リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~
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グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(原題:Good Will Hunting) 1997年 米
監督:ガス・ヴァン・サント 出演者:ロビン・ウィリアムズ、マット・デイモン
第70回アカデミー賞では助演男優賞と脚本賞を受賞した映画で、当時はまだ無名だった主演のマット・デイモンが大学在学中に共同で執筆した脚本の映画化です。
あまりにもうまく出来過ぎてていますが、天才的な頭脳を持ちながら貧しい家に生まれ、幼い頃に親から捨てられて孤児となったトラウマで、うまく人間関係を構築できず非行を繰り返していた青年が、仕事で大学の教室を清掃するかたわら、掲示板に張り出されていた数学の難問を簡単に解いたことを大学教授が気がつき、彼を友人の心理学者の元へ連れて行きます。
その心理学者も妻に先立たれ失意の中にいることで、青年と老学者とが最初のうちは反発し合っていたものの、様々な困難を乗り越えて打ち解けていき、お互いを深く信頼していくというハッピーエンドものです。
いかにも若者が夢見るような成功のドリーム物語ですが、「一流の数学者が驚くほどの天才的才能を持った貧しく学のない若者」という前提があってのことで、才能には努力とか忍耐とか研鑽というものなどはなく、「オレは元々できるヤツだからチャンスさえあればビッグになれる」というアメリカ人にはわかりやすいストーリーは、もっと複雑な日本人の感性にはちょっと向かない感じです。
映像は美しく心理描写が繊細で、良い映画だと思いますが、うならせるほどのものではないです。
★★☆
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トム・ホーン(原題:Tom Horn) 1980年 米
監督:ウィリアム・ウィアード 出演者:スティーブ・マックイーン、リンダ・エバンス
好きな俳優、スティーブ・マックイーンの晩年の映画で、撮影中に悪性の中皮腫の診断が下され弱った身体に鞭打って撮影された映画です。
そのためなのか、若い元気だった頃と比べて、なにか哀愁が漂い全体を通して疲れた感じがするのは、死期が迫っていることを知っているからそう感じてしまうのか、よくわかりません。
トム・ホーンは、実在する西部開拓時代の元陸軍兵で、ガンマンで賞金稼ぎ(賞金のかかった悪人を追いつめ殺すか自首させる)を生業としていました。
政府軍と度々戦闘を起こしていたネイティブアメリカンでアパッチ族の首領ジェロニモを投降させたことで一躍有名となります。
映画では、すでに有名人となっていたトム・ホーンが、西部の町へやってきたとき、町の有力者に頻発する牛泥棒を捕まえて欲しいと頼まれ銃撃戦の後に泥棒一味を一掃しますが、その後で起きた無抵抗の牧童の少年が何者かに射殺されるという事件が起き、その射撃の見事さから犯人とされて死刑が執行されるまでを描いています。
スティーブ・マックイーンは撮影後まもなく、1980年に50歳の若さで亡くなります。この「トム・ホーン」と「ハンター」が1980年に公開された2本が遺作となりました。
死因は、アスベストによる中皮腫を発症し、その後腫瘍が身体のあちこちへ転移したことでした。
カーレースの時に着ていたレーシングスーツやヘルメットに当時使われていたアスベストが原因とか、俳優になる前、海兵隊で従事中、船内のパイプ掃除でアスベストに被曝したとか、映画のセットで当時はよく使われていたアスベストが原因だとか様々言われました。
それ以外にも、この「トム・ホーン」もそうですが、アメリカが原爆実験で使っていたネバダ州の地域で長期滞在して西部劇のロケを若い頃からおこなっていたからというものまでありました。
◇我が青春のヒーロー、スティーブ・マックイーン 2015/12/19(土)
★★☆
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わが谷は緑なりき(原題:How Green Was My Valley) 1941年 米(日本公開1950年)
監督:ジョン・フォード 出演者:ウォルター・ピジョン、モーリン・オハラ
1941年のアカデミー賞で、作品賞、監督賞、助演男優賞、美術賞、撮影賞を受賞する名作映画です。
映画が公開されたのはちょうど太平洋戦争が開戦した年ですので、日本で公開されるのは戦後5年が経ってからのことになります。
舞台は19世紀末頃の英国ウェールズにある炭坑で、そこで多くの労働者と共に親子で炭坑夫として働く家族を中心に、労働者の日々の暮らしが淡々と描かれています。
タイトルは、当時の幸せだった時のことを思い浮かべた主人公が、昔のことを回想して思ったことです。
労働組合を作り、ストを起こそうとする息子達とそれに反対する温和で誠実な父親、川に落ちた母親を助けるために川に入り、足に重度の凍傷を負った息子、町の教会に赴任してきた若い牧師と恋仲になる娘など、様々なことが起きます。
主人公の息子は6男で、唯一学校へ通うことができ、そこで炭坑夫一家と馬鹿にされ喧嘩しますがコテンパンにやられます。炭坑夫達がその怪我した主人公にボクシングを教え込み、次の喧嘩では勝ってクラスでも一目置かれるようになります。
しかし長男が事故死したり、他の兄たちも炭坑から離れていき、主人公は学校を辞めて再び炭坑へ戻ってきます。
モノクロ映画で、ちょっと退屈な時間もありますが、人が生きる力を感じさせられる力強い映画です。
★★☆
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ダイ・ハード/ラスト・デイ(原題:A Good Day to Die Hard) 2013年 米
