リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~
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岸辺露伴 ルーヴルへ行く 2023年 「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会
監督 渡辺一貴 出演者 高橋一生、飯豊まりえ、長尾謙杜
NHKはドキュメンタリーが好きな私なのですが、連続ドラマは時間がかかり面倒なのであまり見ないため、このシリーズもまったく見ていませんでした。
漫画も読まず、ドラマも見ていない状態で、いきなり映画を見て理解できるかな?と思いましたが、問題なく楽しめました。
ルーブル美術館の中でロケが行われ、おそらく閉館後の人がいない時間帯にモナリザやニケなどの作品の前で撮影がおこなわれています。普段は有名な作品の前はものすごい人でゆっくり見られないと聞いたことがあります。
オークションで手に入れた作品の裏に「ルーブルで見た黒」という意味のフランス語が書かれていて、その謎を調べるためルーブルへ向かいます。
露伴「ルーブルへ行く」
編集者「え?ルーブルってフランスの?」
露伴「ルーブルと言えばそれしかないだろ?」
という会話がなされますが、作者はご存じなかったのか、ルーブルはフランス以外にもあります。私はその三重県にあるルーブルへ行ったことがあります。
ルーブル彫刻美術館
ま、これは半ばジョークみたいな感じですが、運営者はいたって真面目なだけにそれなりに楽しめます。ただロゼッタストーンがデンと置いてあり、それは大英博物館だろ?とツッコミたくなります。
映画は江戸時代の絵描きが殺された妻の無念を真っ黒な絵に怨念を込めて描いた作品が海外に渡り、その後人知れずにルーブルの倉庫の中で見つかり、それを見た人間が次々と過去の妄想に襲われるといういたって漫画に向いた内容です。
贋作とか、怨念とか発狂とか、よくルーブルが撮影協力したものですが、過去からいろいろと協力関係のあるNHKの依頼だと断れないでしょう。
そういえば小説原作の映画「ダ・ヴィンチ・コード」はルーブル美術館の中で館長が謎の死を遂げるという刺激的な内容でした。この映画は良かったです。
★★☆
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ハドソン川の奇跡(原題:Sully) 2016年 米
監督 クリント・イーストウッド 出演者 トム・ハンクス、アーロン・エッカート
バードストライクで両エンジンの出力が急速に低下という過去に例がない事態に遭遇し、連絡した管制塔からは空港へ引き返すか別の空港へ向かうよう指示されますが、そこまで飛べないと判断した機長と副機長は、真下に見えたハドソン川に着水することを決定します。
姿勢を崩さずうまく着水しますが、真冬のハドソン川で、長く水に浸かっていると凍死を免れず、機体が沈む前に乗員乗客は全員が主翼の上や脱出用スライドの上に避難し、救助に駆けつけてくれたフェリーボートや観光船に次々救助されていきます。
その判断に、航空機事故調査委員会の公聴会では、コンピュータシュミレーションや人間が操縦するフライトシュミレーターでも空港へ引き返すことが十分に可能だったのではないかと機長の判断ミスを指摘します。
しかし今回のように離陸と同時に両エンジン停止という過去に例のない事態で、異常が発生してからエンジンの再始動を試みたり、補助エンジン始動など、緊急時ハンドブックを見ながら様々な行動や判断をしなければならず、乗客の命の責任を負わず、単に異常が発生してすぐに空港へ引き返す練習を何度もしたフライトシュミレーターの結果だけでは比較にならないことを主張します。
実際に、バードストライクが起きて様々な判断や検討に要する35秒後に空港へ戻る飛行をシュミレーターでおこなった場合、滑走路手前で墜落することがわかり、機長の判断が正しかったことが証明されます。
英雄を称えた映画ですが、脇には家族の話や乗客の絆など、また機長の若き頃の経験なども挿入され、なかなか見どころの多い映画でした。
★★☆
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ケイン号の反乱(原題:The Caine Mutiny) 1954年 米
監督 エドワード・ドミトリク 出演者 ハンフリー・ボガート、ホセ・フェラー
前任の艦長は、規則にあまりうるさいことを言わなかったため、服装などの乱れが日常的にありました。
新任でやってきた新艦長は規律にうるさく、些細なことでも大げさに問題化するものの、自分のミスを部下の責任に押しつけることなどがあり、乗組員たちに疎まれます。
そんな中、小説家志望の通信士官が艦長は偏執症で異常行動があるので、もしそうなった時には副長が艦長から指揮権を取り上げて代わりに指揮を執るように副長に提案します。
そんな中、航海中に嵐に巻き込まれ、まともな判断ができなくなった艦長に代わり副長が指揮権を取り上げて適確な操艦指示を出し転覆の難を逃れます。
しかしこれが艦長の命令に従わず逆に解任して勝手に操艦した反乱罪にあたると軍法会議にかけられることになります。
そしてみんなを煽ってきた小説家志望の通信士官は、我が身を守るため軍法会議においてもそうしたいきさつの証言をせず、副長は追い詰められていきます。
人気スターのハンフリー・ボガートがその勇敢でまともな副長役かと思いきや、なんと悪人役で精神疾患のある新任の艦長役でした。その傲慢さと小心な神経質さを併せ持った複雑な演技力はさすがとしか言いようがありません。
しかし、ノー天気な終わり方ではなく、軍法会議は証人として呼ばれた艦長の自滅で勝利することになりますが、経験豊富で優秀だった艦長に最初から臆病者、偏執症と決めつけ精神的に追い詰めたのはその通信士官の行動ではないのか?という印象的なシーンがあります。
映画が製作されたのは太平洋戦争が終わってまだ10年も経たない戦争の記憶が色濃く残っていた時期ですが、悲惨で派手なドンパチドラマではなく、こうした軍隊の中の鮮やかな人間ドラマを描いているのはさすがとしか言いようがありません。
★★☆
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ゴールデンカムイ 2024年 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
監督:久保茂昭 出演者:山﨑賢人、山田杏奈、玉木宏、舘ひろし眞栄田郷敦
時代は明治末期で、舞台は冬の北海道です。北海道では江戸時代以前には金の鉱脈があちこちで発見され、江戸幕府や明治政府から差別され虐待されてきたアイヌ民族が民族として自立するための資金とするため集めた多くの金塊がありましたが、その金塊を奪い、どこかに隠したのちに殺人犯として捕縛され網走監獄に収容されています。その隠された埋蔵金を探すというのが大まかなストーリーです。
主人公は日露戦争の二〇三高地で重傷を負いながらも生き延びて帰国しましたが、訳あって大金が必要になって北海道で金を掘り当てようとやってきますが、網走監獄からの脱走者から隠されたアイヌの金塊のことを教えられます。
山の中で羆に襲われたところでアイヌの少女に助けられ、事情を話したところ元々アイヌのものだった金塊探しに協力してくれることになります。アイヌ言葉や生活習慣などもちょくちょく出てくるので、そうしたアイヌの歴史や風習も知ることもできます。
函館で戦死したはずの土方歳三や、屯田兵を母体とする北海道の第7師団などもその隠された金塊を探していて、それぞれが集めると隠し場所がわかるという入れ墨を入れた網走監獄からの脱走犯たちを探し回ります。
すでに漫画本を読んでいて、映画の内容も基本はそれに忠実になぞった作りとなっていますが、やはり映像化するとイメージがわかりやすくて迫力も断然得られます。また羆やエゾオオカミなども出てきますが、CGでうまく作られていて違和感はありません。
漫画ではすでにずっと先の話へ進んでいるので、中途半端に終わった今回の映画ですが、当然今後続編が作られるのだろうと思われます。それにも期待したいです。
★★★
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ダンディー少佐(原題:Major Dundee) 1965年 米
監督 サム・ペキンパー
出演 チャールトン・ヘストン、リチャード・ハリス、ジェームズ・コバーン
