画ではチョイ役の人ばかりを集めた感じなので演技や人間ドラマは薄っぺらですが、映画自体の主役は爆撃機ということを考えれば仕方なしかなと思います。
映画では20数機の編隊飛行などが出てきますが、よくこれほど多くのB-17が集められたものだと思いましたが、1機だけは博物館にあった本物で、あとはCGや合成で作られているようです。
結果がわかっている内容を見る映画ですから、ドキドキ感はありませんが、それなりに楽しめました。
★★☆
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どら平太 2000年 「どら平太」製作委員会、東宝
監督 市川崑、脚本 四騎の会(黒澤明、木下惠介、市川崑、小林正樹)
出演者 役所広司、浅野ゆう子、宇崎竜童、片岡鶴太郎、菅原文太
江戸時代、地方の小藩で、博打、女郎部屋、酒造などを取り仕切る三人の親分から賄賂をもらって見逃していた藩の幹部を一掃しようと新しく町奉行(どら平太)がやってきます。
遊び人だと知られたどら平太は、どうせすぐに尻尾巻いて逃げるだろうと油断させておき、次々と三人の親分に近づき、一気に死罪を申しつけます。当然子分達が一斉にかかってきますが、次々と峰打ちに果たすというのが最大の見どころです。
わかりやすい、勧善懲悪もので、ドラマの水戸黄門や大岡越前などとも共通します。藩の幹部から、町奉行ごときになにができると言われると、江戸詰の藩主から渡されたお墨付きを見せ、全権委任されていることを知らしめ(あとで偽物とわかる)、悪人が巣くい、役人の立ち入りが禁止され治外法権となっている壕外の町へ、自らが遊び人として豪遊し、一気に掃除をするところなど、胸がすく活躍をします。
1969年に結成された映画企画・製作グループ「四騎の会」メンバー(黒澤明、木下惠介、市川崑、小林正樹)は、2023年現在はいずれも鬼籍に入っていますが、映画が製作された2000年当時は監督を務めた市川崑氏だけが存命中で、他のメンバーの思いをこめた作品を作ったということなのでしょう。
★★☆
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ブロークンシティ(Broken City) 2013年 米
監督 アレン・ヒューズ
出演者 マーク・ウォールバーグ、ラッセル・クロウ
NY市警の刑事だった主人公は7年前に正当防衛で不審者を射殺した件で、市長から辞職することを指示され、納得はできなかったもののその後は私立探偵として過ごしていました。
そこへ次の選挙が近い市長から連絡があり、自分の妻が浮気をしているようなので、相手とその証拠をつかんで欲しいと頼まれます。
調べると浮気相手は市長選挙で争っているライバル候補の選挙参謀だということがわかり、その写真を市長に渡して調査完了かと思ったら、その選挙参謀が何者かに射殺されてしまいます。
市長のバックには再開発地区での大きな利権が絡んでいたり、実は主人公は正当防衛ではなく一方的な射殺だったことなどが判明していき、やがて主人公は大きな選択を迫られることとなります。
なにか、教訓的なものがあるわけではなく、過去のNYが舞台の事件もの映画の良いところを低予算でコンパクトにまとめた映画って感じのものでした。ちょっと物足りない感じです。
★☆☆
【関連リンク】
2022年11~12月 るろうに剣心 最終章 The Final、 The Beginning(2021年)、マイ・インターン(2015年)、蜂蜜と遠雷(2019年)、ブリット(1968年)、シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年)
2022年9~10月 バニラ・スカイ(2001年)、千利休 本覺坊遺文(1989年)、パリは燃えているか(1966年)、御法度(1999年)、墨攻(2007年)
2022年7~8月 グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997年)、トムホーン(1980年)、わが谷は緑なりき(1941年)、ダイ・ハード/ラスト・デイ(2013年)、赤毛(1969年)
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るろうに剣心 最終章 The Final 2021年 ワーナー・ブラザース映画
