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翔んで埼玉 2019年 映画「翔んで埼玉」製作委員会制作 配給東映
監督 武内英樹 出演者 二階堂ふみ、GACKT、伊勢谷友介、ブラザートム
魔夜峰央氏の漫画を原作としたコミカルな実写映画で、とにかく自虐的、奇想天外、アホらしさ満載の映画です。よくぞ実写化までこぎ着けたものだと感心します。でも出演者達の、そのバカバカしさに真剣に取り組んでいる姿が感動ものです。
内容はともかく、埼玉県人や千葉県人が心の奥深いところで感じている東京への劣等感をためらうことなくあぶり出し、自らを茶化すことで、真の郷土愛に目覚めていくという感じでしょうか。関西出身でにわか神奈川県民の私にはよくわかりません。
主演の二人、二階堂ふみとGACKTはともに沖縄出身者ですが、この映画では、東京と埼玉出身者という設定になっています。
そう言えば「図書館戦争」や「テルマエ・ロマエ」などとも、なにか共通するバカバカしさがあって、それなりに楽しめました。
でも日本映画界、悪いとは言わないまでも、映画そのものや、原作をアニメや漫画ばかりに頼り切っていて、これでいいのか?
★☆☆
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影の軍隊 原題:L' ARMEE DES OMBRES 1969年 フランス
監督 ジャン=ピエール・メルヴィル 出演者 リノ・ヴァンチュラ、ジャン=ピエール・カッセル、シモーヌ・シニョレ
第二次世界大戦中、ドイツ軍に占領されたフランスで、地下に潜ってドイツに抵抗し続けたレジスタンス達の物語です。原作はフランスの作家ジョゼフ・ケッセルの同名小説で、著者の代表作には映画にもなった「昼顔」(1929年)などがあります。
とにかく場面の展開が急で、集中して見ていないと、誰がどうなった?がわからなくなりそうでした。主要な登場人物も多いです。
ストーリーは簡単に書けるシンプルなのものではなく、極めて簡単に言えば、フランスに進駐してきたナチスに対し、主人公のレジスタンス達が様々な反抗活動をおこない、時には裏切った仲間を殺し、やがてはみんな捕まって死んでいくという空しいもの。
日本人からすると、ドイツとフランスの関係は、日本と朝鮮半島の関係と同じ?と思いがちですが、その関係性は、現在の双方両国の関係を比較すると大いに違うなと思います。
映画でも、フランスの敵は、ナチス(あるいはゲシュタポ)であって、ドイツ全体を敵や悪とはみなしていないかなと。その点、朝鮮半島は、敵は日本の軍部(当時の帝国陸軍など)ではなく、天皇制を含めた日本全体を敵や悪と定めているような感じです。それが良好な仏独関係と、未だに改善しない日韓関係、日朝関係との大きな差のような気がします。
いずれにしても、地下に潜って抵抗活動を続けるメンバーが、捕らえられ、拷問の末に仲間を売り、悲惨な死を遂げていくシーンは目を背けたくなります。
自分への拷問だけなら、口を割らなくても、家族への蹂躙を示唆されると口を割らざるを得ないとか、敵も次々と弱点を突いてきます。その根比べです。
他国の軍隊に支配されるというのはどういうことか、そして平和のありがたさと素晴らしさを感じさせる映画です。
★★☆
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タバコロード(Tobacco Road) 1941年 米(日本公開1988年)
監督:ジョン・フォード 出演:ダナ・アンドリュース、チャールズ・グレープウィン、ジーン・ティアニー
アメリカの小説家アースキン・コールドウェルの同名小説(1932年)が原作です。その著書がデビュー作で、著者の実質代表作となっています。
公開された1941年というと、日米開戦の年で、日本国内ではこうしたエンタメ映画を作って見る余裕はなかったでしょうけど、まだアメリカでは同年に公開された「市民ケーン」や「マルタの鷹」など娯楽作品が普通に上映されていました。
ストーリーは、アメリカ南部ジョージア州のタバコ葉の製造地帯を舞台に、貧しい農民、プア・ホワイトとよばれる人達の日常と生活を面白おかしく描いています。
この映画のもっともウリは映画界の匠、西部劇や戦争物などアクション活劇が多く、また派手な演出が好きそうな監督のジョン・フォードですが、どういう成り行きで、このような地味で動きの少ない映画の監督を引き受けたのかは不明です。
元々は演劇(戯曲)で上演されていたそうで、確かに映画を見ていても場面は固定された限定的、その中で役者が大げさに動き回っているだけという感じです。それもなかなか味はありますが、ジョン・フォード監督らしさを感じるのは、当時の壊れそうなクルマでのカースタントぐらいです。
当時、世界的に世相が暗くなっていた時代、これだけの貧乏農民を見て笑っていると、憂さ晴らしになったのか、それとも「あの人たちよりずっとマシな生活がおくれている」とか思ったのでしょうか。
とにかく、日々食べるものが買えないほど貧乏で、しかし明るく、前向きで、しかしズルく、悪賢く、怠惰でとよくわからない内容でした。
★☆☆