そう言えば「イケオジ映画」で、似たタイトルの堺雅人主演「クヒオ大佐」っていう結婚詐欺師の実話を元にした日本映画がありましたがそれともまったく関係ありません。
映画の舞台背景は、1864年から65年にかけて、アメリカ南北戦争中のアメリカとフランス軍が侵攻しているメキシコに渡るややこしい時代と地域で、その中に、悪者役としての先住民(アパッチ族)や、ヒロインのメキシコ独立運動家の女性などが関わってきます。
タイトルは主人公の名前で、南軍の捕虜を収容している砦と騎兵隊の責任者を務めているアメリカ北軍の将校です。ただ単に格好いいだけでなく、女性関係で悩み酒浸りになってしまう情けないところも見せてくれます。
近くの北軍の砦と町が武装した先住民に襲われ子供たちが誘拐されます。その子供たちを救い、武装した先住民グループを壊滅すべく、軍の命令がないまま本来の仕事でもない討伐を計画し、捕虜の南軍兵士を含めた討伐隊の志願兵を募ります。
北軍の兵士と南軍の捕虜との険悪な関係、北軍の黒人兵士と奴隷制がまだ残っている南部の白人兵士とのいがみ合い、メキシコに進駐し横暴な振る舞いをしているフランス軍との対立、そして子供をさらっていったアパッチ族との戦いと、とにかくあれこれ盛り込みすぎです。
その盛り込みすぎの影響で、時間や日にちが次々と先へ飛んでいき、タイトルに意味を込めたであろう主人公を中心とする男の友情や人間模様を描くのが難しく、どちらかというと派手なエンタメっぽい内容となっています。
★★☆
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kapiw(カピウ)とapappo(アパッポ) アイヌの姉妹の物語 2016年 配給:オリオフィルムズ
監督:佐藤隆之
出演者:kapiw(カピウ:アイヌ語でカモメ)床絵美、apappo(アパッポ:アイヌ語で花・福寿草)郷右近富貴子
したがって、俳優やプロの演奏家などは登場せず、東京と阿寒でそれぞれの仕事をしながら子育てをしている普通のアイヌ民族の母親が主人公です。
撮影もプロのカメラマンが固定カメラで決められた演技を撮影するのではなく、手ぶれするポータブルビデオカメラで動きながら主人公たちや周囲の人たちの日常が撮影されていて、画面が盛んにブレるのでちょっと見づらいです。
アイヌ民族の歴史は深いものがあり簡単には書けませんが、無知な政治家が「日本人は単一民族で・・・」などアホなことを過去に発言したことがあるほど和人(本州系日本人)には認知度が低いものです。
そうした反省もあってか、国は2020年にはウポポイ(民族共生象徴空間)に「国立アイヌ民族博物館」を設置したりアイヌ民族の保護や文化の継承などを進めています。
ただそうした役人が籏を振る国のハコモノよりも、野田サトル作の大ヒットコミックで、アニメや実写映画にもなった「ゴールデンカムイ」の中で、主人公とともにアイヌの金塊探しをするアイヌの少女の振る舞いや説明のほうがずっとわかりやすく理解度が進みそうです。
映画は、美しい北海道の自然や、2011年の原発事故で放射能から子供を遠ざけたい一心で東京から大阪へ行き、その後、実家のある北海道へ向けて深夜にクルマでひた走る母親の姿など、ドラマにはないリアリティな映像が見られます。
そして、長く別々で暮らしていた姉妹が、様々な葛藤を乗り越え、ライブ会場でディオとしてまた伝統的な楽器を弾きながら美しい歌を披露していくラストは感動的です。
★★☆
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PERFECT DAYS 2023年 独・日本 製作 Master Mind他
監督 ヴィム・ヴェンダース 出演者 役所広司、柄本時生
独身の主人公はスカイツリーに近い下町のボロアパートにひとり住み、極端に口数が少ない孤独な中年です。
仕事は都内の公衆トイレの清掃員で、外国人の目から見ると風変わりな最新のデザイナー公衆トイレで作業をおこなっています。
実際には映画に出てくるデザイナーズトイレは極めて少なく、ほとんどは昭和時代からさして変わらない3K(汚い、暗い、臭い)トイレですが、そういうところは出てきません。
ま、それは良いとして、主人公がなぜ今の仕事をしているのか、実の妹は運転手付きの高級車に乗っているほど裕福なのにどうして極貧生活を送っているのか、などハッキリとは示唆されませんが、仕事で移動するクルマの中ではコレクションしているカセットテープで古い洋楽を好んで聴き、毎晩寝る前にはフォークナーや幸田文などの文学をたしなむなど、なにか過去に訳ありって印象を植え付けます。
風変わりなデザイナーズトイレとともに、トイレ掃除の徹底した職人的気質や、毎日寸分の違いもなくルーチン化した規則正しい生活など、外国人が特に興味がわいた部分を強調しているなぁと感じました。
これは、リドリー・スコット監督で日本の犯罪組織を描いた「ブラック・レイン」(1989年)でも、派手な漢字のネオン、デコトラなど外国人が見て異様に思えたシーンがやたらと入っていました。
また石川さゆりが、主人公が馴染みにしているスナックのママをしていて、カラオケで歌を披露したりとサービスも満点です。
しかし、結局主人公の正体はわからずじまいで、なにが言いたかったのだろう?とスッキリしない終わり方は最近の流行なのかも知れませんが、個人的にはモヤモヤが残ったままで残念です。
★★☆
【関連リンク】
2024年3~4月に見た映画 敦煌(1988年)、旅立ちの時(1988年)、ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年)、リーサル・ウェポン4(1998年)、アルゴ(2012年)、長い灰色の線(1955年)
2024年1~2月 東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~(2007年)、ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008年)、ジョー、満月の島へ行く(1990年)、カウボーイ(1958年)、かもめ食堂(2006年)、ビューティフル・マインド(2001年)、騙し絵の牙(2021年)
2023年11~12月 暴力脱獄(1967年)、ゴジラ -1.0(2023年)、ブロンコ・ビリー(1980年)、ティアーズ・オブ・ザ・サン(2003年)、ゼロの焦点(2009年)、バグダッド・カフェ(1987年)
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おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX
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敦煌 1988年 大映
監督 佐藤純彌 出演者 西田敏行、佐藤浩市、柄本明
5年ほど前に井上靖著の壮大な原作小説を読み、映画もみたいと思っていましたが、ようやくそれが実現しました。
◇2019年10月後半の読書の感想、書評(敦煌)
小説は1959年という今から65年前に出版されたものですが、小説の舞台は10~11世紀の中国(当時は宋や西夏、遼など)で、1900年(清の時代)に実際に洞窟の中から大量に発見された敦煌文献の由来について創作をした内容です。
映画の内容は小説が忠実に表現されていて、科挙の試験を失敗した主人公が、人買いから助けた女性からもらった西夏文字が書かれた布きれに興味を持ち、都だった宋から西方にある隣国西夏へ行き、西夏文字を習得し、また西夏の中で数々の戦にも巻き込まれていきます。
そしてチベット系タングートが支配していた敦煌にいるときに、辺境の地と思っていた敦煌はシルクロードの中心地で、仏教や文化などが進んでいていることに気がつきます。
西夏から攻められ数多くの書物が焼かれてしまうことを懸念し、洞窟に隠すという流れですが、それまでには西夏に滅ぼされたウイグルの王女や、戦いの中でしか生きられない勇猛な傭兵部隊のリーダーなど、多くの人が関わっていくことになります。
中国の戦国時代は、日本のせいぜい何十年という単位の戦国時代と違い、何世紀にもわたる壮大なものなので、なかなか時代背景が理解できませんが、古典で良く出てくる、三国志や春秋時代、きらびやかな唐の時代などとはまた違う印象です。