監督:ジョン・ムーア 出演者 :ブルース・ウィリス、ジェイ・コートニー
お馴染みの、ついてないニューヨーク市警警察官「ジョン・マクレーンシリーズ」の5作目です。
シリーズ第1作目の「ダイ・ハード」(1988年)から25年が経っていますので、第1作公開時は33歳だったブルース・ウィリスも、この5作目公開時には58歳となり、映画の中で演じる主人公の子も大きくなっています。その割には派手なアクションが多い内容ですけど。
ダイ・ハードのシリーズでは初のアメリカ国外での活躍となりますが、本人ではなく息子がCIAの工作員として潜入中のモスクワでトラブルに巻き込まれ音信不通となり、それを救出するため出掛けていきます。
9年前の映画ですからモスクワでのロケハンは問題なくできましたが、ウクライナ侵攻以降は米ロ関係が悪化していて、今ならとてもアメリカ映画のロケはできないでしょう。
モスクワでは派手で無茶苦茶なカーチェイスが次々と展開されます。カーチェイスの撮影で使われた車は650台、そのうち132台が全壊、残りも相当なダメージを受け、カーチェースに要した総額はなんと約10億円と言われています(wikimedia)。
どうでもいいことですが、10億円あれば日本映画なら何本も製作できそうです。ちなみにカンヌで評判となり、米アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」の製作費は1億5000万円ほどです。興行収入31億円を超えた「カメラを止めるな!」の製作費は300万円です。
このド派手なカーチェイスを見るだけでもこの映画を見る価値がありそうだと思います。内容はともかくとして。
ブルース・ウィリス(67歳)は今年3月に俳優を引退することが発表されましたので、事実上ブルース・ウィリスが主役を張る最後のダイ・ハードシリーズということになりました。
もし続編が作られるとしたら、今回息子のジャック・マクレーン(ジェイ・コートニー36歳)が活躍したので、彼を主人公とした「ついていない遺伝子」が描かれるのでしょう。
★★☆
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赤毛 1969年 三船プロダクション 東宝
監督 岡本喜八 出演 三船敏郎、寺田農、高橋悦史
幕末の混乱時に官軍の先鋒として民間有志で組織された赤報隊を描いています。と言っても赤報隊全体ではなく、百姓上がりの一隊士の物語です。
赤報隊と言えば1987年に朝日新聞社を武装して襲撃するテロを起こした集団を思い浮かべてしまいますが、本当の赤報隊は、幕末に活躍した割には影の薄い存在です。
リアリティのあるものではなく、官軍に良いように使われた上、用が済めば官軍に粛正されるという悲劇の隊というのは史実ですが、コミカルな場面も多くあり、エンタメ志向が強い作品です。
劇中とラストに登場する村民が踊り狂う「ええじゃないか」は、その後1981年の今村昌平監督映画「ええじゃないか」を彷彿させます。もちろんこちらが最初です。
主人公の赤報隊の一隊士が、先鋒としてひとりで自分の出身の沢渡宿へ乗り込みます。
その際に、隊長に頼み、赤報隊の隊長の証である赤毛のカツラを貸してもらい、その鮮やかな赤色がこの映画では多くの場面で印象的に使われます。
そしてそれまで宿を仕切っていた奉行を平伏させ、金貸しからは証文を取り上げて農民の借金をチャラにし、借金がある女郎衆も開放します。
しかし、宿で集めた軍資金を隊長の下へ届けるために使者を送ったところ、すでに赤報隊は官軍に葬られ、使者も斬られ、官軍は鉄砲で武装して宿に攻めてきます。
生きていればまたチャンスはあると母親に諭され、一度は逃げようとしますが、夫の命乞いをした妻が射殺され、赤鬼の如く怒った主人公ですが、あえなく官軍に討たれてしまいます、、、
侍の姿が一番似合う三船敏郎ですが、今回もその期待を裏切ることなく幕末の官軍とは言え侍姿で終始します。
でも斬り合うシーンはほとんどなく、最後の官軍の一斉射撃で討たれるシーンでは、日本刀を振り上げた侍が一斉射撃の銃弾に倒れる2003年の映画「ラストサムライ」より34年も前に早々と演じていました。
★★☆
【関連リンク】
2022年5~6月 ひとごろし(1976年)、グリーンブック(2018年)、ブラザーズ・グリム(2005年)、聲の形(2016年)
2022年3~4月 22年目の告白 -私が殺人犯です-(2017年)、ガール・オン・ザ・トレイ(2016年)、トキワ荘の青春(1996年)、我等の生涯の最良の年(1946年)
2022年1~2月 私は告白する(1953年)、デビル (1997年)、新解釈・三國志(2020年)、カーボーイ&エイリアン(2011年)、救命士(1999年)、フェイク シティ ある男のルール(2008年)
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ひとごろし 1976年 松竹配給
監督:大洲齊 出演者:松田優作、丹波哲郎、高橋洋子
山本周五郎の時代小説が原作の映画化で、1972年にも萩本欽一主演で「初笑いびっくり武士道」というタイトルに変えたコメディ映画が作られています。
つまり内容はシリアスな時代劇ではありません。
藩の指南役を務めている強い侍に日々の訓練でコテンパンにやられている若い藩士達が仕返しをしようと闇討ちを仕掛けますが、返り討ちに遭って全員斬り殺されます。
その後その侍は黙って藩を去って行きますが、藩主としては黙ってられず「上意討ち」をすることを求めますが、誰も怖がって手を挙げません。
