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1080
政府が進める「女性が活躍する社会の創出」と言いつつも、なかなか社会で活躍しにくいであろう専業主婦(無業の妻)の数は687万人に登ります。

2015年のデータでは、夫婦のどちらか、あるいは夫婦ともに勤労所得がある世帯数は合わせて1899万なので、その中の36%が専業主婦世帯ということになります。ちなみに1990年には専業主婦世帯が65%(全1741万世帯中、専業主婦世帯は897万世帯)を占めていました。

共働き世帯がこの30年間でグングンと伸ばし、専業主婦世帯を1990年前半に逆転しました。それ以降、その差は開くばかりで、専業主婦が減り、女性の就業化、社会進出が進んできていることは確かなようです。

ただしそのことは女性の社会進出政策や各種サポートが効いてきたのか、それとも単に不況が長く続き、公務員や一部の大企業の会社員を除き、多くの男性の年収が下がってしまい、共稼ぎをしないと生活が苦しいからなのかはまだ判然としません。

専業主婦世帯と共働き世帯推移

データ出典:厚生労働省「厚生労働白書」、内閣府「男女共同参画白書」(いずれも平成26年版)

今回はその専業主婦の話しではなく、専業主夫の話しです。

専業主夫、つまり妻がメインに働いて、夫が育児や介護や家事をおこなうというパターン。現在、妻に扶養されている夫の数は約11万人と言われています。この11万人という数字は「年金の第3号被保険者の数で、妻の扶養に入っている男性数です。

もちろんその11万人に中には、専業主夫ではなく、夫が病気療養中だったり、学生だったり、失業中で無職だったりで、専業主夫として主たる家事や育児をしている人ばかりではないでしょうけど、その数は毎年少しずつ増えてきているようです。

確かに夫婦が共に働いていると、妻のほうが年収が高いケースがあっても全然不思議ではありません。

その中でどちらかが親の介護や育児をする必要がある場合、プライドや適性は別にして、収入がよい妻が働き、夫が家庭に入るという選択もあるでしょう。

ただ社会はまだそのようなパターンを認知していなくて、若い男性が平日の昼間に子供を連れて歩いていると、不審者と間違われたり、買い物の帰りに公園のベンチで休憩しているだけで、「あの男性、平日の昼間から住宅街をブラブラしていて気味悪い」と世間の目は見てしまいます。

古代から、「男は外に出て食べ物や収入を得て、女性は子供を育て家事をこなす」という風習や文化はそう簡単には変わらないと思いますが、合理的な考えに立てば、上述のように男女に関係なく、収入が多い方がさらにそれを伸ばす努力をして、その配偶者はそれに協力するのは自然なことです。

政府の男女共同参画推進本部は以前「社会のあらゆる分野において2020年までに指導的地位に女性が占める割合が30%程度になるよう期待する」と目標を決めましたが、その目標期限にまだ4年あるとはいえ、達成はかなり困難な状態です。

企業の女性管理職比率、6.6% 政府目標遠く(日本経済新聞)

本気で管理職や、議員などリーダー的役割と責任をもつ女性を3割以上にしようとするなら、同時にそれを支える専業主夫も3割にする覚悟が必要です。現在の世帯数からすると、専業主夫世帯はわずか0.6%でしかありません。

また専業主夫と専業主婦は現在11万人対687万人ですから、夫婦の片方だけが働く専業世帯の中に占める専業主夫は1.6%だけです。せめてそれを30%に増やすことができれば、安心して仕事に邁進できる女性が増え、女性の管理職や政治家が3割を超えるのではないでしょうか。

それなくして、女性の管理職を!といくら叫んでも、それでなくても男性にはできない出産のハンデを背負っているだけに、公平な競争にはなりにくいでしょう。

おそらく専業主夫になりたいっていう男子も今時は多くいると思われるので、キャリア重視女子と家事得意男子とを結びつける婚活イベントを政府主導でやるべきかも知れません。

花嫁修業と言われてきた女子校や女子短期大学も男性に開放し、小学校から男性に裁縫、料理はもちろん、育児、介護、栄養学などを学ばせていく必要があるのではないでしょうか。昭和生まれがすべて引退しない限り、できっこない、無理だとは思いますが。