そうした中世期の中国を舞台にしたドラマを日本の俳優陣がすべて日本語で制作するというのは今ではちょっと違和感がありますが、バブルで絶好調だった当時の日本マネーが、まだ経済的には貧しかった中国に対して威力を発揮したのでしょう。
★★★
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旅立ちの時(原題:Running on Empty) 1988年 米
監督 シドニー・ルメット 出演者 リヴァー・フェニックス、クリスティーン・ラーティ
反戦活動家の両親の元に生まれ育ってきた青年主人公が、紆余曲折の中、音楽に対する才能が認められ、親と袂を分かち成長していくという文科省が推薦しそうな映画です。
1960年代から70年代に盛んだった過激な反戦運動でFBIから手配中の両親の元で、逃亡するため各地を転々としながら弟とともに普通の家族を装ってきましたが、やがて学校や進学の問題が出てきます。
父親は一緒にいることが家族の証であると言い、妻は子供の将来を考えて早々に自分の親元へ送りちゃんと教育を受けさせるべきだと主張します。
現在は身元を隠し落ち着いて暮らしていましたが、昔の仲間が自宅に現れ、その後事件を起こしたことから自分たちが追求されるのも時間の問題となり、その住まいから引っ越しすることになります。
そこで出した結論が、、、
というような内容で、社会に溶け込みゆがんだ社会生活を送る人たちと、それとは知らない周囲の人たちとのコントラストが絶妙で、多くの人種や違った文化、思想などが渦巻いているアメリカ社会の断面を見せられたような気がします。
★★☆
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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(原題:The Post) 2017年 米(日本公開2018年)
監督 スティーヴン・スピルバーグ 出演者 メリル・ストリープ、トム・ハンクス
多くのアメリカ人が倦怠ムードに陥っていたベトナム戦争の国務省が当時のニクソン大統領に提出した機密の調査報告書「ペンタゴンペーパーズ」が新聞記者にリークされてしまい、それを記事にして出した新聞社に対して政府からの圧力がかかります。
つまり政府は国民に対して「ベトナム戦争は優位に進めていて楽観的」というイメージを出したいところが、現地調査をした国防省高官の報告では「かなり危機的」という内容で、それでなくても多くの反戦運動が盛り上がっている中ではそうしたまずい状況の話は外には出せないものでした。
当初はニューヨーク・タイムスがその報告書の一部をスクープし、遅れてワシントン・ポストが残りの全文を掲載するところまでいきますが、政府の「記事差し止め」の意向に逆らうことで会社を潰すことになりかねず、様々な邪魔が入りますが掲載をする決断を下していきます。
そのあたりの、ライバル紙や時間との勝負がスリリングで、遠い他国のことながらドキドキします。アメリカ人なら身近な話題、事件だったので、なおさらでしょう。
しかしこの事件が起きたのはまだ新聞がメディアの中心的な存在だった頃の話で、そうした新聞社に輝かしい時代があったという懐古趣味的な映画とも言えそうです。
★★☆
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リーサル・ウェポン4(原題:Lethal Weapon 4) 1998年 米
監督 リチャード・ドナー 出演者 メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー、ジェット・リー
1987年に第1作目が作られ大成功を収めたリーサル・ウェポンシリーズの第4作目です。監督や主演、助演のチームには変わりはありません。
ベトナム戦争で特殊部隊にいた主人公は、妻を事故で亡くして以来自暴自棄が目立つ刑事で、相棒としてコンビを組む黒人の刑事は優しい家庭人という両極端な組み合わせが受けています。
今回も派手なアクションシーンと、メインは中国から大量の密航をおこなっている裏組織との対決で、中国のスター、ジェット・リーが二人に立ちはだかる悪役として出演しています。
また主人公の恋人が妊娠したことで、ようやく過去を振り切って再婚する気になるというのが今回の大きな見どころです。
第5作目については、いろいろと言われていますが、20数年経っても制作されていません。第1作から37年が経ち、監督や出演者もみんなそれなりに年をとってしまい、このシリーズの売り物でもある刑事のコンビが絶体絶命の危機に陥る派手なアクションシーンが難しいということもあるのでしょう。
この映画制作時はメル・ギブソンは42歳、助演のダニー・グローヴァーは52歳とまだ脂がのっていた時期でしたが、今年(2024年)はメルが68歳、ダニーは78歳、監督のリチャード・ドナーは94歳ですからねぇ、、、
インディ・ジョーンズシリーズや、ダイ・ハードシリーズも主人公の高齢化(と病気)で終了してしまいましたが、007のように役者を替えてまで続けていくことはないのでしょう。
古くからのファンとしては残念ですけど、これも時代の流れ、そして浮き沈みで仕方がありません。
★★☆
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アルゴ(原題:ARGO) 2012年 米
監督 ベン・アフレック、出演者 ベン・アフレック、ブライアン・クランストン
1979年に革命が起きたイランで、アメリカ大使館が襲撃され多くのアメリカ人が人質となった事件が起きましたが、その際に裏口から脱出し、カナダ大使公邸に逃げ込んで隠れていた6人の大使館関係者をイラン国外に逃がすため奇想天外な作戦を実施するという実際にあった内容です。
親米派のパーレビ国王がオイルショックの影響から経済的に行き詰まり国民からの信頼を失い、1979年に米国へ亡命したことで、イランの政権は親ソ連の反体制派でイスラム革命派が実権を握ることになります。
そのようなことからアメリカ大使館が襲われたわけですが、その直前にはCIAは「政局に問題はない」と政府に報告していてメンツを潰されてしまいます。
そして、「自転車で国境まで逃げる」案や、「外国人教師に化けて出国する」案など、様々に検討しますが最終的にCIAの工作員が発案した「カナダの映画会社がロケ地としてイランに入り6人をスタッフとして出国する」案が承認され、実行されることになります。その架空の映画のタイトルは「アルゴ」というSF映画で、脚本やポスター作成、マスコミへの記者発表なども行い、もし調べられたとしても大丈夫なように念入りに偽装します。
まるで映画のような(映画ですが)、ハチャメチャにも思える作戦ですが、映画のロケ地として中東の街はよく使われていたことや、混沌としていたイラン国内で、政治色がなく金儲けだけと思わせられる映画製作スタッフに化けるこうした思い切った内容が逆に疑われないということでしょう。
実際に起きた脱出作戦から、映画化にあたってはエンタメ性重視のためか、やや変更されているそうですが、2013年のアカデミー賞では、作品賞、脚色賞、編集賞を受賞しています。
★★☆
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長い灰色の線(原題:The Long Gray Line) 1955年 米
監督 ジョン・フォード
出演者 タイロン・パワー、モーリン・オハラ
アイルランドの移民だった主人公がふとした縁で陸軍士官学校(ウエストポイント)で雑用係として働くようになり、その後そこの教官にアシスタントとして採用、軍に所属し多くの学生を育てます。
その学生の中には、マッカーサーやパットン、アイゼンハワーなど未来の英雄や大統領までがいますが、親身になって育ててもやがて起きる戦争で亡くなってしまう若者もいて、悩みながらも続けていきます。
この映画の主人公は、実在する人物と言うことで、自伝を元に映画化されました。
そして50年務めて老軍曹となっていた主人公へ辞職命令が出たことで、アメリカの大統領になっていた旧友に会いに行き、その半生を語っていくというストーリーです。
その話が終わった後、無断で基地から抜け出したとウエストポイントへ連れ戻され、そこで準備されていたのは、、、ということで、長かった半生の思い出が蘇ってきて、主人公とともに感涙がジワ~と出てきました。
タイトルの「長い灰色の線」とは、陸軍士官学校のグレーの制服を生徒達が着て、隊列で行進する様を表しています。
