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マルタの鷹(ハヤカワ・ミステリ文庫) ダシール・ハメット

小説「マルタの鷹」(原題:The Maltese Falcon)は約100年前、1920年に雑誌で掲載後、1930年に最初の単行本が出版されたハードボイルド探偵小説の古典的な作品で、過去3回映画化されています。

映画化された作品の中でも1941年に公開された映画は主演にハンフリー・ボガートを起用してこれが大成功を収めています。

実はこの小説、創元推理文庫版を1997年に購入して一度読んでいます。今回ハヤカワ・ミステリ文庫版を購入後に気がつきましたが、読んだのが26年前のことなのですっかり内容は忘れていたので今回最初から全部読み直しました。翻訳者が違うので細かな点ではおそらく違っているのでしょう。

著者の作品ではもう一作、著者の長編小説のデビュー作「血の収穫」(1929年)を読んでいます。

内容は、サンフランシスコを舞台に、私立探偵の主人公が、怪しげな依頼人に頼まれた仕事で、ある男を同僚が尾行をしていた時、何者かに銃殺され、さらに尾行していた男もその後に殺害されるという事件に巻き込まれます。

主人公は殺された同僚の妻との関係を疑われ、殺害に関わっていたのではないかと警察に事情聴取されたり、新たな依頼人から取引を持ちかけられたりしながら、殺人事件の謎と、新たな依頼人から頼まれた黒い鳥の彫像を探すために奔走します。

タイトルは、地中海のマルタ島に十字軍の修道騎士団が住んでいた頃、当時栄華を誇るスペイン王に献上するために作られた宝石と黄金で飾られた鷹の彫刻が発見されて密かにアメリカに持ち込まれたという話があり、その彫像は価値を隠すために黒いペイントで覆われているというものからきています。

日本人の探偵ものは、どちらかというと、誰かに情報を集めさせそれをジッと考え知恵を絞り、頭の中で解決を目指していきますが、アメリカの探偵は、とにかくあちこちへよく動いて自分の目で見て調べます。また動くことで、悪事がバレないかと不安になった関係者が、自分をおとりにしてちょっかいを出してくるのを待つという手段をよくとります。その後のアメリカのハードボイルド小説の多くはその伝統を引き継いでいるのがわかります。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

オライオン飛行(講談社文庫) 高樹のぶ子

著者の作品は、過去に「億夜」と「氷炎」の2作品を25年前に読んでいて、今回久しぶりの3作目となります。

今回の作品は2016年に単行本、2019年に文庫化された作品で、ジャケ買いならぬ、タイトル買いです。

タイトルのオライオンは、有名な米国海軍の対潜哨戒機P3C、、、のことではなく、元々は星座のオリオン座のことです。冬の夜によく見える四角形のなかに並んだ3つの星がきらめいている有名な星座です。

小説の舞台は太平洋戦争前夜の1936年、フランス人パイロットが懸賞金のかかったパリから東京まで単独冒険飛行中に福岡県の脊振山で墜落し瀕死の重傷を負います。

主人公が勤める九州帝国大学医学部附属病院に重傷のフランス人パイロットが運び込まれ、そこで元気になるまで付きっきりで看護をすることになりますが、やがて看護師と患者の関係から、やがて大人の恋へと進んでいきますが、戦争が間近で敵国人となるフランス人との恋愛だけにやがて別離は必然です。

しかしそれだけではなさそうで、現代に障害を抱えて身寄りのなく生きる大姪(おおめい、姪の娘)の主人公が二人の悲恋のその後と謎を探し続け、やがてフランスへと旅をすることになります。

話は太平洋戦争前後と、現代の二つの時代を行ったり来たりしますが、読みやすく引き込まれていきます。

もちろんすべて創作ですが、こうした悲恋が起きていても不思議ではない時代で、それを現代人はどのような受け止め方をするのか、人それぞれだと思いますが、大人の恋愛小説としては面白くよくできた作品でした。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

東芝の悲劇(幻冬舎文庫) 大鹿靖明

著者は朝日新聞やAERAで記事を書いていた経済の記者で、こうしたノンフィクションを何冊か書かれているので今はフリーのジャーナリストかと思っていたら、現在も同社に勤務されているようです。本著は2017年に発刊され、2018年に文庫版が出ています。

タイトルからわかるとおり、2000年頃から様々な不祥事や社内で権力闘争などが起き、それまで半導体や、家電、原発、医療機器、パソコンなどで優良企業を誇っていた東芝が、ガラガラと崩れ落ちていく姿を詳細にレポートされています。

東芝は言うまでもなく、創業者田中久重が明治初期に電機製造会社を設立したのが最初で、その後合併や吸収などを経て、総合電機メーカーの名門企業として日本の経済界や財界に君臨していました。