そこに藩一番臆病者と言われていてさっぱり腕にも自信がない藩士が、自分が臆病であまりにも弱いので、嫁入り年頃の妹にまで迷惑をかけていることを知り、面目躍如のため「上意討ち」に手を挙げます。
しかしまともに向かっても勝てるはずがないので、武士道の風上にも置けない作戦で、侍を精神的に追いつめ、最後は自害するとまで言わしめるところまで追いつめていくというストーリーです。
主演に萩本欽一などコメディアンならピッタリですが、当時まだ27歳と若いものの、誰よりも背が高く、すでにドラマ「太陽に吠えろ」や映画「龍馬暗殺」などで、クールに演技している松田優作にこのオドオドした臆病者の役はちょっと違和感がつきまといどうかなと思いました。
★☆☆
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グリーンブック(原題:Green Book) 2018年(日本公開2019年) 米
監督:ピーター・ファレリー 出演者:ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ
2019年のアカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚本賞を受賞した作品です。タイトルのグリーンブックは、人種差別が残る時代に、黒人ドライバーが使える宿泊所やレストランなどがまとめられている旅行ガイドブックのことです。
今回は、著名な黒人のクラシックピアニストが演奏旅行に行く際、そのお抱え運転手として雇われた白人男性が、人種差別がよりひどく残っている地域へ向かうため、雇い主のレコード会社からグリーンブックを手渡されます。
本来なら、白人が雇い主の立場、黒人がお抱えの運転手を務め、旅行中に白人と同じホテルやレストランが使えない運転手がこのグリーンブックで自分が泊まれるホテルやレストランを探しますが、後席に乗る黒人の主人が、安い黒人専用のホテルやレストランを使うという逆転状況がこの映画の特徴です。
このストーリーは実話がベースとなっていますが、こうしたノリの映画だと、その結末までが見えていて、その通りの展開となります。
つまり最初は反発し合っていた雇い主の黒人と、雇われた運転手の白人が、一緒に旅をしていく中でお互いが理解し合えるようになり、次第に親友となっていくというものです。
そういう意味では、長い間露骨な人種差別をおこなってきたという反省とともに、人種差別が当たり前の時代にも黒人を助けていた白人もいたのだという言い訳めいた自己満足を得る内容でもあります。
そして英国や米国の「アカデミー賞の受賞者は白人ばかり」という批判が2016年頃から表面化していますが、今回受賞したのは白人の主演男優ではなく、黒人の助演男優だったのはそうした影響なのかも知れません。
★★☆
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ブラザーズ・グリム(原題:The Brothers Grimm) 2005年 英・チェコ・米
監督:テリー・ギリアム 出演者:マット・デイモン、ヒース・レジャー、モニカ・ベルッチ
グリム兄弟の活躍を映画化した作品で、その後のグリム童話の中で語られる内容が盛り込まれているのがミソです。
例えば「ジャックと豆の木」「白雪姫」「眠れる森の美女」「シンデレラ」「赤ずきん」「ヘイゼルとグレーテル」「かえるの王様」などです。
時代は1800年前半、グリム兄弟は、魔物退治の名人として仲間と一緒にペテン行為を働き、報酬を得ていましたが、ドイツを占領中のフランス軍に捕らえられ、ある村で起きている多数の子供達が失踪して行方がわからなくなっている事件を二人が調べるよう命令されます。
行方不明になる村の近くにある黒い森になにか原因がありそうですが、それがなにか人為的なトリックなのかどうか調べていくうちに様々な不可思議な現象が起き、、、というちょっと気持ち悪く怖い話です。
ま、軽いエンタメですので、最後はハッピーエンドで終わります。
★★☆
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聲の形 2016年 映画聲の形製作委員会
監督 山田尚子 原作 大今良時 制作 京都アニメーション
2019年に放火で36名の死者を出した京都アニメーションが制作した2016年の長編アニメーション映画です。
ヒロインは先天性の聴覚障害で、小学校時代にその子をイジメた男性が主人公です。そのイジメをしたことでクラスメイト達から孤立化をしてしまい、関係も悪くなり、中高生になっても他人の顔がまともに見られず会話もできない症状に陥り、自殺をしようと思うまでに病んでいきます。
しかし、高校時代に新たにできた友人や、ヒロインの妹などの助けもあり、再びヒロインとの仲は回復しつつありましたが、今度はヒロインがマンションのベランダから飛び降りようとするところに出くわし、救ったものの、自分が転落して重傷を負います。
アニメですけど、会話と手話、筆談をうまく取り混ぜ、聴覚障害者とそうでない健常者とのコミュニケーションを最初のうちはぎこちなく、やがて気にならないような自然な感じへとうまく表現されています。
アニメとも知らず、まったく内容を知らずに見た映画ですが、教育的な側面もあるのでしょうけど、現代社会のイジメやバリアフリー、多様性、親子関係などの問題がほどよく盛り込まれ、ちょっと登場人物が多くて誰が誰だかよくわからなかったりしましたが、面白かったです。
★★☆
【関連リンク】
2022年3~4月 22年目の告白 -私が殺人犯です-(2017年)、ガール・オン・ザ・トレイ(2016年)、トキワ荘の青春(1996年)、我等の生涯の最良の年(1946年)
2022年1~2月 私は告白する(1953年)、デビル (1997年)、新解釈・三國志(2020年)、カーボーイ&エイリアン(2011年)、救命士(1999年)、フェイク シティ ある男のルール(2008年)
