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1024
先に告白しておくと、台湾や香港へ行ったときに、その上空を飛行したことはありますが、私は未だ沖縄を含む南西諸島に足を踏み入れたことがありません。47都道府県でまだ行ったことがないのは山口県と島根県と沖縄県だけとなっています。

沖縄に対しては、一般の人が持っている程度の関心と興味はあるものの、特になにか感情的にどうとかいうものを持っているわけではありません。

で、行きたいか?って聞かれると、一度も訪れたことがない島根の宍道湖や松江城、山口の秋吉台や関門橋へは行きたいと前から思っていますが、沖縄は距離的に遠いこともあって、どうでもいいやって感じです。

それに関東に住んでいると「沖縄」から連想するのは、戦争、基地、抗議デモがダントツのトップ3で、とても癒しのための旅行や気分転換の観光に訪れたいという気にはなりません。

本当なら豊かな自然、温暖な気候、マリンスポーツ、歴史的遺構の数々、独特な沖縄料理など観光資源やアピールポイントはいくらでもあるに関わらずです。

全国の知事の中では東京都知事以外では一番よくテレビに登場する沖縄県知事ですが、前任者の仲井眞弘多氏もひどかったですが、現職の翁長雄志氏もまた、そのご尊顔は、いつも苦虫を噛み潰したような悪人顔で、「観光客のみなさんいらっしゃい」って顔ではなく、苦悩と怒りを連想させるだけで、それが今の沖縄のシンボルとなっています。

メディアが意図してそういう知事の怒ったような顔ばかりを流しているのかも知れません。

選挙中に支援者に対してはきっとにこやかに笑顔をふりまいているはずでしょう。でもそういう顔はテレビには登場せず、いつも不機嫌そうな顔ばかりなのです。

沖縄を代表し、イメージとなる知事さんがそんなふうで、誰がそんなところへ進んで行きたいと思いますか?

ふと思い出したのが、今から26年前に会社の旅行で行った韓国のソウルです。

ソウルに着いて観光バスに乗ると、韓国人の添乗員が、
「皆さん日本人は今まで韓国にひどいことをしてきたので、韓国ではいっぱい買い物をしていっぱいお金を使ってください。その義務があります。」
「あそこに見える古いお寺は豊臣秀吉の軍が焼き討ちをしたお寺で、日本人は悪いことをいっぱいしました。」
「こちらの銅像は侵略してきた日本軍に徹底抗戦した韓国の英雄の像です。みなさんはよく反省をしてください。」
と。いや冗談ではなく本当にそういう話しばかりを聞かされました。

それまでは韓国に対して偏見も何もありませんでしたが、その添乗員の押しつけがましい被害者意識と反日感情、一方的な敵意むき出しの態度に韓国という国がいっぺんで嫌いになりました。もう二度と行くものか、なにも買うものかと心から誓いました。それが観光客としては普通の感覚ではないでしょうか。

沖縄に対しても、本土の人から見ると同様なことが起き始めているのかも知れません。

つまり、
 「沖縄は被害者、本土の日本人はその加害者」
 「被害者は加害者に対してなんでも要求できる」
 「沖縄はいつも怒っている」

もちろん沖縄の歴史や現実を考えると、日本政府や本土に対する怒りや憤りはある程度理解できます。韓国や中国の人達が日本に対するのと同じような感情を持っていてもなんら不思議ではないでしょう。

でもねぇ、、、

そうして非難の応酬をしていれば、みんなハッピーになるのでしょうか?

被害者意識をますます強めていくことが沖縄にとっていいことなのでしょうか?

沖縄以外に国家や政府に恨み辛みをもっている地方、地域、個人は他にはないのでしょうか?

基地の存在は地政学上、戦略上もっともふさわしいとされてきてその代替は容易ではないでしょう?

それら過去から現在の問題は根が深い事もあり、一朝一夕に片付くことではありません。

せめて沖縄には多くの日本人国内旅行者や外国人旅行者に気持ちよく来てもらい、その観光資源の素晴らしさや、沖縄の伝統文化の奥深さ、そして戦争で傷ついた、虐げられてきた歴史などに触れてもらうことが、いまは大事なのではないかなと思うのですけど。

