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1649
メジャーベースボールと日本のプロ野球の違いについては方々で語られていますが、両方を見ていて最近いくつか疑問があるのでまとめて書いておきます。

その前に、最近のメジャーの話題で驚いたのが、ストライク判定を自動化しようという動きが進められているという話です。

MLBで「ロボット球審」導入へ 大谷選手への判定などで“誤審”が取りざたされる中(テレビ朝日)
メジャーリーグのマンフレッド・コミッショナーは、2024年からボールとストライクを判定する「ロボット球審」を導入する考えを明かしました。(中略)すでに5月からマイナーリーグに試験導入されていて、問題がないか検証している

数年前からリクエストでビデオ判定が導入され、きわどい判定では審判のジャッジが覆されることがよくあり、ジャッジの信頼性に疑問が出ています。

今の技術を使えば、ストライク・ボール判定は自動化でき、その代わりに審判(主審)は球筋よりもカウント、バッターのハーフスイングや死球、投手のボーク、打撃妨害、守備妨害、フェア・ファール判定など、その他のチェックと判定に注力できます。

そして審判のストライク・ボール判定にクレームをつける打者も投手もいなくなり、ゲーム進行も早くなるでしょう。

審判員はストライク・ボール判定だけをやっているワケではないので、それをしないから審判員は不要とか、技術が落ちるとかはありません。

判定の自動化に反対する人はもちろんいるでしょうけど、審判の負担軽減や判定の公平性、審判員による判定個人差の解消など、メリットの大きさを考えると、導入は自然の流れかなと思います。

  ◇   ◇   ◇

さて、本題ですが、Rosinとは松ヤニのことで、ロジンまたはロージンと表記されますが、私は50年前にクラブ活動で野球をしていた時に馴染んだロージンバッグという言い方のほうがしっくりきます。

野球以外にもこのロージンを使った滑り止めはウェイトリフティングや体操の鉄棒や吊り輪の競技などでもよく使われています。

日本のプロ野球では、ほとんどの投手は投球前にロージンをポンポンと手ではたき、指にたっぷり付けてボールを投げます。

そしてボールから手が離れるときにそのロージンの粉がパッと飛び散るシーンが見られます。また投げる前にロージンがたっぷり付いた指に息を吹きかけて吹き飛ばすシーンもよく見られます。

但し、あまり大量に付けて投げると、ボールが一瞬見えにくくなるので、審判から注意を受けることがあります。

一方のメジャーでは、このロージンを頻繁に使う投手は稀です。日本人の投手も国内ではロージンを使っていてもメジャーへ行くとあまり使いません。

その代わりに、指をペロッとなめて唾を付け、それを滑り止めにしている選手が多いように思います。

なんだかいつも見ていて不衛生だし、指をなめるのはボールにも唾が付くのでルール的にも微妙な問題です。

メジャーでもプロ野球も公式球の表面は牛皮が使われていますが、メジャー球のほうがやや大きく滑りやすいと言われています。

本来なら滑り止めのロージンがより必要となるのはメジャーですが、なぜか実際はほとんど使われていません。

おそらくですが、メジャーで使われているロージンバッグの種類がプロ野球で使われているものと少し違っていて、あまり役に立たないのと、付けて投げた後、規制強化で審判に手をチェックをされたとき、松ヤニが指に残っていると不正投球の疑いを持たれる恐れがあり、それを避けるために付けないものと思われます。

最近はプロ野球でプレイをした外国人投手がメジャーへ戻るというパターンもあり交流が増えていますので、そうした日本のロージンなど便利グッズは知られていると思うのですが、なぜプロ野球で使っているサラサラのロージンバッグと同等品をメジャーで利用しようということにならないのか不思議です。

もっと言えば、メジャーにおいても滑りにくいプロ野球の公認球と同等のボールを使えば、投げたときに滑ってすっぽ抜け死球になることが減り、選手の安全に寄与するのではと思います。

  ◇   ◇   ◇

もうひとつは、イニングの途中でピッチャーが交代するときに、メジャーでは投球練習場が外野席近くにあることが多いのですが、そこから出てきた交代の選手は駆け足でマウンドへやってきます。

これはメジャーのルールで交代はスムーズにおこなうように決められていて、のんびりと歩いてやってくることは禁止されているからですが、見ていてもスポーツマンらしく清々しい感じがします。

ところがプロ野球では、同じく外野席スタンドの下にある練習場からリリーフ投手が出てくるときにはクルマ、いわゆるリリーフカーに乗ってやってくるケースが見られます。

現在リリーフカーを導入している球場は、横浜スタジアム、ZOZOマリンスタジアム、阪神甲子園球場の3箇所とのことです。練習場とマウンドまでが遠いことから使われているのでしょう。

