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ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1  2010年英・米 

監督:デイビッド・イェーツ 出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン

ハリポタシリーズの最終章の前編ですが、シリーズすべてをちゃんと見たわけではないので、内容がわかるかどうか心配でしたが、案の定登場人物の過去の経緯がわからず苦戦しました。

ま、楽しめればいいやということで、割り切って見ましたが、魔法の数々にもさすがに新鮮さはなく、ちっちゃくて可愛かったダニエル・ラドクリフもすっかり大人顔になり、ファンタジーというよりは冒険活劇に近くなりました。そりゃ第1作の賢者の石が公開されてから10年ですからね。

また30~40年ほどしたらリメイク版が作られたりするのでしょうけど、子供の頃にワクワクして観た中年達がこぞって子供を連れて映画館へ(40年後にまだ映画館があるのかはわかりませんが)いく様子がなんとなく想像できます。

そんなわけでひとつのストーリーが完結するわけではなく、途中でプッツリと終わってしまうので、消化不良のままです。Part2を観に映画館へ行けばいいのでしょうけど、その気にはなれず、また半年後にDVDを借りようと思ってます。


十三人の刺客 2010年東宝他

監督:三池崇史 出演:役所広司、山田孝之、沢村一樹、伊勢谷友介、伊原剛志、稲垣吾郎、松方弘樹、市村正親

昨年の日本の映画賞はノミネートされながらも「悪人」や「告白」に負けて受賞することはなく、大作ではあるものの、いまいち盛り上がらなかった映画でした。

タイトルから想像できるように、七人の侍インスパイヤ的な内容で、徹底して悪事を尽くすひ弱っぽい稲垣吾郎扮するお大名を懲らしめるため、役所広司以下、山田孝之、伊勢谷友介、沢村一樹、高岡蒼甫、伊原剛志、松方弘樹などが立ち上がり、最後には一人を除き討ち死にしてしまうという物語です。

後半延々と続く殺陣のシーンは迫力があってまぁいいのですが、敵も味方もあまりに数が多くて、なにがなんだかだんだんとわからなくなってきてしまい、予定通り最後のお大名ととの一騎打ちまでのあいだまでに観ている方も休まるときがなく疲れ果ててしまいました。

やっぱり13人よりは7人ぐらいのほうがちょうどいいのではないかと思った次第です。


SPACE BATTLESHIP ヤマト 2010年東宝

監督:山崎貴 出演:木村拓哉、黒木メイサ、柳葉敏郎、堤真一、西田敏行、山崎努

私の中高生の頃に絶賛公開中だったSFアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の実写映画版です。監督は「ALWAYS 三丁目の夕日」などで売り出し中の山崎貴、主演は古代進役の木村拓也、ヒロイン森雪は当初予定されていた沢尻エリカが活動謹慎になったため、急遽代役となった黒木メイサ、その他に沖田艦長に山崎努など豪華キャストです。

ま、アニメの時は30分番組で合計26回、正味20分としても約9時間に及ぶ元々は長いストーリーですから、それを2時間弱の限られた時間で表現するのは、かなり厳しいだろうと思っていましたが、その通りで大幅にストーリーが変えられていました。元々の原作者であった松本零士氏が「ヤマトはもう私の手から離れた」と言っていた意味がよくわかります。ちなみにこの映画の原作は西崎義展となっています。

CGの出来は、細かな点では実写版とはおこがましいとも思いましたが、意外とまずまずよくできていたように思いました。そこには山崎監督のこだわりがあったのでしょう。

実写版でもアニメ映画版と同様、続編が次々と作られるのでしょうか?興行的に成功したとも聞かないのでそれはたぶんないでしょうね。ま、どちらでもいいのですが。




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ソーシャル・ネットワーク 2010年米 監督:デヴィッド・フィンチャー 出演:ジェシー・アイゼンバーグ

日本ではイマイチ盛り上がりに欠けていますが、世界の中ではもっとも使われているというSNS、Facebookを創設したマーク・ザッカーバーグの創業を描いたフィクション映画です。決してザッカーバーグやFacebook社が金に飽かして作らせた宣伝用映画ではなく、ある程度は事実を元にして、本人や会社には了承は得ずに勝手に作られたものです。

