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ビジネスマン私が新卒で入社したのは1980年(昭和55年)のことで、1978年に起きた第2次オイルショックの影響があり、買い手市場で就職難だった時でした。

ただ就職難と言っても、団塊世代や団塊ジュニア世代が大量に就職期を迎える氷河期的な厳しいものではなく、元々団塊と団塊ジュニアに挟まれた人口が少なかった世代だったので、大企業など選り好みをしなければどこかには入れるという時代です。

1980年当時は終身雇用や年功序列という戦後の高度成長期に作られた人事制度が一般的な企業では主流となっていて、その制度をとっていない外資系企業などは異端的で学生に人気がありませんでした。

私が入社した企業も小さいながら、男性は転勤などがある総合職の正社員採用、女性は引っ越しをともなうような転勤はない契約社員採用と、今から考えると信じられないような差別制度があり、当然、社員のみが終身雇用、年功序列の慣習がおこなわれていました。

新入社員の頃は安い月給で、他の誰よりも早くから遅くまで働き、力仕事はもちろん、人が嫌がるようなつらい仕事ばかりをしていました。

その時に部長クラスの先輩に言われたのは「給料はこれから徐々に上がっていき、一番お金が必要になってくる中高年の頃にはたっぷりもらえるから、今は不満があっても若い間は我慢せよ」でした。年功序列を言い換えればそういうことなのでしょう。

さすがに今はそのような思想を説く人はいないでしょうけど、形を変えた若手社員からの搾取?は普通におこなわれています。

最近話題のビッグモーターで、「修理保険料の額を上げるために客の車を壊して修理代を増やす」、「展示車や廃車する車に社員が個人負担で保険契約をしてノルマの数を満たし、代理店手数料を稼ぐ」、「清掃が面倒でなので街路樹に除草剤をまいて枯らす」など、一般常識では明らかに違法なことでも、会社や上司の方針、意向があれば、現場の(若い)社員は躊躇もなく実行するという事実があります。

そして問題化したときには、幹部は「知らなかった」とシラを切り逃げ切るのが普通で、罪に問われる可能性があるのは実際に不正をおこなった若い人ということになります。最高責任者はクルマの不正に対して「ゴルファーへの冒涜だ!」とトンチンカンな答えで世間を煙に巻きます。

なにか同じようなことが数年前にありました。当時の総理大臣や家族の発言や意向に忖度し、公文書を改竄したり、内部通報者を貶め自殺に追い込んだりしたことがありました。まだまだ役所や一部の会社の中には昭和時代の慣行などが色濃く残っているということです。

その昭和的な慣行である「終身雇用」と「年功序列」について少し考えました。

それらが自然発生的に生まれた時代と現在とでは、雇用状況や人口構成、事業スピード、国際競争、それに法律などが大きく違っているので、高度成長期に確立した制度の運用が現在通用しないことはわかっていますが、本当に「終身雇用」と「年功序列」は悪なのか?ということです。

終身雇用は、例え仕事で大きな失敗をしたり、不運にも長期の療養が必要な病気や怪我をしても、虫の好かない上司と喧嘩をしても雇用関係は守られるということです。もちろん、自らの意志で辞めて別のところで働くとか自分で起業するのは自由です。

ただ以前の終身雇用には長期間雇用することに制度や特典が最適化されていて、例えば格安の社員寮や社宅、退職金は30年以上勤務者に優遇、各種の手厚い福利厚生制度や各種の手当てがあり、気軽には転職できない(したいとは思わない)ようになっていました。

最近は、長期間勤務しないともらえない退職金制度をなくしたり、転職後も継続できる確定拠出年金制度に変更したりと変わってきています。

社員寮や社宅もなくなりつつあるのは承知の事実で、同様に不公平感があった住宅手当や家賃補助、配偶者手当や子ども手当など、諸手当も廃止されてきています。

つまり終身雇用の崩壊は、決して労働者側から要望したものではなく、企業が都合良く様々な福利厚生を削る目的と、「若い人にチャンスを与えるため」と称して中高年社員を早く追い出すための方便に過ぎません。

また年功序列制度は、バブル崩壊後に生産性向上と企業の負担減を主目的として年功で給料を保証するのではなく、能力給や成果主義へと変わってきました。

ちょうどその端境期にいた私の世代は、若い頃は「年功序列だから」と言われて安い給料で誰よりもこき使われ、歳を取ってから「成果主義に変わり、若い人の給料を上げなければならないから年配者の給料は下がります」と言われるのはつらいものがありました。もうリタイアしたからどうでもいいですけど。

年功序列の良かったところは、結婚して子供ができて、その子どもが中学生や高校生になる頃、概ね40歳から50歳頃ですが、その頃には会社で役職に就き、給料もほぼピークに近づくとともに、自宅を購入し、その住宅ローンや子どもの教育費、親の介護の負担などがあり、人生で一番支出がふくらむタイミングと重なることです。

現在は、能力主義だからと言っても若い人の給料はたいして上がらず、失われた30年と言われるようにこの30年間、実質的に給料の平均額は上昇していません。つまり企業が「能力主義」「成果主義」と言い出すのは、単に中高年者の給料を減らし、賃金総額を下げたいときに使うマジックワードだからです。

それよりも、人生計画を作っていく上で、今後10年後、20年後、30年後の収入の見込みが事前にわかり、それに沿った形で結婚や出産、自宅の購入、クルマの買い換えなどをおこなっていける年功序列的な収入予定も決して悪いことだとは思いません。

「年功序列だと中・高齢者は働かなくなる」というのは、一部にはそういう人もいるでしょうけど、中高年者は中高年者同士で誰が部長になるか、役員になるかの競争が常にあり、収入も一律皆同じというわけではありませんからほとんどの人はしっかり働きます。

別に「昔は良かった」と言いたいわけではなく、人によっては終身雇用制度や年功序列が生き方やライフスタイルに合っているのではないだろうかとふと感じた次第です。もういまさら後戻りはできないでしょうけど。

【関連リンク】
869 働かないおじさんと年功序列
852 中高年者の雇用不安
636 昨今の新入社員は終身雇用制を支持している




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