【関連リンク】
1035 最近の恋愛、結婚事情
724 離婚の多さと結婚という形式
720 そして次男坊は希少価値を持つ
529 それでもしたいか結婚
457 未婚+親との同居が増えてきている



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1076
電通の若い社員が過労を苦に自殺した事件は、当初は「また2008年のワタミと同様のことが起きた」という一過性の話しですぐに収束するかと思われていました。

しかしその後の電通の対応のまずさ、前年にも同様の自殺が発生していたこと、36協定破りで労基署から再三の勧告がおこなわれていたことなどとともに、亡くなったのが「東大卒の美人」ということで、まずは電通になにもしがらみがないネット上で電通への攻撃が始まり、さらに元電通マンや過去の悪例などが掘り返され、高度成長期やバブル時代にはもてはやされていた「鬼十則」なども登場するに至って大炎上していくことになります。

電通にしてみれば、不祥事が起きるといつものように広告利権で持ちつ持たれつの関係の大手マスコミをうまく押さえてしまい、懇意にしている政治家や、ジャーナリスト、評論家などをうまく丸め込んでしまえば、こうした話しはすぐに沈静化すると踏んでいたでしょう。

ワタミの過労自殺事件はネットにおいてはたいへん激しい攻撃が加えられましたが、ワタミからも大きな広告をもらっている大手マスコミは裁判結果を淡々と伝えるぐらいでお茶を濁し、やがてすぐに沈静化しました。

マスコミを牛耳り、またオリンピックなど国や自治体の巨大なプロジェクトやPR事業を仕切っている電通に限って、正面切って難癖付けたり逆らう役人もマスコミもないだろうと思っていたはずです。

しかし今回ばかりはその思惑が外れ、「働き方改革」を重点政策にあげ、女性の雇用を増やしたい政府と国がこの機会をとらえ、違法残業撲滅の見せしめにするため、厚生労働省の過重労働撲滅特別対策班」(通称かとく)が動くことで、大きく流れが変わります。

【電通に強制捜査】安倍晋三首相「政府としても『働き方』見直す」(産経新聞)
安倍晋三首相は7日の政府与党連絡会議で、女性新入社員の過労自殺に絡む電通への強制捜査を受け、「本社のみならず下請けの受け入れ環境なども含めて総合的に働き方をよく見直して、二度とこういう事件がおきないように政府としても慎重な対応をすべきだ」と述べた。

そうなると電通とは巨額広告費で結びつき、ツーカーの仲である大手マスメディアも、この不祥事を無視をするわけにいかず、違法残業問題や自殺した女性に対するパワハラ発言などと報道が拡大していくことになりました。特に広告とは縁のないNHKが、他の民放各局と比較してその頻度が圧倒しているのも特徴的です。

一方で、大半の現役の電通社員にとっては、そうした会社風土を知った上で入社し、好きで仕事をやっているのに、いまさら仕事を減らせ、残業するなと言われても、、、という気持ちもわかります。

「ハードだけど、好きだからやっている」「就業管理、厳しくなった」長時間労働で批判集まる電通、社員の本音は…(産経新聞)
「CM撮影などは良い作品をつくるのが最優先で、時間の調整のしようがない。仕事量や労働時間はハードだと思うが、多くの社員は好きだからやっている。文句を言う人はあまりいない」と話す。

リクルートやアクセンチュア、電通などは、終身雇用することには関心がなく、多くの中途退職者を出して、その退職者が新たな事業を起業をするケースが多いように感じます。それだけにそれらの会社に好んで入社する人には強いバイタリティと強い独立心を感じます。

そのような意味では入社してからしばらくは丁稚奉公したつもりでがむしゃらに働き、そして人脈ができ、仕事に自信がついた時点で卒業していく、「元リク」や「元電通マン」の称号を得て、自分で新たな事業をスタートさせるというのが多いパターンです。現に有象無象の広告PR会社やPR制作会社には、元電通マンが幅を利かせています。

電通もそうした仕事が好きで、耐性が強い人ばかりが集まり採用できていた時代は良かったのですが、電通ほどの巨大な企業になると様々な人が集まってきて当然です。

原発や自動車のような工業機械も、精密な電子部品も、必ず弱い部分から壊れていきます。人だって個々人の弱い箇所から壊れていきます。電通の社風にあった社員だけを採ったつもりでも、その中には肉体的、精神的に強弱は当然あります。