しかしこのリリーフカーのスピードはめちゃ遅く、しかもフィールドの内側までは入れないので中途半端な距離だけ走ってきます。

そしてそれに乗った姿は街でよく見かけることが多い、足が弱った高齢者が乗るシニアカーというイメージです。

せっかく緊迫した試合でも、それを長く中断し、トボトボとゆっくり進むリリーフカーと、それに乗った投手は見ていて間が抜けた感じがします。

プロのスポーツマンなら、高齢者御用達のシニアカーみたいなのに乗ってモタモタ出てこず、外野からしっかり自分の足で走ってやってこい!って思いますが、どうでしょう?

【関連リンク】
1518 日米フリーエージェントの違い
1462 ホームランは増えているのか?
758 プロ野球とメジャーの試合時間


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1646
破門(角川文庫) 黒川博行

いわゆる「疫病神シリーズ」の5作目で、2014年に単行本、2016年に文庫が発刊されています。

この作品で2014年上半期の直木賞を受賞されています。こうしたコミカルな要素が含まれるヤクザ小説でシリーズ物が直木賞とは意外な感じです。

さらにこの小説を原作としたテレビドラマ(2015年)や、映画「破門 ふたりのヤクビョーガミ」(2017年)も作られています。

著者の小説は過去に「国境」と「暗礁」の2作品を読んでいますが、偶然ですがそれらも同じ「疫病神シリーズ」でした。

もちろん著者の作品はそのシリーズだけではなく、「大阪府警シリーズ」や「堀内・伊達シリーズ」、その他多くのシリーズ外作品があります。

主要な登場人物の性格や行動パターンがわかっていると、読むのがめちゃ楽です。そういう意味では気に入ったシリーズ物というのは精神的な安息が得られて貴重です。

このシリーズの主人公は、今は亡き父親がヤクザの大物だったことで、堅気の建設コンサルタントをひとりでやっていても、周囲にはいつもヤクザの影がつきまといます。

その中でもひとりのヤクザと腐れ縁で、「国境」ではそのヤクザとともに北朝鮮へ不法入国し、川を泳いで逃げるときに銃撃をうけるなど散々な目に遭います。それでその相棒とも言えるヤクザが「疫病神」というわけです。

今回も喧嘩や暴力はからっきし苦手で堅気の主人公と、これぞ任侠、ベタベタなヤクザと二人の絡みで物語は進んでいきます。

今回は、人気俳優を担いだ映画制作にヤクザの親分が大金を投資したところ、それをプロデューサーが持ち逃げをして女とともにマカオへ飛んだことがわかります。それを追いかけ二人が大阪とマカオを駆け回ります。

マカオと言えばカジノで、二人がカジノをするシーンも少しありますが、割とあっさりしていて、これは著者の性格というか好み(あまりカジノは好きでない)によるのでしょう。

映画制作の舞台裏やヤクザ組織同士の対立など、普通ではあまり知られていないうんちく的な話が出てきて、前作同様、二人の上方漫才のような掛け合いが面白く読めました。でも3作目ともなると同じようなパターンで飽きてきたかな。

今回、相棒のヤクザがあちこちで同業のヤクザと揉め、庇いきれなくなって組を破門されることになります。それがこの作品のタイトルとなっています。

その後もシリーズは続いていますので、二人の立ち位置に微妙な変化が現れているのか少し気になるところです。

★★☆

著者別読書感想(黒川博行)

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王とサーカス(創元推理文庫) 米澤穂信

2015年に単行本、2018年に文庫化された長編小説です。「このミステリーがすごい!」などで1位を獲得しています。

日本人が知っていそうでほとんど知られていない国のひとつにネパールがあります。この小説の舞台はネパールで、新聞記者を辞めた後、フリーライターとして旅行ガイドを書くために主人公の女性がネパールを訪れます。

そしてネパールで拠点とする安ホテルに到着してからまもなく、ネパールで国王が殺されるという事件が発生します。

この事件は事実を元にしているのか?と思って調べたところ、2001年に起きた「ネパール王族殺害事件」をモチーフとして使っているようです。

その事件は謎が多く、外出禁止令などが出され、国民の不満から暴動を生み始め、元記者だった主人公はフリーライターとしての最初の記事としてこの事件を追いかけることにします。

同じ安宿に宿泊しているのが日本人の僧侶、アメリカ人学生、インドの商人などくせ者揃いで、観光客に土産物を売って生活を支えている子供をガイド役にして取材をしていきます。