Facebookの立ち上げに協力したと言われているNapster(ナップスター)の創設者ショーン・パーカーなども出てきて(本人ではなく役者)、基本登場人物は実名で出てきますので、アメリカのIT業界に詳しいとなかなか面白く見られるのではないでしょうか。

しかし、果たしてこれがエンタティメント映画として耐えられる内容かと言うと、いわゆるどこにでもありそうなベンチャー起業の成功物語であり、興味深いことはあまりなかったなと言うのが印象です。場面も訴訟?シーンと、その原因となった行為や行動のくり返しで、淡々と進んでいくだけです。

教訓として得られるのは、成功するビジネスというのは決して、理論や経験値ではなく、ふとひらめいた遊び心のあるアイデアや、人のアイデアのパクリ、ちょっとした先輩からのアドバイスなどによるもので、学歴やMBA資格などを持っていたところで、そういう起業家にはなれないということでしょう。

アメリカでは勧善懲悪、アメリカが一番(あるいはアメリカ最低)という映画が多い中、このようなドキュメンタリーチックな映画をふと見ると、あれ?っていう違和感を感じます。それがこの映画の狙いなのかもしれません。


大帝の剣 2007年東映ほか 監督:堤幸彦 出演:阿部寛、長谷川京子、黒木メイサ

夢枕獏の長編小説の映画化で、ゲームやコミックとしても出ていますので、このタイトルは幅広い層に知られているものと思われます。と書きましたが、私はこういう映画があるとはまったく知りませんでした。

夢枕獏氏の小説は過去に「神々の山嶺」「上弦の月を喰べる獅子」「陰陽師」を読みましたが、いずれも面白く、さて次は何を読もうかと調べていてこの「大帝の剣」が映画化されていることを知りさっそく借りてきました。

内容は、大昔に地球に落ちてきた特殊な物質が三種の神器となり、それを求めて善と悪2つの地球外生命が徳川時代の日本にやってきます。おそらく小説ではその由来や経緯なども書かれているのでしょうが、映画では相当部分端折ってあり、アレクサンダー大王が持っていたとされる剣がなぜか織田信長へ異国人とともに献上品として渡り、さらにその異国人の息子万源九郎へと渡っていったかなどはよくわかりません。

ま、細かいことは抜きにして、阿部寛がその異国人の息子として大太刀を背負い、奪いに来た地球外生命や、密かにそれらを探してきた徳川幕府勢と闘い、そしてなぜか北陸にまで来ていた天草四郎(黒木メイサ)にも助けられ、三種の神器を揃えて悪をやっつけるというハチャメチャな映画でした。

見所は、黒木メイサのキリッとした天草四郎役の若侍姿と、悪と手を組み剣を奪おうとする姫夜叉の杉本彩の艶っぽさぐらいでしょうか。杉本彩も今は43歳、この映画当時は39歳でしたが色気や存在感はまったく衰えていません。

ただ原作の小説ではエロチックな場面が多いそうですが、映画ではR指定を恐れてかどうか知りませんが、そのようなシーンはまったくありません。姫夜叉と万源九郎が露天風呂の中で闘うシーンも、色っぽさはまったくなく、原作を読んでからこの映画を観て、それらを期待すると、ガックリするのは間違いありません。


武士の家計簿 2010年松竹ほか 監督:森田芳光 出演:堺雅人、仲間由紀恵、中村雅俊

磯田道史著の「武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新」を元にした映画で、加賀藩に勤める祖先から続く「そろばん侍」の生活を、残された入払帳などの記録を元にして再現した映画です。したがって時代劇でありながら派手なチャンバラもなければ、忍者もお姫様も悪の代官様も越後屋も登場しません。

堺雅人はデビューから長くいい映画に恵まれていませんでしたが、2009年頃から主役級の「ジェネラル・ルージュの凱旋」、「南極料理人」では主役、2010年に「ゴールデンスランバー」の主役など、人気と演技力が認められてか、急速にいい仕事が回ってきているようです。この映画でも本当にいい味を出しています。