でも、沖縄の観光業界は曲がり角にきているということです。

「首里城は空っぽ」? 沖縄観光の課題とは(沖縄タイムス)
沖縄公共政策研究所(安里繁信理事長)は2月26日、「観光戦略をどう描くか。沖縄の強みと弱み」と題し、2016年新春特別セミナーを那覇市のタイムスホールで開いた。
 (以下要約)
・スーパーはあるが、その上の専門店やブティックなどがない。
・「日本のあの商品が欲しい、食べたい」と来ているのに沖縄に少ない。
・香港の富裕層がポケットに100万円を入れて沖縄に来ても、欲しいものがなく1円も使わずに帰ると聞いた。彼らが欲しいのは1位が夕張メロン、2位がタラバガニ、3位が(イチゴの)あまおう、4位が神戸牛。日本のトップブランドを消費したい。
・沖縄料理を食べたいと思うが、毎日毎日食べたいとは思わない。
・首里城でも1日1回でいいから、当時のイベントを見せる仕組みをつくれば、滞在時間を延ばし、お金を落としてもらえる。


沖縄は中国や台湾、その他東南アジアの国の人からすれば一番近くて身近な日本です。

日本らしさを求めてやってくる外国人に対して、「ここは沖縄であって東京や大阪ではない」と割り切ってしまうと、沖縄の歴史や文化に詳しくない外国人は戸惑ってしまうでしょう。

つまり沖縄でもお金さえ出せば「タラバガニ」や、「あまおう」が食べられ、東京でいつも「行列ができているラーメン店」が沖縄にもあり、沖縄料理ばかりでなく、「神戸牛ステーキ」や素晴らしい「京懐石料理」がいつでも堪能でき、お土産には有名な「白い恋人」や、富士山や舞子さんの写真が入ったお菓子があるというのでなければ、外国人は喜ばないでしょう。

そしてなにより、沖縄の人、特にそれを代表するトップの人が、観光客に対して笑顔で快く迎いれようとしてくれないと、観光客は増えないでしょう。

日本国内への外国人旅行者の数はここ数年で急増していますが、沖縄に行く日本人、外国人旅行者の数は前年比で伸びてはいるものの、その増加率は他の地域と比べると明らかに鈍化しています。

その原因の相当多くは、本土で毎日のように放送される「知事の不満顔」「抗議デモ」「アメリカ軍基地」によって、誰かが裏で印象操作をおこなっているのではないか?と勘ぐるような場面ばかりです。それにより沖縄の観光業を壊滅に追い込み、地方財政を悪化させ、交渉を有利にもっていこうとする画策にはまりかけていると考えるのはうがった見方でしょうか。

そのような、沖縄悪者論をイメージ作りをしている何者か?の戦略に、まんまとはまってしまっていいのですか?


【関連リンク】
862 最低賃金について
814 日本に外国人観光客を呼ぶ
754 東京オリンピックとこれから高まるビジネスチャンス
706 高齢化社会の行方
578 外国人研修制度という名の移民政策
393 在日米軍基地問題と首相辞任




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1006
今までも繰り返し書いてきていることですが、非正規雇用の割合が全就労者の4割を超えてきたことで、相変わらずマスコミ等の論調では「非正規≒派遣」「若者の非正規が増えている」と言った誤った情報や、なにか悪意さえ感じる意図的な操作、偏向報道がよく見られます。

そうした誤った情報の元で、「派遣が非正規就労増加の元凶」とか「派遣会社が搾取」とか、「高齢者の搾取で若者が正社員になれない」とか「学校卒業しても正社員になれない」といったような、知識を持たない人が歓喜?して記事を読んでくれる刺激的な打ち出し方をしたがります。

まず、非正規社員というのは、一般的にはパートアルバイト、契約社員、派遣社員、嘱託などのことを言いますが、その割合は下記グラフの通りです。


 出典は総務省「労働力調査」

見てわかるとおり、非正規社員(就労)で多いのはパート(48%)、アルバイト(21%)、契約・嘱託(21%)で、これらだけで非正規の90%を占めています。派遣社員は非正規の中ではわずかに6%しかなく非正規の1割にも満ちません。したがって派遣労働が非正規就労を代表するかのような表現は、キャッチーで刺激的ではありますがまったく現実を見てなく、正しくはありません。

パート、アルバイト、契約、嘱託という雇用形態は、雇う側(企業など)との直接雇用が基本です。つまり非正規問題は派遣会社がどうとかという問題ではなく、雇う企業と雇われる人との関係性における問題なのです。

いくら派遣会社を糾弾して、派遣社員の半分を正社員同等にしたとしても非正規全体の3%の改善にしかつながりません。それなら同じ労力を使って、パートやアルバイト、契約社員、嘱託の直接契約のわずか10%を正社員同等にするだけで全体の9%の改善となり、明らかに効果は高くなります。