監督:大友啓史 出演者:佐藤健、武井咲、新田真剣佑他
るろうに剣心 最終章 The Beginning 2021年 ワーナー・ブラザース映画
監督:大友啓史 出演者:佐藤健、有村架純、高橋一生他
るろうに剣心(2012年)、るろうに剣心京都大火編(2014年)、伝説の最期編(2014年)と見てきたシリーズ最後の2篇「The Final」と「The Bigining」の連作二本です。
まずは「The Final」ですが、人斬り抜刀斎として暗殺を仕事にしていた緋村剣心に強い恨みを持つ剣の達人が中国の武器商人と手を組み、東京を火の海にします。
これ以上、自分のために犠牲者を増やしてはいけないと、剣心は呼び出された相手の館へとひとり向かいます。
そして「The Bigining」では、時代が一気にさかのぼり、幕末の京都で、剣心は桂小五郎がいる倒幕派に属し、幕府の重要人物の暗殺を仕事にしています。
ある日、妻となる女性と知り合い、その後二人で幸せな日々を過ごしますが、刺客が迫ってきて対決することになります。そしてその場で愛した妻を斬ってしまいます。
なぜ愛する妻を殺してしまったのかというのが最大のテーマです。剣心に恨みを持つ男はその妻の弟で、剣心が妻を斬ったその場を目撃をして恨みを募らせていきます。
幕末は図抜けた剣術で暗殺をおこなっていた剣心が、どうして「不殺(ころさず)の誓い」をたてて日本刀も逆刃刀で斬れないようにしているのはなぜなのかが明らかになります。それはそれで謎が解決しました。
従来の時代劇やチャンバラ劇とはひと味違うCGや特殊撮影を駆使したこうした映画は若い人にとって受け入れやすいものなのでしょう。
私はやっぱり昭和人間なので、ピンと張り詰めた浪人三船の真剣勝負のほうが好きですけどね。
★★☆
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マイ・インターン(原題: The Intern) 2015年 米
監督:ナンシー・マイヤーズ 出演者:ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ
日本でもリタイアした高齢者が若い女性が社長のベンチャー企業に就職することも増えてきてるでしょうけど、そうした大人の高齢男性(デニーロ)が主人公で、窮地に立つ女性経営者を包み込むような暖かさと誠意、経験で補佐していくというハッピーエンドストーリーです。
こんなにもオシャレで品が良く、誰からもすぐに好かれるイカした高齢者がいるとはなかなか思わないですが、そうでもしないとドラマにはなりませんものね。
でも意外にもその高齢者と若き女性経営者のラブロマンスではなく、女性経営者は既婚者で夫が家事や育児など主夫業をこないしていますが、その夫には愛人がいることに主人公の男性が気がつき、やり直せないか夫に忠告を与えます。
その他にも、主人公は妻に先立たれていますが、転職した先にいた女性とつきあうようになって、再婚することになるなど、ハッピー満載です。
★★☆
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蜂蜜と遠雷 2019年 映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会制作 東宝配給
監督 石川慶 出演者 松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン他
原作は2017年に直木賞を受賞した恩田陸著の長編小説です。先に小説を読んでいたのでストーリーや結末などはわかっていましたが、ピアノ演奏が主役の内容だけに小説ではわからない迫力のある「音」を楽しむことができました。
◇2022年4月前半の読書と感想、書評(蜂蜜と遠雷)
もちろん映画の中に出てくるピアノ演奏は促成した役者さんではなく、ちゃんとプロのピアニストが演奏しているので「音」は確かです。
しかし、当然小説を読んでいない人にもわかるよう人間ドラマの部分が無駄に多くて、原作のイメージからするとずっとピアノ演奏シーンが少なくてちょっと残念でした。
演技が下手というか、線が細すぎてその役にはまったく合ってないでしょ?と思う重鎮ピアニストでハッキリ好き嫌いを言う審査員の斉藤由貴のシーンは全部いらないかもと思いました。ミスキャストとしか言いようがありません。