今回も地味な役で人情の機微に触れるような場面が多いながら、人柄の良さと真面目さが十分に伝わってきます。代々そろばん侍の家系を継ぎ、彼もまたそれを息子に伝え、その反発しながらも親の意志を継いでいく息子が、明治維新で大きく世の中が動く中、得意の会計知識で新政府の中で抜擢されていくという感動的なシーンがとてもいい感じです。


グリーンホーネット 2011年米 監督:ミシェル・ゴンドリー 出演:セス・ローゲン、ジェイ・チョウ

元々「グリーンホーネット」は、1960年代以降、バットマンやスーパーマンと並ぶ主人公が変身して活躍するスーパーヒーローもので、テレビドラマとして放送されていました。日本ではその内容よりも、主人公の相棒役の運転手カトーが、当時まだ無名だったブルース・リーがお得意のカンフーを使い演じていたことで評判となり、これが彼の出世作と言われています。

そのリメイク最新版の映画ですが、カトー役は台湾のマルチタレント、ジェイ・チョウが演じています。そう言えば実写版の「頭文字[イニシャル]D THE MOVIE」(2005年)で主人公をやっていたのはジェイ・チョウでした。日本では俳優と言うよりミュージシャン、作曲家としてのほうが有名かもしれません。

ストーリーは、グリーンホーネットの誕生秘話的なところから、街を仕切るマフィアのボスとの対決や、父親を蜂を使って殺した選挙に勝つためならなんでもやる悪徳検事との対決です。

バットマンと比べるとファンクラブまでありそうな「ジョーカー」や「ペンギン」など象徴的なヒール役がいないので、ちょっとそのあたりを期待するファンにとっては弱いなと感じます。もし世界中でヒットすればシリーズ化されるのでしょうが、どうもそれはなさそうに思えます。

ブルース・リーのあの絵になるカンフーに対して、ジェイ・チョウは格闘技は素人同然で、特撮やCGでごまかしているものの、その迫力がまったく伝わってきません。とか書くと彼には熱狂的ファンが多そうでクレームがやってきそうですが。ま、本人も単にブルース・リーのカトーを真似るのではなく、新しいカトーを演じるということで、割り切った出演だったのでしょう。

ちなみに映画の時代設定は現代になっていますが、テレビドラマ当時の1960年代は、まだアメリカでは人種差別的なことが多く、アメリカに住んでいるアジア人は能力も地位も低く、せいぜい庭師か、白人のお抱え運転手をしているというのが一般的でした。ブルース・リー演じるカトーも主人の命令には絶対服従の下僕という感じでした。

しかしさすがに現代のこの映画ではそういうわけにもいかず、一応は役柄は同じように社長の運転手ですが、運転以外にも画期的な武器を次々と開発する優秀なエンジニアでもあり、主人公が社長を務める新聞社の中ではスーツを着て、主人公と対等な関係のパートナーとなっているところに時代を感じさせられます。

  

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東京原発 2004年「東京原発」フィルムパートナーズ他 監督:山川元 出演:役所広司
 
福島第一原発事故の7年前に上映された映画ですが、その時にはおそらく様々な上映妨害もあったのでしょう、マスコミで話題になることもなく、またメジャーな制作会社が関わったわけでもなかったために、PRにかけられる予算も少なく、ひっそりと上映され、そして闇に葬られていった映画です。

しかしいま、毎日テレビや新聞で語られる「○ミリシーベルト」「ヨウ素」「プルトニウム」「核燃料棒」「ウラン埋蔵量」「臨界」「核再処理工場」「高速増殖炉」「被害想定」「チェルノブイリ」「耐震強度」「再生可能エネルギー」などが、この映画で非常にわかりやすく解説されています。
 
専門家に言わせると、事実誤認や数値に間違っている部分もあるそうですが、そういう微細なことでいちいち文句を告げるようなものではなく、あくまでエンターテインメント映画として楽しみ、そして評価をすべきでしょう。
 
ストーリーは、人気絶頂にある東京都知事(役所広司)が、ある日突然原発の東京誘致を決め、都の関係役人を集めて会議を開きます。集められたのは副知事、産業労働局長、政策報道室長、都市計画局長、財務局長、環境局長で、途中から副知事に呼ばれた東京大学教授も参集します。
 