「しかし派遣は最近急速に増えているから」という間違った情報もよく聞きます。



派遣が増えたのは規制緩和が進んだ2000年代初頭から中盤までで、ここ5年間を見ると11万人(10%増)の増加です。最近非正規で増えているのは、圧倒的にパートで、5年間で126万人(15%増)の増加、契約・嘱託も88万人の増加(27%増)で、派遣と比べると何倍もの人数が増えているのがわかります。非正規の派遣が増えていることを憂慮するのなら、その10倍、非正規のパートや契約・嘱託が増えていることを憂慮すべきです。

次に非正規社員の年齢別推移を見ます。世間でよく言われる「若者の非正規化が増えている!」について検証してみます。



グラフを見ると、若者と言える肌色(24歳以下)と赤(25~34歳)の折れ線グラフは、2000年頃までは急速に増えてきていましたが、この10年間(2004年~2014年)を見ると、横ばいか、やや下がっている傾向にあります。

つまり「若者の非正規社員は横ばいか減ってきている!」というのが正解。ならば若者の最近の貧困化を非正規だからという論評も当たらず、正社員であっても貧困なのであれば、それは物価や、賃金の問題ということになりそうです。

2004年以降も非正規社員数が増え続けている35歳以上(若者と言うにはちょっと無理がある)であれば、「非正規が増えて貧困化が進んでいる!」というのならばまだわかります。

この年代は以前なら結婚して子育て中という夫婦が多かったのですが、晩婚化や結婚しない人の増加など(逆に言うと非正規で収入が少なく結婚できない・しない)という状況がみられ深刻です。

特にこの年代を非正規で過ごすと、その後の中高年になっても正社員になれる可能性は低く、ちまたよく言われている「下流老人」(生活保護水準以下の収入しかない高齢者)へと向かう可能性が高いのです。

同じく非正規社員の年齢別を積み上げグラフにした推移(下記グラフ)をみるとよくわかりますが、若者層15~34歳は微減、中年層35~54歳は微増、55歳以上は急増と3つに分類されます。



統計は自分の都合がよいところだけをうまく使うことで、自己主張を裏付けることによく利用されたりします。「非正規が増えている」というのは事実ですが、それも中身をよく見ることが重要です。

例えば非正規が増える要因として、専業主婦(夫)だった人が、主たる世帯主の収入が増えないことで、家計の補助としてパートやアルバイト勤めに出れば当然非正規の人数が増えます。

また60歳以上の高齢者雇用が企業に義務化されたことで、今まで60歳で定年となり仕事をしなかった人が、60歳以降も嘱託として引き続き勤務するケースがここ数年で一気に増えました。これも非正規を大きく増やす要因と考えられます。

今までは働かなくても親の仕送りだけで過ごせた学生も、最近の学費の高騰と親の収入減少で、アルバイトをして学費や生活費を稼ぎながら学校へ通う人が増えています。それも非正規を増やす一因となっているでしょう。

これらの非正規の上昇は、一家の主たる収入元である世帯主が非正規になるのとは違い、直接「非正規=貧困化」という構図では考えられません。

非正規と貧困化とをひもづけをするならば、生産人口である世帯主の非正規化がどうなっているか、その収入はどう変化したか、そして非正規として多い、パート、アルバイト、契約社員、嘱託の賃金や制度について考えないと非正規問題は解決しないのではないでしょうか。

これらのことから、最初に書いた「非正規≒派遣」「若者の非正規が増えている」というのが根も葉もない戯れ言だということは多くの人に知っておいてもらいたいことです。そのような報道や記事、コラムを見ると、それを書いた人やメディアは意図的であるかどうかはともかく「平気で嘘をつく人(メディア)」と認識しておく必要があります。

2008年暮れに「年越し派遣村」と称して、多くの派遣社員ではないホームレスの人を集めた自称社会運動家がマスメディアに名乗りを上げましたが、彼は自分で盛り上げた「派遣≒悪」のブームが去ったとみるや、さっさと身を引いて、今は新たな流行となってきた「下流老人」をターゲットとした「反貧困」をテーマとしたプロジェクトで話題を作り、多くのメディアに露出しています。

さすがに人のふんどしでうまく相撲を取る名人、流行に敏感で、売名行為にめざとい人です。いずれ時が来れば売れた名前を利用して政治家になるのでしょう。尊敬や共感はできませんが、その身軽で薄っぺらなな生き方にはいつも感心しています。


【関連リンク】
890 非正規問題の真実
804 高齢就業者と非正規雇用
717 非正規から正規雇用への転換策
707 ハローワークは非正規職員のおかげで回っている
697 非正規雇用拡大の元凶が人材派遣だって?