近年の映画は、飽きさせないためか、やたらと複雑に込み入ったストーリーや観客に考えさせる内容が多いのですが、こうしたあっけらかんとした正統派の「良きアメリカ人(アイルランドからの移民ですが)」映画を見るとさっぱりしていて気持ちがよいものです。
ストーリーの中には、第1次大戦の「ドイツが・・・」や、太平洋戦争の「本日、日本と交戦状態に入った」といったシーンが出てきますが、この映画が公開された1955年というのは終戦後10年で、まだその余韻が深く残っていた時期です。
そうしたことから、この映画が製作された意図としては、エンタメではなく、戦争で傷ついた人や、遺族、反戦活動家などに対して、移民問題、軍隊の公平性、規律、軍人の家族など、開かれた陸軍の広報的な役割を果たしていたのではないかなとちょっと感じた次第です。
★★☆
【関連リンク】
2024年1~2月 東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~(2007年)、ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008年)、ジョー、満月の島へ行く(1990年)、カウボーイ(1958年)、かもめ食堂(2006年)、ビューティフル・マインド(2001年)、騙し絵の牙(2021年)
2023年11~12月 暴力脱獄(1967年)、ゴジラ -1.0(2023年)、ブロンコ・ビリー(1980年)、ティアーズ・オブ・ザ・サン(2003年)、ゼロの焦点(2009年)、バグダッド・カフェ(1987年)
2023年9~10月 ゲッタウェイ(1972年)、扉の影に誰かいる(1971年)、目撃(1997年)、ミステリと言う勿れ(2023年)、ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011年)、三人の名付親(1948年)
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おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX
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東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~ 2007年 「東京タワー o.b.t.o」製作委員会
監督 松岡錠司 出演者 オダギリジョー、樹木希林
2014年11月後半の読書と感想、書評(東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン)
映画は第31回日本アカデミー賞(2008年)作品賞など5部門で最優秀賞を受賞しましたが、同賞を主催するのが日本テレビということもあり、この日本テレビが企画・制作に関わっている映画に受賞を忖度したのでは?と疑われていたとか。
それはともかく、主演のオダギリジョーにしても、その母親役の樹木希林にしても実力派、演技派の俳優で、最近多くあるアイドルが主演の学芸会映画とは違った奥深い迫力と、リアリティのある迫真の演技が光ります。
ただ本で読んだときには気持ちが高ぶってうっすら涙目になりましたが、映画の方はそうでもなく、ちょっとストーリーが平板に感じました。
それは原作と脚本の違いなのか、監督の考えなのかわかりませんが、いずれにしても俳優のせいではなく、映画の短い時間内に登場人物の感情の動きを詰め込みすぎたことからくるせいかも知れません。
名作の原作をわずか2時間の映画にするのはなかなか難しいのだなと思った次第です。
★★☆
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ベンジャミン・バトン 数奇な人生(The Curious Case of Benjamin Button) 2008年 米(日本公開2009年)
監督 デヴィッド・フィンチャー 出演者 ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット
「グレート・ギャツビー」(1925年)の著書で有名なF・スコット・フィッツジェラルドが今から100年以上前の1922年に書いた小説が原作で、「エイリアン3」(1992年)や「セブン」(1995年)の監督をしたデヴィッド・フィンチャーが監督をした映画です。
第81回アカデミー賞では作品賞を含む13部門にノミネートされ、美術賞、視覚効果賞、メイクアップ賞を受賞
老人のような異様な姿で生まれ、次第に若返っていくという通常とは逆の人生を歩む主人公を描いたものですが、主演のブラッド・ピットが本来の姿で登場するのは中年~青年期だけで、それ以外の主人公は別人か特殊メイクかよくわかりませんでした。
老人だった頃にまだ子供だった女性と知り合い、お互いが青年期になった時点で恋が芽生えますが、やがて子供、そして赤ん坊のようになっていくことがわかっている主人公は女性の前から姿を消します。それが切ない別れです。
あまりリアリティのない物語ですが、おとぎ話のようなつもりで見るとそれもいいかもです。
★★☆
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ジョー、満月の島へ行く(原題:Joe Versus the Volcano) 1990年 米
監督:ジョン・パトリック・シャンリィ 製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ
出演者:トム・ハンクス、メグ・ライアン
日本では劇場未公開のコメディ映画で、内容は豪華キャスティングなものの、メグ・ライアンが個性の違う3役を演じるアイドル映画みたいな感じに仕上がっています。
しがない会社員の主人公(トム・ハンクス)が、体調が思わしくないので病院へ行くと「脳の病気で治療法はなく、余命半年」と告げられます。
ショックを受けますが、会社の嫌な上司に辞表を叩きつけ、残り少ない人生をどうやって過ごそうか考えていると、ある鉱物資源の開発会社の社長が家に訪ねてきて、医者から話を聞いたということで、どうせ死ぬならある南の火山島へ行って勇士として火口へ飛び込んで欲しいと頼まれます。
それは100年に一度火山の噴火を止めるため生け贄が必要で、その火山島ではレアメタルがありその開発会社がその役目を引き受けたという構図です。
メグ・ライアンは、主人公が勤務している会社の身持ちが悪そうな同僚として、次に火山島へ出掛けるまでのあいだ主人公はロスで豪遊しますが、その見張り役としてセレブっぽい社長の娘(長女)として、3人目は火山島へ向かう大型ヨットに一緒に同乗する社長の娘(次女)という3役です。
その大型ヨットは社長の次女の所有ですが、火山島に向かっているとき台風に遭い難破してしまいます。
そのとき、次女を救い出してなんとか火山島へ漂流した主人公はやがて溶岩であふれる火口へと飛び込む役目が迫ってきます。
ま、コメディですけど、それにしてもチープすぎてちょっと残念。豪華な俳優陣を揃えながら、それで予算は使い果たしたようで、B級映画も良いところです。
★☆☆
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カウボーイ(原題 Cowboz) 1958年 アメリカ
監督:デルマー・デイヴィス
出演者:グレン・フォード、ジャック・レモン
私が生まれた頃に作られた66年前の古い映画ですが、カラーはもちろんのこと、内容も全然古びてなく、昔のコミカルなウエスタン映画として楽しめました。
タイトル通り、メキシコから何百頭の牛を陸路でアメリカへ運んでくるのがカウボーイの仕事ですが、決して撃ち合いばかりやっているわけではなく、夜になると野宿して質素な(と言っても牛ばかりをつぶして食ってます)食事をし、馬や牛の世話や、群れから離れた迷い牛を探して連れ戻したり、時には先住民の支配地を通過するので襲われたりします。
都会のシカゴにあるホテルのフロントマンで、ホテルをよく利用するメキシコの大富豪の娘と恋仲の男(ジャック・レモン)が、娘の父親から交際を拒否されてメキシコへ連れ戻されたため、仕事を辞めてメキシコへ牛を引き取りに行くというカウボーイのチームに加わろうとします。