この集められた都の役人達がみんなユニークで、当然原発の知識は皆無、テレビでは「原発は絶対安全」「大地震対策もバッチリ」などを鵜呑みにしていますが、東大教授の話を聞くうちにだんだんと青くなっていきます。
 
しかし都民から絶大な支持を背景にした都知事は、原発を東京へ誘致することで国から莫大な補助金が出るので、東京都の赤字はいっぺんに解決し、さらに原子炉冷却水を今までは海に捨てているのを、東京中の都市冷暖房に有効活用するという計画まで披露します。
 
「放射能の汚染リスクのある原子炉冷却水を使うなんて」という意見には「今まで何億トンの冷却水を安全だと言って海に流しておいてそれはないだろう?」、「首都大震災が起きたらどうするんだ?」には「もし大地震が来れば国の原子力安全委員会が自信を持って言う通り、原発の敷地内が一番安全なはず」という反論です。
 
その原発の立地場所はと言うと「新宿中央公園かまたは日比谷公園。なんと言っても都有地なので、原発の建設地を買収する手間やコストはゼロで、今すぐでも可能」とのこと。「それに日比谷公園ならすぐそばにある原発は絶対に安全と言う霞ヶ関(官庁街)も文句は言わないはずで、お堀の池も冷却水として使えて都合がいい」と無茶苦茶なことを言い出します。
 
一見原発には広大な土地が必要と思われがちですが、今回の福島第一を見てもわかる通り、重要なのは原発建て屋と制御棟ぐらいで、あとはただの広場や林なので、広さは問題ありません。
 
一方、フランスで再処理されたプルトニウムが、反対運動で直接福井の港に持ち込めないからと、秘密裏に東京お台場から福井までトラックで運ばれようとしています。そのトラックが少年にカージャックされてしまい、爆弾を抱えて都庁へ向かいます。と、同時に知事が急に原発誘致を言い出した理由と本来の目的が次第に明らかになってきて、いよいよクライマックスへと突き進んでいきます。
 
現実の東京都が推進している都の施設貸し出し等、映画制作協力をうまく利用していて、都庁や都内各所でロケが行われ、おそらくは制作費は低予算ながらもなかなか臨場感ある本格的な映画です。
 
思うに、公開当時、この映画はコミカルでもありますが、芯に流れる反原発と政府や電力会社の欺瞞、小役人の身勝手さを描いていますので、様々な役所、企業、圧力団体から妨害され、また電力会社から多額のスポンサー代を受けているマスメディアからも総スカンを食っていたのではないかと思われます。出演した俳優達も、今後映画やテレビから干されてしまうリスクもあったでしょう。
 
しかしいま見た感想は、たいへんよくできたエンタメ映画で、しかも非常にタイムリーなので、ぜひ多くの方が、子供達と一緒に一度見ることを強くお勧めします。
 
 
アデル/ファラオと復活の秘薬 2010年フランス映画 監督:リュック・ベッソン 出演:ルイーズ・ブルゴワン
 
1900年初頭のフランスで元ジャーナリストで売れっ子女性作家が主人公で、脳死状態になった妹を救うため、エジプトへ渡り今から3200年前にいたファラオ=ラムゼイ2世の侍医と思われるミイラを奪い、それを蘇らせようとします。このあたり、なぜ昔の医者なのか理由が映画ではイマイチよくわからないのですが、原作ではちゃんと理屈があるのかもしれません。
 
ま、いろいろとドタバタがあり、無事フランスに持ち帰ったミイラを蘇らせることができたものの、侍医ではなく、原子物理学者だということがわかります。3200年前のエジプト人がなぜフランス語を流ちょうに喋っているのかもよくわかりません。それはさておき、偶然にルーブル博物館に展示中のミイラにその皇帝とそれに付き添う侍医があることに気づき探しに行きます。
 
ま、言ってみればフランス製の「女インディジョーンズ」ってところですが、映画の最後では、主人公はやがて沈む運命のタイタニック号に乗船するところで終わりますので、シリーズの次回作に乞うご期待ってことなのでしょう。ま、観ないけどね。
 