2021年11~12月 梟の城 owl's castle(1999年)、007 スペクター(2015年)、勝手にしやがれ(1960年)、TOKYO JOE マフィアを売った男(2008年)、劇場版鬼滅の刃無限列車編(2020年)、ロープ(1948年)
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22年目の告白 -私が殺人犯です- 2017年 映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」製作委員会
監督:入江悠 出演者:藤原竜也、伊藤英明、仲村トオルなど
最初は知らずにこの映画を見たのですが、この作品の原作小説を1年前に読んでいました。タイトルも同じなのにすっかり忘れていました。ボケですね。
「1月後半の読書と感想、書評 2021/1/30(土)」(22年目の告白-私が殺人犯です-)
元々このストーリーの原作は韓国の映画「殺人の告白」で、それを日本版に焼き直したものです。
内容はミステリーなので、詳しくは書けないのと、小説を読んだときに概要は書いているので省きます。
主演の藤原竜也はすっかりベテランらしい演技で、助演の伊藤英明との息はピッタリです。それに絡む仲村トオルがちょっとどうかなという感じですが、元々その役は設定に無理があり難しそうなので、誰がやっても難しいかも。
ということで、この3人がメインの映画で、意外性とか大逆転が続くドラマで、エンタメ性は抜群ですが、終わった後の爽快感や感激というものはありません。
★☆☆
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ガール・オン・ザ・トレイン(原題: The Girl on the Train) 2016年 米
監督:テイト・テイラー 出演者:エミリー・ブラント、レベッカ・ファーガソン
原作は ポーラ・ホーキンズ著の同名小説で、3年前に読んでいます。
「4月後半の読書と感想、書評 2019/5/1(水)」
小説を読んだときは、不思議に場面場面の映像が浮かんできて、これを映像化すればおそらくこんな感じなんだろうなと思っていました。
そういう時の小説のイメージと、実際の映像とはかけ離れてしまうことも多いのですが、これに関してはかなり想像に近いものでホッとしました。
内容は、離婚してアル中になり、精神的にも不安定で職も失った女性が、毎日、思い出が残る住宅地の前を通る電車に乗って幸せな時代を回想しています。
そしてその住宅には再婚した前夫が住んでいて、そこに住む自分とは違う女性を眺める毎日という複雑なことを続けていて、そこから事件が起きて、、、という流れです。
正直に言って、小説での評価はあまりよくないものでした。それは、主人公の都合良く記憶喪失とか、徐々に思い出してきてそれと新たな事件が絡んでくるという面倒臭いものでした。
映画も原作通りに作られているので、その内容は変わりませんが、人の狂気や、精神喪失など、文章と実際の映像で見るのではその迫力やリアリティが変わってくるので、映画の方がまだ良かったかなというのが感想です。
また小説ではロンドン郊外が舞台になっていましたが、映画ではアメリカで製作されたこともあり、舞台はNY州郊外のウェストチェスターとなっています。
★★☆
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トキワ荘の青春 1996年 カルチュア・パブリッシャーズ
監督:市川準 出演:本木雅弘、阿部サダヲ、古田新太他
手塚治虫氏や赤塚不二夫氏など多くの漫画家が貧しい時代に身を寄せていた古いアパート、トキワ荘を舞台にした苦悩しつつ成長していく漫画家達の実話的な青春物語という内容です。
時代は昭和30年前後、主人公はトキワ荘で兄貴分というかリーダー的な寺田ヒロオ氏で、彼を中心に物語は進んでいきます。
登場する漫画家は故人が多いですが、現在活躍中の方もいます。映画では当時の本名または通称(ペンネーム)で登場し、下記の各役者が演じています。
また登場人物には居住していた漫画家もいれば、通っていた人、たまに訪れていた人も含んでいます。
寺田ヒロオ:本木雅弘
安孫子素雄(藤子不二雄A):鈴木卓爾
藤本弘(藤子・F・不二雄):阿部サダヲ
石森章太郎(石ノ森章太郎):さとうこうじ
赤塚不二夫:大森嘉之
森安直哉:古田新太
鈴木伸一:生瀬勝久
つのだじろう:翁華栄
水野英子:松梨智子
手塚治虫:北村想
つげ義春:土屋良太
最初は、よく知られている実際の本人の顔と、役者さんの顔が当然違うので、誰が誰だかわかりませんが、見ているうちに段々とわかってきます。
生真面目で、子供向けの明るい漫画がなかなか世間に受け入れられず苦悩する主人公の寺田、売れっ子になり、手狭なトキワ荘を出て行くことになった手塚、その手塚がいた空いた部屋に入ってきた安孫子と藤本、クールにストイックに自分の道を突き進む石森、技術はあるのになかなか連載がもらえず苦しむ赤塚など、それぞれが漫画に人生を賭して必死に生きている姿が魅力的です。
そして住人の漫画家の中でも、次第に売れて引っ張りだこの人と、なかなか芽が出ずに漫画家を諦め出ていく人、しがみついたまま、他の漫画家のアシスタントを務めてチャンスを待つ人など様々で、売れっ子になるには実力と共に真面目に下積みを積むこと、そして運が必要と言うことがよくわかります。
今の合理的な若い人にそんなこと言うと「昭和じゃあるまいし」って、馬鹿にされて笑われてしまいそうですが。
★★☆
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我等の生涯の最良の年(原題:The Best Years of Our Lives) 1946年 アメリカ(日本公開1948年)