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997
994 自動運転の未来」で、高速道や整備された国道の本線を淡々と走ったり、特定の場所での車庫入れなどの半自動運転技術はすでに普及しつつあるものの、Googleや日産が力を入れて取り組んでいるハンドルのない完全自動運転車の実現は一般道においては難しそうだということを書きました。

私が思うには、完全自動運転は、様々な不確定要素が多すぎる一般道ではなく、まずは鉄道やLRT(次世代型路面電車)から始まるものと理解しています。

って書くと、東京臨海新交通臨海線のゆりかもめや神戸新交通ポートアイランド線、横浜新都市交通金沢シーサイドライン、舞浜リゾートラインディズニーリゾートラインなどで既に無人で走っていると言われそうですが、まだJRを始め大手私鉄の主要な路線や、一番人件費を削減したいはずのローカルの電鉄会社ではほとんど導入されていません。

また札幌地下鉄や東京メトロ、横浜市営地下鉄、名古屋市営地下鉄などでも一部に自動運転が導入されていますが、運転士が乗務し、まれに操作を必要とすることがありますので、まだ完全無人運転とは言えません。

思わぬ事が発生しやすい交差点や、走行中の直前への割り込み、渋滞時の合流などがない鉄道においては、比較的自動運転システムを取り入れやすい環境にあります。少なくともスピードの出し過ぎや停車駅を間違えるというような人為的ミスを犯す確率を考えれば事故を減らせるでしょう。

しかしそれでもなかなか鉄道の全面的な無人自動運転が進みません。

鉄道の自動運転は、自動車のそれとは違い、全体の流れを考え、前後の間隔調整、スピードコントロール、停車時や減速時にショックを減らして緩やかにおこなう、停止線やホームドアに合わせ停車位置にピタリと停めるなどに重きを置いています。

自動車の場合は、不規則な前車に追随して走る、不意な飛び出しがあった場合のパニックブレーキ、前に急に割り込んできたクルマがあった場合の対処、遅い車を追い抜くなど、鉄道とはまったく違う制御が必要です。

それを考えるとクルマの自動運転は鉄道と比べるとずっと難しく、クルマの自動運転が可能なら、なぜ鉄道はもっと先にできないのか、ちょっと不思議でもあります。

理由のひとつには、多くの乗客を乗せて運行する鉄道で、しかも秒単位の過密ダイヤで走らせる場合において、システムの信頼性や、万が一不測のトラブルが起きた時の対応、自動運転設備の巨額のインフラ投資、そして鉄道会社の乗務員組合の問題などがあってのことでしょう。

ただいずれにしても今後新しく作られる鉄道やモノレールなど新交通システムについては無人運転の導入が進むことは間違いありません。一般道路上を他のクルマなどと混在して走る路面電車は、クルマの自動運転と似た点があり、その場その場での状況判断が必要となりますので、こちらの完全自動運転はまだ難しいでしょう。

では自動車、特に路線バス、送迎バス、タクシー、長距離トラック、タウンコミューターなどの自動運転はいつ実現が可能でしょう?

日本では1970年代から継続的に国が推進しているITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)という仕組みに対し多額の国費(=税金)が投じられてきました。

このITSは国土交通省の旗振りで、「交通の輸送効率や快適性の向上に寄与する一連のシステム」のことで、高度ナビゲーションやETC(自動料金徴収システム)、安全運転支援、駐車場案内など様々な公共交通の仕組みに関わっています。将来的には自動運転も視野に入っています。

ただ、この巨額の利権を生む温床となっているITSのせいで、クルマの最先端技術開発とその普及が進まないという弊害も指摘されています。

自動運転化に待ったを掛けている国交省。赤信号での自動ブレーキ認めず(2016年1月6日)
赤信号を明確に判断できる性能持つメーカーが国交省に「赤信号で停止する機能を付けたい」と相談したところ「絶対ダメ」と受けてくれなかったという。なぜ絶大なる事故防止効果を持つ赤信号や一時停止標識での制御を認めないのか? 理由は簡単。国交省が『ITS』(高度道路交通システム)という巨額の投資を必要とするインフラとセットになったシステムを立ち上げたいからに他ならない。
具体的に説明すると、信号などに情報を発信する装置を取り付け、その電波をクルマが受け取り制御するというシステムだ。信号1カ所で2千万円規模の装置を付けるため、巨額の予算必要。天下りポストになる管理団体も作らなければならない。それと同じことをクルマだけで実現されたら困るのだろう。