 
シッコ SiCKO 2007年米 監督:マイケル・ムーア
 
アメリカの医療制度問題を皮肉ったドキュメンタリー映画で「ボウリング・フォー・コロンバイン」や「華氏911」などを制作した社会派監督マイケル・ムーアの作品です。シリアスな内容ですが、コミカルに作られていますので、楽しく映画を見ることができます。
 
アメリカの医療保険制度の矛盾や、無保険者の悲惨な状況、911事件で救助活動をおこなったために肺に障害が出たもののアメリカの病院ではまともに扱ってもらえない人達が数多く登場します。
 
政府は赤字財政で医療費負担を削減し、企業は利益の追求が最大目的なので、どうにかして保険の請求を拒否しようとします。したがってアメリカで医療を受けたい人は、高額な医療費を支払えるお金持ち以外は切り捨てられていくアメリカの実態を明らかにしていきます。そしてカナダやヨーロッパへ飛び、医療システムをアメリカと比較していきます。
 
決定的なのはキューバにある米軍基地では911の犯人などアルカイダの犯罪者を収容していて、そこの囚人達はアメリカ人の税金で完璧な医療が施されているということを知り、マイケル・ムーアは取材した多くの善良なる?アメリカ人を連れ、そのキューバへ乗り込んでいきます。せめて囚人と同等の医療をこの人達にも与えろと訴えますが基地には近づけません。
 
普通のアメリカ人や日本人が持つキューバのイメージは、共産主義で、国は貧しく、汚く、抑圧され、経済的に遅れているというものですが、実は今ではそれとはほど遠く、優れた医療設備や制度があり、しかも貧富にかかわらず誰でもが、ほとんど費用のかからない最高の治療費が受けられる仕組みになっていることが紹介されます。
 
アメリカではまともに扱われなかった病人の多くが、キューバの病院へ行き、そこで格安の治療を受け、涙を流してキューバ人医師に感謝をします。映画ですから当然デフォルメされている部分も多くあるのでしょうけれど、そしてすべてが真実かどうかはさておき、これを見てショックを受けない中流以下のアメリカ人はいないでしょう。
 
マイケル・ムーア監督の映画を観るのは実はこれが最初なのですが、過去の映画とともに、2009年に公開された資本主義経済をやはり皮肉った次作「キャピタリズム~マネーは踊る~」のレンタルDVD化が楽しみです。
 
 
9~9番目の奇妙な人形~ 2009年米 監督:シェーン・アッカー
 
9(ナイン)昨年日本で公開されたアメリカのアニメ映画で、ロボットが反乱を起こし人間が滅亡した後というターミネーターもそうでしたが、割とよくある設定で、その中にあって、人間の良心を込められた風変わりなロボットたちが、破壊を繰り返すロボットに立ち向かっていくというストーリーです。
 
元々は短編映画で、それが2005年のアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされたことにより、有名な監督&プロデューサーのティム・バートンの目にとまり、それが長編化されたものです。
 
大人でも楽しめるよくできた映画で、展開も次から次へと早く、長編アニメによくある時間をもてあましたり、無意味なシーンが多いと言うこともなく、最後まで飽きることはありませんでした。
 
アニメは日本が一番という強い想いを持つ人も多いでしょうが、もはやそう言った差は感じられず、逆にテクニック的にはお金をいっぱいかけられるアメリカ映画のほうが質的には高いように思います。日本でも漫画家やアニメクリエイターがもっと稼げるような体制にしていかなければ、やがては旧作の掘り起こしばかりで行き詰まっていくのかも知れません。
 
早く世界に通用する次世代の手塚治虫や宮崎駿が出てこないと、そして彼らが日本ではなく、中国やアメリカ、インドを舞台にして活躍しなければ、急激な少子化に向かう日本においては、アニメ業界も構造不況業界になっていくでしょう。
 
 
必死剣 鳥刺し 2010年東映 監督:平山秀幸 出演:豊川悦司
 
昨年上映されたチャンバラ映画ですが、タイトルにあるように、最後の必殺技がすべての映画なのですが、それはホンの一瞬のことなので、それを見るための前段部分100分はなんだったのか?という印象があります。
 