牛を買う資金をギャンブルで使い果たしてしまったチームのリーダー(グレン・フォード)に資金を提供しパートナーとしてカウボーイ集団に同行しそこで起きる様々な珍道中で、この時代の映画にしてはハードなロケが中心でよくできています。
当初は都会育ちのフロントマンが、厳しいカウボーイの仕事に苦労しますが、徐々に慣れてきてやがてはリーダーにも認められるようになります。
しかし仲間の死や、先住民との争いなどで意見の対立が起きて、、、という流れです。
なにか懐かしい映画を見たなという感じで、もしかすると子供の頃にテレビで見ていたかも知れません。
★★☆
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かもめ食堂 2006年 製作 かもめ商会(日本テレビなど)
監督:荻上直子 出演者:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ
配役としてはいかにも日本的な若女将タイプの小林聡美の主役に対し、個性的な顔をした片桐はいりともたいまさこが助演というちょっと意外な感じですが、多くのアイドルの美形ばかりが登場する映画とは違っていたって普通の感じがして好感が持てます。
フィンランドのヘルシンキの町中に、手軽な日本料理を出す食堂「かもめ食堂」をオープンした主人公ですが、なかなか客は集まらず、日本オタクのフィンランド人青年がひとりでやってくる毎日です。
フィンランドの青年からガッチャマンの主題歌を教えて欲しいと頼まれますが、なかなか思い出せず、ある日書店で日本人女性を見つけて「教えてください」と頼みます。弟がアニメファンで一緒によく見ていたとのことで主題歌はすらすらと書いて教えてくれました。
その女性は特に目的のない旅をしていたので、一緒に住もうと誘い、その後食堂を手伝ってくれることになります。
当初は遠目で馬鹿にしていた近所の住民も、やがて美味しそうな匂いに誘われて店にやってくるようになり、様々な苦しみを抱える地元の人などもやってくるようになり店は次第に繁盛してきます。
なぜにフィンランドで日本食?という疑問はわからずじまいですが、まったく文化や食材、味覚の違う国での食堂っていうのはこれほど容易じゃないだろうなぁって感想。それを言っちゃおしまいですが。
前に見た映画「バグダット・カフェ」(1987年)もドライブイン(食堂)に集まってくる様々な人を描いた映画でしたが、それと似ていて、誰も死ぬことがなく、派手なアクションやCGが使われることもなく、淡々とした日常が素敵です。
またエンディングに流れる主題歌で井上陽水の「クレイジーラブ」がまた良い味を出しています。
学生やサラリーマン向けの安くてボリュームのある定食屋さんですが、コロナ禍を無事に乗り越えもう10年以上継続しているので、まずまず成功しているようです。
店名は映画(小説?)から拝借したようで、フィンランド語の表示もあります。
★★★
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ビューティフル・マインド(原題:A Beautiful Mind) 2001年米(日本公開2002年)
監督 ロン・ハワード 出演者 ラッセル・クロウ、エド・ハリス、ジェニファー・コネリー
ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの数学者で、有名なゲーム理論を発表した研究者ジョン・ナッシュ(1928年~2015年)の破天荒な半生を描いた映画です。
2002年のアカデミー賞の作品賞、監督賞、助演女優賞、脚色賞を受賞し、同時にゴールデングローブ賞で作品賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞を受賞するという快挙を達成しています。
名門のプリンストン大学院に入学し、在学中にゲーム理論の論文を書き上げ、卒業後には順調にマサチューセッツ工科大学(MIT)のウィーラー研究所へ入ります。
そこで知り合った女学生と結婚し、一見は順調そうな生活ですが、徐々に妄想が激しくなり、数字の羅列を見るだけでその中に隠されている暗号や陰謀を自分がすべて見つけ出すという使命にのめり込んでいきます。
時は米ソ冷戦の中で、核兵器の開発競争と謀略が渦巻く中でのことで、自分は政府からスパイに任じられているという妄想が暴走していきます。
そうした妄想はいつ何時やってくるかはわからず、周囲の誰も信用できず、精神病院へ送られ苦しむことになります。
ただ妻だけは信じてくれて、やがて薬の力も借りて徐々に自分の妄想と折り合いを付けていくという流れで、人はちょっとしたことでこうなる可能性があるという怖い話でもあります。
ネタバレでおおよそのストーリーを書いてしまいましたが、実在した人物のストーリーだけに、調べればすぐにわかることなのでご容赦願います。なかなか面白かったです。
★★★
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騙し絵の牙 2021年 「騙し絵の牙」製作委員会(松竹、KADOKAWAなど)
監督 吉田大八 出演者 大泉洋、松岡茉優、佐藤浩市など
本来なら2020年に公開予定だった作品ですが、コロナ禍のせいで、1年遅れての封切りとなった映画です。
映画の原作は塩田武士によるミステリー小説ですが、映画化に当たって大きくストーリーが変えられているそうです。未読なので詳しくはわかりませんが。
大手老舗出版社が舞台で、オーナー社長が突然亡くなり、後継社長争いが勃発します。
また同社の看板でもある文芸雑誌部門で働いていた主人公は、大物作家のパーティで作品の厳しい批評をしてしまい、週刊誌部門へ異動させられてしまいます。
そのカルチャー週刊誌部門の編集長がもうひとりの主人公で、型破りなアイデアや方策で傾きかけていた業績を改善していきます。
しかしアイドルながら文才や画才があるタレントを発掘し、週刊誌の目玉企画としていたところまでは良かったものの、そのアイドルに襲いかかってきたストーカーに対し護身のため持っていたハンドメイドガンを発砲し銃刀法違反で逮捕されることになります。
また主人公が文学部門で働いていた時に見いだした新人を週刊誌の連載で掲載しようとすると、文学部門から横やりが入ります。
二人の主人公、週刊誌の編集長と文芸部門から週刊誌部門へきた編集員の二人の反撃は、、、ってことです。
大泉洋のコミカルで軽快なしゃべくりは健在で、同時に裏で密かに牙をむくという難しい役柄です。この二つの相反する性格、特に裏で糸を引く冷徹なイメージには合わないかなという感じがしました。
ミステリーというよりかは、出版社を舞台にした企業ドラマという見方がいいのかも知れません。
★★☆
【関連リンク】
2023年11~12月 暴力脱獄(1967年)、ゴジラ -1.0(2023年)、ブロンコ・ビリー(1980年)、ティアーズ・オブ・ザ・サン(2003年)、ゼロの焦点(2009年)、バグダッド・カフェ(1987年)
2023年9~10月 ゲッタウェイ(1972年)、扉の影に誰かいる(1971年)、目撃(1997年)、ミステリと言う勿れ(2023年)、ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011年)、三人の名付親(1948年)
2023年7~8月 君たちはどう生きるか(2023年)、隣のヒットマン(2000年)、オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主(2013年)、起終点駅 ターミナル(2015年)、ブラッド・ファーザー(2016年)
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1762
暴力脱獄(原題:Cool Hand Luke) 1967年 米
監督 スチュアート・ローゼンバーグ 出演者 ポール・ニューマン、ジョージ・ケネディ
主演のポール・ニューマンの脂がのっていた42歳の頃の映画で、評価は高かったそうですが、ハンサムで魅力的な俳優のワンマン映画で、不良っぽさとワイルドなイメージをもったアイドル映画のような感じもします。
ストーリーは、ある日酔っ払ってパーキングメーターを壊したかどで刑務所に収監されることになった元軍人だった主人公が、刑務所の理不尽な厳しいルールに反旗をひるがえすものの、権力側からはさらに厳しい扱いを受けます。
何度か脱獄を計りその都度失敗して連れ戻されますが、3度目には成功したかに思えましたが、、、というような内容です。