原作ではその人物はもっとふてぶてしく自信過剰気味で目が据わっているイメージで、私の個人的な感想では俳優だと天海祐希か米倉涼子というイメージでした。
若きピアニストが日本でおこなわれる国際コンクール(浜松国際ピアノコンクールがモデル)に集結し、子供の頃に天才ピアニストと言われながらも13歳の時に突然弾けなくなってしまった女性、その幼馴染みでジュリアード音楽院に在学中の優勝候補の男性、そしてピアニストの老大家に見初められコンクールに送り込まれた無名ながら野性的な演奏をする少年、そして家庭を持ちサラリーマン生活を送りながらも夢を追い求める男性の4人を中心にコンテストの激しい競争が描かれます。
あとはやっぱり本場の浜松のコンサートホールを借りてロケをして欲しかったなと思いました。
最終結果は小説と同様に映画でも最後に文字だけで知らされますが、小説の感想でも書いたのですが、やっぱり最終結果の発表は不要だったんじゃないかなというのが感想です。
★★☆
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ブリット(原題:Bullitt) 1968年 米
監督 ピーター・イェーツ
出演者 スティーブ・マックイーン、ジャクリーン・ビセット、ロバート・ヴォーン
サンフランシスコ市警察本部捜査課のはみ出し刑事ブリットの派手な活躍を描いた映画で、個人的にはマックイーン主演映画ではベスト3に入るものだと思っています。数十年前に何度かテレビ映画で見ていますが、今回も録画をしてあらためて見直しました。
マックイーンと言えばカウボーイ風や軍服などの制服姿の印象が強いのですが、この映画ではパリッとしたアイビーファッションに身を固めていて特に前半に着用していた細身のスーツ姿はめちゃカッコイイです。50年ぐらい前に唯一買って持っていたメンズクラブでもお手本としてこの映画のファッションが紹介されていました。
そしてこの映画の特徴として語られるのは、追いかけるマックイーンが乗るフォード・マスタングGT390と、逃げる殺し屋が乗るダッジ・チャージャーがサンフランシスコの坂道をジャンプしながらカーチェースする長いシーンです。
サンフランシスコへは過去に90年代に2度ほど行ったことがありますが、その時には限られた場所へしか行っていないので、さすがに60年代の雰囲気は感じられなく、普通の海沿いの観光地&ビジネス街という印象でした。
今でこそ、カーアクション映画にはこと欠きませんが、当時はまだ市街地をロケのために封鎖して、派手なカーチェイスを展開するような映画はほとんどありませんでした。
あれだけ派手なジャンプや接触を繰り返しても壊れない「頑丈なアメリカ車」というのを印象づけましたが、その映画のカーチェイスをモチーフにしてテレビCMとして使ったのがトヨタで、サンフランシスコの坂道を走るシーンとともに「刑事ブリット、彼はチェーサーだ」というナレーションを入れていました。
主演のマックイーンとともに、少々嫌みな上院議員役のロバート・ヴォーン、美しい恋人役のジャクリーン・ビセットなど脇もしっかり固めていて、良い映画です。
★★★
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シェフ 三ツ星フードトラック始めました(原題:Chef) 2014年 米
監督 ジョン・ファヴロー
出演者 ジョン・ファヴロー、ソフィア・ベルガラ、ジョン・レグイザモ
監督のジョン・ファヴローは「アイアンマン」シリーズ(2008年~)や「ライオンキング」(2019年)など多くのヒット作の監督を手がけていますが、この映画では監督・脚本・主演を務めています。
ロサンジェルスにある保守的な高級レストランオーナー(ダスティン・ホフマン)と意見が合わず、その結果SNSで人気の料理評論家に「進歩がない古くさい料理」とけなされてしまい、レストランオーナーと喧嘩になって店を退職することになります。
その評論家と喧嘩をしたシーンが動画で流れて炎上したため、シェフとして再就職もできなくなり、失意の中別れた妻に誘われ子供のお守り役として一緒に妻の故郷であるマイアミへ向かいます。
そこで本場のキューバサンドに出会い、それを売り物にしたフードトラック(キッチンカー)をレストラン勤務時代の旧友と一緒に始めます。