豊悦は今年は大河ドラマで信長役でしたので、ここのところ時代劇続きのようですが、信長役の時はともかく、この映画での侍の月代姿はイマイチな印象です。「20世紀少年」のオッチョ役や「犯人に告ぐ」のはみ出し刑事役のほうがずっと似合ってます。かつらを付けることで頭と顔全体が大きくなってしまい、元々顔が大きい上に、さらにアンバランスになるせいかもしれません。
 
しかし敵役となる岸部一徳という俳優は、登場すると、当初どんなに善人風であっても、あの半開きまぶたの目つきからして、きっと最後には極悪非道な悪人役なんだろうなぁと思ってしまいますが、その期待は決して裏切られません。
 
 
告白 2010年東宝 監督:中島哲也 出演:松たか子
 
湊かなえ氏原作の小説「告白」の映画化です。昨年の日本の各映画賞では「悪人」と最優秀賞を分けていましたので期待の一本です。小説の感想は「2月前半の読書」に少しだけ書きましたが、映画も原作に忠実に作られていて、まずまずいい出来でした。
 
私はすでに原作を読んでいたので、映画の展開や登場人物の役割など問題なく理解できましたが、原作を読んでいない子供は、この映画を見てよくわからないところがあったと言ってました。

確かに似たような生徒が何人も出てきて、場面に動きが少なく、メールや手紙での「告白」が次々展開されていくだけのストーリーですから、書籍と違い繰り返し読み直すことができない映画の場合、重要なシーンをちょっと見逃すと、その先がわからなくなったりすることがあります。特にこういうミステリー映画の場合、細かな部分があとで重要な意味を持っていたりしますので、何かをしながらではなく、じっくりと集中して見る必要があります。
 
ひとつ不満を言えば、松たか子は真剣な顔をしていても、どこか裏も表も明るくカラカラと活発に笑っているような顔つきで、この映画の復讐に燃える知的で冷酷な主人公にはふさわしくないように思え、もっと裏表の違った表情を微妙に表現ができる、演技力豊かな女優さんが、いなかったのかなと思ってしまいます。その点だけが残念ですが、考えてみると今の世の中、プロの専門女優さんなんて人は、ほとんどいないのでしょうね。



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480
ちょんまげぷりん 監督:中村義洋 出演:錦戸亮、ともさかりえ
 
荒木源氏の小説「ちょんまげぷりん (小学館文庫)」の映画化で昨年2010年7月に公開されたものです。もともとこの小説は2006年に「ふしぎの国の安兵衛」というタイトルであまりパッとしなかったのですが、映画化に合わせて改題し、さらに文庫カバーに上條淳士氏のイラストでイケメン武士にしたところ、映画化の話題と相まってベストセラーになった作品です。
 
その小説の感想は、「4月後半の読書」で書いています。ちなみに原作で出てくる侍は小太りで愛嬌はあるけどハンサムとは言えないイメージでしたが、映画ではそれでは絵にならないためアイドルタレントを使っています。
 
映画はほぼ原作に忠実に作られていて、江戸時代の侍が現代の巣鴨に現れるところからはじまります。偶然知り合うことになった母子と同居することになり、やがて家事をこなすうちにスイーツの腕をメキメキと上げていき、テレビのコンテストで優勝するまでになります。
 
素人がちょっと本をみて腕が上がるとは信じがたいところでもありますが、そこはフィクション、プロ顔負けのスイーツを次々と作っていきます。でもやがて再び江戸に帰ってしまうことになって、、、というストーリーです。
 
先に原作を読んでいたので、流れはよくわかっていますが、それでも感動的なシーンでは思わずウルッときてしまいます。歳を取るということは涙もろくなるってことでもあります。それを一番感じたのは今から13年も前になりますが、1998年に「プライベート・ライアン」を映画館で観て、涙が止まらず映画が終わってから席を立つのがえらく恥ずかしかったことを思い出します。
 
