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夏休み特別企画第1弾は「山形鶴岡市加茂水族館(通称クラゲ水族館)」でした。

今回、夏休み特別企画第2弾は、青森県の八甲田山です。八甲田山と言っても山や登山ではなく、映画にもなった「八甲田雪中行軍遭難事件」関連のお話です。

1977年に公開された映画「八甲田山」は、監督に「日本沈没」など大作が多い森谷司郎、出演は高倉健、北大路欣也、加山雄三、三國連太郎、緒形拳などそうそうたる豪華メンバーが出演した作品で、私は学生時代に映画館でロードショーを見ています。夏だったのに映画を見ているとうすら寒くて凍えたのを思い出します。

その映画の原作は、新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」で、2年前に読んでいます。

9月前半の読書と感想、書評 2016/9/14(水)八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)新田次郎

「八甲田雪中行軍遭難事件」は、1902年(明治35年)にロシアとの戦争が近いと考えた日本陸軍が、もしロシアが攻めてきて東北の太平洋側に上陸した場合、青森から救援に駆けつけるためには八甲田山付近の山道を踏破して三陸へ出るしかないと、厳しい冬山で雪中行軍の演習を計画し、その参加者210名中199名が凍死するという大変痛ましい事件のことです。

雪山遭難事故というのは世界中で毎年起きていますが、一度にこれだけ多くの人数が凍死で亡くなった事故はこれが世界で唯一とのことです。

原因は様々に取り沙汰されていますが、なにぶん当時機密だらけの陸軍内部で起きた不祥事で、恥ずべき事故を軍も隠したいでしょうし、公式な記録も少なく、多くのことが闇に包まれたままです。

映画の原作となった小説では、二つのライバルと目された連隊が、互いに競い合うよう八甲田山を逆方向から踏破し、途中ですれ違うという計画になっていました。

片方の連隊は、雪山の怖さを熟知していて、事前に雪山訓練を行い、装備の点検を怠らず、参加者も限定し、さらに軍としての見栄も外聞もなく、現地住民を雇って道案内を立てたのに対し、もう片方は雪山をなめてかかり、1泊の温泉旅行だぐらいの感覚で、雪山の怖さを知らない上官の命令の元、地元の案内人を断り、さらにライバルの連隊に負けたくないので、天候が悪いのを承知の上で行軍を強行するという、焦りの心理が道理を超えて悲劇に至ったとされています。

遭難現場となった近くに、八甲田山雪中行軍遭難資料館と、亡くなった199名の兵士達の墓地が作られていました。



そこの資料館の方と少し話しをしましたが「なぜ片方の連隊では道案内を断ったのか」という疑問に対し、「軍事演習において、民間の道案内役を雇うのが現実的だったでしょうか?」という冷静な意見もあり、道案内を断ったのが最大のミスだったという結果論だけで判断するのはどうかなという感じでした。

結果的には片方は、同じ天候下でひとりの凍死者も出さず、無事に八甲田山を踏破し下山しましたが、片方はほぼ全滅ということになり、その生死を分けた対比が小説にしても映画にしても最大の関心事として描かれてます。

さらに雪中行軍がおこなわれた時の天候が最悪で、今で言う爆弾低気圧のような激しい寒波が押し寄せ、遭難した連隊は、吹雪で道しるべを見失い、コンパスは凍り付いて役に立たず、食べ物もカチカチに凍って食べられないという散々な状態で、当時の気象観測技術では、そこまでの危険を事前に察知は出来なかったでしょう。

映画「タイタニック」でも、やがて沈むとわかっている客船に、乗客がそれぞれの理由や目的で乗船するのをドキドキハラハラしながら見るわけですが、この映画「八甲田山」においても、悲惨な結末がわかっていながら、そこに向かって兵士達が黙々と突き進んでいくシーンが泣けます。

その八甲田山の裾野付近の高原といった場所が迷走した遭難現場で、その近くに「後藤房之助伍長の像」が建てられています。





この銅像のモデルとなった伍長は、下山して救援隊を要請してくるよう命令を受け、その道の途中で力尽き、仮死状態で直立したまま凍り付き、遭難から5日目にやってきた救援隊に最初に発見され、数少ない凍死を免れた隊員です。