それが見事大ヒットし、ロードムービーのごとく、手伝ってくれる友人とやたらとSNSに精通していて客集めが巧い小学生の息子とともに、キッチンカーで旅をしながら商売をし、今までの人生や生き方を深く考えるようになり徐々に変化していきます。
やがて散々な目に遭ったロサンジェルスへ意気揚々と戻ってきたところ、レストランの料理を批判したブロガーがやってきて、、、
シェフとして順風満帆にいた頃から転落し、小さな店から再起して再び高級レストランのシェフになるまでの成功物語と言えますが、美しい映像や小賢い息子やバックアップしてくれる元妻など、良い味をだしている映画でした。
★★☆
【関連リンク】
2022年9~10月 バニラ・スカイ(2001年)、千利休 本覺坊遺文(1989年)、パリは燃えているか(1966年)、御法度(1999年)、墨攻(2007年)
2022年7~8月 グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997年)、トムホーン(1980年)、わが谷は緑なりき(1941年)、ダイ・ハード/ラスト・デイ(2013年)、赤毛(1969年)
2022年5~6月 ひとごろし(1976年)、グリーンブック(2018年)、ブラザーズ・グリム(2005年)、聲の形(2016年)
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バニラ・スカイ(原題:Vanilla Sky) 2001年 米
監督:キャメロン・クロウ 出演者:トム・クルーズ、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス
事故で両親を失った富豪の息子(トム・クルーズ)が父親の会社を引き継いで、プレーボーイぶりを発揮していましたが、前の恋人(キャメロン・ディアス)から嫉妬され、無理心中をはかられてしまい顔に大怪我をする重症を負ってしまいます。
その事故でハンサムだった顔に大きな醜い傷を負い、人前に出るときはマスク姿になりますが、親友から「気持ち悪いからマスクを外せ」と言われ、暴飲し荒れてしまい路上で寝てしまいます。
なにもなかったかのように、新しい恋人に路上で寝ていたところを起こされたあとは、最先端の整形手術をおこない前の綺麗な顔を取り戻し、恋人とは元通りの仲に戻ります。
しかしあるときその恋人の顔が突然無理心中を図って亡くなった前の恋人の顔に変わってしまい、恐怖に駆られ首を絞めて殺してしまいます。しかし死んでいたのは今の恋人です。
その犯罪で刑務所に収監され、精神科医とカウンセリングが長々と続きますが、なぜこういう事態に陥ったのかという問いへのヒントに「エリー」という言葉が頭の中に浮かびます。
その「エリー」を調べると、リアルな夢を見せてくれる会社のことで、主人公は路上で寝る前に申込みをして自殺したことがわかります。つまりそれ以降の出来事はリアルな夢の中の出来事だということになります。わかりにくいです。
「エリー」から、恋人の顔が死んだ前の恋人の顔に変わるのは記憶にバグが発生してエラーが起きていると知らされ、さらに自殺した身体は冷凍保存されていて、夢から覚めて現実に戻し生き返ることも可能だと伝えられます。
しかし現実に戻っても過去の資産はもう尽きていて、顔も整形手術前の醜いまま、現実に戻るか、それともリアルな夢のまま過ごすか究極の選択を迫られることになります。
あらすじというかネタバレまで書いてしまいましたが、複雑な内容で、1回見ただけではよく理解できません。
しかしエンタメとしての映画はもうちょっとシンプルな方が良いです。
★☆☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
千利休 本覺坊遺文 1989年 西友
監督:熊井啓 出演者:奥田瑛二、三船敏郎、萬屋錦之介
原作は井上靖著の「本覚坊遺文」(1981年)で、この映画は1989年のヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞しています。外国人にこのわびさびの美学がわかるのか?とちょっと疑問にも思います。