 
踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!  監督:本広克行 出演:織田裕二、小栗旬
人気の映画の続編で2010年7月に公開されました。映画としてはマニアックでよくできているのですが、さすがに3本目(関連映画含むと6本目)の映画となるとワンパターンなだけにマンネリ化が避けられません。
 
若き湾岸署刑事も13年経つと係長に昇進し、部下を持つ身となっていますが、いつまでもあの落ち着きのない暑苦しい演技にはちょっと無理も出てきていますし、映画「アマルフィ 女神の報酬」では若き沈着冷静な外交官役でしたが、「湾岸署のやんちゃな刑事」というイメージが強すぎ、せっかくの美しいイタリアの古都と大人のしっとりとしたストーリーとミスマッチしていました。
 
ストーリーは、湾岸署の引っ越し中に事件が起き、出払ってしまった署から拳銃が盗まれてしまいます。また新しい署の設備マニュアルが書き換えられ、中に署員が閉じこめられてしまいます。
 
犯人の要求は青島刑事が過去に逮捕した犯人を釈放することで、以前の映画やテレビドラマで出てきた犯人が登場します。その中でも第1作で強烈なインパクトがあった小泉今日子演じる日向真奈美が印象的ですが、今回は警察病院で療養中のところ、釈放されることになります。
 
関連シリーズやテレビドラマは別として、映画としてはもう出尽くした感があるので、これが最後の「踊る大捜査線 THE MOVIE」ではないかと特に根拠なしに思います。
 
 
メッセンジャー 監督:馬場康夫 出演:飯島直子、草なぎ剛
私をスキーに連れてって(1971年)」「彼女が水着にきがえたら(1989年)」などと同じくホイチョイ・プロダクションズの馬場康夫監督の1999年の青春映画です。
 
海外ブランドのファッションエキスプレスを経営していたセレブな女性(飯島直子)が、取引先の倒産と交通事故によって、仕方なく傾きかけた自転車配送業者で働くことになり、仲間とともに立て直し、バイク便と熾烈な競争をしていくというストーリーです。
 
見所は飯島直子のこのときすでに32歳ながら新鮮でなまめかしいボディや脚線美がいっぱい出てくるところで、他にはさほど魅力はありません。
 
この映画の不振で「馬場康夫監督もホイチョイ・プロダクションズも終わったかな」という評判も立ちましたが、その後の「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式(2007年)」でいい映画を作り、その健在ぶりを示しました。
 
私自身ビッグコミックに連載されていた漫画「気まぐれコンセプト」やテレパルにコラムを連載していた「酒とビデオの日々」のディープなファンで、馬場康夫率いるホイチョイ・プロダクションズをずっと影ながら応援してきました。
 
馬場氏とは同世代ということもあり(彼が3歳年上)、考え方や経験してきたことに共感するところが多々あり、観る映画や読む本、その他趣味等にも影響を受けました。いいスポンサーを見つけて、面白い映画をもっと作ってもらいたいものです。
 



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日本で制作される映画はザックリとおよそ年間800本(いわゆる裏モノは除く)ぐらいはあるそうですが、実際に映画館で上映されるのはそのうちの1/3あるかないかということです。つまり約250本ぐらいが映画館で上映され、その後DVDになって販売、レンタルされるのでしょう。残りの550本は、よくて映画館ではない場所で自主上映されたり、マニア向けにDVD化されたりしますが、中には陽の目を見ることもなくお蔵入りしてしまうものもあると思われます。
 
日本の映画館へ足を運んで映画を見る人は、年間で1億8千万人ぐらいということですので、日本人は1年のあいだに1回以上は行っている勘定となります。映画で平均すると上映1本あたり観客は72万人ということになりますが、超人気映画で1千万人近い入場者を集めるものもあれば、全国で数千名というものまで千差万別あるのだとと思われます。
 
映画の人気度は一般的には「興行成績」という入場料等の売上げ規模(映画館関連収入)で表されます。
その日本映画の過去の興行成績トップ5はというと
 
 1位 「千と千尋の神隠し」304億円 2001年
 2位 「ハウルの動く城」196億円 2004年
 3位 「もののけ姫」193億円 1997年
 4位 「踊る大捜査線THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ」173.5億円 2003年
 5位 「崖の上のポニョ」155億円 2008年
 