監督:ウィリアム・ワイラー 出演者:マーナ・ロイ、フレドリック・マーチ
1946年公開の映画が対象の第19回アカデミー賞の10部門にノミネートされ、うち作品賞、監督賞、主演男優賞など9部門を受賞した映画です。
3時間近いモノクロ映画ですが、太平洋戦争が終わった直後の1946年にこうした映画が公開されるのはさすが戦勝国で豊かなアメリカとしか言いようがありません。
それを考えれば第2次世界大戦中の1940年に公開されたカラー映画巨編「風と共に去りぬ」は、もっと凄かったですね。
内容は、欧州戦線や太平洋戦線からアメリカへ帰国してきた3人の軍人が同郷に向かう輸送機に乗り合わせます。
その3人は帰国後にそれぞれの生活があり、ひとりは陸軍で硫黄島や沖縄などで日本と戦った軍曹で、徴兵されるまで勤務していた銀行に昇進した上で無事再就職ができますがアルコールが手放せない生活を送っています。
ひとりは、太平洋で空母に乗船中に撃沈され、その際に両手を火傷して失ってしまい、義手をつけて帰国するものの、他人の目が気になるのと幼馴染みの婚約者とギグシャクしてしまいます。
3人目は、空軍の爆撃手として勲章も贈られた将校ですが、貧しい家の出で、帰国後に仕事にあぶれて安い賃金の仕事しかなく、入隊直前に結婚した妻が派手好きで金遣いが荒いことに悩みます。
それぞれ三人三様の悩みや問題を抱えつつも、それらと真摯に向き合って解決していくという流れです。
個人的には、銀行員の妻で美しい良妻賢母を絵に描いたようなマーナ・ロイに目を奪われました。
どの辺りが、人生最良の年かはやや疑問な感じもしますが、基本的にはハッピーエンドに向かいますので、あとは希望的観測も含めてハッピーと言えるのかも知れません。
【関連リンク】
2022年1~2月 私は告白する(1953年)、デビル (1997年)、新解釈・三國志(2020年)、カーボーイ&エイリアン(2011年)、救命士(1999年)、フェイク シティ ある男のルール(2008年)
2021年11~12月 梟の城 owl's castle(1999年)、007 スペクター(2015年)、勝手にしやがれ(1960年)、TOKYO JOE マフィアを売った男(2008年)、劇場版鬼滅の刃無限列車編(2020年)、ロープ(1948年)
2021年9~10月 陰陽師II(2003年)、エージェント:ライアン(2014年)、アンダーグラウンド(1995年) 、悪い種子(1956年)
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私は告白する(原題 I Confess) 1953年 米
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演者:モンゴメリー・クリフト、アン・バクスター
主人公は若い牧師で、その牧師が所属している教会の使用人から「殺人を犯した」と告解されたことで、その殺人事件の容疑者として起訴されても牧師の守秘義務から真犯人を言えない苦しみに陥ります。
牧師が容疑者となったのは、目撃者が事件現場から逃げ出した犯人が僧衣を着ていたということと、その時間に牧師のアリバイがなかったことからです。
実はその牧師は、牧師になる前に現在は国会議員の妻となっている女性と熱烈な恋愛をしていた時期があり、別れて牧師になったあとに再会しその時間には密会していたことがわかります。
殺されたのが、その密会を知った弁護士で、その弁護士から恐喝されていたことも判明し、牧師が口封じのための犯罪という容疑が高まっていきます。
追いつめられる牧師、職務の守秘義務を厳格に守る真面目さ、牧師を救おうと元恋人が立場をかなぐり捨てての証言と物語はクライマックスへと向かっていきます。
ヒッチコックとしては、恐怖などのシーンはなく、聖職者も人間という真っ当な正統派映画でした。
★★☆
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デビル(原題 The Devil's Own) 1997年 米
監督:アラン・J・パクラ 出演者:ハリソン・フォード、ブラッド・ピット
「大統領の陰謀」(1976年)や「ソフィーの選択」(1982年)、「ペリカン文書」(1993年)など多くの名作を監督してきたアラン・J・パクラ氏最後の作品です。
ハリソン・フォードとブラッド・ピットの共演というだけで、制作予算のほとんどをギャラで使い果たしそうですが、ちゃんとした映画になっています。
タイトルからもっとホラーな話か?と思っていましたが、普通の政治的で暴力的なサスペンスドラマでした。
アイルランドの独立闘争のメンバーで、武器を調達するためにアメリカへやってきた男にブラッド・ピット、アメリカの善き警官にハリソン・フォードという当たり前過ぎる配役で、二人の関係から物語は進んでいきます。
ハリソン・フォードは当時55歳、ブラッド・ピット34歳と若々しく脂がのっていた時期で、「最後はきっとこうなる」と思っていたとおりの展開で安心してみていられます。
ひねりとか、意外性とかはなく、淡々と当たり前に進んでいくのがちょっと物足りない感じもします。
凝ったあげくに複雑化しすぎて意味わからーん!というのも嫌ですから、二大スターを共演させたアメリカン映画ではこれでいいのかも知れません。
★★☆
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新解釈・三國志 2020年 映画「新解釈・三國志」製作委員会
監督:福田雄一 出演者:大泉洋、賀来賢人、橋本環奈、小栗旬