最初タイトルをみてどういう内容かはまったく想像がつきませんでした。

主人公がホテルの主のコネで国王が殺された王宮内で警備をしていたという兵士に、事件について単独インタビューをしたとき、その兵士からはなにも聞き出すことはできず、「お前はサーカスの座長だ。お前の書くものはサーカスの演し物だ。我々の王の死は、とっておきのメインイベントというわけだ」というマスメディアが「人の不幸は蜜の味」として面白おかしく報道することが多いことを皮肉を込めて言ったことからきています。

その兵士がインタビューの後に何者かによって惨殺され、直前に会っていたことが警察に知られ、主人公は警察に連行されます。

やがて疑いは晴れ、次に狙われるかもしれないと刑事がガードすることになり、その刑事と共になぜ兵士が殺されたのかを突き止めていきます。

ネパールのことを少しだけでも知れたことと、事件の意外性もあって、面白く読めました。

★★☆

著者別読書感想(米澤穂信)

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アイルランドの薔薇(光文社文庫) 石持浅海

著者の作品はこれが4作品目です。いずれも単純ですけど面白いです。

この作品は2002年に単行本、2004年に文庫化され、著者の本格的なメジャーデビュー作品(小説)です。

この作品の舞台はアイルランドで、アイルランドの研究所に提携する日本の製薬会社から派遣されている日本人研究員が殺人事件に遭遇します。

この本を読む前に読んだ「王とサーカス」が、ネパールを舞台にした小説で、日本人女性が謎解きをしましたが、今度はヨーロッパへ飛びアイルランドで同じく日本人(男性)が謎解きです。

アイルランドというと、一般的な日本人には遠くて遠い国で、英国とのテロ事件が時々クローズアップされたり、アメリカにも多く移住していて、仲間の絆が深いアイルランド系住民について語られることがあることぐらいでしょうか。

そう言えば以前見たハリソンフォードとブラッド・ピットのW主演の映画「デビル」(1997年)もアイルランドのテロリストと、アメリカに住むアイルランド系警察官の友情と対立が主題でした。

この小説を読むと、アイルランドの歴史や、テロが頻発する(した)理由、世界中にアイルランド系民族が散らばった理由など、知らなかったことがよくわかります。

そうしたアイルランドが舞台とは言え、あまりそのこと自体は重要ではなく、ストーリーとしては閉じられた空間(この作品では小規模なホテル)で起きた殺人事件の謎解きをするという内容です。

北アイルランドは英国主導のプロテスタントの国家で、カトリックが中心の南アイルランドとは長い歴史の中で双方がいがみ合い殺し合うという歴史があります。

そんな中、北アイルランドの兵士メンバー3人が偽名で宿泊する南アイルランド郊外にあるホテルに、アメリカの女子大生二人、オーストラリアのビジネスマン、日本人とアイルランド人の化学研究員が同宿しますが、翌朝に兵士メンバーのひとりが殺されます。

さらに、それとは別に、その殺された兵士を旅行中に自然死と見えるように殺して欲しいと頼まれた殺し屋の存在もあります。この殺し屋が誰なのか最後まで明らかにされませんが、ミステリー好きならすぐに誰なのかわかると思います。私はすぐにわかりました。

なかなか凝った内容で、犯人捜しの推理はことごとく外れてしまいましたが、限られた候補の中で、誰がどういう動きをしてどう発言したかなど、緻密に散りばめられていて推理を楽しめました。

★★☆

著者別読書感想(石持浅海)

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犬とハモニカ(新潮文庫) 江國香織

2012年に単行本が発刊された短篇集で、川端康成文学賞受賞作品です。2015年に文庫化されています。

短篇はそれぞれ独立した作品で、「犬とハモニカ」「寝室」「おそ夏のゆうぐれ」「ピクニック」「夕顔」「アレンテージョ」の6篇です。

離婚間近な夫婦や、不倫が終わりを告げた男性、恋人がいるものの孤独感にしたる女性、仲良く見える夫婦ながらも微妙な関係になりつつある夫婦、源氏物語の光源氏を主人公とした色恋話を現代語訳で、ポルトガル人ゲイカップルの夏休みと、なんの脈絡もなく6つの短いストーリーを楽しめます。

ただ、起承転結などないので、想像をたくましくして読まないといけないのと、読後の感想は人それぞれに分かれそうな感じです。

個人的には結末がはっきりしないものは、モヤッとした気持ちが残ってしまい苦手です。それが江國ワールドだと言ってしまえばそうなのでしょうけど、どうにも読後にスッキリとしません。