そして伝統的と言える過重労働に対して耐性がない人から順番に壊れていくことになります。

壊れたら、あるいは壊れると思ったら、普通は自ら退職をするというのが一般的なのでしょうけど、真面目で何事にも熱心な人ほど「できないのは自分が悪い」という思い込みが先に立ち、自らを追い詰めていくことになります。

他の同僚達はそれに耐えて平気でいるのに、自分ができないのは自分が悪いのだと。一種の集団催眠か信仰のようなのかも知れません。怖いですねぇ。

またこうした心理状態に陥る仕組みは、表面上しか見ていない外部の人にはまず理解ができないことだと思います。それだけに窮地に陥った人の発見が遅れてしまいます。

「死ぬぐらいならさっさと辞めればいい」と、まず誰でも思いますが、いじめを苦にして中高生が自殺してしまうのと同様に本人にとっては辞める、逃げるという選択肢はなく、あるいは封印してしまい、そして神経的にまいって最悪の選択をしてしまいます。そして周囲はそうした最悪の事態が起きて初めて事の重大性に気がつきます。

すでに一部ではおこなわれているかも知れませんが、小・中学校の義務教育のあいだに、お金の話し、仕事(働くこと)の話し、政治の話し、差別やいじめの話しの他、自分の命の守り方の教育もおこなうのが良さそうです。どれも人生において大切なことで、しかも家庭で学ぶという機会が減ってきています。

それには、未だに昭和時代のイメージしかない頭コチコチの教育委員会のお偉方や、学校の中でしか働いたことがなく、社会の変化やうねりを理解していない教頭や校長では、前例主義と自己保身ばかりでなにも進まないのは明かです。

既存の教員だけでは世の中の変化に合わせ、新たなことをしていく能力も時間もないでしょうから、せっかく社会の財産とも言える引退した高齢者(しかも社会の様々な仕事を経験してきた)が全国に余るほど多くいるのですから、そうした人達をうまく利用(ボランティアで小学校補助教員に)することで、教育改革は進んでいくのではないかなと思った次第です。

これ以上、若い人の自殺というニュースは聞きたくないものです。


【関連リンク】
919 春は自殺者が多いという話し
830 宅配ビジネスのラストワンマイル
812 今こそワークシェアリングを根付かせるチャンス(かも)
575 自殺者数と失業者数の相関関係
338 自殺者数が年間3万名を超えている意味



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1073
先般、世界経済フォーラム(WEF)が各国の男女格差(ジェンダーギャップ)報告書を出しました。高度成長期には政治は三流だけど経済は一流などとおだてられていましたが、それもとっくに怪しい状況で、男女格差に至っては日本はずっと昔から世界の三流国と言っていいのかも知れません。

【世界最低レベル】日本の男女格差は一体いつ解消されるのか 女性が働きやすい企業を増やさなければ変わらない(BLOGOS)
世界経済フォーラム(WEF)が10月26日に発表した各国の男女格差(ジェンダーギャップ)報告書
「経済活動への参加と機会」「政治への参加」「教育」「健康と生存率」の4分野の計14の項目で、男女平等の度合いを指数化して順位を決める。今回の111位はG7先進諸国の中ではもちろん最低レベル。日本と近い順位の国を見ると、エチオピア(109位)、ネパール(110位)といった発展途上国が並ぶ。同じ東アジア諸国と比較すると、韓国(116位)よりは上ではあるが、中国(99位)よりは下。

誰が悪いとかではなく、男女格差を許して放任してきた社会構造、文化、教育などが長く続いてきたからであることは明らかです。世界を見回すと男女格差や、貴族などの特権階級の世襲など、様々な格差が存在していましたし、現在でもまだ残っている国もたくさんあります。

しかし世界が猛烈なスピードで変わりつつある中で、男女格差に至ってはグローバルスタンダードと比較すると遅々として改善されていないことが、国際機関に名指しで指摘をされないと理解できないという状況になっています。

今でも政治家やリーダーが女性だと、それだけで注目されたり、オジサン方の「お手並み拝見」という見下したようなスタンスが歴然と支配しています。

って言う、そういう私も長く昭和時代に生きたオヤジなので、そういう感覚はわからなくもありません。

でも仕事柄、働く女性達と一緒に仕事をする機会が多く、また上司や同僚に女性が何人もいたので、仕事で女性だからという偏見をもったことなどなく、特に意識をしたことはありません。

