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年末年始以降休日が結構多かったため、録画しておいた映画やドラマをゆっくりと鑑賞することができました。

その中でも特に強く印象に残ったのが「素晴らしき哉、人生!」(原題:It's a Wonderful Life)制作アメリカ、公開1946年、日本公開1954年、監督:フランク・キャプラ、出演者:ジェームズ・ステュアート、ドナ・リード、ライオネル・バリモアです。1946年公開ということは、おそらくまだ日本が戦争に降伏する前か、その直後に制作がスタートした映画でしょう。

クリスマスをテーマにした映画の中には、戦前戦後を通して名作と言われるものが数々あります。例えば「三十四丁目の奇蹟」(1947年、1994年)、「クリスマス・キャロル」(1951年、1984年)、その「クリスマスキャロル」を現代風にアレンジした「3人のゴースト」(1988年)など。それらの中でもこの映画は特筆すべき映画ではないかと思います。

この映画、ところどころで既視感を感じる場面がありましたので、私が子供の頃(小学生?)にテレビで見たことがたぶんあるのでしょう。小・中学生の頃はほぼ毎晩テレビで古い映画をやっていて、いつも見ていました。

ストーリーは、父親は堅物で真面目な住宅建設資金を貸し出す会社の経営者、長男はヨーロッパで戦火の足音が近づくなかで軍隊に入隊しています。そんな中で大学を卒業したら自分の夢だった世界を旅して回ろうと考えている能天気な次男坊がこの映画の主人公です。

いろいろあって、その次男が父親の急逝により、自分の夢をあきらめ、やむを得ず事業の後を継ぐことになりますが、街の顔役で借家業を営んでいる富豪の実業家と対立してしまい、さらに自分のミスから事業資金を一瞬にして失い、貧しい住民を助ける住宅建設用金融会社は倒産寸前に追い込まれてしまいます。

そのことで、主人公は絶望してしまい、クリスマスの夜に橋の上から凍てつく川に飛び込み自殺を図りますが、その時、まだ翼がもらえない二級天使(オヤジです)が突然現れ川の中から救い出されます。

その天使に対し「どうして止めるのだ?こんなことになるなら生まれてこなければよかった」と告げて激しく迫ると、天使は「それならあなたが生まれてこなかった世界を見せてあげよう」と、主人公を街に送り返します。すると住宅資金の貸付事業がないがため、住民達は自分の家を持つことができず、活気や明るさがなく、腹黒い富豪が支配する古びた借家住まいで、搾取され続け、街の荒廃した姿を見ることになります。

と、まぁ、文科省推薦の映画やドラマによくありそうな正義と悪役がはっきりしたパターンですが、長く続いた厳しい戦争に勝ち、アメリカ人がそのまま世界征服もできるのではという戦後間もない頃の思い上がった時代ながら、一転してこのような道徳心や愛情、そしてなによりも困難に立ち向かう勇気の重要性を描いたところに深く共感を覚えてしまいます。

もちろんクリスマスが描かれる欧米の映画には子供の頃から親しんできたキリスト教の教えと、困ったときには神様が奇跡を起こしてくれるという唯一絶対の信仰が根底にあります。

当初はこうした宗教色の強い映画、例えば「エクソシスト」や「オーメン」などキリスト教が関係するオカルトものを含め、もっぱら仏教や無神論者が多い日本人にはその理屈や宗教観がないとわからないだろうと思っていましたが、いやいやどうしてすっかりツボにハマってしまいました。

この映画はすでに著作権は切れているので、様々なところから格安でDVDが販売されているようです。モノクロ映画ということと、少し長め(132分)なので、鮮やかな配色で動きの速いアニメに慣れ親しんでる今の子供達に見せてもたぶんすぐ退屈してしまいそうですが、大人しかも夫婦や恋人同士でゆっくり楽しめそうな映画です。

この年になっても、こうした映画を見ると心が洗われます。
いや~映画ってホントにいいものですね。




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ソウル・キッチン

2009年のドイツ映画でヴェネツィア国際映画祭で審査員特別賞を受賞しました。監督は「愛より強く」(2004年作品)でベルリン国際映画祭で金熊賞受賞しているファティ・アキン。主演はアダム・ブースドゥーコス。いずれもあまり日本ではお馴染みのない人ばかりの映画ですが、たまにはいいね、こういうの。

ここでいうソウルは韓国の首都のことではなく、ドイツのハンブルグにある気楽に騒げるレストランの店名です。ハンブルグといえばブレーメンなどと同様、中世からの伝統が残る自由ハンザ都市で、芸術や経済などが盛んで、ハンバーグの語源にもなったところです。ベルリンに次いでドイツ第二の都市で、日本で言えば大阪と言ったところでしょうか。