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デューン/砂の惑星1984年 米
監督 デヴィッド・リンチ 出演者 カイル・マクラクラン、ショーン・ヤング
原作はフランク・ハーバートのSF大河小説で、日本では1985年に公開された映画です。デヴィッド・リンチ監督の映画なら間違いないかな?と思って楽しみにみたところ、、、残念な映画でした。
もっとも36年も前の映画ですから、先日見た火星が舞台の「オデッセイ」(2015年)や、宇宙ステーションから脱出する「ゼロ・グラビティ」(2013年)などの素晴らしいCG技術を駆使した映像と比べるのはよくないですが、あまりにも作りが陳腐すぎて、まだ巨額を投じただけあってか「2001年宇宙の旅」(1968年)のほうがずっと見応えがあります。
やっぱこの監督には奇想天外なSF映画よりは、リアルな愛憎ひしめく人間ドラマが向いているような気がします。
しかも原作は3冊に及ぶ長いドラマだけに、140分の映画に収めるのは、めまぐるしく展開する内容の薄いものになってしまうのは仕方がないのかも知れません。
同時期にテレビシリーズとしても制作されたそうで、NHKの大河ドラマ同様、1年ぐらいをかけて映像化するのに向いていそうです。
★☆☆
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海よりもまだ深く 2016年 フジテレビ、バンダイビジュアル他
監督 是枝裕和 出演者 阿部寛、真木よう子、小林聡美
是枝監督と阿部寛主演とくるともう楽しみしかない感じで、さらに元気な頃の樹木希林までたっぷりと出てくる映画です。
原作は監督自らが考えたそうで、最近よくあるベストセラー小説やアニメを元にしたものではありません。
主人公は、売れない作家で、アルバイトに探偵事務所で勤務、お金が入ればギャンブルにすぐ使ってしまい、母親や姉にいつも無心しています。
さらに、離婚した妻と子供に養育費の支払いも滞り、浮気調査で、相手から調査結果を書き換えることで金を得ようとする小悪人でダメ男です。
別れた元妻に未練たっぷりで、母親もなんとか復縁出来ないかと協力してくれますが、「あの人は家庭には向かない」とバッサリです。
映画では主人公が立ち直る姿が見られるのか?と思いましたが、最後に父親が残した上等な硯を母親の部屋から勝手に持ち出し、質屋で見てもらったところ、思わぬ高額の値段がつき、売り払うのか?と思ったところ、その後のシーンで大切に持っていたのが救いということか。
主演の阿部寛は、その他の役では、割とコミカルではあるけれど、スーツをビシッと着て律儀で真面目なものが多く、こうした無精髭のダメダメ男にはちょっと向いてないかなという気がします。
母親役の樹木希林は最高の出来で、それに救われています。別れた元妻役の真木よう子はバツ1子持ち役にはもったいないぐらいホント若々しくて綺麗です。
★★☆
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ベニスに死す 原題(英語):Death in Venice 1971年 イタリア・フランス合作
監督:ルキノ・ヴィスコンティ 出演者:ダーク・ボガード、ビョルン・アンドレセン
トーマス・マン原作の小説を、1963年に「山猫」でカンヌのパルム・ドールを受賞したイタリアの監督ヴィスコンティが映画化したものです。
タイトルだけは有名ですので、知っていましたが、内容はまったく知らずに見ました。死が恋人を分かつ大人の恋愛映画だろう?ぐらいに思っていましたが、全然違いました。
主人公は、希代の作曲家マーラーをモチーフにした男性で、現実のマーラーの人生とはまったく違っていますが、映画の中で使われる音楽はマーラー作曲のクラシックが使われ、映画だけを見ていると、マーラーの自伝かと思ってしまいそうです。なお原作の小説では主人公は小説家となっているそうです。
内容は1911年、ドイツの作曲家である初老の主人公が、不評だった仕事を忘れるためにイタリアのベニスの避暑地へひとりでやってきます。
そこで出会った同じく避暑に来ていた上流階級の14歳のポーランド人美少年に気持ちを入れあげてしまい、葛藤の中で悶々とする中、ベニスの街にコレラが流行してきますが、ホテルも行政も観光で潤っているだけにひた隠しにしてやがては街中に死の影を落としていきます。
手っ取り早く言えば、中年男が美少年に対するプラトニックラブが燃え上がり、彼の姿を探し求めて街をさまよい、やがてコレラに冒されって、、、感じでしょうか。
う~ん、そうした趣味はないので理解は不能ですが、一部の人達の間では感情移入して盛り上がったのでしょうかね。
ついでに指揮者であり作曲家として有名なグスタフ・マーラー(1860年~1911年)について少し触れておくと、交響曲第1番ニ長調(副題:巨人)、交響曲第2番ハ短調(副題:復活)、交響曲第6番イ短調(副題:悲劇的)など多くの交響曲を作っているオーストリア人です。映画のようにコレラに感染して亡くなったのでも、外国旅行中に亡くなったわけでもありません。
★★☆
【関連リンク】
2020年1月~2月 ペイルライダー(1985年米)、アラバマ物語(1963年米)、マスカレード・ホテル(2019年)、疾風ロンド(2016年)、ブラジルから来た少年(1978年米・英)