ただ今の団塊世代ぐらいまでは、やはり女性は結婚したら家庭に入ってというのが常識で、そうしてきた人に社会において女性の活躍をサポートすることを求めても無理がありそうです。頭ではわかっていても、自分の常識にはないことなのです。

幸い日本でも大きな力を持ってきた団塊世代が次々と現場から引退し、男女平等、女性総合職時代の人達が企業の中で力を持ってきていますので、これからは一気に変わっていく可能性があります。

あとは女性側が、「男が働いて妻と子を養ってくれる」みたいな専業主婦の幻想を捨ててくれることが必要でしょう。

ソニー生命の調査では、3人に1人の女性に専業主婦の願望があり、仕事をして管理職になりたいと思う女性は2割に満たないということでした。これは今回の結果だけではなく毎年似たような結果となっているので、本音なのだろうなと思います。

女性の活躍に関する調査 2016(ソニー生命)

それでも専業主婦願望が3割というのは20年前からすれば大きく減ってきていると思います。

あとは、社会、特に企業や役所が男女の隔てなく女性にもっと重要な仕事を任せていくようになることですが、やはり女性には出産や育児と言ったハンデがつきまといますので、その点を考慮した社会の仕組みや、子供の頃から男性が家事や介護、育児を平等に担っていくことを身につけさせる教育が必要でしょう。

女性が働きに出るために保育園の充実などもそのひとつですが、欧州などでは当たり前になっている夫が長い育休をとって、育児を担うようなことも考えないといけません。

日本の社会で、男性が育児をするというのはまだまだ珍しいのでしょうけど、今の20代の人達はあまり抵抗もないようなので、それが会社や役所の中での評価で不利にならない、男性も育児や家事をするのが当たり前という理解が進むことが求められます。

個人的なことを書くと、前述の通り、昭和人間で、自分は外で働いて、妻は家で育児を中心に家事全般を担うという生活を長く送ってきましたが、三人目の子供が生まれた頃から妻がパートに出るようになり、自分も少ないながらも育児をするようになってから、「育児というのはなんと楽しいものなんだ!」と初めて気がつきました。

もちろん育児は楽しいことばかりではなく、たいへんなことも多いですが、仕事で嫌なことをすることを考えると全然気にならないぐらいのことです。なので男だからと言って育児を放棄しちゃうのは絶対に損です。

育児のなにが楽しいかと言うと、育児は自分のDNAを持った人間をゼロから独り立ちするまで、どういう人間を作っていくかという数十年間の大きなプロジェクトだと見ることができます。

その達成感や充実感は仕事の巨大プロジェクトでも得られないほど大きなものがあります。しかも嫌なクライアントにペコペコしたり会社の利益を考えたりする必要はありません。

自分の思うように育ってくれるとは限りませんし、反抗することもあります。でもそれがその中にいると愛おしくて楽しいのです。

「リング」などで有名な小説家の鈴木光司氏は、育児や主夫として有名です。今から考えると、本当に羨ましい生活をされていると思います。私と同い年ですので、生まれ育ってきた環境は私と同じだと思いますが、育児に関しては大きく進んだ考えの方です。

鈴木光司さん “文壇最強”子育てパパの、実践から生まれた勉強法

男女格差から育児の話しへとちょっと脱線してしまいましたが、いずれにしても男性が育児に関わり、女性が男性と平等に社会に出ていられる環境を整えていくことが、女性の社会での活躍が一層進むのではないでしょうか。


【関連リンク】
1055 働き方と社会構造
1035 最近の恋愛、結婚事情
1009 兼業禁止規程はいつ禁止されるか
787 世帯内単身者の増加が引き起こすかも知れない社会問題
724 離婚の多さと結婚という形式




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1069
今回は国交省が出している「平成27年度住宅経済関連データ」から、住宅事情や空き家問題について見てみます。

平成27年度 住宅経済関連データ - 国土交通省

まずは高度成長期1968年から5年ごとの総世帯数と住宅総戸数、持ち家率をグラフにしました。



人口減少に転じた後も、総世帯数がずっと伸び続けているのは、核家族化や単身での居住が進み、1世帯あたりの人数が徐々に減っていることによります。特に子供が就職や結婚で家を出て、高齢の親だけが住む世帯がここにきて急速に増えているようです。