監督はトルコ系移民二世、主演のアダム・ブースドゥーコスはギリシア系移民二世で、そのせいか、ドイツ映画でありながら、ドイツ映画らしくはなく、様々な人種や職業の人が出入りする雑多なレストランが舞台です。

主人公のジノスは苦労してソウル・キッチンをオープンしたものの、あまり品のいい場所ではなく苦労しています。そして恋人には別れを告げられ、おまけに椎間板ヘルニアを患ってしまうは、さらには税務署から滞納している税金の督促をされたりと不幸が連続して起きます。

そんな中、自分の代わりに雇ったシェフが素晴らしい天才料理人だったことや、刑務所に入って疎遠になっていた兄の手助けなどもあり、店を騙し取ろうとしていた投資家をやっつけて、最後には成功するという軽いノリのコメディ映画です。

作者は何が言いたかったのか、監督は何を描きたかったのかは、結局よくわかりませんでしたが、貧しい移民達が必死にとけ込もうともがき苦しんでいるドイツの世相や、古いハンブルグという伝統のある街の雰囲気がよく伝わってくる映画です。

古くから多くの移民を受け入れてきたドイツ在住の外国人とドイツ人との問題についても、表向きは人種差別はないとされていても、職業や収入などにおいてはまだ色濃く残っています。これから日本でも起きてくるはずの外国人問題についてサラッと考えさせられるものでもありました。

日本も将来移民達を多く受け入れるようになると、こうした「貧しい移民たちvs.金満日本人(悪役)」という関係を描いた日本映画が、作られるようになるかも知れません。それが世界的にヒットすれば、ようやく日本の国際化も果たせたということなのかも知れません。


ニューヨークの王様

チャールズ・チャップリンが右傾化するアメリカから追放された後、1957年にイギリスで制作した作品で、ちょうど私の生まれた年のことです。監督、脚本、制作、音楽、主演までがチャップリンで、ニューヨークを舞台とする作品ですが、撮影はすべてロンドンのスタジオでおこなわれました。

第二次世界大戦が終結した後、1950年頃からアメリカでは敵対する反ソ、反共思想が強くなり、それまでチャップリンが作ってきた反ファシズムの「独裁者 」や、近代工業をパロディとした「モダン・タイムス」、お金のために人殺しをする社会を皮肉った「殺人狂時代」などが、容共的思想と判断され、チャップリンは赤狩りをする下院非米活動委員会に何度も呼び出され喚問を受けることになります。そしてついに名作と名高い「ライムライト」を発表した1952年には国外追放令を受け、スイスへ渡り映画の仕事からは身を引くことになります。

最後にアメリカで撮影を行った「ライムライト」以来、5年間を経てイギリスのスタジオで作られたのがこの「ニューヨークの王様」で、アメリカ社会のゆがみを皮肉たっぷりに作られています。そういう事情もあり、アメリカで上映されたのは1970年代に入ってからといういわくつきの作品です。

内容は、社会主義革命で国を追われた王様(チャップリン)が、アメリカへ亡命してきてからの顛末をユーモアたっぷりに描いたモノクロのトーキー映画です。チャップリンの山高帽にステッキのいつもの格好ではなく、普通のスーツ姿が印象的です。

なんとなく似た設定で、エディ・マーフィー主演の映画に「星の王子ニューヨークへ行く」(1988年)というのがありましたが、こちらは某国からやってきた皇太子が、ニューヨークの素晴らしさをユーモアたっぷりに描いています。その作品のように単なるエンタテーメントに終わらず、政治的なメッセージが強いのがチャップリン映画の特徴です。

そして「ニューヨークの王様」では、チャップリン自身がアメリカを追放された恨み神髄、アメリカ社会の軽薄さと騒々しさ、政治信条の非寛容さ、マスコミの横暴さ、商業主義を思い切り皮肉って茶化してしまい、それを世界中の笑いものに変えてしまうところがさすがです。


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412 劒岳 点の記、BALLAD 名もなき恋のうた、南極料理人、アバター
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275 ワルキューレ、感染列島、20世紀少年第2章最後の希望、K-20 怪人二十面相・伝、ルパン三世 VS 名探偵コナン、クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 
238 ダークナイト、ハンコック、スカイ・クロラ、私をスキーに連れて行って






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690
NHKのBSで古い有名なモノクロ映画をやっていましたので、録画をして一気に見ました。若い人にはこのようなモノクロ映画というのはどうも拒絶反応がありあまり見たがらないようですが、なかなか味わい深くていいものです。