三谷幸喜の監督・脚本映画かと思っていたら違いました。でもNHK大河の「真田丸」(三谷幸喜脚本)と似たような、歴史の結果は変えず、そこへたどる道筋と英雄視されている人物を自由な発想でユニークに変えていくというスタイルは同じです。
三國志は様々な書籍や映画、漫画、ゲームなどでポピュラーになっていますが、私は吉川英治著の「三国志」だけを読んでいます。ただ読んだのが1990年頃、もう30年以上前のことで、細かいことはすっかり忘れています。
1990年代に香港の中華系デパートの中で、お土産に中国らしい陶器製の像でも買って帰ろうと歴史上の英雄達が並んだ陶器売り場でそこの売り子さん達と少し話をしたことがあります。
こちらは「三国志」を読んでいたので、すぐに「劉備玄徳は?」「諸葛亮孔明は?」と聞くのですが、彼女らが言うには、そういう人達の名前こそ知っているが像になるほど人気はないとのことで、陶器の像では関羽や曹操、孔子、あとはよく知らない偉人の像ばかりでした。
日本では、上記の小説「三国志」や横山光輝の漫画の影響が大きく、中国人が見た三國志とはちょっと違ったものになっているのだなということがわかりました。
この映画でも多分に日本人的なユーモアや慣習が盛り込まれ、劉備役の大泉洋や孔明役のムロツヨシなどが、大ボケかましてそれなりに楽しめました。
★☆☆
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カウボーイ & エイリアン(原題 Cowboys & Aliens) 2011年 米
監督:ジョン・ファヴロー
出演者:ダニエル・クレイグ、ハリソン・フォード、オリヴィア・ワイルド
西部劇とSFのミックスで、なにも考えなくて良い(考えちゃいけない)のがこの映画を見る上での注意点です。
砂漠で目が覚めた男の腕には謎の腕輪が巻かれていて、記憶をほぼ失っていますが、誰かに恨みを買って追われていることがわかってきます。
主役のダニエル・クレイグは007ジェームスボンドのイメージが強すぎて、薄汚れたカウボーイの格好をしていても、いつパリッとしたタキシードに着替えて出てくるのか?思えてなりませんでした。
一方の大物ハリソン・フォードは歳のせいもあるのでしょう、脇役で目立ちませんでした。
エイリアンとカウボーイとではまったく戦力的には釣り合いませんが、そこは主人公が007以上の活躍をして、金鉱を掘っていたエイリアンの母船の中に侵入します。
母船の中には今までさらわれて監禁されていた人達を救い出し、さらに異星からエイリアンの襲撃を知らせに来ていた美女に助けられ母船を破壊するという、まるでコミックのような展開です。
それにしても、これだけのスタッフを集めながらこういう映画を作るっていうのも、アメリカ人らしいと言えばそうですが、興行成績はそこそこ良かったようです。
★☆☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
救命士(原題:Bringing Out the Dead) 1999年 米(日本公開2000年)
監督:マーティン・スコセッシ
出演者:ニコラス・ケイジ、パトリシア・アークエット
アメリカで救急車を呼ぶと地域にもよるでしょうけど、およそ2000ドル(約22万円)の費用が請求されるということを知らないと、この映画のことは理解できません。
しかも救急車は日本のように公営ではなく、ほとんどが民営の専門業者が運営しています。
その救急車に乗って救命士として働く男がこの映画の主人公で、犯罪の多いニューヨークの下町で、毎日のように重傷者や重病人を処置し、混雑してカオス状態の病院へ運ぶうちに、救えなかった人達の亡霊が頭の中から離れなくなっていきます。
ある時、心停止で蘇生させ病院へ搬送をした年配の男性の娘と知り合うことになり、お互いのストレスと葛藤を慰め合うことになります。しかしその女性は重圧に耐えきれず麻薬に頼ります。
その女性を救い出したあと、入院して植物状態の父親から目でメッセージを受けた主人公は、生命維持装置に手を出すことになります。
夜の濃密なニューヨークが舞台ということ、主人公が正義感とともに限界を感じているところが、同じマーティン・スコセッシ監督の大ヒット作「タクシー・ドライバー」(1976年)を彷彿させる内容で、その深い映像、主人公の心理描写などは、タクシーと救急車の違いこそあれ、まさにそのリバイバル作品のようです。
★★★
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フェイク シティ ある男のルール(原題:Street Kings) 2008年米(日本公開2009年)
監督:デヴィッド・エアー
出演者:キアヌ・リーブス、フォレスト・ウィテカー
ずっと前に録画しておいた映画を見て、最初に表示された映画のタイトル「ストリートキング(Street Kings)」をネットで探しても出てこなくて、キアヌ・リーブスからようやくこの映画の邦題が原題とまったく違うことを知りました。
「ストリートキング」で検索すると、裸で走り回る「ストリーキング」ばかりが出てきて、世の中はみな裸になって開放されたいと思っているのだろうと思いました。
それはともかく、もちろん警官役のキアヌ・リーブスが裸で疾走するシーンはなく、正義感は強いが暴力的ではみ出し者のやんちゃな巡査を演じています。
コロンボ警部やボッシュ刑事もいたLAPDロサンゼルス市警で、天才バカボンに出てきた目ン玉がつながってる警察官のようにやたらと拳銃を撃ちまくります。やっぱロスは怖い。
当然、警察官の不正を取り締まる内務調査班からもにらまれますが、悪に対しては先制攻撃をかけ、あとで先に撃たれたと偽装工作をするなど見え見えの捜査もお手のもの。
しかし昔コンビを組んでいた同僚をつけていたら目の前で射殺され、それが同僚への恨みを晴らすためにしたことではないかと疑われ、別の巡査とともに犯人とその後ろに隠れている巨悪を探し始めます。