★☆☆

著者別読書感想(江國香織)

【関連リンク】
 6月前半 凍える牙、脳寿命を延ばす、ありふれた祈り、倒立する塔の殺人
 5月後半 切羽へ、虚無回廊 I、虚無回廊 II、虚無回廊 III、ナニカアル
 5月前半 アンダスタンド・メイビー(上)(下)、戦国時代の大誤解、隻眼の少女、生きる


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1643
凍える牙(新潮文庫) 乃南アサ

1996年の直木賞に輝いた長編警察小説で、その後シリーズ化される「女刑事・音道貴子シリーズ」の第1作目です。1996年に単行本、2000年に文庫化されています。

読んでいると、元白バイ警官でもあった離婚経験がある女性刑事が活躍する内容で、映像化に向いた作品だなと思っていたら、すでに2001年と2010年にテレビドラマ化されていました。

2001年のNHKドラマでは天海祐希で、相棒になる中年刑事が大地康雄、2010年のテレ朝版では木村佳乃と橋爪功です。なるほどなって感じの配役です。

ストーリーは、ある日、東京立川のファミレスの中で客の男性から突然火が出て燃え上がります。

その事件を調べるために刑事達が集められますが、主人公のクールな女性刑事と、男尊女卑で警察は男社会という伝統を引きずる中年の男性刑事とがペアを組み、事件の解決に向けて奔走します。

その二人の掛け合いと、徐々に互いのバックボーンなどを知るようになり打ち解けていくところが面白いところですが、それはこういう小説では予定調和です。

その後のシリーズは読んでいませんが、「もう嫌」と言っていたこの凸凹コンビが再びタッグを組んで活躍する話しもあるそうです。

著者の作品は過去にいくつか読んでいますが、警察小説は初めてで、どちらかというと、か弱い女性主人公が苦労しながら成長していくというストーリーが多いと思っていました。

が、こうしたクールで1200ccのバイクにまたがり颯爽と走るカッコイイ女性主人公の作品で大きな賞を取っていたというのは意外でした。ま、苦労しながら成長という点では共通しているのかも知れませんが。

★★☆

著者別読書感想(乃南アサ)

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脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法(文春新書) 新井平伊

著者は精神科医で、主に老年精神科医、認知症の専門家です。この著書は2020年に発刊された新書で比較的最新データが使われ、かつ素人にもわかりやすいことばで、認知症予防について書かれています。

認知症患者は、現在およそ600万人で、20年後には800万人を超えると予想されています。

高齢者の数が増えていくことと、寿命が延びていることが大きな要因ですが、それ以外にも生活習慣病などの増加もそれに拍車をかけていることになります。

そうした認知症に罹らないために、現在わかっている範囲で、できること、すぐ対処するべきこと、その方法などがまとめられています。

サブタイトルにある18の方法ですが、そのうちのいくつかを紹介すると、

・糖尿病は最大の敵、真っ先に治す
・歯周病は認知症を促進するので治療する
・社会的孤立をしないよう周囲が気を配る
・脳トレよりも麻雀、トランプなど対人ゲームが良
・飲酒はタバコよりも脳に害

など。

その他にも有酸素運動の推奨や、睡眠の質、血圧、コレステロール値、中性脂肪などに注意を促しています。

一般的に健康増進活動に準じていますが、ちょっと変わっているのは、アルコールの害、ひとりでおこなう脳トレの無意味さ、何事にも意欲をもって社会的孤立を避けデュアル、トリプルな行動、意識で脳を活性化するという点でしょうか。

ま、新書を出すと言うことは、著者が概ねなにかをPRしたいからというのは通例ですが、この場合は、著者が院長を務める認知症のクリニック、しかもそれが丸の内にあるというPRというか自慢が散りばめられていて、それがちょっと鼻につくぐらいで、あとはたいへん参考になった指南書でした。

★★☆

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ありふれた祈り(ハヤカワ・ミステリ文庫) ウィリアム・ケント・クルーガー

原題は「Ordinary Grace」で、直訳すると「普通の思いやり」とか「普通の親切」といったところでしょうか。2013年にアメリカで刊行され、翻訳版が2014年に発刊されています。

著者の作品はこれが初めて読みますが、アメリカはミネソタ州に住む1950年生まれの作家さんで、元保安官が主人公の「コーク・オコナー・シリーズ」など多くのミステリー小説を書いています。

著者の書く作品の舞台の多くはミネソタ州が舞台ということですが、このシリーズ外の長編ミステリー小説も舞台はミネソタ州の架空の街、ニューブレーメンが舞台となっています。