2019年11~12月 億男(2018年)、バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016年)、マーニー(1964年)、赤ひげ (1965年)
2019年10月 遥かなる大地へ(1992年)、モンスター上司(2011年)、ワイルドカード(2015年)、早春(1956年)
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ペイルライダー (原題 Pale Rider) 1985年米
監督 クリント・イーストウッド 出演者 クリント・イーストウッド、マイケル・モリアーティ、キャリー・スノッドグレス
19世紀の西部で細々と金鉱掘りをしている集落の土地を力尽くで奪おうとする町の有力者に対し、流れ者でやってきたやたらと喧嘩に強い牧師が首を突っ込み救うという「シェーン」と「荒野のストレンジャー」を合わせたような西部劇で、黒澤監督の「七人の侍」や「用心棒」とも通じるところがあります。
タイトルの「ペイルライダー」とは、「ヨハネの黙示録の四騎士のうち、死を司るとされる第四の騎士」のことで、片っ端から悪?を殺していくというアメ~リカンな内容となっています。
誰しも、権力者や悪人富豪に苦しめられ窮地に立たされたときには、誰か助けに来てくれないか?と願うことがありますが、せめて空想の映画の中だけでもそれを具現化してくれるものです。そうして古くから、弱者や貧しい人はガス抜きをしてきたのでしょう。
とにかくイーストウッドが強すぎです。公開された1985年というと、ダーティーハリー4と5の間の作品ということになります。
まだ若く活きがよく(とはいえ当時既に55歳ですが)、その後の「許されざる者」(1992年)や「マディソン郡の橋」(1995年)、「グラン・トリノ」(2008年)など、アクションを抑えたシリアス路線前の作品です。
★★☆
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アラバマ物語 (原題:To Kill a Mockingbird) 1962年米
監督 ロバート・マリガン 出演者 グレゴリー・ペック、メアリー・バダム、フィリップ・アルフォード
1962年度アカデミー賞で主演男優賞他二部門で受賞、同年ゴールデングローブ賞の主演男優賞を受賞した作品です。
黒人差別が根強く残っている1930年代の南部アラバマ州の町で弁護士をしているのが主人公で、あるとき、白人女性をレイプした罪で黒人男性が訴えられ、その黒人男性の弁護士を保安官から依頼され受けます。
黒人の弁護をすることで、家族含め黒人差別をする町の人から非難を浴び続けることになります。
このドラマにはもうひとり主人公がいて、それが弁護士の娘です。
この物語自体をその娘が子供の頃の思い出を語るというスタイルをとっています。原作もこの弁護士の娘が大人になって書いた自伝的な小説です。
タイトル「To Kill a Mockingbird」は、父親が、子供に、「やがて銃を撃つことになるだろうけど、人になんの害も与えないモッキンバード(鳥)を撃ち殺すことは罪になる」と話したことがベースとなっています。
黒人差別を描いた映画では、私は「ミシシッピ・バーニング」が印象深く残っていますが、奴隷制度とともに、アメリカに長く残る黒歴史を描いています。
そうした中で、60年代の「良きアメリカ人代表」として、グレゴリー・ペックぐらい似合う俳優はないですね。今で言えば、ブルース・ウィリスやハリソン・フォードってところでしょうか。
★★☆
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マスカレード・ホテル 2019年 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会
監督 鈴木雅之 出演者 木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世
東野圭吾の2011年発刊の小説を原作とするミステリー映画です。2014年に原作の小説を読んでいますから、概ね内容は知っていたつもりでしたが、6年前と言うこともあって、すっかり大事なところは抜け落ちてました。
ストーリーは、都内の高級ホテルを舞台に、連続殺人犯?が殺害予告をおこなったため、そのホテルにキムタク刑事やその他の刑事がホテルマンとして潜り込み、怪しい犯人を突き止めようとします。
テンポよくストーリーは進んでいき、ホテルの裏側も垣間見え、非日常感を味わえます。
実は私も学生時代に観光ホテルで数年間アルバイトをしていたことがあり、ホテルの裏側についてもある程度は知っていますが、仕事は部屋の清掃だったため、直接お客様と接することはほとんどなく(たまに連泊で部屋に居残っている客はいた)、今回キムタクが演じたフロントマンやベルボーイなどは、実際は素人がすぐにできっこない極めて難しい仕事なのでしょう。
そのキムタク刑事へのフロント業務の指導役が長澤まさみで、二人の掛け合いが魅力の映画となっています。