しかし最初の大きな躓きは1987年のココム違反事件で、子会社の事件ですが名門東芝の名前が大きく傷つくことになります。

その後は、功を焦った当時の社長が原子力発電の会社を非常識な高値でM&Aし、逆に優良事業だったNAND型フラッシュメモリ技術や音楽事業の東芝EMI、銀座東芝ビルなどの優良不動産を次々と売却するなど自転車操業が続きます。

そうした中で、決算の数字だけは良く見せるために、様々な不正会計や当時不正ではないものの、チャレンジという名前で、子会社に在庫を押しつけて見かけ上は利益が出ているように見せかけるなど、株主や社会への裏切りが跋扈していきます。

本書では、主にそうした不正などが起き始めた2000年前後から、不正が発覚し当時関わってきた多くの経営者が責任を問われ始めた頃の2017年頃までが生々しく詳細に書かれています。

そうしていると、下記のような記事がありました。いつも思うのですが、「晩節を汚す」というのはこういう人達の言葉で、権力を一度持つと、それを維持するためにはまともな理性が働かなくなるようです。

東芝元社長ら5人に賠償命令 3億円、個人責任を認定―不正会計一部「違反でない」・東京地裁(2023/3/28時事通信社)
インフラ事業で不正会計があったとして、元社長の佐々木則夫、田中久雄両氏と元副社長の久保誠氏ら5人の過失責任を認め、約3億円の支払いを命じた。一方、パソコン事業などの不正は認めず、元社長の故西田厚聡氏ら10人に対する請求は退けた。(2023年04月13日原告・被告とも控訴)

東芝、「最後」の株主総会 非上場化で批判や惜しむ声(2023/6/29時事通信社)
投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)などの国内企業連合による買収提案の受け入れを決定しており、早ければ年内に非上場化する。上場会社として最後の株主総会となる可能性もあり駆けつけた一般株主からは買収に対する批判や惜しむ声が相次いだ。

東芝の前には、家電業界では三洋電機やシャープが破綻寸前までいき、結局は外国企業へ身売りすることになりますが、東芝の場合は、無能で傲慢な経営者によって壊されていったことと、唯一稼ぎ続けると思っていた原子力発電事業が、2011年の福島の原発事故により灰燼に帰したというか東芝にトドメを刺したという感じでした。

東芝関係者だけでなく、私のように若い頃に何度か芝浦の東芝本社ビルに行き、打ち合わせや商談をしてきた人にとっては、懐かしく、またこのような内幕を知ってとても残念に思うでしょう。

東芝の人って、パナソニックやソニーの人と違ってどこかのんびりしていながら、お高くとまっている、本著にも書かれていますが「お公家さま」っぽい感じの人が多かったのは私も感じていました。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

流転の魔女(文春文庫) 楊逸

著者の作品は、7年前の2015年に芥川賞受賞作品の「時が滲む朝」(2008年)を読んでいます。

2015年8月後半の読書と感想、書評(時が滲む朝)

今回の作品は2013年(文庫は2015年)に発刊された長編小説で、ユニークなのは、二つのストーリー、二人の女性主人公の話が並行して進められます。

二人の主人公のうちひとり?は5000円札に印刷されている樋口一葉で、小説のタイトルはその5000円札が、もうひとりの主人公の手から離れた後、国をまたぎ様々な人の手に渡っていくイメージです。樋口一葉ともうひとりの女性主人公とも魔女と言うにはほど遠い感じですけど。

物言わぬ各国の紙幣に印刷されている人物(樋口一葉やベンジャミン・フランクリン、毛沢東、福澤諭吉など)が意志を持って語るというのは一種のファンタジーですが、そういうのは個人的にはまったく好きではありません。

もう一人の主人公は、中国から日本の大学へ留学中の若い女性で、決して裕福ではない実家の負担を気にして、できるだけ出費を避けるため、質素な生活をおくり、居酒屋や通訳のアルバイトに精を出しています。

また大学で同じクラスの男性にほのかな恋を感じていたり、同じ中国からの留学生仲間が間違った道へと行きかけるのを見ながらもなにもできずにいたりとこちらの話しの方が面白い。

なぜか、通訳のバイトで手にした5千円札の肖像画になぜか気持ちが入ってしまい、別れの時にまたきっと会えると紙幣番号を記憶しておきますが、もちろんそんな都合良く会えることなどなく、そのようなことをする意味がよくわかりません。というよくわからない小説でした。

★☆☆

【関連リンク】
 6月後半の読書 暗幕のゲルニカ、翼、訣別(上)(下)、スマホ脳
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 5月後半の読書 贖罪の街(上)(下)、ストロベリーライフ、最澄と空海、王国


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