小学生の頃はまだ白黒テレビが普通だったこともあり、私は白黒映画も全然平気です。チャップリン映画は1967年の『伯爵夫人』以外はすべて白黒映画で、どの作品もたいへん面白いと思うのですが、以前録画して子供に見せると、モノクロ映画というだけで拒絶反応を示しました。生まれたときから当たり前にカラーテレビ・映画を見ていると、自然とそうなってしまうのでしょうかね。

映画「グランド・ホテル」はエドマンド・グールディング監督の1932年に製作されたアメリカ映画です。第5回アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した有名な映画ですから、テレビ映画やレンタルして見た人も多いと思います。この時代にこれだけの深い人間ドラマを作れるのはさすがに近代エンターテインメント先進国です。

公開された1932年というと日本では昭和7年、満州国が日本軍部の傀儡により建国され、上海事変(第一次)が起き、5.15事件で犬養毅首相が暗殺された昭和の暗黒時代へまっしぐらに進んでいた時期で、前年の1931年に公開した「街の灯 」が大ヒットしたチャーリー・チャップリンが宣伝も兼ねて初来日した年でもあります。暗殺が起きた首相官邸からほど近い帝国ホテルに宿泊していたチャップリンも、その時はさすがに緊張したでしょうね。

元々の原作はヴィッキイ・バウムという作家の小説ですが、当初は舞台劇として有名になっただけに、映画を見ていても場面が変わることは少なく、ホテルのフロントと登場人物の部屋の中だけをいったりきたりするだけで、舞台演劇をそのまま映画にしたって感じです。

登場人物は、落ち目になって人気に陰りが見えた一流バレリーナ役に当時の大スターグレタ・ガルボが扮し、その他借金に追われホテルの部屋荒らしをする自称男爵の詐欺師にジョン・バリモア、生き残りのため企業合併を目指す事業家役にウォーレス・ビアリー、その事業家に雇われたタイピスト役に愛らしいジョーン・クロフォード、事業家の工場で長年会計士を勤めたが病気で余命がわずかと知り自暴自棄となっている男にライオネル・バリモアと、当時の名優たちを揃えています。と言っても私が知っている名前はグレタ・ガルボとジョーン・クロフォードぐらいなのですが。

映画の役ではグレタ・ガルボはとうが立ったダンサー役で、ジョーン・クロフォードは若い新米タイピスト役なのですが、あとで知りましたが二人はともに1905年生まれで映画公開当時27歳ということです。

ストーリーは、ベルリンにあるグランドホテル。そこの宿泊客として、借金まみれの自称男爵の詐欺師、人気と自信を失い生きる気力もなくした有名なバレリーナ、会社存続のため合併を画策している会社経営者、臨時に雇われた口述筆記のタイピスト、そして経営者の工場で働く余命少ない会計事務員らと役者が揃います。

留守を狙ってバレリーナの部屋に侵入し真珠のネックレスを盗もうとした男爵は、公演をキャンセルして突然帰ってきたバレリーナと鉢合わせしてしまいますが、苦悩に共感して二人のあいだに愛が芽生えます。

当初その自称男爵からナンパされダンスに誘われて期待を膨らませていた、しがない臨時雇いタイピストは、男爵の気持ちが他に移ってしまったことを悟り、お金のために言い寄る会社経営者にすり寄ろうとしたり、優しい会計事務員にも近づいたりと、したたかで節操がありません。

そのような人間関係が複雑に絡み合い、もつれる中、やがて偶発的に部屋の中で殺人事件(事故)が起きてしまいます。しかしグランドホテルは何事もなかったかのように、いつもと変わらず、出発する人を送り出し、来る人を暖かく迎え入れる日々が過ぎていきます。

「グランド・ホテル」監督:エドマンド・グールディング 1932年公開 アメリカ
【出演者】
グレタ・ガルボ(1905年~1990年)スウェーデン生まれ
主な出演映画『肉体と悪魔 』『アンナ・クリスティ』『アンナ・カレニナ』『椿姫』『ニノチカ』『マタ・ハリ
アカデミー主演女優賞1938年『アンナ・カレニナ』、1940年『椿姫』 
アカデミー名誉賞1955年

ジョン・バリモア(1882年~1942年)アメリカ生まれ
兄のライオネル・バリモア、姉のエセル・バリモアと共に「バリモア三兄弟」として有名
主な出演映画『ドン・ファン』『マノン・レスコウ』『狂へる悪魔』『愛の嗚咽』『ハムレット』

ライオネル・バリモア(1878年~1954年)アメリカ生まれ
主な出演映画『晩餐八時』『サラトガ』『自由の魂』『素晴らしき哉、人生!
アカデミー主演男優賞『自由の魂』