原作でも犯人はまったく想像がつきませんでしたが、映画においても難解な仕組みとなっていて、「そこまで複雑にする?」って感じでややリアリティには欠けるかもしれません。
★★☆
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疾風ロンド 2016年 東映
監督 吉田照幸 出演者 阿部寛、大倉忠義、大島優子、柄本明、ムロツヨシ
上のマスカレードホテルに続き、東野圭吾の小説が原作の映画です。
内容はコミカルなクライム映画で、ワクチンがなく世界を消滅させる新しい生物兵器の開発に成功した科学者が、それを研究所から外へ持ち出して冬山に埋め、雪が溶けて温度が上がると漏れ出すようにします。そして研究所には、隠し場所を知りたければ3億円を払えと要求を突きつけます。
しかし、脅迫状を出したすぐあとに、交通事故で犯人は死亡。雪山に隠した場所の写真と、電波発信機を手がかりに、研究所は秘密裏に捜索をおこないます。
というのも、警察に通報すると、違法で危険な研究がおこなわれていたことがオープンになり、保身にしか関心がない所長はじめ、研究所が危機に陥るという判断からです。
雪山での捜索なので、スキーが下手な研究員は、スキー場の救助員や、オリンピックを目指しているスノーボーダー達を巧く丸め込み、さらに地元の中学生なども巻き込んで、どうにか場所を特定し、発見することができます。
しかし、その生物兵器を奪い取り、海外へ持って行き、高値で売ろうと画策している研究員とその弟に生物兵器が奪われて、、、という、二転三転の事態が起きます。
犯人が隠した場所というかロケ場所が、懐かしい長野の野沢温泉スキー場で、このスキー場へは遠い昔、2度ばかり訪れたことがありますが、もう何十年も前のことで、その面影はすっかり変わっていて、どこがどこだかよくわかりませんでした。
東野作品が数多く映画化されるのは、それだけ映像化に向いた作品なのでしょうけど、個人的にはもう少し文芸作品というか、じっくり時間をかけた大作を期待したいところです。それだけなにか低予算で「一丁上がり~」って雰囲気の中身がスカスカな映画でした。
最近はテレビドラマ(特にNHK)の作品の方が、映画よりもずっとお金がかかっていそうで、アニメ以外の日本映画の凋落が気になるところです。
★☆☆
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ブラジルから来た少年(原題:The Boys from Brazil) 1978年 米・英
監督 フランクリン・J・シャフナー 出演者 グレゴリー・ペック、ローレンス・オリヴィエ
「ロズマリーの赤ちゃん」(1967年)などの著作がある、アメリカの著名な作家アイラ・レヴィンが1976年に発表した同名の小説が原作です。
この小説は、先般読んだディーン・R.・クーンツクーンツ著「ベストセラー小説の書き方」でお勧め小説と紹介されていました。
監督は「猿の惑星」(1968年)や「パピヨン」(1973年)などの監督だったシャフナー、主演は元ナチスの悪役医師役にグレゴリー・ペックと、それを追いつめるユダヤ人役にローレンス・オリヴィエと名優コンビで、内容の濃い良い作品に仕上がっています。
ミステリー映画なので、内容について詳しくは書きませんが、比較的古い映画(44年前)だけに、現代のスピード感や人種問題や医療技術などに整合性がとれていないか心配していましたが、そんな心配はまったく無用、最新映画かと思うぐらいの迫力とテンポで楽しめました。
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2019年11~12月 億男(2018年)、バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016年)、マーニー(1964年)、赤ひげ (1965年)
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2019年9月 この世界の片隅に(2016年)、東京暮色(1957年)、大殺陣(1964年)、横道世之介(2013年)、ジョバンニの島(2014年)
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億男 2018年 映画「億男」製作委員会
監督 大友啓史 出演者 佐藤健、高橋一生、藤原竜也
原作は映画プロデューサー川村元気による2014年発刊の長編小説です。お金に固執する現代社会を痛烈に皮肉っているというか、あまり現実的ではないドタバタ劇という感じもします。
主人公は兄の借金を肩代わりさせられ、掛け持ちで働く青年。その主人公に宝くじ3億円が当たり(この辺りがリアルでない感じその1)、持ち慣れないお金の使い道を教えてもらおうと、起業家として大富豪となった大学時代の親友(これも嘘くさいその2)にアドバイスをもらいに行きます(まさか!その3)。
しかしその3億円を親友が持って行方不明となり、主人公は親友を探しに駆けずり回ることに。
その親友と一緒に事業をやって大金持ちになった人を訪ね歩いて行方を捜しますが、それぞれ、家庭の主婦だったり、セミナーで金集めをしている教祖だったりとユニークな人物ばかり(その4)です。