この銅像が建てられているのは青森と八甲田山を結ぶ途中にあり、天気が良い時なら、2時間も歩けば人里へたどり着けるぐらいの場所です。

その遭難現場からさらにクルマで登っていくと、八甲田山の頂上近くまで運んでくれるロープウェー乗り場があります。

あいにくの天気で、霧がかかりなにもみえないので、頂上にあがることはしませんでしたが、青森市街地などを一望できる眺めの良いところだそうです。

実は八甲田山という単独の山はなく、18の火山群の総称ということで、その中の一番高い峰で1584mあります。青森県にはもう一つ有名な岩木山という火山があり、そちらは1625mあります。

八甲田山の北側は青森市街地と青森湾と陸奥湾、南には大雪の話題の時にはいつも出てくる酸ヶ湯温泉とさらにその南に奥入瀬渓流と十和田湖という位置関係です。

夏の八甲田山は、涼しく、眺めも良くて登山客で賑わいます。しかし、冬ともなると映画じゃないですが、一瞬で白い地獄へと変身するのでしょう。

なんでも八甲田山は、近年の噴火は確認されていないものの、2011年の東日本大震災後に、山全体が膨張してきているとのことで、新たに複数の観測所が作られたそうです。何年後かには噴火することがあるのかもしれません。

万一、噴火でもしたら、規模や風向きにもよりますが、わずか20~30キロしか離れてない青森市街地はひどい状態になりそうですね。

2014年とちょっと古い話しですが、この八甲田山事件に結びつけた現代の怪現象も報告されています。

八甲田山「謎の119番」無人の別荘から通報(J-CASTニュース)
青森県内で消防通信指令室に掛ってきた1本の119番通報が謎を呼んでいる。先月17日(2014年5月)深夜、119番通報を受けたが応答がなく、ザーザーというノイズ音しか聞こえない。通報者が電話機の前で倒れているのではないか。消防はそう考えて、かけてきた電話の所在地を調べたところ、八甲田山の別荘地にある家からとわかかり、救急隊員10人が現場に急行した。

いやー、場所が場所だけに、夏でも夜中はちょっと怖そうな場所でもありますね~


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夏休みを使って山形県鶴岡市にあるクラゲ博物館(通称)へ行ってきました。正式名称は「鶴岡市立加茂水族館」という地味な名前です。

クラゲと言えば、子供の頃に海水浴場で刺されて痛い思いをしたことや、ニュース報道では、クラゲが大繁殖して魚が捕れずにクラゲばかりで、それが重くて漁網が破れて困るといった話しなど、あまり良い印象を持たれていません。

でも最近は、そのまったりした透明感ある風貌と、水の中で流れに身を任せゆらゆらと漂う姿が、世知辛くいつもなにかに追われている現代人に、見ているだけで癒やし効果があると科学的に証明され、ペットショップなどにも置かれるようになり、ジワジワと人気が出ています。

世界で有数のこの「クラゲ水族館」は、クラゲが多い日本海に面した東北の最上川河口近くの海岸沿いにあります。



以前山形へ行ったときに、地元の人から「クラゲ水族館は行ったか?」と聞かれましたが、その時は「なんでクラゲ?」って思ったのですが、鶴岡市の観光名所では、この「クラゲ水族館」が一番有名なのだとか。

それを思い知らされたのが、昨年NHKで放送された「ドキュメント72時間 ゆらゆら くらげに誘われて」という番組です。

この番組の中には、全国から癒やしを求めてやってくるクラゲファンがいっぱい登場しています。

クラゲは身体の95%が水分で、透明だったり、様々な色を発色したり、大きさも形も様々な種類がいます。





この水族館も元々は普通のなんでもありの水族館で、今でもアシカショーやアザラシ、日本海の魚も数多く展示されていますが、一躍注目されるようになったのは、世界でもっとも多いとされる常時50種以上ものクラゲを生きたまま展示していることです。

そのクラゲの展示にも工夫があって、直径5 メートルの水槽「クラゲドリームシアター」に浮遊する約2 千のミズクラゲは圧巻です。



人類の歴史はせいぜい数百万年前を起源としていますが、クラゲの歴史は数億年前が起源と言うことですので、人類なんかと比べちゃいけません。地球上の生き物としては、明らかに大先輩なのです。

昔からまだ見ぬ宇宙人を漫画チックに描くときは、陸に上がったクラゲのイメージで描かれることが多いですね(あれはタコをイメージしたという意見もありますが)。

それって、やはり人類よりもずっとずっと歴史があるクラゲが、もし知能を持って進化したらこんな感じ?という発想があったものと思われます(個人的な解釈です)。

壮大な地球外生命体までいった話しから、いきなり食用と話題は変わりますが、クラゲは中華料理の食材としてよく使われています。

世界中でクラゲを食べるのは、中国と日本だけだそうです。栄養価はなく、あまり食用としては人気がありませんが、栄養価が高くないと言うことは今後ダイエット食品としては見込みがありそうです。