ざっくり言えば住宅総数-総世帯数が広義で言う空き家数に近いと思われます。もちろんその中には別荘や事務所として使っていたりして空き家とは言えなかったり、複数世帯が1つの住居に住んでいるケースも多くありますので空き家数そのものではありません。

ただ住宅総数-総世帯数が近年かなり拡がっているのが実質の空き家が増えているという実感と重なります。

不景気が続き、マイカーや高級家電品など、所有する価値観は薄れつつあると思っていましたが、持ち家比率は1980年代前半から1990年代前半までいったんは下落してましたが、その後バルブ崩壊以降、緩やかではあるものの、ずっと上昇しているのは興味深いところです。日本人の持ち家神話はまだまだ健在ということでしょうか。

  ◇  ◇  ◇

次に社会問題化しつつある空き家の推移です。

一般的に言う「空き家」とは、居住者がいない「狭義の空き家」と、その狭義の空き家を含み、その他別荘や建築中の家など、本来の空き家ではないけれど普段は誰も居住していない住宅を含む「広義の空き家」の2種類があります。

下記のグラフは、水色が狭義の空き家、黄色が広義の空き家(居住世帯なしの住宅)で表し、折れ線グラフは広義の空き家率で示しています。



平成25年(2013年)の空き家率は14.1%で、5年前より0.2%上昇していて、20年後の平成45年(2033年)には空き家率は30%を超えるという予測(出典:野村総合研究所)が出されています。ちなみに純粋な狭義の空き家だけだと2013年は13.5%となります。

都市部にある空き家は持ち主次第で若者のシェアハウス、旅行客不足を補うための民泊、高齢者のグループホーム、保育園など活用の道がありますが、地方や交通の便が悪い郊外の住宅の空き家は今後も増え続けていくのでしょう。

空き家対策と言うと、崩れそうな古家をどうするか、宅地優遇の固定資産税、空き家活用支援などが言われますが、それらはどれもお金持ち(資産持ち)優遇策に他ならず、そうしたところに税金を投入するぐらいなら、入居するのに何年もかかる特別養護老人ホームの拡充など他にもっと使うべきところがありそうです。

  ◇  ◇  ◇

次は住宅リフォームについてです。一見すると新聞のチラシやテレビでのリフォーム番組の影響、高齢化世帯の増加によるバリアフリー化需要もあり、すごく活況を浴びているかのような錯覚を覚えますが、矢野経済研究所の調査報告では、2015年は前年比で微減、その後も横ばいが続くだろうという予測です。

国土交通省の「住宅市場動向調査」(リフォーム実施者の複数回答)では、リフォームの内容として多い順番に、

 1)住宅内の設備の改善、変更(49.4%)
 2)内装の模様替え(43.1%)
 3)住宅街の改善、変更(32.7%)
 4)冷暖房設備等の変更(20.1%)
 5)高齢者等に配慮した設備(11.5%)
 6)壁の位置変更など間取りの変更(11.2%)
 7)住宅の構造に関する改善、変更(8.6%)

となっています。5番目の「高齢者等に配慮した設備」がもっと上位にくるのかと思っていましたが意外でした。

しかし今はまだ元気な人が多い団塊世代が、後期高齢者になっていく今後10年間でそうしたリフォームが急拡大していきそうな予感がしますが、消費税増税前の駆け込みや、リフォーム補助制度などとの兼ね合いもありそうです。

またリフォーム屋さんにとっては、どこの業者もベテランの職人さんが高齢化してしまい、人不足で若い人も集められず、どこも工事を行う人材不足で苦慮していると聞きます。

今の高齢者も二極化していて、お金持ちはリフォームするぐらいなら新しく建て替えするか、タワーマンションにでも引っ越してしまい、そうしたまとまったお金がない高齢者世帯が、少額でできるリフォームをするのではないでしょうか。

高齢者にお金持ちが多いとすると、新築や再建築が増えてくるはずなので、「新築・再建築戸数推移」も調べてみました。



持ち家の建て替えだけでなく、賃貸用住宅など含めての新築と建て替え戸数の推移ですが、この20年間を見る限りでは新築戸数と、その中に含まれる再建築戸数とも減少傾向にあるようです。