結局、なにが言いたいのか、私にはよくわかりませんでした。もうそういう若い人の感覚が理解出来ないオッサンと言うことなのでしょう。
★☆☆
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バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(原題:Batman v Superman: Dawn of Justice) 2016年 米
監督 ザック・スナイダー、出演者 ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス
タイトルからすれば、当然ながらどちらも正義の味方で売っているわけで、「vs」とついていながらも、どちらかが悪者になると言うことはありえねぇってことで、途中までは敵対したとしても、最後は二人が協力し合って最大の敵に立ち向かうというイメージを持っていましたが、やはりその通りでした。ゴジラ対ガメラみたいなものですね。
バットマンもスーパーマンもそれぞれの特徴や弱点を表に出しつつ、対決するシーンを散りばめながら、決定打は出さずに、最後は手を組み、さらにワンダーウーマンまで合流しちゃうと言う、アメリカン特撮スーパーヒーローファンにはたまらない代物です。特撮と言うよりは現代ではCGなのでしょうけど。
オッサンのくせにどうしてこういう作品を?という意見はさておき、あまり選ばずにいろんなジャンルから見るようにしているので、時にはこうした映画も仕方ありません。
って言うか、バットマンにしても、スーパーマンにしても、若い人より今のオッサン達のほうが、そのデビュー時からの思い入れは強いわけで、同様に「ミッション:インポッシブル」シリーズや、「サンダーバード」も、元はテレビドラマ「スパイ大作戦」などで熱くなったベビーブーマー、現在の高齢者にも受け入れてもらえるように作った?という感じもします。
日本でもそろそろ「月光仮面」や「忍者部隊月光」などが再び復活するのかも。あ、そうそうウルトラマンが「シン・ウルトラマン」として2021年に復活しますね。ウルトラマンの象徴だったカラータイマーが付かなくなるってのがちょっと残念だけど。
★★☆
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マーニー(原題:Marnie) 1964年 米
監督 アルフレッド・ヒッチコック 出演者 ティッピ・ヘドレン、ショーン・コネリー
ヒッチコック映画と言えば「北北西に進路を取れ」(1959年)、「サイコ」(1960年)、「鳥」(1963年)などが代表作として出てきますが、この映画はそれら代表作と近い時期に制作された作品です。
主人公の女性マーニーは美人で有能なタイピストとして次々転職をしながら働きますが、その職場でお金を盗み、職場から消えてしまいます。
そうした盗癖を見抜いた金持ちの事業家が、その女性の性癖を知りつつ一目惚れし、自分がそばについて治そうと求婚します。
調べて行くと、子供の頃に起きたトラウマが、突然フラッシュバックし、その時に盗癖がでることがわかり、その子供の頃に起きた原因を母親の元に行き問い詰めることになります。
なかなか怖いサイコスリラーですが、主人公が若くて美人というだけで、周囲の男性がみんなチヤホヤし、やがてメロメロになっていくのは、いつの時代も変わることなくなんともはやです。
以前テキサス大学の教授が調査したレポートで、美人はそうでない人より生涯年収で3千万円得しているって言いますから、家柄や、両親が裕福かどうかなどと同様、やっぱり恵まれているってことですね。
★★☆
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赤ひげ 1965年 東宝
監督 黒澤明 出演者 三船敏郎、加山雄三、山崎努、団令子
先日、山本周五郎著の小説「赤ひげ診療譚」 (1958年)を読みました。ちょうど年末にBSで放送があったので、録画をして見ました。
物語の内容は、「9月後半の読書と感想、書評 2019/10/2(水)(赤ひげ診療譚)」参照
この作品は海外でも評判が高く、ヴェネツィア国際映画祭で男優賞(三船敏郎)とサン・ジョルジョ賞を受賞しています。
実はもう20年以上前に一度レンタルビデオを借りて見ているのですが、やっぱり原作を読んでからみるとまた違った印象を受けます。
ただ映画には原作にはない登場人物やストーリーも加わっていて、原作に忠実に作られた作品も良いですけど、こうした監督の意志が入ったものもなかなかです。
原作者からも、映画を見て「原作よりもよくできている」とお墨付きを得ていますから、さすが黒澤天皇と言ったところでしょうか。
今でこそ芸能界の重鎮の加山雄三ですが、この映画では幕府のお抱え医師になるべく野心満々の若手医者を演じていて、良い味を出しています。当時はすでに若大将シリーズでアイドル的存在でしたが、こうしたシリアルな役でも存在感を醸し出しています。
そう言えば黒澤映画では「椿三十郎」(1962年)に続いてこれが2作目で、最後の出演作品となります。
また主演の三船敏郎はこの「赤ひげ」の公開と同年に「姿三四郎」で黒澤映画に出演していますが、それが最後の黒澤映画出演となります。