見ていてよくわからなかったのですが、主人公は軍隊で従軍していた時は数々の勲章をもらいながら昇進もしていたのに、その後なにか問題が起きたらしく、除隊するときには最下層の兵士となっています。それが主人公の反体制、反権力という性格を現しているのか、最後には教会で神頼みということで、イマイチ理解不能な面がありました。
★☆☆
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ゴジラ -1.0 2023年 東宝
監督:山崎貴 出演者:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴他
前に劇場で「シン・ゴジラ」を見たばかりだなぁと思っていたら、あれはもう7年も前の2016年公開で、コロナ禍前のことでした。このコロナ禍の3年間はほぼ記憶が飛んでしまっているのかも知れません。
◆最近見た映画 2016/8/27(シン・ゴジラ)
元々、子供の頃からゴジラ映画はほとんど見たことがなく興味も薄かったので、今回のゴジラはもういいかなぁと思っていて見る予定はなかったのですが、私が小学生の頃にプラモデルを買ってきてその形状に感動し好きだった局地戦闘機の試作機「震電」が重要な場面に登場しているというので、こりゃ見なくちゃ!と変な理由で映画館へ駆けつけました。
ゴジラ映画第1作の公開が1954年で、その映画の時代設定もその頃と思われるので、今回のこの映画の時代設定は従来のゴジラシリーズの中ではもっとも古くなる終戦直後の1946年です。つまり終戦で東京は焼け野原でゼロとなってしまい、さらにそこから怪獣に襲われ-(マイナス)になってしまう設定なのでしょう。
終戦直後という設定なので、現れたゴジラと対決するため太平洋戦争を生き残った駆逐艦雪風や重巡高尾、そして試作機のまま放置されていた震電などが登場するわけです。そのあたりは、「永遠の0」で凝りに凝った映画を作った山崎貴監督のミリオタぶりが発揮されています。
負けずにミリオタネタを書いておくと、震電は後方にプロペラがあり、プロペラの後ろに邪魔なエンジンや胴体がない分効率がよく、速度も他の戦闘機を圧倒する740km/hを予定していました。しかし後方に大きなプロペラがあるということは、もし搭乗員が機体の故障などで脱出しようとすると、そのプロペラに巻き込まれてしまうことが必至です。
当時は現代のジェット機のような座席ごと飛び出す射出座席の技術は日本にはなく、どうしたかというと、プロペラを火薬で吹き飛ばした後に搭乗員が脱出するという方法が考えられていました。
ところが実験した技術者によると、プロペラだけを吹き飛ばすのは難しく、テストしてみたところ、プロペラどころかエンジンまで吹き飛んだと、おそらく雑誌「丸」で読んだ記憶があります。
今回のゴジラ-1に出てきた震電には、なんと、当時同盟国だったドイツ空軍ですでに使われていた圧縮空気での射出座席が設置されていて、装置にはドイツ語で説明が書かれているところなどが芸が細かなところです。
この震電(実物大模型)は、映画の撮影のあと、筑前町立大刀洗平和記念館が購入し展示されているとのことです。
ゴジラと戦った異形の戦闘機「震電」福岡で発見!? 史実じゃ“あり得ないプレート” 貼られた意味は?(乗りものニュース)
大刀洗の「震電」には、展示当初からある“秘密” が隠されています。それは2階テラスに上がると見えるコクピット内の座席、そのヘッドレスト下部にある赤文字で書かれた白いプレートです。そこにはドイツ語で「Druckluft-Schleudersitz」(圧縮空気式射出座席)などが描き込まれています。これが示すところは、そのシートがドイツ式の射出座席であるということでしょう。 |
もっと詳しいのがこちら
対ゴジラ戦兵器として戦闘機「震電」は妥当か?映画「ゴジラ-1.0」のリアリティーを検証する(文春オンライン)
劇中、ゴジラを倒すことに執念を燃やす元特攻パイロット・敷島浩一(演・神木隆之介)の「ゴジラを銃撃して怒らせ、誘導するための戦闘機が欲しい」という求めに応じて探し出されたのが、敗戦から2年近くを倉庫の中で空しく過ごし、朽ち果てかけていた「震電」だった。 |
そんなこんなで、太平洋戦争中の兵器に詳しい人が見ても楽しめる映画でしたが、涙腺が緩い年配の人なら涙なしでは見られません。
★★★
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ブロンコ・ビリー(原題:Bronco Billy) 1980年 米
監督 クリント・イーストウッド 出演者 クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック
1980年当時、すでにダーティ・ハリーシリーズで俳優としては超有名になっていたイーストウッドが監督をする7作目の作品です。
時代背景は公開と同じ1980年頃のアメリカで、西部劇活劇ショーの地方回りをしている集団を率いているのが、早撃ちガンマンとして人気のブロンコ・ビリーです。
貧乏な団体ながら、興業に加えて慈善事業なども盛んにおこなっていて良きアメリカ人を演じていますが、なかなかナイフ投げの的になる危険な役割のアシスタントが居着かず苦労しています。
そんなとき、電話代に困っている女性にお金を貸し、その返礼で無理矢理アシスタントに就かせます。その女性というのが、ニューヨークに住む大富豪の令嬢で、富豪が亡くなって相続の権利を持つ女性です。
また一座の投げ縄芸を得意とする青年が酒場で喧嘩に巻き込まれ、留置されてしまいます。公演ができなくなるので、保安官に釈放を願い出ますが、暗に裏金を要求されやむなく貯めてきた全財産を渡します。
しかし公演の開始が大幅に遅れたことで、客が暴れて客席に火をつけ、それが元で公演には欠かせない大テントが燃えてしまいます。
わがままに育った令嬢は旅芸人と一緒に地方巡業することになり、興業の先行きは?遺産の行方は?そして主人公との恋の行方は、、、という流れです。
クリント監督が製作するいつもの子供でもわかりやすい平坦な物語で、それはまた様々な人種や教育水準の一般的なアメリカ人に受けそうです。
見ていると40年以上前の映画ということもあり、最近の複雑で理解するのが難しい映画が多い中、新鮮でもあり、また容易にクライマックスの想像がつくだけにちょっと物足りなさも感じます。
★★☆
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ティアーズ・オブ・ザ・サン(原題:Tears of the Sun) 2003年 米
監督 アントワーン・フークア 出演者 ブルース・ウィリス、モニカ・ベルッチ
アフリカのナイジェリアで内戦が起こり、反政府グループが民主的な大統領を殺害し、武力で勢力を拡大していこうとする中、旧政権を支持してきたアメリカ軍は、ナイジェリアに取り残されたアメリカ人を救うためにジャングルの奥地にある教会兼病院へ特殊部隊を編成し送り出します。
しかしアメリカ人の女医は、患者を置いてはいけないと同行を拒否し、やむなく自力で歩けるナイジェリア人の患者達とともに迎えに来る米軍ヘリコプターの着陸地点へ向かいます。
しかしヘリにはアメリカ人しか乗ることができないことを知った女医は怒りだし、特殊部隊の大尉はやむなく子供と怪我人だけをヘリに乗せ、他の人達は陸路で隣国カメルーンへ向かうことにします。
しかし、なぜか反政府軍がその病院から女医達と一緒に脱出したひとりのナイジェリア人を捕まえようと躍起になって追いかけてきて、激しい攻防戦が繰り広げられることになります。
いわば現代版の「七人の侍」「荒野の七人」「プライベートライアン」みたいな感じです。
しかし自国民を救うためには他国内において、派手にドンパチやって許されるのはアメリカの特権と思っているような映画で、あまり感心はできません。
エンタメ映画とはいえ、最後は追ってきたナイジェリア兵に対して空母から発進した戦闘機からミサイルを打ち込み全滅?させるようなことまでします。
★★☆
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ゼロの焦点 2009年 配給 東宝
監督 犬童一心 出演者 広末涼子、中谷美紀、木村多江
1970年代の中学生か高校生の頃に松本清張の代表作とも言えるこの小説は読んだ記憶がありますが、何度か製作されている映画やドラマの実写版を見るのは初めてです。この2009年版の映画は日本アカデミー賞作品賞を含む11部門で優秀賞を受賞しています。