小説の雰囲気としては、トマス・H・クックの小説と大変よく似ています。著者名がなかったら間違えそうです。

つまりそういうことで、主人公の子供時代の古き時代のアメリカの田舎町で起きる事件や、日々の生活を大人になった主人公が淡々と語るといった内容です。

語り手の主人公が13歳の時は、ミネソタ州の田舎町に暮らし、父親はベトナム戦争に従軍したことがあり、帰還後は神父になっています。

母親は歌がうまく聖歌隊に参加し、兄弟には姉と弟がいます。また父親の戦友で部下だった独身男が、教会に住み込みで下働きをしています。

小説の舞台となるミネソタ州は、前田健太が所属しているMLBのミネソタツインズ以外、日本人にはあまり馴染みがなくよく知りませんでしたが、ネイティブアメリカンが多く住む地域で、昔には差別や白人との摩擦があり反乱が起きた土地柄です。

子供時代の主人公の友人が事故か事件か自殺か不明な状況で亡くなり、その後にその同じ場所で旅人らしい身元不明の死体を発見します。

さらに姉が何者かに撲殺され川に捨てられるという事件までが起き、続けて起きたこの3件の死を中心に謎が暗澹と広がっていきます。

結構長い小説で、なんにでもすぐ首を突っ込みたがる子供(主人公)の行動が不自然だったり、あまりにも都合良くできていたり、中だるみも感じます。

また長い割には、友人の死の謎や、父親と戦友の関係や従軍時代のことなど、様々な謎が最後までわからないことなど、読み終わった後に消化不良を感じました。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

倒立する塔の殺人(PHP文芸文庫) 皆川博子

執筆当時すでに70代だった著者が2007年に単行本を発刊、そして2011年に文庫化された長編ミステリー小説です。

時代は太平洋戦争末期の東京、比較的裕福な子女が通う女子高(女学院)が舞台ですが、アメリカによる東京空襲が激化し、人生で一番華やかな時期の日常が徐々に奪われていくのが哀れです。

変わった内容だけに、あらすじを書くのは難しく、要は、女生徒が日記風の小説と過去に学内で起きた事件の推理を白紙のノートに書いていき、それを次に回して次の人が続きを書くというような感じです。

って言ってもよくわからないでしょうけど。

出てくる女生徒が、上流階級のお嬢様ということもあるでしょうけど、音楽、美術、文学にいずれも造詣が深く、まるで美術品のキュレーターで人気女性作家の原田マハ氏の小説のように、様々な名画についてのうんちく話しが出てきます。

あれ?前に読んだ絵画がいっぱい出てくる「楽園のカンヴァス」って著者の作品だったっけ?とか、ピアノ曲がいっぱい出てくる「蜜蜂と遠雷」は恩田陸さんの著作だったよね?とちょっと混乱してしまいました。

しかし70代になっても若々しくみずみずしいティーンエージャーのやりとりを普通に表現できるというのは作家という枠を超えても著者自身が若々しいということなんでしょう。

ミステリーはミステリーなのですが、なにか事件の謎を誰かが見事に解決するというだけのものではなく、ますます深まる謎を提供して終わるということで、読後感はスッキリしたものではなりません。終戦直後の混乱した時代をまるで反映しているかのように。

★★☆

著者別読書感想(皆川博子)

【関連リンク】
 5月後半 切羽へ、虚無回廊 I、虚無回廊 II、虚無回廊 III、ナニカアル
 5月前半 アンダスタンド・メイビー(上)(下)、戦国時代の大誤解、隻眼の少女、生きる
 4月後半 世界の中心で愛を叫んだけもの、溺レる、生きている理由、ミーナの行進


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1640
切羽へ(新潮文庫) 井上荒野

著者は小説家井上光晴の長女として1961年に生まれ、出版社勤務の後、1989年に小説家デビュー、2008年には本書で直木賞を受賞した女性作家さんです。名前は「こうや」ではなく「あれの」で本名とのことです。

本書の内容は、昔炭坑として栄えた離島に住む夫婦を中心に、島の人間関係、東京からやってきた非常勤の小学校教師など、感情に訴えかける日常が淡々と綴られています。

文庫の裏表紙に書かれている紹介には「官能的な大人のための恋愛長編」とありますが、私の読後感としては恋愛小説とは思えず、どちらかと言うと、島の紀行と生活スタイル小説という感じです。

おそらくこの微妙な恋愛感情をわからないヤツと言われるのでしょうけど、どっちつかずであまり意味もなく揺れ動く感情というのが苦手で、読んでいてどうにもイライラさせられます。