なんと宮崎駿氏のアニメがほぼ独占していて、4位に実写映画がかろうじて1本入っていますが、これは世界的に見るととても変わっていると思われます。
 
興行成績で5位以下は、6位「南極物語(1983年)」、7位「踊る大捜査線 THE MOVIE(1998年)」、8位「子猫物語(1986年)」、9位「借りぐらしのアリエッティ(2010年)」、10位「天と地と(1990年)」となります。
 
映画入場料は数十年前と今では当然物価に違いがあるので、興行収入の比較では古い映画にとって不利になります。そこで日本映画の歴代入場者数(推定値)順位を見ると、
 
 1位 「千と千尋の神隠し」2350万人
 2位 「東京オリンピック(1965年)」1950万人
 3位 「ハウルの動く城」1500万人
 4位 「もののけ姫」1420万人
 5位 「明治天皇と日露大戦争(1957年)」1300万人
 
ということになります。動員数でも宮崎アニメは強し!ですが、40年以上前の古い映画が2本入りました。
 
しかし5位の「明治天皇と日露大戦争(1957年)」という映画は、私がちょうど生まれた年に大ヒットしていたなんて知りませんでした。DVDされているなら今度借りて来なくっちゃ。
 
この2月には昨年(2010年)に上映された映画の賞が、次々と発表されています。主な日本の映画や俳優・女優に与えられる賞と言えば「キネマ旬報賞」、「毎日映画コンクール」、「ブルーリボン賞」、「日本アカデミー賞」などがあります。それらの賞で評価された昨年のベストワンは、
 
 キネマ旬報 日本映画ベスト・ワン 「悪人」
 ブルーリボン賞 作品賞 「告白」
 日本アカデミー賞 最優秀作品賞 「告白」
 毎日映画コンクール 日本映画大賞 「悪人」
 報知映画賞 作品賞 「悪人」
 日刊スポーツ映画大賞 作品賞 「悪人」
 
と意外にも「悪人」と「告白」の一騎打ちだったようです。どちらも原作は読みましたが映画はまだ観ていません。原作の小説で言えば私的には9:1の割合で「告白」の勝ちでしたが、映画になると受賞数を見る限り逆に6:4か7:3で「悪人」が人気のようです。
 
昨年上映された映画の中で他にも有力候補として上がっていたものは「13人の刺客」「おとうと」「借りぐらしのアリエッティ」などでしたが、それら以外にも、私はまだ観ていないものが多いですが「ゴールデンスランバー」「人間失格」「孤高のメス」「アウトレイジ」「踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ! 」「必死剣 鳥刺し」「キャタピラー」「東京島」「THE LAST MESSAGE 海猿」「武士の家計簿」「ノルウェイの森」「海炭市叙景」などベストセラー小説の映画や定番ものが目白押しでした。
 
それらの中で、数ある賞のベストがいずれも「告白」と「悪人」に集中していたというのは、ちょっとどうなんだと思ってしまいます。つまりどこの賞も選考方法や手法、採点方法が似たり寄ったりで代わり映えしないのではと心配します。この2作品が専門家にも一般にもうける、突出して素晴らしい出来だったかどうかはまだ観ていないのでなんとも言えませんがなんとなくそうは思えません。なにか消去法で消していくとこの2作品が残ってしまったという感じがします。
 
つまり結局何が言いたかったと言うと、日本の映画というのは残念ながら特定のアニメ以外は世界に通用するものではなく、それを寄って集ってあれこれ賞を大安売りしている割には、大手制作会社やテレビ局の肝いりの作品(つまり制作費や宣伝広告が莫大な作品)が各賞をかっさらっていくばかりで、あまりにも業界の論理が見え透いていそうで面白くないということです。
 
もっと気骨ある映画評論家、カリスマ批評家が前面に出て、万人受けするメジャー作品だけでなく、大手系列映画館では上映できなかった作品から、素晴らしい映画や監督に対して名誉ある賞を与え、再上映をしてもらえるような仕組みを作っていくと、映画産業や映像文化の裾野はもっと拡がっていくことでしょう。
 



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