ウォーレス・ビアリー(1885年~1949年)アメリカ生まれ
主な出演映画『ビッグ・ハウス』『チャンプ』『奇傑パンチョ』
アカデミー主演男優賞1931年『チャンプ』

ジョーン・クロフォード(1905年~1977年)アメリカ生まれ
主な出演映画『ミルドレッド・ピアース』『大砂塵』『何がジェーンに起ったか?』『失われた心』『突然の恐怖』
アカデミー主演女優賞1945年『ミルドレッド・ピアース』


続いて見た「第十七捕虜収容所」も元々は舞台劇で有名になった作品で、1945年には『失われた週末』でアカデミー監督賞、1960年には『アパートの鍵貸します』でアカデミー作品賞・監督賞・脚本賞を受賞した名匠ビリー・ワイルダーが監督した1953年公開の作品です。

映画は第二次大戦末期ドイツ占領地内で捕虜となったアメリカ軍の軍曹クラスばかりが集められた捕虜収容所が舞台で、そこで展開される捕虜の日々の生活や巻き起こる事件が、ある時はコメディタッチで、そしてある時はシリアスに描かれています。

主演は米軍捕虜セフトン役でウィリアム・ホールデン。この映画でアカデミー主演男優賞を受賞しました。その他の出演者は終盤になって登場する捕虜となった米軍将校ダンパー役のドン・テイラー、ネタバレですが米兵捕虜の中に混じってアメリカ軍の情報を収集するドイツのスパイ役に「おはようフェルプス君」こと若い頃のピーター・グレイブスなどです。この映画での名演技によりピーター・グレイブスは14年後の1967年からテレビで始まる大人気ドラマ「スパイ大作戦 」(原題Mission: Impossible)への道が決まったも同然です。勝手な想像ですが。

私が思い描く捕虜収容所というのは「戦場のメリークリスマス 」や「戦場にかける橋 」など、食糧も乏しく極限状態の厳しい環境下で強制労働や虐待などが日常茶飯事というものですが、ドイツの捕虜収容所は「大脱走 」の時もそうでしたが、収容者は逃げようとしない限り比較的自由な生活のようです。同じドイツの収容所でも「シンドラーのリスト 」などに出てくるユダヤ人収容所とはえらく違うものです。この映画でも捕虜だというのに酒、タバコ、クリスマスのお祝いなどを手に入れて持ち込み、望遠鏡でロシアの女子収容者棟を覗いたり、ラジオまで入手して英国BBC放送で戦況を聞いたりとやりたい放題です。

ストーリーは収容所に地下道を掘り脱走を企てますが、ドイツ軍に事前に見破られていて脱走者は待ち伏せを喰らい、外へ出た瞬間に射殺されてしまいます。その他、隠していたラジオが収容所所長に簡単に発見されたりと収容所内の秘密が正確にドイツ軍に漏れていることに気がつきます。

その中で脱走に否定的で、看守のドイツ軍兵士を買収して仲がよく、様々な闇物資をガッチリ貯め込んでいる主人公が、一番怪しいと疑われ、捕虜仲間から激しいリンチを受けることになります。

そうした中へドイツの貨物列車を爆破したと疑われているアメリカ人将校が新たな捕虜として収容所に連れてこられます。列車の爆破方法を収容所の中で仲間にしゃべったとたん、それまでは決め手がなく処分できなかったドイツ軍にその手法が伝わってしまい、重犯罪者としてゲシュタポに引き渡されることになります。

ゲシュタポに連れ去られるともう生きては帰れないので収容者は団結して将校を逃がそうと画策します。そのどさくさで、ドイツ軍と通じていたスパイが判明しますが、そのスパイを単に殺してしまうとドイツ軍の怒りを買い、捕虜全員が殺されてしまうリスクがあり、かと言ってそのまま逃がすと、また別の収容所で同じようなスパイ活動を繰り返すだろうということで、先にスパイと間違えられ仲間からリンチを受けた主人公が一計を案じることになります。

この映画を見ていると、子供の頃によく見ていたテレビドラマ『コンバット!』を思い出しました。同じ白黒ということもありますが、テーマ音楽も似ていて、おそらく『コンバット!』(1962年~1967年)を最初に企画した際は、この映画や音楽を大いに参考にしたのではないかと思われます。

「第十七捕虜収容所」監督:ビリー・ワイルダー 1953年公開 アメリカ
【出演者】
ウィリアム・ホールデン(1918年~1981年)アメリカ生まれ
主な出演映画『慕情 』『サンセット大通り 』『麗しのサブリナ 』『戦場にかける橋
「第十七捕虜収容所」でアカデミー主演男優賞