都会に住む人には、理解できない島の狭くて濃密な人間関係など、そういう異世界な話しとして読む分には、そういう世界、生き方もあるのねと納得できそうです。

タイトルの「切羽」は、「切羽詰まる」の「せっぱ」と読むことが多いのですが、この著書では「きりは」とふりがながふってあります。

意味は、「トンネル工事、鉱石の採掘現場などで、掘り進めている坑道の先端」(コトバンク)で、本書ではそれから連想した意味として使われています。

余談ですが、「せっぱ」と読むと、意味は変わり、「刀のつばを固定するため柄と鞘に接する部分に使う金具。または、差し迫っていること。どたん場」となります。

著者の作品を読むのはこれが初めてですが、数多くの作品があるので、そのうちまた手に取ってみたいと思います。

★★☆ 

著者別読書感想(井上荒野)

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虚無回廊 I(徳間文庫) 小松左京
虚無回廊 II(徳間文庫) 小松左京
虚無回廊 III(ハルキ文庫) 小松左京

著者の作品には「果しなき流れの果に」「さよならジュピター」など宇宙を舞台にしたSF長編作品も数多くありますが、晩年になってから書かれた本作品が未完のまま残されました。

1985年の雑誌で連載が始まり、途中中断のあと1991年から1992年まで連載されされて雑誌の都合で終了します。続編の執筆の意欲はありながら2011年に亡くなり最後の長編小説となります。

内容は、琴座と白鳥座の間の方向の地球から5.8光年離れた場所に、巨大な人工物と思われる物体が現れたり消えたりすることが観測されます。

しかしその時の宇宙船で現場へ行くには片道だけで何十年もかかり人間が乗船して行くのは無理で、AIロボットのその先を研究していたAE(人工実存)ロボットを送り込むことになります。

AE(Artificial Existence)ロボットは、指示を与えられなくとも自らの判断だけで行動することができるロボットで、自己修復、自己改良、自己再生が可能で、開発研究者の経験や知識、さらには魂までが移植されています。

AEを乗せた宇宙船が巨大人工物に到着する前に、地球にいるAEの開発者が寿命を終え、それを知ったAEは、これで義務や義理がなくなったと、地球との定期交信を終了する判断をし、その後は単独で人工物の探査を始めます。

まるで宇宙の中の集蛾灯のような存在の巨大人工物に何万年も前から様々な生命体や人工生命が集まってきていて、その中で地球から送られたAEはコミュニケーションが可能な異星人や異星人が送ってきたロボットと情報を交換し共に探査活動を始めます。

と、言った内容ですが、まだ宇宙、時に太陽系以外のことがよくわかっていなかった1980年代に、よくこれだけ宇宙開発について想像しながら書けるものだと驚きです。

この小説にも出てきますが、天の川銀河の中心近くにあり電波を発している天体「いて座Aスター」のことが、先日大きなニュースで出てきました。

天の川銀河のブラックホール撮影 最も近くに存在、2例目―国立天文台など国際研究チーム
地球から約2万7000光年離れた銀河系の中心部には、「いて座Aスター」と呼ばれる電波を発する天体が存在する。周囲の恒星の動きから、この天体は太陽系よりも狭い範囲に太陽の400万倍の質量を持つことが判明。巨大なブラックホールと考えられてきたが、今回の撮影で裏付けられた形だ。

宇宙にはまだわからないことがいっぱいあるので、ロマンがあふれます。

そしてこの未完の長編を誰かが引き継いで書かないか?ということですが、ハルキ文庫の3巻で解説を書いている瀬名秀明氏などが有力な候補になるでしょう。

でも、実際のところ、偉大な著者がこの遺作とも言える長編のラストをどのようにしたかったのかわからないので、なかなか難しいでしょう。

この3巻まででも十分に楽しめるので、これでいいんじゃない?と私は思います。

★★☆

著者別読書感想(小松左京)

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ナニカアル(新潮文庫) 桐野夏生

なにも知らずに読み始めましたが、「タイトルからするとこれはホラーものか?」と思ってましたが、全然違いました。

2010年に単行本、2012年に文庫化された長編小説で、主人公は戦前戦後に活躍した女性作家林芙美子です。

以前、林芙美子著の「放浪記」を読みましたが、不幸な貧しい生い立ちから、母親と共に生きるために様々な仕事をし、やがて文才を認められて日記を元にしたエッセイや小説を書くようになります。

2016年4月後半の読書と感想、書評(放浪記)