人間以外の動植物の中でもクラゲを捕食して食べているものはほとんどいないそうです。本能的に栄養がないことを知っているのでしょうかね。あ、最近の研究でわかったそうですが、ペンギンはクラゲが好きでよく食っているそうですが。

またここの水族館のレストランでは、クラゲラーメンやクラゲアイスというのがありましたが、写真を見る限り、あまり美味しそうには見えませんでした。

もっとちゃんとした有名な料理人に頼んで、インスタ映えするような、また食べたくなるような見かけにすればきっと飛ぶように売れるのでしょうけどね。

仕事や恋愛に疲れたとき、ふとここへ来て、何億年前から変わらずに漂っているクラゲの優雅な泳ぎを見ていると、なにかきっと変わりますよ。それは小さな事で悩んでいる自分の意識かもしれません。


【関連リンク】
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1249
2016年、2017年と2年連続して、手術のために、とある総合病院へ10日間ほど入院しました。

1175 人工股関節手術のその後とまとめ
1033 変形性股関節症の人工股関節全置換手術(1)

この病院は誰かの紹介というのではなく、ネットでいろいろと調べて、自分で電話予約をし、初診~入院前検査~入院・手術となりました。

総合病院の場合、紹介状がないと、余分な費用(5000円)を取られますが、紹介してくれる地元の小さな病院でそのためだけに受診し、紹介状をもらうことを考えると安いものです。

私が子供だった50年ほど前に父親が入院したことがあり、また社会人になりたての40年ほど前には母親が何度か入院をしましたが、その頃は、主治医に謝礼金を渡すことがしごく普通の行為とされていて、その金額について、今のようにネットもありませんから、そういうことに詳しそうな親戚に電話して聞いて、入院前に準備していたことを覚えています。

時には入院中に看護師さんに聞いて、決めていたこともありましたが、その時、聞かれた看護師さんはさも当然のように「○万円から○万円ぐらいが多いですね」とか答えてましたから、謝礼金を支払うのが常識だったようです。

しかいその頃から、どうして病院には規定の診療や入院・手術の支払いをし、医者もそれなりの給料をもらっているはずなのに、なぜこのような謝礼金という変な制度があるのだろうと不思議に思っていました。

その後しばらく病院と縁がなく、すっかり忘れていましたが、地域やその病院の規定にもよるのでしょうけど、入院したり手術をしても、謝礼金を渡すことが当たり前ではなくなってきました。

と、思っていたのですが、、、

医師への「謝金」市場は8000億円!誰も教えてくれない謝礼金の実情(AERA.dot)
かつて、入院すると医師に謝金を支払うのはごく一般的なことでした。医師も当然のように考えていました。知人の医師は、90年代、心臓カテーテル治療で有名な病院で研修していました。部長が一人で回診すると、毎回ポケットが膨れていることに気づいたそうです。回診中に患者から謝金をもらっていたためです。後日、先輩医師から、この部長の回診は「(謝金)回収」と呼ばれていることを教わりました。

上記の記事では、都内の外科医が、「今でも10人にひとりぐらいは謝礼金を支払い、その額は3万から5万円ぐらい」と書かれています。

また、高額納税者が多い都内港区の外科医は10万円の謝礼金を8割ぐらいの患者からもらうというケースも書かれていますし、著名な医者に頼むときには手術1回で50万~100万円の謝礼金という話しも出ています。

闇のお金ですから表沙汰にはなりませんが、年間8000億円ぐらいが謝礼金として授受されているというと、私が思っていた「当たり前ではなくなってきた」とは言い難い状態です。

同じ都内でも謝礼金の額に差がありすぎて、なんとも言えませんが、今回私が2回入院・手術を受けた際には、特に謝礼金を支払うというようなムードはまったくありませんでしたし、実際に支払ってはいません。でも病院としては謝礼金固辞の表記はどこにもなく、支払っている人もいたかもしれません。

そしてもしこっそりと医者に謝礼金を渡せば、ためらわずに医者は受け取っていただろうなと思います。渡したからと言ってなにか特別な扱いを受けられたか?と思うと、どうもそれは考えられませんが。

なぜ謝礼金を渡すのか?と言えば、これは人間(=医者)の心情として、手術前に謝礼金をもらうと、「この患者は特に大切に扱おう」という気持ちが起きるだろうということでしょう。