ドン・テイラー (1920年~1998年)アメリカ生まれ
主な出演映画『花嫁の父 』『トゥルーマン・ショー』『東は東』
主な監督映画『新・猿の惑星』『ドクター・モローの島』『ファイナル・カウントダウン

ピーター・グレイブス( 1926年~2010年)アメリカ生まれ
主な出演映画『狩人の夜』『世界終末の序曲』『テキサス』『アダムス・ファミリー2

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619
学生時代や社会人になってからも独身時代のあいだは、休日や早めに仕事が終わったときに雑誌ぴあを握りしめて各地の名画座へ行き、2本立て映画を手当たり次第に観た時期もありましたが、ここ20年ぐらいは、自由時間が少なくなったのと、ビデオやDVDで自宅でも気楽に見れるようになったこともあり、映画館で観るのは年に2~3回行けばいいほうです。

もっと言えば小・中学生の頃は、毎週2~3本のテレビで放送される映画(ほとんどが洋画)をほぼすべて見ていましたので、自慢じゃないですが70年代以前の映画については相当数観ています。

さてこれから封切りされる予定の映画で、ぜひ映画館で観たいと思って楽しみにしているものが2つあります。

ひとつは「のぼうの城」。

和田竜氏の小説の映画化ですが、時は戦国時代、現在の埼玉県行田市にあった関東七名城のひとつ押城(おしじょう)で、小田原征伐とともに周辺の城も攻める豊臣側の石田三成と、城主名代成田長親との実際にあった攻防戦が描かれています。

タイトルの「のぼう」とは「でくのぼう」を略したあだ名で、若い頃には「うつけ」と呼ばれていた織田信長にもなにか共通するところがありそうです。

その時の豊臣側の城の攻め方が想像を絶する方法で、今でも現存する石田堤と呼ばれる総延長28キロに及ぶ土木工事をおこない、利根川の水をせき止め、水で城を攻め落とそうとします。後にいわゆる「忍の浮き城」と呼ばれる所以です。

それをしても結局は落城させられず、最後は北条氏支援のため小田原城へ行っていた当主成田氏長が小田原で先に豊臣側に降伏をしたため、自ら開城することになります。

この映画、すでにクランクアップされていて、本当なら昨年9月に上映される予定でしたが、昨年は3.11が起き、映画の水攻めと津波の被害がダブってしまうイメージがあるので、被害に遭われた方々の心情を考えて上映が延期され、今年11月の封切りとなりました。

主演は成田長親役に野村萬斎、有能な家老で軍師の正木丹波守利英役に佐藤浩市、部下の武将酒巻靭負役に成宮寛貴など。長親を密かに慕う勇猛果敢な甲斐姫に榮倉奈々、攻める豊臣秀吉に市村正親、石田三成に上地雄輔など、なかなか個性豊かな俳優陣で楽しみな映画です。

二つめは、この6月にクランクインした「永遠の0(ゼロ)」です。

原作はこの作品がデビュー作となる百田尚樹(ひゃくたなおき)氏の同名の小説で、発刊時はいまいちだったのが文庫化されると「これは凄い」とじわじわと口コミで拡がり、ロングセラーとなり結局100万部を突破する大ヒット作品となりました。

ちなみにTwitterで百田氏は「6年前『永遠の0』を書いた時、文藝春秋社に原稿を送ったが封も切らずに送り返された。新潮社の編集者に読んでいただいたが「出版は無理です」と言われた。新人賞を取らないで小説を出版するのはすごく難しいことなんやと思った。賞取ってデビューしてたら、もうちょっと売れる作家になっていたかも。」と書いていましたが、あきらめずに出版することができたことが、映画制作にまで結びつきました。

このように出版社のプロの目(目に触れる前?)で排除されてしまう作品も想像以上に数多く存在するのだろうことが容易に想像ができます。ただ現在はネットを使った公開や電子書籍という方法もあるので、従来の書籍のように大量に印刷して書店へ配本をするしか方法がなかった時と比べ、多くの無名の作家がデビューしやすい環境になってきたことは間違いないでしょう。だからと言って有名になるのは簡単でありませんが。

内容はすでに100万人以上の人が読んでいるので不要かも知れませんが、現代のフリーター男性が零戦パイロットで戦死した自分の祖父のことを知るために祖父の戦友を訪ね歩くところから始まります。