ま、巨額の税金が投入されるプロジェクトには、官も民も欲の皮がつっぱた人達が数多く群がりますからこういうことになります。

割と自由で先進的なことが好きなアメリカでも完全自動運転の無人カーの可否については様々な意見があるようです。

車の自動運転にドライバー必要か 米で公聴会(NHK)
車の自動運転の実用化に向けたルール作りが進められているアメリカのカリフォルニア州で、運輸当局による初めての公聴会が開かれ、当局側が安全のため車にはドライバーの存在が必要だとする一方、開発を進めるIT企業側は強く反発し、自動運転を巡る意見が大きく対立しています。

それはさておき、IT企業が力を入れる自立型自動走行車と、国や自動車メーカーが力を入れる協調型(インフラと通信システムでネットワークを結ぶ)で綱引きがあるようですが、巨大なインフラ投資が必要となる協調型は一部の大都市圏なら可能としても、真っ先に自動運転を必要とする高齢化した過疎地域にまで普及させるのは困難で、それならまずは自立型に積極的に投資、運用開始をしてもらいたいものです。

まず自立型の半自動運転が実用化されると、例え運転手の技能が未熟であったり、万が一居眠り運転をしたり、突然発作が起きて意識を失っても、1月に起きた悲惨な碓氷峠のバス横転事故のような悲惨なことは防ぐことができます。

そして自立型では難しい渋滞道路の迂回、渋滞路への合流、目的地が満車時の駐車場所案内、道路工事中の回避運転等に関して協調型が積極的にサポートをするような仕組みがふさわしいと思えます。

いずれにしても、国主導のITSにこだわっていると、世界の潮流に乗り遅れ、携帯電話や軽自動車のように世界には通用しない日本独自規格でガラパゴス化していきそうです。

過去にも国内規格や技術にこだわった結果、旧電電公社時代から引き継いで旧NTTが担いでいた高くて遅いISDNや、一瞬にして消えたアナログハイビジョン放送など、役所と利権が絡むとロクでもないことになっていきます。


【1000回まであと☆3】

【関連リンク】
994 自動運転の未来
975 自動車の分類「セグメント」とはなにか?
891 昨年の自動車販売データ
864 衝突安全性テストについて
661 乗用車の平均車齢と平均使用年数




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994
いま世界中の自動車メーカーが躍起になって開発を進めているのが自動運転技術です。確かにこれが実現し、普及に至れば社会が大きく変わることでしょう。

例えば、流通も自動運転トラックが走り回ることで、安いコストで少数ロットでの配送が可能となり、ロジスティックの常識がすっかり変わってしまいます。

公共交通機関のバスも、一番負担の大きな運転手コストが不要となれば、低運賃で本数を増やせ、しかも24時間、時間の制約なく走らせることが可能となります。高齢化による過疎地域においても無人運転ミニバスを使った公共交通が維持できそうです。

そしてなんと言ってもドライバーの不注意で起きる交通事故が激減します。

交通事故の発生による社会的コストの負担は巨大で、事故に遭った被害者や関係者の肉体的、精神的、経済的、時間的な損失はもちろんのこと、事故処理、交通事故規制による渋滞とエネルギーの損失、保険金の増加などなど。事故が減れば、こうした交通事故による社会コストが小さくなると期待できます。

私がもっとも期待しているのがドライバーの運転負担軽減です。自動走行中にドライバーは別の仕事をしたり、テレビを見たり、本を読んだりすることが可能となります。たぶん労働生産性向上にもつながります。

と、まぁ、夢のようなことが起きるかも知れないということですが、その実現にはまだ遠い道のりがあります。

自動運転中のクルマが事故を起こしたときの責任は誰か?とか、故障しない機械はないとか言い出すと、人類はなにも進歩しないことになるので、それらは同時に新たな法制化や飛行機のようにいくつものフェイルセーフで安全性を確保したりすることが当然に必要となっていくでしょう。

安倍総理の発言で東京オリンピックの2020年には自動運転を普及させたいということですが、あと4年でどこまでできるのか、人の命が直接かかっているだけに、中途半端なままの見切り発進だけは困ります。