医者も人間ですから、同じ手術をするときでも調子がいいときと、うまくいかなくて失敗するときもあります。そうしたちょっとした願掛けではないですが、医者に気持ちよく、特に安全に十分に配慮して、丁寧に手術をやってもらうための謝礼ということなんでしょうね。

特にその病院の中で偉い医者に謝礼金を渡しておけば、その下で実際に執刀する若い医者達にも、その偉い医者から手を抜かないようにと釘を刺してもらえたり、大切に扱えと指示があったりすると言います。

これらの謝礼金は、多くの場合、特に所得申告されることもなく、アングラマネーと同様になっているのでしょう。年間で20万円以上の雑所得があれば、本来は申告し納税義務があります。

そちらのほうが問題で、国税もやる気を出して、徹底調査し、多額の謝礼金を受け取る医者を、片っ端から脱税で上げてもらいたいものです。そうしないと、最初から謝礼金を断っている病院の医師や、謝礼金がもらえない地域の医者が浮かばれません。

旧来からのルールが次々と壊されていき、多くの業界でそのひずみが出てきていますが、そうした病院にまつわる悪弊?も、スッキリ透明化してもらいたいものです。


【関連リンク】
1137 人工股関節、人工膝関節の寿命と再置換
924 高齢化社会で変形性股関節症が増加する
888 火事と高齢化社会の因果関係
568 老人虐待と介護の問題



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1248
蛇行する月 (双葉文庫) 桜木紫乃

2013年に単行本、2016年に文庫化された連作短編小説です。自身の出身地でもある釧路近くが舞台で、思うようにいかない仕事や、妻子あるずっと年上の男性と駆け落ちした高校時代の同級生の話しとか、創造が書いたことが主体でしょうけど、現実的にどこにでもありそうな話しが中心です。

過去には「ラブレス」や、直木賞を受賞した「ホテルローヤル」を読みましたが、舞台が同じと言うこともあり、なんとなく続編や番外編を読んでいるような錯覚にもなります。

最近の作品は知りませんが、人気作家となった今では、これからもっと小説の舞台や登場人物の幅を拡げていく必要がありそうです。

それとも、あえてこの北海道、しかも釧路というシチュエーションにこだわっていくのかな?

こだわって書くのも一つの持ち味で、悪くはないと思いますが、名前で売れると踏んだ出版社からはやいのやいのと言われているでしょうね。「旅費を出すから海外に取材旅行へ行きましょう!」とか。

この著者が書く労働は、常に暗く厳しく、まるで蟹工船のような過酷なもので、そうした中でもがき働く人物をうまく描写していくというのがお得意です。

よほど、労働においては今までろくなことがなく、恨みを持っているなということが考えられますが、それは売れっ子作家になってからは改善できたのか気にかかるところです。

★★☆


 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

みっともない老い方: 60歳からの「生き直し」のすすめ (PHP新書) 川北 義則

2011年刊の新書で、この今年83歳でますます意気軒昂?な著者の著書には「○○の品格」とか「××歳からの」的な、年齢や性格に応じた先輩からの指南書のような本が多い感じですね。それがまた売れるのでしょう。

この数多くの著書がある著者の本の中では、過去に「遊びの品格」と「男の品格」を読んでいます。どちらもそこそこ面白かったので、お勧めです。

こちらのテーマもタイトル通り、主としてリタイヤ後の主として男性高齢者に向けた常識的な生き方指南書という感じです。

なかなか60歳で即引退とはいかないのが実情ですが、少しでも老後の生活を豊かにするため、少なくてもいいから稼ぐ方法を考えようとか、妻との関係を今までのような任せっきりではなく、大きく考え方を改め、料理を学んでおくとか、地域行事への参加、時にはひとり旅をしたりと、いくつか実践すべきことが書かれています。

そうは言っても、退職金など当てに出来ない多くの人は、65歳からしか年金がもらえなくなった制度と合わせると、60歳から5年間は、少しでも稼げる方法で働くしかないわけで、どちらかと言えば、そちらの方法指南のほうが大事じゃないかなと思ってしまいます。

筆者のように40代で独立し、うまく事業を経営していれば60歳という定年もなく、いつまでも働けるでしょうけど、この本の読者のほとんどはそうではないだけに、苦しんでいるわけです。

ま、会社に安住していたのは自業自得だって言われてしまえばその通りですが、多少でもバブルを経験した人達にとって、夢よもう一度!とか、あのときは良かったとか、なかなかいいときの思いが捨てられず、気持ちを切り替えられないというのが本当のところでしょう。