調べていくと「海軍一の臆病者」「帝国海軍の恥さらし」というやりきれない悪評がある一方、「凄腕のパイロット」「妻と子を深く愛していた男」という話しもあり、「必ず家族の元に帰る」と言いながら、なぜ敗戦濃厚な終戦間際になってから特攻に飛び立つことになったのかという謎を追いかけていきます。

文庫の帯には読書家で有名だった児玉清氏の「僕は号泣するのを懸命に歯を食いしばってこらえた。が、ダメだった」という言葉が添えられていました。

映画の主演は零戦パイロットの祖父役に岡田准一、孫で現代に生きる佐伯健太郎役の三浦春馬、帰りを待つ祖父の妻役で井上真央。監督は「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴です。

山崎監督は実物大の零戦も作り、空母赤城の甲板のセット、それにお得意のCGを駆使して空戦の臨場感や戦場の恐怖感を出すとのことです。東宝としては1984年公開の舛田利雄監督「零戦燃ゆ」以来となる大規模な戦争映画とのことです。

映画の公開は来年と言うことでまだ決まっていないそうですが、おそらく終戦の日近くの夏休み頃の公開で昔の東宝8.15シリーズのひとつとなりそうです。


   



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5月のDVD 2012/5/12(土)

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日輪の遺産 2011年角川映画 監督:佐々部清、出演:堺雅人、中村獅童

浅田次郎原作の「日輪の遺産 」の映画版です。小説では壮大な仕掛けがたいへん面白かったのですが、2時間の映画になるとかなりの部分を端折らざるを得ないので、ちょっと不完全燃焼かなと。しかも低予算で作ったとみえて主演級の俳優はともかく、そのほかの出演者のレベルが低く、舞台セットもお粗末な限りです。

その中でも主演の堺雅人や助演の中村獅童、八千草薫はたいへんいい味を出しています。堺雅人は「南極料理人」や「武士の家計簿」のようなコミカルな役から、この映画での陸軍少佐のようなシリアスなものまで表情豊かにうまく役を作れるのがいい感じです。ちょっと陸軍将校というには小粒で頼りない感じはしましたが。

ストーリーは太平洋戦争でマッカーサーが日本軍にフィリピンを追われたあとに残した金塊900億円(現在の貨幣価値で2千兆円)を敗戦が濃厚な日本に運び込み、進駐軍から隠してしまおうと政府が画策します。その任を命ぜられたのが堺雅人演じる真柴少佐と主計官(中尉)、その護衛役として中国戦線で負傷した曹長の三人。

計画では戦時動員されている女学生20人に山の中の洞窟の中に運び込ませ、終わったら口を封じるためにその女学生と教師に毒を飲ませて殺すことになっていたが、それはできないと上官に交渉しにいくと、ちょうどポツダム宣言受諾の反乱軍との混乱に遭ってしまいます。

やがてマッカーサーは厚木に降り立ち、フィリピンから奪われた金塊を取り戻すべき調査を始め、そしてようやく洞窟に隠してあることが判明してその洞窟に入っていきます。そこで見たものは、、、

浅田流の涙を誘う悲しいストーリーですが、先に小説を読んでいたので、映画では涙は浮かんできませんでした。

お勧め度★☆☆


ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT 2006年米 監督:ジャスティン・リン 出演:ルーカス・ブラック、千葉真一

ワイルドスピードのシリーズはややこしくて、いくつか先に出ていますが、このX3は3本目という意味ではなさそうです。サブタイトルに「TOKYO DRIFT」とあるように日本がメインの舞台となっている作品です。

この映画、ストーリーや場面設定はかなり無茶苦茶ですが、クルマファンにはたまらない一品でしょう。中でも主人公が乗るランエボ(IX)よりも、敵役や仲間が乗るフェアレディZやRX-7、シルビア(S15)などの改造車がとても決まっていてかっちょいいです。ただアメリカ人好みなのか、やたらとボディペインティングが施されていてそれだけはいただけません。

たっぷりと入っているボーナストラックを見るとわかりますが、市街地での暴走シーンは本当に都内で撮影したのかと思っていたら、街並みをしっかりロサンジェルスに作ってそこで撮影し、一部を合成したとか。いやーよくできています。

この映画はアメリカ制作映画で、主要な登場人物も多くは外国人(アメリカ、中国・韓国の俳優)で、そのあたりはせっかく日本で多くを撮影しながら日本人俳優が選ばれなかったというのはちょっと残念ですね。そういえば実写版の「頭文字<イニシャル>D THE MOVIE」もそうでしたが、なにかワケでもあるのかな。