安倍晋三首相 東京五輪までに「自動運転車」普及 科学技術のフォーラムで

ただし、「自動運転」の意味をもう少し分解すると、一般の人が思い描くのは、無人のタクシーが停まっていて、前で手を挙げるとドアが開き、乗って行く先を告げると、目的地まで行ってくれるような感じでしょうか。あるいは、自宅のガレージにある車に乗り込んで、ナビで目的地を設定もしくは口頭で指示すれば、自動的にそこまで走ってくれるという感じ。

しかし、そのような「完全自動運転」というのは、あと5年やそこらでは難しいようで、いわゆる「半自動運転」というのが現実的なようです。

アメリカの国家道路交通安全局(NHTSA)が自動運転車を定義した内容として、下記のレベルがあります。

 ・レベル0:車の運転に関してコンピュータが介在しない状態
 ・レベル1:自動ブレーキやクルーズコントロールのように部分的にコンピュータが介在する状態
 ・レベル2:操舵(ハンドル機能)が複合的に加わった状態
 ・レベル3:半自動運転。条件次第でドライバーは監視義務から開放可
 ・レベル4:完全自動運転

現在では一部の車について、レベル2までは実用化されています。

「完全自動運転」のなにが一番難しいか。例えば渋滞している本線へ、支線から合流するシーンを考えてみてください。

人は渋滞し混雑した車と車のあいだに無理に頭を突っ込んでいき、本線へ割り込むことを普通におこないますが、自動運転にはそのような相手が譲ってくれることを想定しての割り込みができません。クルマが連なっていれば、いつまでも合流ができず何時間でもジッと待っているのが自動運転なのです。

世の中のクルマがすべて自動運転になり、しかも車同士がお互いに通信し合い、合流地点では交互に譲り合うようなシステム的な仕組みができなければこの問題は解決できないでしょう。

また、目的地としている場所の駐車場が満車で長い駐車待ちができていると、人なら、その状況を見て、駐車待ちに並ぶのか、別の駐車場を探すのか、用事のある人だけを目的地付近で降ろしてクルマはいったん帰るとか、すぐに次の手を考えますが、自動運転にはその判断ができません。目的地近くまでは行くものの、その目的地に入れない状況で混乱が起きてしまうでしょう。

その他、道路工事中の道で、警備員が旗を振ってクルマを止めたり、行けと指示したりするのに従うのも現在の自動運転車には無理な課題でしょう。同様に警察官が交通整理をしている場合でも、その判断は自動運転では理解不能です。

つまり、自動運転では可能なことと、不可能なことが場所やタイミングであるということは避けられません。

なので2020年に実用化という自動運転は、

1)目的地までの限られた高速道路や自動車専用道など一定区間において、ハンドルやブレーキ操作が不要になる
2)渋滞してのろのろ運転の場合、前車にくっついてSTOP&GOを自動でおこなってくれる
3)決まった場所への縦列駐車を自動化、あるいは駐車場から無人のまま決まった場所まで移動

ってところでしょうか。

ということは、当然運転免許証を持ったドライバーは必要で、先に書いたような無人タクシーが送り迎えしてくれるような自動運転車ではないということです。完全自動運転ではなく、半自動運転ってところです。

それだけでもドライバーの負担は大きく軽減されますし、人が不注意で起こす事故も大幅に減らすことができるでしょう。そして2)と3)の機能は、すでに一部のクルマには装着されています。

残る1)が実現でき、法整備もなされれば高速道路や国道と言った比較的よく整備された道、しかもずっと本線を走る限り、長距離移動中のほとんどを自動運転で行けるということになりそうです。長距離高速バスや長距離トラック輸送、里帰りのための長距離運転等には威力を発揮しそうです。

まとめると、現在実用が可能な自動運転は、結局は、免許証をもったドライバーが必要で、出発時、そして目的地の到着時、合流や道路事情に応じてその都度手動運転を行わなければならず、そしてその技術の一部はすでに実用域に入っているので、5年先の2020年までには、それらの精度を高めていけばいいってことでしょう。

一方、無人タクシーのようなドライバー不要の自動運転車については、道路や交通事情の特殊性を考えると、ある限定されたエリア(広大な工場敷地内とかアミューズメントパーク内とか)としては可能性があるでしょうが、イレギュラーな要素が複雑に絡み合う一般道での普及はここ十数年のあいだには実用化されるのは難しいでしょう。

それでも高齢者ドライバーが増えていく中で、安全性機能をもった半自動運転車が数多く出てくることは非常にいいことです。あとはそれが一部の特権階級の人向けの高級車ではなく、それこそ軽自動車にも安く搭載して、普及に弾みを付けてもらいたいものです。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