しかし当時の文壇は高学歴で高尚な思想、芸術家が権力と支配力を持っており、貧しい家の出身で、高等教育も受けていない芙美子はその性の奔放さもあって、様々なところで差別や軋轢を生むことになります。しかし芙美子の書く大衆文学は広く庶民に愛され、人気に火が付いて売れっ子作家となっていきます。

その林芙美子の伝記風小説というわけでもなく、芙美子とその夫で画家の緑敏も亡くなり、その夫の後妻となった遺族が自宅にあった遺品を整理していたとき未発表の原稿を発見し、それをどうしようかと相談するところからこの小説は始まります。

その原稿には戦争中に南方へ渡って視察し、軍の宣伝用のレポートを新聞に寄稿するという役目ですが、その旅の途中では、徴用された民間船の船員や、スパイの疑いがかかっている馴染みの新聞記者との密会、さらには、不倫でできた子供を夫に内緒で出産し、しれっと孤児の赤ちゃんとをもらい受けたと画策するなど、「これは事実を書いた自伝なのか、それとも小説なのか?」という謎が、誰にもわかりません。

この遺稿の部分は著者の創作ですが、それ以外の部分は林芙美子のわかっている人生をなぞっていて、小説でありながらも伝記的な側面があり興味深く読めました。

ただ南方インドネシアに滞在していた時の話し、しかも色恋沙汰のベタベタした話しがやたらと長く、ダラダラと続き、ちょっと中だるみを感じました。

それにしても、瀬戸内晴美とかこの林芙美子とか、十分に保守的だった昭和の時代に、性に対してあっけらかんとした女性だからこそ、大衆向けの小説やエッセイを書く作家という職業に向いていたのでしょうかね。

★★☆

著者別読書感想(桐野夏生)

【関連リンク】
 5月前半 アンダスタンド・メイビー(上)(下)、戦国時代の大誤解、隻眼の少女、生きる
 4月後半 世界の中心で愛を叫んだけもの、溺レる、生きている理由、ミーナの行進
 4月前半 蜜蜂と遠雷(上)(下) 、となり町戦争、連続殺人犯、追想五断章


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アンダスタンド・メイビー(上)(下)(中公文庫) 島本理生

2010年に単行本、2014年に文庫化された書き下ろし長編小説です。2011年上期の直木賞候補作になりましたが、その時は池井戸潤氏の「下町ロケット」が受賞し、惜しくも逃しました。

その7年後2018年上期の直木賞では「ファーストラヴ」(2018年)で著者が直木賞を受賞されています。

著者の作品は、高校生の時に書いたというデビュー作「シルエット」(2001年)だけ過去に読んでいます。

主人公は茨城で母親と暮らす10代の少女で、中学生の頃から始まり、様々な波乱があった後、やがて東京のカメラマンの師匠の元へ転がり込み、独り立ちするところまでの青春&成長物語といったところです。

どうも個人的には現代の中学生が主人公という設定にはついていけないことがよくありますが、これもそうです。

とにかく、中学生でありながら、同級生の男女と仲良くしつつ、一方ではヤバそうな男性に近づき、次々と男性遍歴を重ねつつ、かと言って頭は悪くはなさそうという、読者層を強く意識した内容で、現代の奔放な女性像を描いている感じがします。

雰囲気からは、そのまま水商売か風俗へ流れていきそうなところ、女性からすると神のような独身男性に助けられ、仕事も教わり、中学生の時から願っていた職業で独り立ちしていけるというハッピーエンドに終わります。

その点は救われますが、どん底からの立ち直りに多大にお世話になった師匠の家の鍵を最後に捨てていくのは、巣立ちというか、過去をすべて清算した旅立ちを象徴しているのかわかりませんが、なにか割り切れない思いが残りました。

★★☆

著者別読書感想(島本理生)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

戦国時代の大誤解(PHP新書) 鈴木眞哉

著者は、和歌山の雑賀衆鈴木(孫一)一族の末裔という方で歴史研究家の方です。この著書は2007年に出版されましたが、他にも似たようなテーマでの著書が多数あります。

この新書では、歴史ドラマや映画、小説などで、現代で定着している人物像や戦(いくさ)について、より信頼が置ける資料ではこうなっているという解説がなされています。

例えば、桶狭間の戦いでは、今川義元は大軍を率いて上洛途中ということはなかったし、織田信長が隙を突いて急襲したという設定にも根拠は薄いということです。

また戦国時代に馬に乗っているのはかなりの高級幹部だけで、武田騎馬軍団というものは実際にはなく、それを打ち破ったとされる長篠の戦いでの織田信長方の鉄砲三段撃ちなども鉄砲の数や場所の広さから考えられないということになっています。