あらすじはおぼろげに記憶していますが、細かなところはすっかり忘れていて、映画を見て思いだしてきました。
物語の時代背景は、1958年頃で、ちょうど私が生まれた頃の話で、まだ終戦後の混乱の爪痕が色濃く残っていた時代です。出版はずっと後になりますが森村誠一の「人間の証明」に似たところがあります。
映画化で一番たいへんだったろうなと思ったのは、1958年の街並みや蒸気機関車などのロケ地です。エンドロールを見てなるほどと思ったのは、古い街並みなどのシーンでは、韓国でロケをおこなっていることがわかりました。
そういう時代には珍しく、女性が主役でその他の重要人物もほとんどが女性という映画です。男性はちょっとだけでしかもすぐに殺されたり自殺してしまいす。
当時は見合い結婚が普通の時代でしたので、結婚相手の背景などまだほとんど知らない新婚時代に突然夫が行方不明になってしまうというところから始まります。
それでも当時の女性としては行動的で、夫の失踪の謎を突き止めようと遠い赴任地まで出掛けていき、そこで夫とつながりのあった人を訪ねていきます。
いずれもベテラン俳優陣が素晴らしい演技をしていて、最近多いアイドル映画とは違って迫力も感情表現も素晴らしいのひと言です。
戦後の混乱期を生き延びて現代に新しい活路を開いたやや陰のある人物を描いたという点では同じ著者の小説「砂の器」の映画も良かったですが、それと同じような匂いを感じられました。
★★★
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バグダッド・カフェ(原題:Out of Rosenheim)1987年 西独・米(日本公開1989年)
監督 パーシー・アドロン、出演者 マリアンネ・ゼーゲブレヒト、CCH・パウンダー、ジャック・パランス
いきなりアメリカのラスベガス近くの砂漠をクルマで旅行中のドイツ人中年夫婦が大喧嘩をはじめ、太ったおばさん(主人公)がクルマから降り、スーツケースをもってヨタヨタと歩き始めます。
そしてそのおばさんがたどり着いたのが、ロサンゼルスとラスベガスの中間ぐらいの砂漠の中にある薄汚れたモーテルとドライブインを兼ねているバグダッド・カフェです。
バグダッド・カフェでは、黒人の女主人が子育てなどでイライラしていて、夫にも愛想を尽かし追い出してしまいますが、そうした時に謎のドイツ人中年女性が「泊めてくれ」とやってきて、不信感を募らせます。
夫と喧嘩をして行くところがない中年ドイツ人女性は、バグダッド・カフェの掃除を始めたり、赤ちゃんのお世話を勝手にして、やがてカフェの女主人や常連客などからも認められていきます。
しかし、観光でアメリカに来ていたドイツ人女性ですから、ヴィザが切れているのがバレて帰国することになり、、、
ジェベッタ・スティールが歌うテーマ曲「コーリング・ユー」は印象深い歌で、誰もが一度は聞いたことがあると思いますが、元はこの映画のテーマ曲だったのですね。
歌詞も「ラスベガスから何処とも知れぬ地へ続く荒れ果てた道 あなたが行った所よりマシなどこか 壊れかけのコーヒーメーカー くたびれた一軒の小さなカフェの中・・・」と映画のシーンが思い浮かぶ歌詞が続きます。
https://www.youtube.com/watch?v=UHkW0Cw5w94
映画ロケで使われた元々あった別名のカフェは、この映画ロケの後、バグダッド・カフェと店名を変えそのままの建物で営業中だそうです。
映画向きの美女も美男も、そして悪人や死人も一切出てこない、なんだか心が清められそうな映画です。
★★☆
【関連リンク】
2023年9~10月 ゲッタウェイ(1972年)、扉の影に誰かいる(1971年)、目撃(1997年)、ミステリと言う勿れ(2023年)、ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011年)、三人の名付親(1948年)
2023年7~8月 君たちはどう生きるか(2023年)、隣のヒットマン(2000年)、オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主(2013年)、起終点駅 ターミナル(2015年)、ブラッド・ファーザー(2016年)
2023年5~6月 スペース カウボーイ(2000年)、幸せへのまわり道(2019年)、最後の忠臣蔵(2010年)、キネマの神様(2021年)、小説家を見つけたら(2000年)
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ゲッタウェイ(原題:The Getaway) 1972年 米(日本公開1973年)
監督 サム・ペキンパー
出演者 スティーブ・マックイーン、アリ・マッグロー
1994年にも同名の作品がアレック・ボールドウィンとキム・ベイシンガー主演でリメイクされていますが、今回見たのは51年前の1972年に公開されたオリジナル版です。
実はこの映画、中学生の頃にロードショーを映画館へ見に行った記憶がありますが、内容についてはほとんど忘れてしまっていました。最後のほうに出てくる広大なゴミ捨て場を二人でトボトボ歩くシーンだけはよく覚えていましたが。
マックイーンの脂がのっていた頃の映画で、この頃はマックイーンが主演なら見に行かないと!という雰囲気がありました。お色気たっぷりのアリ・マッグローとはこの映画で夫婦役を共演してから現実でも結婚して夫婦になりますが、その後離婚しています。
「ブリット」(1968年)ではシスコの華麗な刑事役が似合っていましたが、今回は刑務所に収監されている犯罪者役で、街のボスに銀行強盗を引き受ける代わりに刑務所から仮出所させてもらい、強盗の約束は果たしますが、その後に仕掛けられていた裏切り行為に反撃し、追撃してくる警察やボス達から逃げまくります。
本当にマックイーンは、兵士(戦う翼、大脱走、砲艦サンパブロなど)、カウボーイ(荒野の七人、ネバダ・スミス、トム・ホーンなど)、消防士(タワーリング・インフェルノ)、レーサー(栄光のル・マン)、刑事、犯罪者など、男っぽい野性味あふれる役ならなにをやっても似合っていて最高の俳優です。
★★★
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扉の影に誰かいる 1971年 フランス
監督 ニコラ・ジェスネール
出演者 チャールズ・ブロンソン、アンソニー・パーキンス
アメリカで肉体派スターだったブロンソンが、フランス映画で、しかもアクションはまったくなく謎めいた記憶喪失の男を演じています。
もうひとりの主人公アンソニー・パーキンスもアメリカで人気の俳優ですから、フランス映画と言いつつ、舞台はロンドンの郊外、会話はすべて英語で展開されます。
精神科医の主人公が、運び込まれてきた記憶喪失男をうまく丸め込み自宅に住まわせ、妻の浮気相手の愛人を殺させようと画策します。
舞台などで演じられそうなほとんどが精神科医の邸宅の中で起きるこぢんまりした低予算?映画っぽく、あまりドキドキも感動もなくサクッと終わってしまいました。
★☆☆
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目撃(原題:Absolute Power) 1997年 米
監督 クリント・イーストウッド
出演者 クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン、エド・ハリス
17作目となるクリント・イーストウッド監督作品で、主演も自身です。この映画の一番のウリはイーストウッドとジーン・ハックマンの大物俳優の共演でしょう。
内容は、凄腕の泥棒で逮捕歴もある主人公が、米国大統領の最大の支援者で大富豪の留守宅に忍び込んだところ、突然パーティに出掛けていたはずの富豪の妻と大統領が部屋に突然入ってきて、慌てて部屋の奥にあるマジックミラーで部屋の中がよく見える隠し部屋に隠れます。
大統領と富豪の妻は良いムードになりますが、大統領が乱暴に扱ったため、妻も近くにあったペーパーナイフをつかみ抵抗しようともみ合い、悲鳴に駆けつけた大統領SPが妻を射殺してしまいます。
大統領の首席補佐官とSPはグルになって、強盗に女性が射殺されたように偽装しますが、妻と大統領の指紋がついているナイフをうっかり部屋の中に落としてしまい、泥棒の主人公はそれを拾って部屋から逃亡します。