あまり深いストーリー性はなく、日本で言えばジャニーズ映画のように主演をタフでカッコよく描いたアイドル映画と言ったところでしょうか。もちろんハリウッド映画ですからそれなりに見応えはあります。
★★☆
【関連リンク】
2021年9~10月 陰陽師II(2003年)、エージェント:ライアン(2014年)、アンダーグラウンド(1995年) 、悪い種子(1956年)
2021年7~8月 悪の法則(2013年)、断崖(1941年)、ミッドナイト イン パリ(2011年)、記憶にございません!(2019年)、戦場(1949年)
2021年5~6月 新選組(1969年)、座頭市と用心棒(1970年)、パットン大戦車軍団(1970年)、シング・ストリート 未来へのうた(2016年)
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1602
梟の城 owl's castle(1999年) 東宝
監督 篠田正浩 出演者 中井貴一、鶴田真由、葉月里緒菜
1963年(昭和38年)に工藤栄一監督、大友柳太朗主演で映画化されていますのでリメーク版ということになります。原作は、1960年に発刊された司馬遼太郎氏の直木賞受賞作品「梟の城」です。
実はこの映画、20数年前にロードショーを映画館で見ていて、さらに原作小説も読んでいながら、絢爛豪華な大坂城と秀吉が出てきて、石川五右衛門が釜ゆでされるぐらいしか記憶になく、この機会にもう一度録画して見てみました。
ストーリーは伊賀の忍者が主人公で、織田信長勢の伊賀攻めで散らばってしまった忍者達が、その後はそれぞれの戦国時代の大名に仕え、敵と味方に分かれて戦うという内容です。
主人公は、両親を殺された恨みで、織田信長亡き後の後継者秀吉を狙って大坂城へ忍び込みます。
同時に、主人公のライバルだった男は甲賀忍者と組んで、私利私欲を追求し奉公所へ出仕していて主人公を殺そうと対決しますが、逆に秀吉の部下に捕まってしまい、名を聞かれたときに「石川五右衛門」と名乗り、その後、秀吉を殺そうと大坂城に忍び込んだとされ釜ゆでにされます。
葉月里緒奈演じる木ざるは伊賀者の末裔のくノ一、鶴田真由演じる小萩は服部半蔵の策で主人公を見張る役目にされたくノ一という展開で忍びだらけの映画で楽しめます。
まだ1999年ですからCGで描くVFX(視覚効果)はまだ使われてなく、SFX(特殊撮影)の世界ですから、忍者が飛んだり消えたりするシーンはちょっとチャチですが、ハリウッドでリメーク版でも作ってもらうとどうなるかなぁーって想像が膨らみます。
★★☆
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007 スペクター(原題: Spectre)(2015年) 英・米
監督 サム・メンデス 出演者 ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ、レア・セドゥ
プロローグはいきなりメキシコシティにある建物の大爆破から始まり、MI6本部がある英国はもちろん、イタリア、オーストリア、モロッコ、北アフリカの砂漠、最後はやはりロンドンと場面は駆け回ります。
お馴染みのお約束、爆破シーン、カーチェイス、ヘリコプターアクション、スペクターに捕縛され絶体絶命のピンチなどもちゃんと盛り込まれています。
本作がボンドシリーズで24作目となりますが、もうどれがどれだかよくわからなくなっています。ロジャー・ムーアが演じていた頃までは、題名を聞くと「あぁアレね」とわかったのですが、、、
東西冷戦や、南米やアフリカ、中東、アジアの極端な独裁国のようなわかりやすい英米の敵がいたときには、映画も描きやすかったでしょうけど、今は変に敵国を名指し、または仮想敵としてしまうと政治問題化しますので、独立したテロリストという描き方しかできなくなり、やや悪役に魅力がなくなってしまっています。
★★☆
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勝手にしやがれ(1960年) 仏
監督 ジャン=リュック・ゴダール 出演者 ジャン=ポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ
原題はフランス語で意味は「息をのむ」「息せきって」という意味ですが、アメリカで1983年にリメークされたときには「Breathless(ブレスレス)」という直訳のタイトルが付けられました。
内容は、ラテン系らしく陽気な犯罪者(ベルモント)を主人公としたものですが、警官殺しという重犯罪で追われながらも、もっぱらガールフレンドとの恋愛は欠かせないという一種お気楽なストーリーです。
1960年頃というと、フランスでも戦争が終結して15年ほど経ち、時代はようやく経済も好調になっていて社会も明るくなっていた頃だったでしょう。
映画でも街にあふれるクルマやファッションがオシャレで、花のパリを強く印象づけています。
日本でも世界でもたいへん評価が高い作品(アメリカではリメーク作品が作られ、ドイツではベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞し、沢田研二が歌った「勝手にしやがれ」はこの映画がベースとか)ですが、個人的にはこうした後先をなにも考えない犯罪者の心理がまったく理解できません。
なので単なる想像の中での出来事ぐらいにしか思えず(だから映画なんでしょうけど)、見ていてもどこか冷めた目でしか見られません。
きっと60年代に青春時代を過ごした、やがては過激派なども産む(日本では団塊世代とその少し上)にとってはこうした反社会的でありながらも淡々として、明るくて仲間にも恵まれ、なんにでも同化していける主人公に共感できたのでしょう。