お勧め度★★☆


ヤバい経済学 2011年米 監督:アレックス・ギブニー、モーガン・スパーロック等

シカゴ大学教授の経済学者スティーヴン・レヴィットとジャーナリストのスティーヴン・J・ダブナー共著による「ヤバい経済学」が原作です。

「不動産業者が他人の家と自分の家を売る時にはなにが違う」「ルーザー(負け犬)とウィナー(勝ち馬)と名づけられた双子が送った人生とは?」「大相撲の八百長はデータで証明できた?」「勉強嫌いの高校生に成績が上がれば毎月50ドルのご褒美を与えるキケンな実験!」など収録されています。

不動産業者は他人の家を売るときには売却希望値より少し安いオファーがあれば「これはいい提案だから決めた方がいい」と顧客に言うが、自分の不動産であれば希望値になるまでじっくり待つことが多く、他人の家と自分の家では明らかに自分の家の方が高く売っていうることが統計上もハッキリしています。

これはその不動産業者が受け取るインセンティブの違いから来るもので、つまり他人の不動産を売ってもその10数パーセントが手数料で入ってくるに過ぎず、少しの割引ならそのインセンティブも極めてわずかなので、早く売ってしまいたいという意識が働き、自分の不動産なら例えわずかな値引きでもその影響が大きいからすぐには売らないということ。言われてみると当たり前なんですね。

私がよく電気量販店で経験し目にすることとして、各社とも同じような性能の製品(例えばテレビや冷蔵庫)を買う場合、店員さんのお勧めを聞くと、店員さんは実際の売れ筋や性能の優劣ではなく、どの製品がその店にとって一番利益が出るかを考えて客に勧めます。それとは知らずに買ってしまう人が多いので、店員さんはそれが普通だと思って指名買いをする客にまで店や自分の成績に一番都合がいい製品に翻そうと必死に説得してきます。これも結局はインセンティブというものが働いているのでしょう。

ま、普通に面白いけれど、いまさらねぇという思いもします。お暇ならどうぞってところかな。その点ではマイケル・ムーア監督作品のほうがもっと毒が効いていて楽しめますが、棚の配列が変わってしまってどこへいったか発見できなかったのですよ。

お勧め度★☆☆


太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男 2011年「太平洋の奇跡」製作委員会 監督:平山秀幸 出演:竹野内豊、井上真央

太平洋戦争のDVDが2本続きますが、この作品の原作は元海兵隊員のドン・ジョーンズが書いた『タッポーチョ 太平洋の奇跡 「敵ながら天晴」玉砕の島サイパンで本当にあった感動の物語』。なんとベタなタイトルだろう。

要は実在した大場栄という陸軍大尉が、玉砕や自決が普通だったサイパン島で、うまく米軍の攻撃をかわしながら、民間人は早めに降伏させ、兵隊も終戦までゲリラ活動を続け、最後まで戦い抜いた実話を元にして描かれています。

原作も読みましたが、原作ではもう少し大場栄氏が英雄のように描かれていましたが、映画ではそういうエピソードを入れる時間がなかったのか、どちらかといえば迷い、部下達に言われて考え直すというような場面があり、優柔不断という印象を持ってしまいました。

玉砕にしても当初は当然と思っていて一緒に突撃するも生き残ってしまい、その後米軍の攻撃が終わった後、隠れていたところ同じように生き残った兵隊達に見つかり、ともに民間人が隠れている安全な場所へ向かいます。また自決しようとする部下の前では固まってしまい、なにも声をかけられなかったりと、当時の陸軍将校としてどうなのよと思わせる場面がありました。

お勧め度★☆☆


マネーボール 2011年米 監督:ベネット・ミラー 出演者:ブラッド・ピット

実在のオークランドアスレチックスのゼネラルマネージャービリー・ビーンがメジャーリーグの経営に新たに持ち込んだセイバーメトリクスという新たな統計学を使い手法で、ヤンキースなどお金持ち球団に対抗できることを証明した実話を元に作られています。ちなみに現在でもビリー・ビーンはアスレチックスのGMとして活躍しています。

この手法が導入されるまでのスカウトやトレードというのは、一般的に打者なら打率・打点・本塁打数・盗塁数・守備エラー数、投手ならば球速、勝率、勝利数、防御率、失点、自責点と、打者と投手に共通して性格、スター性、年俸などを元に決められることが普通です

新たな手法というのは簡単に言えば打者ならば出塁率と年俸、投手なら奪三振率と被ホームラン率と年俸だけに重点を置くことによって、正当に評価されていないイコール年棒の安い優良な選手を獲得し効率よく強いチームを作っていくというものです。

打者で言えばヒットを打つのと選球眼がよく四球を選んで塁に出るのは価値として等しいという判断になりますし、投手は味方のチームの攻撃力や守備力により勝率も失点数も変わってくるからです。確かに得点力の弱かったり、エラーが多いチームの投手っていうのはつらいですよね。