千利休の弟子本覺坊の元へ織田信長の弟で茶人の織田有楽斎(織田長益)が尋ねてきて、千利休がなぜ死ななければならなかったのか、その謎を問い続けます。
茶人として名人の千利休、山上宗二、古田織部と、いずれも同時期に自刃することになり、三人になにか「死」についての密約があったのではないかという話や、既に亡き千利休が本覚坊の元へ亡霊となって話しに来たりとなにかと不思議でややこしい物語で、集中していないと意味がよくわかりませ。
織田有楽斎役の萬屋錦之介は100本以上の映画に出演した昭和の大スターで、テレビドラマなどの出演は亡くなる前年の1996年までありますが、映画の出演はこれが最後となります。
千利休を描いた映画では以前「利休にたずねよ」(2013年)を見ました。先に原作の山本兼一著の同名小説を読んでいましたが、こちらでは死の理由は19歳の時に自分が殺めてしまった高麗から来た高い身分の若い女性への想いを全うするためにというファンタジー的なものとなっていました。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
パリは燃えているか(原題:Is Paris Burning?) 1966年 米・仏
監督:ルネ・クレマン 出演者:カーク・ダグラス、グレン・フォード、アラン・ドロン、イヴ・モンタン、ジャン=ポール・ベルモンド、オーソン・ウェルズ
第二次世界大戦終盤のフランスが舞台で、ドイツに占領されていたパリの町で、フランスのレジスタンスの活躍を中心に豪華スターキャストで描いたモノクロ映画の大作です。
1966年公開の映画なのになぜモノクロ映画なの?と思いましたが、wikipediaによると、「撮影のためナチスの卍旗を公共の建物に掲げることにフランス当局からの許可が出ず、本来の赤い部分を緑に変色させたものを使用したことをごまかすため」とのこと。
しかし、1944年のパリ解放時の実際の迫力のある映像(モノクロ)もところどころでうまく使うことができ(画質は粗いですが)て、逆にカラーでなくて良かったかも知れません。
パリの有名な場所あちこちでロケがおこなわれていて、当時の様子を再現するためにはナチス党の大きな卍旗は絶対に必要だったでしょう。映画の製作関係者が考え抜いてのことでしょう。
戦争終盤になると、ドイツ占領軍の勢力が弱まり、連合軍もパリの近くまで進撃していますが、その先はドイツ軍の抵抗も激しく足踏みをしています。
ドイツ軍は、劣勢からパリからの退却を計画しますが、その時には「パリを灰にしろ」とヒトラー総統から命令され、占領軍の将軍は命令に従うためパリの各地に爆薬物を仕掛けますが、爆破の実行はなかなかおこないません。
レジスタンスの伝令が命がけで連合国軍キャンプまで行き、早くパリに入城してくれないとパリが焦土と化すと訴え、連合国軍もその熱意に押されて予定よりも早く進撃を開始します。
パリ市内では戦車同士の激しい戦闘が繰り広げられ、やがて補給や支援がないドイツ軍は劣勢に立ち降伏することになります。
最後まで将軍は爆破の命令を出さずパリの街は守られました。置かれた電話からはヒトラーの「パリは燃えているか?」という声が聞こえてきます。
意外と人情味のあるドイツ占領軍の将軍とレジスタンスの間を取り持つスウェーデン領事(オーソン・ウェルズ)がとてもいい味を出していて、ある意味ではパリの街を救った人とも言えるかも知れません。
映画自体は大規模な戦闘シーンなどロケが多いのですが、人物に限っては舞台演劇を見ているようなやたらとオーバーな仕草ばかりが目立ち、オールスターキャストなのに演出的にはちょっとどうかなというもったいなさを感じました。
★★☆
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御法度 1999年 松竹など
監督:大島渚 出演者:ビートたけし、松田龍平、浅野忠信
2013年に亡くなった大島渚氏が監督した最後の映画となります。また1983年の大ヒット映画「戦場のメリークリスマス」と同じく主演にビートたけし、音楽に坂本龍一というチームを組んでいます。
内容は京都で武勇を拡げている新選組に、若くてハンサムな隊士(松田龍平)が入隊してきて、衆道(ゲイ)に気のある隊士達が色めきたち、そこから様々な問題が起きてくるというたわいのない話です。
ハンサムな隊士は色気を振りまき、同時期に入隊した隊士(浅野忠信)からはすぐに関係を求められます。また別の隊員からも迫られて応じることに。