すでにGoogleは完全自動運転試作車(ドライバーレスカー)をシアトルで走らせていますが、市販に向けた現実的な話しでは、技術的にスバルのアイサイトVer.3がそれにもっとも近いと思われます。ただアイサイトには信号が赤なら自動的に停まるという機能は付いていません。

スバル アイサイトVer.3
 プリクラッシュブレーキ&プリクラッシュブレーキアシスト
  前方車両との速度差が約50km/h以下なら衝突回避
 全車速追従機能付クルーズコントロール
  0km/h~100km/hの車速域で先行車に追従走行
  先行車が停止するとブレーキ制御で減速、停止
 車線逸脱抑制
  約65km/h以上で走行している場合、車線からはみ出しそうになるとステアリング操作のアシストを行い、車線からの逸脱を抑制

トヨタ インテリジェントパーキングアシスト2
 超音波センサーとカメラを使って駐車空間を検知し、目標駐車位置を自動設定。
 スイッチを押すだけで、適切な後退開始位置への誘導と後退駐車のためのステアリング操作をアシスト

街に溶け込めるか グーグル自動運転最新版、ITの聖地へ(日本経済新聞)

アウディ、次期型「A8」で自動運転技術を初採用すると明言(Autoblog)

日産の自動運転車も乗ってみた! 歩行者や信号検知し一般道スイスイ トヨタと比べると…(産経ニュース)

トヨタの自動運転、まだ乗り越えていない壁(東洋経済オンライン)

完全自動運転の実現困難に(Yahoo!ニュース)
厳密に言えば自動運転を禁止しているのでない。「走らせるときは必ず運転免許証を持っている人が運転席に座ること」を義務づけようとしている

自動運転車、危ないので手動に年間3,000回近くも切り替え!(GIZMODO)

テスラとスバルのアイサイトは何が違うのか 完全自動運転を見据えた最新鋭技術の完成度(東洋経済オンライン)


【1000回まであと☆6】

【関連リンク】
975 自動車の分類「セグメント」とはなにか?
891 昨年の自動車販売データ
864 衝突安全性テストについて
661 乗用車の平均車齢と平均使用年数
640 クルマで行く京都観光お勧めコース その1



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派遣社員はほとんどいない「年越し派遣村」とか、ネットからブラック企業の存在が騒がれ出したら「ブラック企業大賞」などが生まれたりと、旬のネタをうまく利用して金儲けや売名行為に走る人や団体がありますが、主催者の多くはおそらく使命感や清廉?な気持ちから「社会のため」「正義を守る」という想いや大義名分があるのでしょうから文句は言いません(棒)。

ブラック企業大賞・セブン「収益構造に歪み」「メディアが取り上げない」実行委が指摘(弁護士ドットコム)


一時期ブラック企業の代表みたく言われていたワタミの場合は、メディアに対してそれほど広告出稿もなく、ニュースとして大きく取り上げてもマスメディアの収入に影響することもなかったでしょうけど、さすがに今回大賞を受賞したセブンイレブンは、広告出稿量で言えば、トヨタやソニーなみとまではいかないまでも、その次の規模であることは確実で、同社の広告をテレビやネットで見ない日がないぐらい巨大なものです。

つまりそのような大型広告主(クライアント)の悪評をメディアで取り上げることは、マスコミ企業にとっては広告収入の激減に直面する可能性があり、大手マスコミは「大人の事情」を勘案し、この手のニュースはよほどのことでない限り取り上げられません。

広告主の意向や評判がメディアのニュースや記事の内容に反映することは、資本主義社会の中では過去も現在も普通に行われていることで、別に今更って気もします。

NHKスペシャルでやっていた「新・映像の世紀 第2集 グレートファミリー 新たな支配者」では、石油王のロックフェラー、金融業のモルガン、火薬などの死の商人デュポン、自動車のフォードなど、その戦略は国家権力にうまく入り込み、ライバルを叩きのめし、金の力でマスコミを味方に付けて繁栄を独り占めしていくストーリーが描かれています。


日本でも前述のトヨタやホンダ、パナソニック、ソニー、花王など巨大な広告出稿クライアントに対するマスコミの扱いは別格で、下手を打てばマスコミ本体だけではなく代理店や制作下請け会社など影響が大きいので、そうしたクライアントの不祥事や事件などの扱いには極めて慎重です。

例えば先月事業終了が案内されたNTTドコモのグループのNOTTV関連ニュースは、累積赤字が996億円と相当な巨額にもかかわらず、大手マスコミはどこも報道しませんでした。大口のクライアントに配慮しているとしか考えられません。