しかし、その逃亡をSP達に見つかり、第三者が事件を目撃し、証拠品のナイフを持ち去ったことが知られてしまい、泥棒の主人公は警察と大統領SPとそして妻を殺された富豪が雇った殺し屋の3者から追われることになります。
凄腕の泥棒ということもあり、変装や侵入などはお手のもので、危機を脱出しますが、妻を亡くした富豪の肩を抱いて悲しみに同情する大統領の会見をテレビで見て、逃げるのではなく反抗に出ることを決意します。
ま、よくあるようなストーリーですが、どうやって追われる身から、権力の中枢の大統領をはめていくかというストーリーが秀逸です。
★★☆
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ミステリと言う勿れ 2023年 フジテレビジョン他
監督 松山博昭
出演者 菅田将暉、原菜乃華、松下洸平
原作のコミックスは2016年から連載された田村由美さんの作品で、2022年1月にはフジテレビでドラマ化されています。
今回は初めての映画化で、フジテレビ開局65周年記念作品となっています。個人的にはこの作品はテレビの再放送で初めて知り、好きになりましたので、映画館へ行って見てきました。
大学生の主人公が、子供の頃にうけた家族間のトラウマを引きずりながら、自身の身に降りかかってくる様々な事件や揉めごとを、幅広い知識と記憶力、洞察力で喋りまくり、謎を解いていくという一連のストーリーが繰り返されます。
主人公の口癖「僕は常々思うんですが・・・」で、昭和発想のオジサン達などカチンときた相手に対し、説教臭い持論や正論をとうとうと一気に語っていくスタイルは、閉塞感に悩む若い人にはなにかスカッとする思いがあるのでしょう。
原作者の年齢は非公表ですが、ドラマの撮影を見に行った時に、出演していた遠藤憲一氏(昭和36年生まれ)と会って同年代と書いてあったので、すでに還暦を迎えた方のようで、そのため昭和時代の古い慣習や仕組みの中で邪魔くさいオジサン達への反感や恨み節が炸裂しています。
今回の映画では、広島へやってきた主人公が、旧家の大富豪の遺産相続で命を狙われるという女子高生から頼まれその騒動に巻き込まれていくという流れです。
小さなテレビ画面だと、出演者のこまかな演技や表情などはあまり気になりませんが、大きな画角の映画では演技の上手下手がよくわかります。
そしてこの監督さん、顔のどアップがやたらと好きで、ちょっとどうなのかなと思ってしまいます。
たいして演技が上手いとは言えない俳優達の、毛穴の一つ一つがわかるような顔のアップばかり見せられてもまったく面白くありませんし、そう言うシーンの時はあまり多いので気味、いや気持ちが悪いので見ないように下を向いていました。
顔のアップだけで表情豊かに演技ができる俳優って少なそうで、菅田将暉や柴咲コウ、わき役の松坂慶子、滝藤賢一クラスはともかく、あとの演技は学芸会のノリだったのが残念です。
作品としてはフジテレビの過大とも言えるバックアップがあり、成功していそうですが、俳優のキャスティングと監督で失敗しているかなぁと勝手な思いです。
あと事件の舞台は広島ですので、テレビドラマでお馴染みのレギュラー陣、大隣警察署のメンバーは今回は出てこないなと思っていたら、最後の出演者のクレジットに表示されていて「あれれ?」と思っていたら、エンドロールのほとんどが終わった頃にチラッとだけ登場し、なにかいつもの姿でホッと気持ちが癒やされました。
★★☆
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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(原題:Extremely Loud & Incredibly Close) 2011年 米
監督 スティーブン・ダルドリー
出演者 トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、トーマス・ホーン
ジョナサン・サフラン・フォア著の2005年に出版された同名小説が原作です。2019年に私も読んでいます。
◇2019年10月後半の読書の感想、書評(ものすごくうるさくて、ありえないほど近い)
ニューヨークに住む裕福な夫婦と発達障害をもつ一人息子の家族で、その11歳の子どもが主人公(小説では9歳)です。
いつも父親とセントラルパークで宝探しなどをして遊んでいましたが、その父親が仕事で世界貿易センタービルに行っていた時同時多発テロが発生して亡くなってしまいます。
悲しみと寂しさで、父親の遺品を見ていたときに、花瓶の中に鍵が入っているのが見つかります。その鍵を入れた封筒にはブラックと記載されていて、この鍵の謎を知っているのはブラックという名前の人に違いないと、ニューヨーク中のブラック姓の家472軒を調べて片っ端から聞いてまわることにします。
また近所に住む祖母の家に間借りしている発声障害の高齢男性にも興味を持ち、一緒にブラック家を訪問していきます。
しかし、相手にされず追い返されたりしながらもほとんどのブラック姓の家を周りますが、鍵の出所は不明で、あきらめかけた頃、遺品の中にあった新聞の切り抜きに遺品整理の広告があり、思い切ってそこへ電話したところ最初に訪問したブラック氏の家だったことがわかります。
危険なニューヨークの街を歩き回る11歳の子どもという冒険・探険談ですが、9.11で父親が犠牲になったという特殊なこともあり、多くのニューヨーカーは温かく子どもの冒険に協力してくれます。それには後で明らかになる別の理由があったのですけど。
書籍で読んだときには、スラングなどが多くて翻訳の文体が難しくて意味不明だったことも、映像を通して見ると意味はわからなくても「そういうことだったのね」と納得がいきます。
少年の演技はともかく、周囲をベテラン勢がうまくサポートし、ニューヨークの街の姿がよく出ていて映像的にも良い映画だと思います。
★★★
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三人の名付親(原題:3 Godfathers) 1948年米(日本公開1953年)
監督 ジョン・フォード
出演者 ジョン・ウェイン、ペドロ・アルメンダリス、ハリー・ケリー・ジュニア
軽いノリの西部劇で、ジョン・ウェイン演じる主人公とその仲間二人がある街で銀行強盗をおこしますが、その時に警備員をひとり射殺してしまい、金も奪えずに失敗し砂漠の中へ逃走します。
街の保安官と助手達が追跡し、飲み水を求めてやってきそうな場所に罠を張りますが、なかなか捕まえられません。、
逃走した3人は、水が湧き出るオアシスのひとつにたどり着きますが、そこには朽ち果てた馬車があるだけで、誰かがダイナマイトで水源を爆破したために水がなくなっていました。
馬車の中には、臨月の妊婦がひとり残されていて、やむなく出産の手助けをしますが、出産後に女性は亡くなり生まれたての赤ちゃんと聖書だけが残ります。
3人は赤ちゃんに名前をつけて、サボテンから搾り取った水を飲ませるなど懸命に世話をして逃亡を続けますが、保安官たちからは、水飲み場の馬車を襲って女性を殺したのも彼らだと決めつけて怒りに燃えます。
そして灼熱の砂漠の中、飲み水がない中で犯人達は追跡から逃れるため聖書に導かれていきますが、まず怪我をしていたひとりが力尽き、そしてまたひとりが死んでいきます。
思っていたよりもずっとよくできた西部劇で、銀行強盗犯でありながら、赤ちゃんの命を救ったということで、逆に英雄扱いされるところが、出来過ぎた話しとなっています。
★★☆
【関連リンク】
2023年7~8月 君たちはどう生きるか(2023年)、隣のヒットマン(2000年)、オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主(2013年)、起終点駅 ターミナル(2015年)、ブラッド・ファーザー(2016年)
2023年5~6月 スペース カウボーイ(2000年)、幸せへのまわり道(2019年)、最後の忠臣蔵(2010年)、キネマの神様(2021年)、小説家を見つけたら(2000年)
2023年3~4月 ドライビング Miss デイジー(1989年)、カリートの道(1993年)、あかね空(2007年)、ジェシー・ジェームズの暗殺(2007年)、漁港の肉子ちゃん(2021年)
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