その日本の戦国時代の軍馬と言えば、背の高さがせいぜい120~130cmぐらいの今で言うポニーの大きさで、さすがにそれを現代のドラマや映画で使用するのは不可能で、豪快に敵陣に突っ込んでいく騎馬隊というのは想像よりもかなり変わったものになるようです。

馬に乗ったまま長槍を振り回して戦う姿というのもなく、敵と戦うときには馬を下り、馬に乗るのは逃げる敵を追いかけるときと、自分が負けそうで逃げるときに使うものだったらしいです。

歴史は時の権力者や縁者によって書き換えられるのはよくあることで、また、江戸時代にはエンタテインメントとして、都合良く誰かをヒーローに祭り上げるため、話しを大きく盛ったり、新たに付け加えたり、偽装することもよくあったそうです。

歴史作家の書く小説も、基本は古い資料などを元としていますが、そこは小説ですから、面白くするために、例えば宮本武蔵を語るときには必ず出てくる「お通」という女性など、明らかなフィクションも加えられます。

さらには現代の学者さんも、特定の資料、特定の記述だけを都合良く信用し、「こうだったはず」と決めつけることもあり、そうしたことが混じっているので、なかなかコトの真相はわからないというのが実際ということです。

そりゃそうですよね。武田信玄側からみた川中島の戦いと上杉謙信側からみたそれとは、戦いの意義や内容や戦果が大きく違っていて当たり前です。

戦国時代のドラマや映画をそうした目で見ると、良いか悪いかはともかく、また違った印象を受けることになりそうです。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

隻眼の少女(文春文庫) 麻耶雄崇

2010年に単行本、2013年に文庫化された長編ミステリー小説です。著者の作品はこれが初めてですが、1991年にデビューし、その後は数多くのミステリーを発表しています。

著者の作品は、カルト的なミステリーが多いそうで、この作品はそれに近いものがあり、日本推理作家協会賞・第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞しています。

タイトルにあるように隻眼(片目)の少女が探偵として活躍する内容ですが、主人公はそのワトソン役で自殺志願者の男性です。

日本のある山奥の中に古代より脈々と続く家の女性を神と崇める村落があり、そこの分家の温泉宿に宿泊していた主人公と探偵の少女親子が、本家で起きた次期女神となるべく修行中の少女が次々に殺されたことで地元警察と協力して事件解決を目指します。

と、いうのは第1部の大まかな内容で、第2部がその事件から18年後として始まります。こちらがまた衝撃的です。ま、内容はネタバレになるので、あえて書きませんが。

確かにカルト的と言えばカルトですかね。しかし、最後は明るい日が差してきたような感じで、読後感はわるくありません。

ちなみに隻眼(せきがん)とは、片目のことと、もうひとつ「ものを見抜く眼識。すぐれた識見」という意味合いもあります。複雑な事件を解決する探偵として、その二つをうまく融合して使っています。

★★☆

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生きる(文春文庫) 乙川優三郎

2002年に単行本、2006年に文庫化された時代中篇小説集で、2002年の直木賞を受賞した作品です。

著者の小説は過去に「脊梁山脈」(2013年)と「トワイライトシャッフル」(2014年)を読んでいます。時代小説を読むのはこれが最初です。

収録されている中篇は「生きる」「安穏河原」「早梅記」の3篇で、いずれも江戸時代の地方の藩で働く下級武士がそれなりに出世をしてきたものの、様々な葛藤を抱える侍が主人公です。

まぁよくできたストーリーになっていて、いずれの作品もたいへん面白いのですが、江戸時代ということを差し引いても、世の中はこの小説で出てくる主人公のように生と死をスパッと割り切れたり、奇跡的な偶然の出会いとか、男にとって都合の良い下女とか(これは時代が時代なのでよくあったのかも知れません)、なかなかあり得なさそうというのが実感で(だから小説なのですが)、ベタベタの創作がちょっと気に入りません。

しかしこういう時代小説を読んでいつも思うのは、江戸時代の言葉遣いや日常生活、道具、藩主と家老の関係、武士の作法、しきたりなど、よく調べて書かれているのに驚きます。

それらは普段馴染みがないものなので、様々な文献などを読むしか知識は得られませんし、それを自分の小説で使うには莫大な量の知識を集めないと自由に操れないでしょう。

そういうところには時代小説を書く作家さんには深く尊敬の念を感じます。

★★☆

著者別読書感想(乙川優三郎)

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 3月後半 虹色天気雨、老いた家 衰えぬ街、冷たい校舎の時は止まる、ドリーム・ハウス


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