★★★
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2019年9月 この世界の片隅に(2016年)、東京暮色(1957年)、大殺陣(1964年)、横道世之介(2013年)、ジョバンニの島(2014年)
2019年7~8月 ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017年)、万引き家族(2018年)、ジョイ・ラック・クラブ(1993年)、マネーモンスター(2016年)、ワイルド・スピード MEGA MAX(2011年)
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遥かなる大地へ(原題:Far and Away)1992年 米
監督 ロン・ハワード 出演者 トム・クルーズ、ニコール・キッドマン
19世紀にアイルランドから新しいアメリカに憧れ、金持ちの令嬢と、貧乏人青年が逃避行し、様々な難関をくぐり抜けてハッピーになるまでの成功物語です。
って、まとめてしまうとそれだけなんですが、新天地のアメリカへ行こう!という映画は多いですね。
現在アメリカで活躍している人達のルーツをたどると、自分たちの先祖にそういうことがあったという思いが強くあるのでしょう。
最近見た映画でも、19世紀末にトルコに支配されていたギリシアの貧しい青年が新天地アメリカを目指す「アメリカ アメリカ」(1963年)、20世紀初頭の中国からアメリカへ逃れてきて成功者になった家族を描いた「ジョイ・ラック・クラブ」(1993年)があります。
クライマックスは、オクラホマで実際に行われていた「ランドラッシュ」という土地を奪い合うゲーム(競争)で、合法と同時に旗が立てられている土地に一番早く着いて自分の旗を立てた者がその土地をもらえるというものです。
なんと、アメリカっぽい荒々しさというかいい加減さです。
もちろんトム・クルーズが主演ですから、そうした荒々しいシーンはお手の物?で、現代兵器や装備の中で活躍するミッション・インポッシブルとはまた違う、アメリカンカーボーイが見られます。
★★☆
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モンスター上司 (原題: Horrible Bosses) 2011年 米
監督 セス・ゴードン 出演者 ジェイソン・ベイトマン、ケヴィン・スペイシー
それぞれ仕事上で悩みを持つ3人の友人同士が、その邪魔な上司をお互いに交換して消せないかと話し合い、実は全くの詐欺師の犯罪コンサルタントに相談を持ちかけ、実行に移そうとしますが、いろいろと妨害が入ったりしてうまくいきません。
ブラックコメディですので、リアルな感じはなく、アメリカ人が大好きなドタバタ劇と言ったところでしょうか。なにか気持ちが塞いでいるときに、スカッとする映画を見たいならお勧めかもです。
上司に嫌がらせ?されるひとりは、上司のセクシーな女性医師からセクハラを受けるというのが悩みですが、一般的な男性からすると、「それの何が嫌なの?」「それってとんでもなくラッキーじゃないの?」と思ってしまいます。
ま、そういうことからして、映画を真剣に見ると言うより、気晴らしにアメリカンジョークを目一杯楽しみたい方にお勧めします。
この一作目がヒットしたのか、続編の「モンスター上司2」(2014年)も作られていますね。
★☆☆
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ワイルドカード(原題 Wild Card) 2015年 米
監督 サイモン・ウェスト 出演者 ジェイソン・ステイサム、マイケル・アンガラノ
主演のジェイソン・ステイサムは、トランスポーターシリーズやワイルド・スピードシリーズでお馴染みの肉体派俳優で、この映画でも英国の元特殊部隊という役で男臭い役を演じています。
元々は小説「Heat」が原作で、1986年にバート・レイノルズが主演して「ビッグ・ヒート」というタイトルで映画化されていますので、これはそのリメーク版ということですね。
舞台はラスベガスで、用心棒をやっている主人公は離婚してアルコールに溺れているダメ男ですが、離婚した元妻から暴行された相手の男をとっちめて欲しいと依頼が来て、仕方なく復讐のお膳立てをします。
その妻が復讐した相手が、イタリアマフィアの大物だったことから、次々と刺客を送り込まれ、ちぎっては投げ、またちぎっては投げ(日本流の言い換え)して相手を倒していきます。
またそのイタリアマフィアと関係があるラスベガスを支配する地元マフィアとの関係も危うくなりかけ、、、ってところ、最後は無事にハッピーエンドで収まるところが、アメリカンです。
個人的にラスベガスは、1997年に一度だけ行きましたが、もう一回は、あの光と喧噪の中に身を置いてみたいなと見ていて思いました。
★★☆
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早春 1956年 松竹
監督 小津安二郎 出演者淡島千景、池部良、岸惠子