破綻した「NOTTV」の見せた電波行政の深い闇(JB Press)


先の弁護士ドットコムの記事でも、「メディアへの影響力から週刊誌などは(大賞の受賞を)取り上げないのではないかと指摘」と書かれていますが、この大賞が広告費をほとんど使っていない企業や団体でない限りは、今後もそうしたメディアの影響による差別的自主規制は働くでしょう。

ちなみに世界の中で広告宣伝費の多いのは、下記の通りです。当然メディアに対して大きな力を有しているということです。

1位 プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)
2位 ユニリーバ
3位 ロレアル
4位 トヨタ
5位 ゼネラルモーターズ
6位 コカ・コーラ
7位 ネスレ
8位 フォルクスワーゲン
9位 マクドナルド
10位 ペプシコ
出典:トップ100グローバル・マーケターズ2013

日本の上場企業だけの広告宣伝費のランキング(2014年5月期~2015年4月期)では、

1位 ソニー
2位 トヨタ
3位 日産
4位 イオン
5位 セブン&アイ ホールディングス
6位 ブリヂストン
7位 マツダ
8位 武田薬品工業
9位 NTT
9位 三菱自動車
出典:東洋経済データ事業局


で、セブンイレブン擁するセブン&アイホールディングスは堂々4位、1年間で1,656億円もの宣伝広告費を使っています。よく見掛けるホンダや花王、マクドナルド、P&G、NTTドコモ、パナソニックあたりが上位に入ってこないのはちょっと謎ですが。

 ◇ ◇ ◇

さて、広告費の出稿量と企業のブラック度はまったく関係はありませんが、そうしたブラック企業で働くと、心の病に罹ってしまう可能性が高くなるというのが一般的な風潮です。

ちなみに下記の新聞社説によると2014年度で心の病(うつ病など)を発症して労災申請した人の数はと言うと1,456人、認定されたのは497人とのことです。

働く人と心の病 企業の意識を変えよう(毎日新聞)

年間(申請)で1,456人と聞いて「多い」と感じるか「少ない」と感じるかは人それぞれの環境や経験によって違うと思いますが、私は「一桁少ない?」って思いました。

もっともこの1,456名は「心の病+労災申請」した数であって、単に「心の病を発症」や「心の病+休職または退職」などは含まれていません。そうしたことから1桁少ないという感触をもったのだと思います。

国家公務員と地方公務員の合計は約345万人ですが、その公務員でうつによる長期休職者は4万名とされています(人事院及び地方公務員安全衛生推進協議会調べ)。率にすれば全体の1.2%になります。

そのうつ病の原因が業務と直接的に関係し明らかに「労災」であるかどうかは別として、日本の総労働者数5700万人の1%がうつに罹っている可能性があり、その数は57万人になりますので、上記の労災申請者数1,456名との差があまりにも違いすぎています。

5700万人が生涯40年間働くと仮定し、40年のあいだの1年に1%の人がうつを発症したと仮定すれば、年間14,250名となります。うつを発症した人の中のおよそ10人に1人が労災を申請したと考えると、上記の数字が適当だということになります。

私の感覚的にもたぶんそんな感じでしょう。

公務員はもちろん、先のメディアへの影響力を持っている大手企業は、それらの心の病に対する対処が比較的できている方で、不幸にも心の病に罹患してもその処置や保障が十分受けられ、復帰する場合も再発しないように最善の注意を払われて別の業務を任されたりします。

例えば公務員(国家、地方等で多少の違いはあるようですが)の場合は、長期休職しても医者の診断書があれば最初の90日間!は有給で休むことができ、さらに長引く場合でも1年間は給料の80%!!が支払われることが多いそうです。

時々公務員で病欠を理由に長期休職し、その期間に海外へ遊びに行ったり、資格をとるために勉強をしたりしているのがばれたりすることがありますが、少なくとも2年半ぐらいは食うに困らないだけの、なんらかの給料や保障が与えられています。公務員とやはり好待遇の大企業は優遇されていると言われるわけです。

しかし一般的な中小企業、零細企業では、そうした官公庁や大企業なみの余裕はなく、多くの場合は、病欠で有給休暇を全部使ってしまったらあとは無給扱い、さらには露骨に退職を強要されたり、復帰するにもまともな仕事はなく、結局は追い出されてしまうというのが実体ではないでしょうか。

そうしたことを考えると、いかに「寄らば大樹の陰」が就職活動において一番重要なことかがわかってくるというものです。


【関連リンク】
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