20年前の1994年には新築戸数が1561千戸、そのうち再建築戸数は389千戸ありましたが、2014年はそれぞれ880千戸(1994年比56%)、80千戸(同21%)とそれぞれ大きく減らし、中でも再建築戸数は1994年の2割にまで大きく減少しています。

新築住宅の中に占める再建率も21.7%からわずか9.1%まで下がってきています。これは以前は30年と言われていた日本の住宅の耐用年数が伸びてきたことが影響していると思われます。確かに戦後まもなく建てられた住宅は柱も細く耐震性もありませんでしたが、1981年に改正された新耐震基準の影響もあり、80年代以降に建てられた住宅はそれまでのものと比べると頑丈そうです。

テレビのビフォー・アフターは割りと好きで時々録画しておいて見ています。ただあれはテレビ的に絵になり、建築士の腕前が試される派手なリフォームが多く、古民家を基礎からやり直したりして、これじゃ建て替えた方が安くつきそうと思うものが少なくありません。

費用も(デザイン料含まず)数千万円用意しないと見違えるほどの十分なリフォームにはならず、安い住宅メーカーなら十分に新築できそうです。

しかしあの番組が、再建築せず、リフォームでなんとか取り繕う提案を日本に広めた功績は大きいと思います。

一般的に住宅メーカーはもちろん、工務店はリフォームよりもゼロから新築するほうが楽で、実入りも良さそうですから、施主がリフォームできるってことを知らなければ、業者の言うままに新築(再建築)するのが今までの通例だったのでしょう。

日本の住宅(都市部や都市郊外の建て売り一戸建て住宅)はせいぜい30~40年しか持たないというのは、木造住宅が多いのと、地震が多く、また湿気が多い環境のせいでもありますが、団塊世代が競って持ち家を購入した1980年代から30数年が過ぎ、住宅の寿命が近づいており、リフォームをするか、建て替えるか、あるいは売却して住み替えるかの時期がもうそこに迫ってきていると考えられます。


【関連リンク】
810 高齢者向けビジネス(第1部 居住編)
807 労働人口と非労働人口推移と完全失業率
788 浴室のユニットバス化リフォーム工事完了
738 日本人の年齢別死因は
489 生産年齢人口の推移とは




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1065
訪日外国人が急速に伸びているというのは日本経済にとって結構なことですが、観光など短期間の訪日だけでなく、中長期で日本に居留している外国人の数はどうなっているのか気になって調べてみました。

そうした中長期に居留している外国人の数を、法務省では「在留外国人数(中長期在留者数及び特別永住者数を合わせた数)」と呼んでいます。

在留外国人数合計は2015年6月末で217万人、前年より8万6千人増え、2011年と比べると12万5千人増えています。

しかし短期間の訪日外国人数は2011年比で3倍以上、317%という高い増加率からすると、中長期で日本に居留する外国人の数はたいして増加してなく、横ばいに近いように感じます。

在留外国人の中身を細かく見ていくと、その人数が多い種別(区分)から、
1)永住者
2)特別永住者
3)留学
4)技能実習
5)定住者
6)日本人の配偶者
の順番です。



一番多いのは「永住者」で、10年以上日本に滞在し、一定の条件がクリアできる外国人が法務大臣に申請して許可されるとその資格が得られます。日本に永住できるというだけで国籍は元の国のままです。

外国人の日本永住者は2015年現在69万人で、これは全在留外国人の中で32%にあたります。4年前2011年と比較すると約15%の増加となっています。

永住者の国籍別は、2015年末時点で中国(含む台湾)245,850人(30.8%)、ブラジル109,361人(20.0%)、フィリピン120,390人(16.6%)、韓国66,803人(10.1%)、ペルー33,549人(5.6%)、タイ18,831人(2.7%)、米国15,970人(2.3%)となっていてアジアと南米からがほとんどです。

1990年代から南米の日系人に対する在留資格が緩和された影響で、2007年は南米(ブラジル、ペルー、ボリビア、アルゼンチン、パラグアイ)の日系人だけで39万人に達していましたが、その後リーマンショックで国内の景気が低迷し、現在では15万人程度まで下がっています。

次に多いのが「特別永住者」で、これは戦後から続く在日朝鮮人・韓国人・台湾人とその子孫に与えられた制度です。国籍別では2015年末時点で韓国・朝鮮が344,744人と99%を占めます。