戦後10年ほど経ってようやく一息付けそうな時代の中で、丸の内の大手企業で働くエリート会社員が主人公です。当時の会社員が働く姿を今見ると結構笑えますが、当時は誰もがうらやむ職場だったのでしょう。
そして今も昔も、二枚目には女性が寄ってきて、浮気をするわけですが、それが妻にバレて実家に帰ってしまいます。
その妻とのあいだには子供がいましたが、幼いときに結核で亡くし、その後子供ができず、夫婦間に隙間風が吹いている中で起きたことです。
夫婦の離婚危機?という事態ですが、主人公に岡山への転勤の話しが出て、悩んだ末、夫婦の話し合いもできないまま、単身でいくことになりますが、、、
市井の人々のなにげない日常を表現させるとこの監督には誰もかないません。当時の人はこういう映画を見てなにを思ったのでしょうか。
★★☆
【関連リンク】
2019年9月 この世界の片隅に(2016年)、東京暮色(1957年)、大殺陣(1964年)、横道世之介(2013年)、ジョバンニの島(2014年)
2019年7~8月 ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017年)、万引き家族(2018年)、ジョイ・ラック・クラブ(1993年)、マネーモンスター(2016年)、ワイルド・スピード MEGA MAX(2011年)
2019年6月 聖の青春(2016年)、ワタシが私を見つけるまで(2016年)、お茶漬けの味(1952年)、殺したい女(1986年)
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この世界の片隅に 2016年 「この世界の片隅に」製作委員会
監督:片渕須直 出演(声):のん、細谷佳正
太平洋戦争中の広島を舞台にしたアニメ映画で、原作は、こうの史代著の漫画「この世界の片隅に」です。
主人公は広島に生まれ、呉に嫁入りした若い女性で、当時の広島や呉の町並みが美しく描かれています。
しかしたがて軍港呉は集中的に空襲にさらされ、主人公の姪の幼い子が目の前で亡くなり、片腕を失ってしまいます。
そして広島への原爆投下と続いていくわけですが、戦争のはかなさ、しかし時代がそれを求め、市井の人々はただそれに従うしかなかった庶民の生活を独特のタッチで描かれています。
ちょっと残念なのは、主人公がプロの声優さんではなく、こうした表現には不得手な人を使ったことで、それも味わいだと言ってしまえばそうなのかもしれませんが、節々でそれが気になってしまい、作品にのめり込める感じではありませんでした。
強く反戦というメッセージが込められているわけでもなく、ただ女性から見た昔の生活を懐かしがってみましたという内容で、それもありかなという感想です。
★★☆
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東京暮色 1957年 松竹
監督:小津安二郎 出演者:原節子、有馬稲子、笠智衆、杉村春子、山田五十鈴
当時の大女優集合!という感じですが、内容はお堅い銀行勤めの夫や二人の姉妹を捨てて男と逃げだした妻、嫁いだ娘が旦那との折り合いが悪く、子供を連れて出戻ってきた娘、遊び人と付き合って妊娠してしまい、中絶をする妹など、敗戦後12年と、当時まだ戦後が抜けきれていない中では、さぞかし刺激的な作品だったことと想像します。
そうした家族の中の女性達がみんなバラバラで、好き勝手なことをしているのに対し、父親役の笠智衆がひとり、真面目でひょうひょうとしているのが微笑ましく笑えてきます。
結局この家族は最後までハッピーエンドというわけにはいかず、それぞれの着地点を見つけて治まるところに治まっていくという感じでしょうか。
有名女優陣を揃えながらも、結局はなにが言いたいのか、伝えたいのかがイマイチよくわかりませんでした。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
大殺陣(だいさつじん) 1964年 東映
監督:工藤栄一 出演者:里見浩太郎、平幹二朗、宗方奈美
すごいタイトルに惹かれて見ましたが、昔のチャンバラに少し毛が生えたものと理解して良いのかも知れません。
将軍家綱の後継争いで、時の大老が暗躍する世を変えようと侍の有志達が集まり大老の暗殺計画を立てます。
元々それには加わっていなかった侍も、厳しい取り調べを受けたり、家族が殺されたりしてその計画に加わっていきます。
しかしその計画が漏れてしまい、仲間が次々と捕らえられていく中、中心的な暗殺首謀者がBプランとして大老自身の暗殺ではなく、大老が後継に就けようとしていた家綱の弟を狙い暗殺計画を実行します。
そこから大立ち回りが延々と続き、結局多勢に無勢、暗殺者達はすべて斬り殺され、家綱の弟と救援に駆けつけた大老は無事に帰路につきます。
そこでもう一波乱があるという流れですが、戦闘シーンは、最近のCGや特殊効果などを使った迫力あるモノとは違い、長回しのフィルムを回し、その中で大人数が激しい動きをするというのが中心のいかにも大活動劇という感じです。
なにかそうした大人数で斬り合うチャンバラ映画ってなにかあったなぁって考えると、2010年にリメークされた「十三人の刺客」(1963年)と同じ構成というか続編的な位置づけだったようです。1963年のオリジナルは見ていませんが、2010年版は以前見ています。