この映画を観て、メジャーリーグというのはスポーツと言うよりまったくビジネスなんだなということが実感できます。GMが電話一本でライバルチームとトレードを成立させ、選手には紙一枚を渡して明日からライバルのチームへ移ってくれと通告します。

人情や和を以て貴しとなすを意識する日本人の感情からするとなかなか理解できない面もありますが、日本人選手がメジャーへ行くことが増えていくことで、このようなスポーツビジネスが日本でも当たり前になる日がくるのかも知れません。

メジャーリーグ好きであれば見て損はない楽しめるいい映画です。

お勧め度★★☆


神様のカルテ 2011年東宝 監督:深川栄洋 出演:櫻井翔、宮崎あおい

先般小説を読んで、こりゃ見なくちゃと借りてきた新作DVDです。内容はほぼ小説通りですが、当然時間の関係で省略されている部分もあり、やはり小説のほうが細部に行き届いているなぁと思った次第です。

主演の医師にアイドルの中でも慶応卒のインテリ櫻井翔を用い、なにか雲をつかむようなボヤーとした近年の若者には珍しいタイプのいい雰囲気を醸し出しています。ただ普段から使い慣れていないことがすぐわかる夏目漱石の文体風の会話がぎこちないところがあるのは演劇などを経験したプロの俳優ではないからご愛敬か。

またぼそぼそと小声で喋るシーンが多く、これが私の年齢ではほとんど聞き取れない。これは聴力の老化が原因だと思うけど、会話が聞き取れない映画ほどつまらないものはなく、この超高齢化社会において、制作側ももうちょっと配慮してもらいたいものだ。

なので会話の場面だけボリュームを思い切り高くするのだけど、場面が変わっていきなり爆音のような効果音が鳴り響いたりして鬱陶しくてかなわない。

小説では松本城が何度か登場したけれど、本編の中には登場せず、ちょっと残念。その代わり写真のような北アルプスなど美しい自然が堪能できます。

小説ではこの原作の続編が出ているので、映画もまた次回作に期待。

お勧め度★★☆


岳 -ガク- 2011年「岳 -ガク-」製作委員会 監督:片山修 出演:小栗旬、長澤まさみ

原作は石塚真一氏の山岳救助を題材とした漫画作品です。5月のゴールデンウィーク中に多くの遭難者を出した日本アルプスですが、その山をこよなく愛し、民間ボランティアとして遭難者の救助にあたる主人公が活躍するドラマです。

なんと言っていいのか、最初はアイドルを必要以上に持ち上げた若い二人のラブラブ映画かなと思っていましたが、そうではなくそこそこに迫力のあるいい映画でした。

ただ現地ロケのシーンは見ていてもすがすがしくいいとしても、いかにも「スタジオで撮影しました」という場面が多くあり、しかも後半のクライマックスシーンではそれがほとんどで、緊迫感もなくちょっと残念。

本格的な山登りを経験したことがない私でも、一度登山をやってみたかったなぁと思える映画ですが、残念ながら右足を傷めてそれはかないません。

小栗旬、長澤まさみに興味のない人でも、この映画も見て損はないかな。

お勧め度★★☆


キャピタリズム~マネーは踊る 2009年米 監督:マイケル・ムーア

華氏911など皮肉たっぷり効かせたドキュメンタリー映画を制作する同監督の作品です。

この映画ではアメリカ国内で資本主義経済がいかに疲弊し破綻しているかをリーマンブラザーズの破産を始め、国から税金がつぎ込まれる巨大な金融資本と、わずかな借金で先祖代々継いできた土地を奪われ追い出されていく個人の姿などいくつもの事例を追いかけていきます。

アメリカの憲法にも「資本主義」という言葉はどこにもなく、逆に国民が等しく公平に暮らせるようにとまるで社会主義的な文言を紹介しますが、これで同監督は共産主義者というアメリカ人にとっては屈辱的なレッテルを貼られるのでしょう。でも一向に気にするふうではありませんでした。

この映画を見ていると、常にアメリカの後を追いかけてきた日本にとって他人事ではなく、およそ10~20年遅れて同じことが起きても不思議ではありません。デトロイトの広大な自動車工場の跡地に雑草が生えている姿が、そのまま日本の製造工場に置き換わることになるのでしょう。

単に変人映画監督が作った金儲けのための映画だと切り捨ててしまうのは簡単ですが、どうすれば国や権力に騙されないようにするかなど、自己防衛策として知っておくこともいいかも知れません。

お勧め度★★☆




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