そうした風潮に危機を感じている局長の近藤勇(崔洋一)と、副長の土方歳三(ビートたけし)は、風紀を乱す隊士に厳しく当たりますが、若い隊士の周囲で辻斬りや斬り合いが起き、またその気はないものの、土方に頼まれて衆道から抜けさせるために島原の遊郭へしつこく誘う隊士も誤解されて襲われる事態になります。
「衆道の嫉妬ほど根の深いものはない」と、その原因となっている若い隊士に、衆道を最初に教えた同期の隊士を斬れと近藤と土方から命令されます。
しかしコトはそう単純ではなく、、、という最後が面白かったです。
あまり私にとっては気持ちがよい内容ではありませんが(失礼!)、昨今のボーイズラブやLGBTQの中ならともかく、この映画が公開された1999年当時はまだ異論や批判などがあったことでしょう。
出演者も今から23年前なので、みな若い!と思わず見入ってしまいましたが、それにも増して感じたのは、わざとなのかどうかわかりませんが、まるで学芸会のような感情が入っていない棒読みのようなセリフ回しで、プロの俳優のセリフじゃないということ。
セリフでまともなのはビートたけしと伊武雅刀、浅野忠信ぐらいで、あとはひどいものでした。コメディアンや映画監督、若手俳優を引っ張り出してくるのも話題作りなのでしょうけど、どうなんでしょう。
ま、ジャニーズ映画なんかを普段見ていると、セリフ回しなんてどうでもいいんじゃない?という感覚なのかも知れません。
★☆☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
墨攻 中国・日本・香港・韓国制作 中国公開2006年 日本公開2007年
監督:ジェイコブ・チャン 出演者:アンディ・ラウ、アン・ソンギ、ファン・ビンビン
元々は酒見賢一氏の歴史小説「墨攻」を原作としていますが、映画の脚本は漫画版の「墨攻」を元に書かれていたそうで、博愛主義の墨子思想はその後継者たちが権力者側に立つことで腐敗していくことなどは映画では省略されています。
「墨守(ぼくしゅ)」という言葉は、兼愛・非攻など墨子の思想を表すことばですが、小説や映画のタイトル「墨攻」はそれに対して、どうしても話し合いで解決できない場合、「弱きを助け強きを挫く」ために反撃するという意味で作者が作った造語(反対語)です。
時代は中国の戦国時代と言われる紀元前400年頃、大国の趙と燕に挟まれた小国梁は趙から攻められ城主から墨家に助けを求めますが権力側に立つ墨家3代目田鉅子からは返答がありません。
そんな中で墨子思想を貫く革離は、墨家の意向に反し、単身で梁城へ乗り込み、様々な戦術を教えて趙の大軍を翻弄します。
そうした攻める趙の大軍と、守る梁城の壮大な攻城戦が見物の映画となっています。逆に言えば見どころはそれだけとも言えます。
よかれと思い助けに入り趙の大軍を遠ざけた革離ですが、あまりの人気に嫉妬した梁城幹部の政治圧力で裏切り者とみなされ、一転追われる立場になってしまいます。そして革離の才能を認め味方をした人達も次々と粛清されていきます。
しかし攻城を諦めたと思われた趙軍は新たな戦法で梁城を急襲し、壊滅的な被害を与えます。そこでも民衆を守るために革離は戻ってきて趙軍を追い払いますが、親しい人はみな死に絶えていて、孤児になった子供達を連れて城を去って行くというストーリーです。
ネタバレも書いちゃいましたが、少し知っていないと、長編を2時間でサクッとまとめてあるので、なかなか意味不明なところがありますので。
★☆☆
【関連リンク】
2022年7~8月 グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997年)、トムホーン(1980年)、わが谷は緑なりき(1941年)、ダイ・ハード/ラスト・デイ(2013年)、赤毛(1969年)
2022年5~6月 ひとごろし(1976年)、グリーンブック(2018年)、ブラザーズ・グリム(2005年)、聲の形(2016年)
2022年3~4月 22年目の告白 -私が殺人犯です-(2017年)、ガール・オン・ザ・トレイ(2016年)、トキワ荘の青春(1996年)、我等の生涯の最良の年(1946年)
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