なので、定年を迎えて、やっと会社の束縛から離れられる!と一瞬喜んでも、次に待っているのは、不安な老後と、年金受給までどうやってしのぐか?という、いつまでも逃れようのないジレンマとの戦いだってことがこのお気楽な本を読んでの感想です。

★★☆


 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

天空の蜂 (講談社文庫) 東野圭吾

1995年に単行本、1998年に文庫化された書き下ろし長編小説です。2015年には堤幸彦監督、江口洋介、本木雅弘、仲間由紀恵などの出演で映画化されています。

今や押しも押されぬ不動の人気作家の著者ですが、この小説が出た当時はデビュー10年に満たない若手作家のひとりでした。もっともこの頃から多くの意欲的な作品を次々出して、人気作家の階段を上り始めていましたが。

主人公は、三菱重工を思わせる原子力プラントや自衛隊ヘリコプターなどを複合的に製造しているメーカー技術者で、新たに開発した自衛隊用の大型ヘリのテスト飛行日に格納庫から盗み出されてしまいます。

無線操縦と、予め仕込まれた自動操縦機能で、無人の大型ヘリは、名古屋の工場から敦賀市にある新しい原発の上空へ向かい、その真上でホバリングを始めます。

同時に盗み出した犯人から、「爆薬を搭載したヘリを原発に墜落させたくないのなら、日本中の原発を今すぐに停めて破壊せよ」という脅迫が届けられます。

しかし、無人のはずのヘリに試験飛行を見に来ていた主人公の息子が乗っていることがわかり、犯人との交渉で自衛隊員が飛行中のヘリから子供を救出することになります。

というようなアクション場面が満載の優れたエンタテインメントで、小説発表後20年も経った後ですが、映像化することでその魅力がさらに伝わりやすく、映画化されたのも頷けます。

原発事故の話しや原発の仕組みなどが節々に登場しますが、この小説から16年後には、テロではないものの、本当に原発が水素爆発し、原子炉がメルトダウンするという大きな悲劇に見舞われることになります。

まるで、その時を想像していたかのような深い内容で、おそらく東北震災後に映画化されたのも、そうした原発事故を受けて、単なるエンタメだけでは終わらず、あらためてこの作品が持っている奥深さを表面化したいと考えたのではないかなと思われます。

いろいろと無理のある設定もありましたが、そうしたことを吹き飛ばすような深いリアリティのあるアクション小説と言えるでしょう。

★★★


 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

夏美のホタル (角川文庫) 森沢 明夫

高倉健最後の主演の映画としても有名な「あなたへ」の原作小説など数多くの小説を書かれている作家さんの2010年単行本、2014年文庫版発刊された青春小説です。名前はよく知っていただけに、意外でしたがこの著者の作品を読むのは初めてです。

2016年には廣木隆一監督、有村架純主演で映画も制作されていました。どうも設定がだいぶんと小説と映画では違うようですけど。

プロのカメラマンを目指して芸術大学に通う男性と、その恋人で幼稚園の先生をしている主人公の女性が主人公で、女性の運転するバイクでツーリング中に立ち寄った田舎の酒屋で、年老いた親子と出会います。

その親子や近くに住むまた強面の仏師との交流もあり、夏休みの間、親子の家の離れを借りて住むことになります。

コンクールに出すための写真を撮影したり、川遊びを教えてもらったりと、まるでそこの家の子供になったようなひと夏の経験を過ごします。

そして、やがて夏が終わり、その家から元へ帰りますが、半身が不自由な高齢の子供が先に逝き、そしてその子と一緒に暮らしてきた親の老婆も亡くなります。

ただそれだけの物語ですが、不思議な人と人のつながりや、「生まれてきてありがとう」という親の気持ちなど、いろいろと考えさせられる内容となっています。

短い特に大きな展開も波乱もない地味な小説ですが、著者の思いが詰まった良い小説でした。

★★★


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1247
若者のクルマ離れがあちこちで言われ続けて、もう20年ぐらいは経つでしょうか。

でもね、団塊世代(1947年~1949年生まれの806万人)が、社会人になって、デートするのにクルマが欲しい時代、そして結婚後に子供が生まれて家族でドライブしたい時代、バブルを迎え裕福になって憧れだった高級車を買いまくった時代、それらの約40年間を経てきたのと比べ、今では団塊世代の頃から比べると半分以下の年間120万人の新成人ですから、クルマの販売台数も半減してもそりゃ普通のことで仕方ないのでは?と思うのです。