★☆☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
TOKYO JOE マフィアを売った男((原題:Tokyo Joe: The Man Who Brought Down the Chicago Mob))(2008年)
監督 小栗謙一
1980年代、シカゴでイタリアンマフィアの幹部にまで上り詰めた実在の日系2世「ケン・エトー(衛藤 健)」の生涯をFBI女性捜査官エレイン・C・スミスを始め、様々な関係者に語らせていくドキュメンタリー映画です。原作はそのエレイン・C・スミスが書いた同名のノンフィクションです。
その主人公は、戦前にアメリカへ移住した日本人両親のもと、1919年に生まれます。父親は関西学院大学の創設にも関わった教師で、一家を連れて渡米した後は宗教にはまり、宣教師として活動します。
仏教徒だった母親は渡米後にうつ病となり帰国してしまい、子供だった当時の主人公は厳格な父親の元で弟とともに過ごしますが、14歳で家を飛び出して職を転々とします。やがて太平洋戦争が始まり、日本人収容所に入れられます。
戦争が終わったあと、シカゴのイタリアマフィアの使い走りから始めますが、やがてその才能を発揮し、白人以外は幹部になれない中で、異例の出世を果たします。
賭博などの罪で逮捕されますが、マフィアが大金を積んで保釈されます。しかし釈放されたあとすぐに二人の殺し屋に銃弾を浴びせられ瀕死の重傷を負いますが、命は助かります。
つまり、「逮捕されて仲間を売った」と思われたわけで、その裏切りを知り、FBIが提案してきた保護プログラム(すべて証言する代わりに国が保護をする)を受けることになります。
その証言のおかげで、シカゴのイタリアンマフィアは壊滅状態に陥ることになります。
証言したケン・エトーは、名前を変え、安全な住居を与えられ、2004年に85歳の人生を全うします。
こういう数奇な運命をたどった日本人がアメリカにいたということを初めて知りましたが、なかなか興味深いドキュメンタリー映画でした。
★★☆
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劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 2020年 アニプレックス他
監督:外崎春雄 原作:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』
今さらですが、テレビでやっていたので録画して見ました。正直還暦過ぎたオッサンには、これのどこに熱狂する要素があるのかまったく理解不能ですが、自分が子供の頃には、ウルトラマンやマグマ大使、巨人の星などに夢中だったことを考えると、流行なんだろうなぁという感想です。
水戸黄門のドラマと同じで、主人公やその他レギュラーの仲間達はどんな苦境に陥っても死なず、目的を達するということがわかっていながら、それがクセになってしまうのはいつものことです。
このシリーズは、主人公が家族を鬼に殺され、修行して鬼殺隊に加わったということを知っていないと意味がわからないことも多そうです。
というか、劇場版ではどうしても時間の関係から原作(漫画)やテレビアニメ放送の中から多くの部分をカットして作られているので、鬼に「下弦の壱」とか「上弦の参」など、鬼退治をする鬼殺隊にも「炎柱」などクラスというかランクがあったりしますが、そういう様々な細かなことは映画ではほとんど説明がないのでスルーしながら見るしかありません。
ま、あまり深いことは考えずに、出てくる様々な仕掛けやアクションをみて楽しむというのが、マニア以外の楽しみ方なのでしょう。
★★☆
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ロープ(原題:Rope) 1948年米(日本公開は1962年)
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演者:ジェームズ・スチュワート、ジョン・ドール、ファーリー・グレンジャー
1924年にアメリカで実際に起きたシカゴ大学の学生二人が、完全犯罪をやり遂げようと、裕福な家の知り合いの少年を誘拐し、身代金誘拐を装いながら、すぐに殺した殺人事件「レオポルドとローブ事件」を題材に小説化された原作を映画化されたものです。
原題の「Rope」は犯人のひとりの名前「Loeb」と似ていますが、それとは関係がなく、映画の中で殺人に使った道具がロープで、そのロープをなにも知らない被害者の父親に貸し出した書籍をまとめるのに使って渡すなどその異常性を象徴したものです。
この映画の最大の特徴は、一見してワンカットで最後まで進むことです。つまり場面展開がなく、時間も映画を見ている人と同じで進んでいきます。またヒッチコック初のカラー作品というのも特徴です。
最初にマンションの上から遠目に地上を歩くカメオ出演のヒッチコックなどを映したあと、そのままカメラはマンションの室内を映し出し、殺人シーン、その死体を部屋の中にある古いチェストの中に隠し、その部屋に被害者の家族や婚約者など関係者のゲストを集め、自分たちの送別パーティを催します。
全編カットのないワンシーンですから、俳優は台詞を覚えるのが大変だったろうなぁーと思いましたが、そこは当時のフィルムは最長15分程度しか回せなかったらしいので、フィルムのつなぎ目がわからないよう、いろいろ工夫がなされていました。
それにしてもワンカットが非常に長い演技を強いられる俳優は、台詞や動きを覚えるのが大変だっただろうなぁーと思わずにいられません。
★★☆
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