当時のチャンバラは、いかにも軽い竹みつの刀を振り回しているという感じで、刀と刀が大きな金属音を出してぶつかり合う音(効果)もないし、斬っても血しぶきが飛ぶわけでもなく、今見ると子供のチャンバラ?って感じもしてきます。当時はそれが普通だったのでしょうね。
★☆☆
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横道世之介 2013年 「横道世之介」製作委員会
監督:沖田修一 出演者:高良健吾、吉高由里子、綾野剛
先に原作となった吉田修一著の小説を読んでいますので、どういうストーリーで最後はどうなるということまであわかっていました。
2015年4月後半の読書と感想、書評「横道世之介」
そのようなすでに自分の頭の中に出来上がったイメージと映画に登場してくる人物が違っているとガッカリするモノですが、この映画の配役では、特に意外性はなく、またストーリーも原作に忠実で、すんなりと受け入れることができました。
原作小説の著者の地元長崎から、法政大学へ進学のために上京してきた青春時代をデフォルメして描いたものと思いますが、著者は1968年生まれですので、私とは年齢で11年の差があり、学生生活のあるあるにもその差がくっきりと出ていました。
ストーリーは、長崎から東京へ出てきた誰からも好かれるタイプの若者が、学生生活やアルバイト、クラブ活動、恋愛をエンジョイしながら成長していく姿と、その数年後に学生時代に彼を取り巻いていた友人達が彼のことを懐かしく想うというものです。見ていない人のために詳しくは書きませんが。
よくあるハッピーエンドものの青春ストーリーではないものの、なにか心が癒やされるような、懐かしい味のする映画でした。
ストーリーも内容の奥深さも、なにもかもが違いますが、みうらじゅんの高校生活を描いた青春小説(2004年)と、それを原作とした映画「色即ぜねれいしょん」(2009年)を、著者自身の出身高校や大学が撮影に全面協力をしているという唯一の共通性から、それをふと思い浮かべました。
★★☆
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ジョバンニの島 2014年 日本音楽事業者協会
監督:西久保瑞穂 出演者(声):仲代達矢、市村正親、仲間由紀恵
宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」をモチーフとしたアニメ映画で、太平洋戦争末期から終戦後の北方領土のひとつ色丹島が舞台となっています。
主人公は色丹島に暮らす日本人一家の子供で、仲間内では「銀河鉄道の夜」の登場人物ジョバンニと名乗っています。まだ幼い弟は同様に「カンパネルラ」と名付けています。
戦争により平和な暮らしが一変し、やがて終戦を迎えた後、本土と同様アメリカ軍がやってくると思っていたら、ソビエト軍がやってきて、武力で村が占領され、家も接収されてしまいます。
やがて、ソビエト軍の家族もこの村に移住してきて、ジョバンニはその中の少女ターニャと仲良くなり、淡い恋が芽生えていきます。
しかし民間人は本土へと送られることとなり、その経由地として樺太の収容所に入りますが、島の守備隊の武器を隠していた父親が捕らえられた捕虜収容所が近くにあることを知り、弟と二人で会いに行こうと画策します。
途中、学校の先生と叔父に助けられ、収容所の父親と再会を果たしますが、その頃から弟の身体の具合が悪くなっていきます。
弟の体調はますます悪くなり、いよいよ本土へ向かう船に乗ろうとするとき息を引き取ります。
場面は変わって、ビザなし渡航が認められ、旧島民が帰島し、島に住むロシア人との交流の場で、年老いたジョバンニは、元の姿のままのターニャと再会します。
ターニャだと思ったのは、ターニャの孫娘で、当時ジョバンニがターニャを描いた絵を大事に持っていて、今回祖母に代わって会いに来てくれたということです。
なんでもこの話しは実話をもとにしたということで、浅田次郎著の小説「終わらざる夏」や、池上司著「八月十五日の開戦」などにも書かれていましたが、8月15日の終戦後に起きた北方領土でのソビエト軍との悲惨な出来事は、日本人にとって忘れべかざることでしょう。
あと、ひとつ、仲間由紀恵が学校の先生の声役で出ていますが、このような声と女優としてのイメージがすぐに結びつきやすい有名女優を声優として使うのはどうなのかな?と思いました。
例えば極端なことを言うと、ドラえもんの声優が、シリアスな大人のドラマに出演したら、それはちょっと違うだろ?ってことと同じです。
★★☆
【関連リンク】
1336 2019年5月 バリー・リンドン(1976年)、アメリカ アメリカ(1963年)、我が命つきるとも(1967年)、夜は短し歩けよ乙女(2017年)
1328 2019年4月 ソロモンの偽証 前篇・事件、後篇・裁判(2015年)、カメラを止めるな(2017年)、眺めのいい部屋(1986年)、グランド・キャニオンの対決
1324 ここ10数年間にみた映画(2)
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