もちろん実際にはバブル時期(1990年510万台※)と比べても販売台数(2017年430万台※)は半減はしてなく、少なくとも2000年以降、ずっと横ばいが続いていて下降気味とも言えません。
※データ出典:日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車販売協会連合会

若者がクルマ離れしたのではなく、単にクルマを必要とする人口が大きく減ってきたことで、過去最高に売れた時より単に15%程度落ち込んでいるのに過ぎないような気がします。

あ、もちろん、様々な分析で、

・若者の貧困
・趣味の多様化、特にスマホ、ネット、ゲーム
・クルマの維持費の高さ
・公共交通の充実やレンタカー、カーシェアの普及

など、他にも要因はあると知っています。

しかしどれも言い訳的に後付けでとってつけたような理由のような気がします。

例えば、若者の貧困と言っても、都市在住者ほど裕福な人が多いとは思えない地方へ行けば、クルマがないと仕事にも行けないし、生活に不便という人が多く、老若男女ほとんどの人が当たり前にクルマに乗っていて、貧困とクルマの保有はあまり関係がないような気がします。

地方では生活保護を受けていても、「生活に不便」とか「仕事を探す上で必要」とか理由があれば、クルマの保有は認められる場合があります。都市部ではなかなかそうはいきません。

クルマの維持費の高さや、趣味の多様化でクルマを買わない若者は、基本的に大都市在住の若者が言うことで、それはクルマを必要としない生活圏に住み、またそれを前提にした生活スタイルの変化であって、流行に近いものがあると思われます。クルマに限らず流行廃りというのはなんでもあります。

そして若者が地方から都会へどんどん出てくるので、結果的にクルマを持たない若者が増えていくということになっているわけです。

そんな中、次のような記事がありました。

「若者のクルマ離れ」説で見落とされる本質(東洋経済ONLINE)
世界人口増と大都市化によって、クルマそのものというよりクルマを利用することが不便になる側面も出てきている。「若者のクルマ離れ」が言われるようになったのは、既存の価値にとらわれない挑戦する姿を求めていると解釈できるだろう。時代の本質に迫る商品が求められ、そうした商品力やブランド力が問われるのは、所有するにも使うにも同じである。

「既存の価値にとらわれない挑戦する姿を求めている」とか、なにかとんちんかんな文章で、よくわからないというのが本音ですが、私に言わせれば、人口が減少局面に入ってからも、運転免許取得者数は増え続けているのだから、現実的な「クルマ離れ」はあったとしても、少なくとも「運転免許離れ」は起きてはいません。つまりクルマを運転できる人口は増えています。

運転できる人口は増え続けているのに、軽自動車含む乗用車の販売台数が大きくのびていないのは、下記のような原因があると考えます。

若者がもっと都市部以外の地方で学び、そこに残って働いていれば、きっとクルマは生活必需品で、「既存の価値観」とかではなく、普通にクルマに乗っていることでしょう。

都会では、高額な駐車場、出掛けた先での駐車場の少なさ、天下り役人を高給で雇うために上がり続ける保険料や都市高速代、机上の道路計画が引き起こす慢性的な渋滞、都会での狭い道路環境やインフラを無視した使い勝手の悪いクルマなどなど、都会でクルマを使う環境が悪く、若者はもちろん、年配者も子育てが終わればクルマは不要とばかりに手放しているのが現状でしょう。

上記の記事にも悶々と綴られているような、60年代以降のモータリゼーションの懐古趣味にひたっているのではなく、もっと本質的な、クルマを利用するのにふさわしい環境が若者が特に多い都市部にはないことがすべてと言っていいでしょう。

日本の場合、都市部で開催されるモーターショーを見に行くために「公共交通機関を使って来てください」と臆面もなく言う主催者なんて、精進料理しか出さないステーキ専門店みたいな変なことだと、誰も、いや少なくとも主催者は気がついていません。


【関連リンク】
1233 運転免許証取得者は意外にも増えている
1225 交通違反の反則金の行方を知っているか?
1124 国内自動車販売台数や耐用年数推移など
975 
自動車の分類「セグメント」とはなにか?





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プロフィール
HN:
area@リストラ天国
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性別:
男性
職業:
今のところ会社員
趣味:
ドライブ・日帰り温泉
自己紹介:
過去に上場企業の役員とリストラ解雇で就職浪人の経験がある、紆余曲折の人生を歩む、しがないオヤヂです。
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