三番目に多い「留学」は、ぜひ今後も伸びてもらいたいと思いますが、2015年データで在留外国人全体に占める割合は10%程度で、2011年比では約20%伸びています。

少子化の影響で経営的に苦境がしばらく続きそうな大学や専門学校に、外国から裕福で優秀な若者がどんどんやってきてくれると救われるでしょうね。

そのためには学校側ももっと国際化をして、英語の授業、9月入学コース、日本語速成コース、留学生シェアハウスの運営、留学生のアルバイトや就業機会の支援など、規制緩和含めてやるべきことはいっぱいありそうです。

その次は最近なにかと問題が指摘されている「技能実習」という制度の下で在住している外国人で、2015年で18万人を超えています。

技能実習という名目で農業や漁業、建設現場、工場労働など、低賃金のため、日本人労働者が集められない仕事を外国人労働者に割り当てるため、苦心して作られたような制度で、技能実習とは名ばかりに思えてきます。

もちろん一部では本当に技能実習に力を注ぎ、技術を身につけ、自国に帰ってからその技能を役立てている人もいるでしょうけど、来る日も来る日も水産加工場で、魚のはらわたをとっている中国奥地からやってきた地方出身の娘さんの技能が、帰国後も役立つと思えないケースがいくらでもありそうです。

したがって技能実習という名目で日本に入り、その後職場から脱走して、もっと実入りの良い仕事に代わっていくという外国人が後を絶ちません。そうなると不法滞在ということになりますので、強制送還されるまでに稼ぐだけ稼ごうということになり、時には不法ビジネスや犯罪に手を染めることにつながります。

2014年のデータでは、技能実習生約17万名のうち、失踪したと思われる人の数は、約6千名で、全体の4%程度が行方不明となっているそうです。わずか4%と見るか、4%も!と見るかはそれぞれ違うと思いますが、個人的には制度自体に問題があり、再検討を要すると思っています。

5番目に多いのは「定住者」で、ちょっとややこしいのですが、上記の「永住者」は期限の定めがなく無期限で在留が許可された外国人で、「定住者」は半年、または1年間限定(更新することは可能)での居留資格をもつ外国人のことです。

この定住者はなぜか年々減っていて、2011年比では-10%となっていて、2015年現在約16万人となっています。やはり不景気と関係があるのでしょうか。

在留外国人の国籍別で見ると下記の表、グラフのようになります。


データ出典:法務省「平成27年6月末現在における在留外国人数について」

2015年現在では中国人が多くて3割を占めていますが、2007年からの増加はそれほどではありません。2位の韓国・朝鮮国籍者は大きく減ってきています。南米諸国の外国人も減り、ブラジルは2007年比で45%も減っています。

以前、自動車を始めとして生産現場が海外に移ることで産業の空洞化が叫ばれていましたが、産業が空洞化するとともに、そうしたところで働いていた外国人が減らされていったとも言えます。なにか南米の日系人を使い捨てにしたみたいで嫌な感じです。

あと、ここの数値に表れてきませんが、ヨーロッパで問題となっている外国人難民の受け入れについてです。

日本は難民受け入れはかなり消極的で、2014年に難民として受け入れた外国人は年間でわずか2560人という低レベルです。内戦が続くシリア難民など、多くの難民が逃れてきているドイツ、フランス、ロシアなどがそれぞれ年間20万人近く難民を受け入れているのにです。(データ出典:UNHCR Statistical Yearbook 2014)

今後日本の国際貢献ということから、こうした難民の受け入れも準備をしておく必要がありそうです。

ちょうど、日本には限界集落で廃村にするところがいくつもありますので、そうしたところを補修し、難民の人達に開放するとかできるのではないでしょうか?

せめてヨーロッパ各国並みとまではいかなくても、数万名レベルの受け入れを今後やっていかなければ、世界に貢献しているとは言えないのではないでしょうか?

お金がかかる?

政治家やゼネコン、相手政府高官の懐に消えるODAの資金を回すとか、アイデアを出すべきです。そして受け入れた難民もやがては生活のため働いてくれるでしょうから、やがてはそこから税収も生まれます。

税金は取れず、逆に介護だ医療だ生活保護だと税金を使うばかりの高齢者を、廃村間近の地方で養っていくよりは、ずっと将来性のある事業だと思います。


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